October 22, 2019

歴史 '19


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オレにとって一番の癒しは、履き潰されたレザーブーツの写真をただただ眺めるコトだ。

余計なコトは考えず、そうなったまでの経緯についてだけ考える。すなわち歴史について。

何年も前、場所は福岡でのライヴを観てくれていたマダムが身内にこんなコトを囁いていたと後で聞いた、

「足元が寒そうで可哀想だわ」

当時、オレのブーツは穴だらけで、オマケにつま先が破れパカパカで、中の靴下まで見えていた。

その言葉を褒め言葉と受け取るのか、侮辱と捉えるのかなんて人それぞれだ。そこにはただ歴史があるだけだ。

さて、2019の終わりに向けて始まる今回の旅は、どうやら東京に戻らず行きっぱなしの旅の中で過去最長のモノになるみたいです。

19日間で17本、無事にコトを終えて東京に戻って来れた暁にはその足でブーツ修理屋に駆け込みたい所存です。

準備と行動と経験の繰り返し、それを続けている内にいつか必ずやって来る事実がある、死だ。

穴の開いたギター。哀しいと感じるのか、嬉しいと捉えるのかなんて人それぞれだ。

何処かの町でお会いしましょう。

 

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September 25, 2019

サマーオブラヴ '19


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コンピューターに向かって「ベイビー、あの曲かけて」だとか「カモン、この辺りで人気のあるヒップな店を教えて」だとかと、何の疑いも恥じらいもなく話し掛ける様な男になったとしたらオレは脇目も振らず引退する。

オレは今、ウエスモンゴメリーのレコードに自らの手で針落としたところ。せめて選曲や店選びなんて自らで決めろ。無意味な指図など真っ平御免、まして機械とデータと流行に操られるだなんて赤面過ぎて閉口。

まず、「欠けた皿で悪びれる様子もなく料理を出す店」は大概イカすと相場は決まっている。血も涙も通ってないコンピューターに恥じらいもなく話し掛けてみろ、

「へい、欠けた皿で料理を出してくれる様なニクい店を教えてくれ」、出てくる結果は大抵批判の嵐なんだろう。オレとお前とは所詮ズレている、何も気にするな。

「夏は終わった」とかって言葉は大嫌いだ。「勝手に終わらせてくれるなハニー」って話だ。

久方振りに沖縄で泳いだ。ゴーグルさえ律儀にトランクには詰めていた、チャンスがあればいつでも海に潜れる様に。海に浮かんで空を見渡す時こそ、今を生きている実感は沸くってな仕組みだ。

書き記したいコトは常に溢れている。溢れ過ぎてまとまらない胸中。まず、オレは今年も沖縄を歩くコトが出来た。夏は当たり前の顔でソコにあってくれた。

横を向けばベースとエレキ、後ろを向けばドラム、ギターも弾かず飛び乗るバスドラ、バンドって信頼だ。

寒いのはもう嫌だ。ザ・クールシュガーズ、暑いままでまた会おう。
 



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August 21, 2019

POMPS AND PRIDE '19


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オレの永遠のライバルは何年経とうとも高校球児達だ。揺るぎない。あの精神力、奴等にだけは負けたくないと勝手に思い続けて生きてきた。

そしてオレ達の甲子園、下北沢CCO。決勝戦に駒を進めたのはThe Sundance、ギアマス(from 京都)、そしてポッピン野郎このワタシ。

ここにジェニーとTattaのDJが加わり、オレ達の熱戦に歓声を送ってくれるオーディエンスが加われば「ヒップな夜」ってのは完成するって仕組みだ。

「皆さん、改めましてありがとうございました!」だなんてヤスい言葉はあまり吐きたくない。そんなモノは当たり前の事で、スペシャルサンクスに名前なんて書き出したらひいおじいちゃん、ひいひいおばあちゃん、果ては日本でオレと出会ってくれて、日本があってくれてありがとうってな話にまでなる。

人間関係において、年の差なんてさほど重要じゃないと思って生きてきた。9歳でも尊敬するヤツも居れば、82歳でも救い様のない阿呆も居る。無論高校球児達、最高以外の言葉は要らない。

ギアマスが云った、「お前、顔に入墨入れろや。似合うで」。「なんでやねん!」が何より似合う真夏の夜の夢みたいな時間を実践。

よく踊り、よく笑う。基本中の基本。武器にすべきは暴力よりも経験だ。

ヒップサマー、燃える夜に最敬礼。




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July 29, 2019

SWEET AND DANDY '19


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2019の7月も佳境に差し迫る今日この頃、気象庁は梅雨明け発表を勿体振り、オレはといえば定位置に座りジャマイカンミュージックとそれにまつわるレヴェルミュージックに身を捩らせている。

暫く触れてもなかった、「Jamaica」と書き殴った仕切り版の枠内に収められているレコードを掘り起こしてはその素晴らしさに改めて感嘆している、その精神に。

去年の今頃は、兵庫県豊岡市竹野町で行われたレコーディング合宿への準備で身を捩らせていた。基本的には「ギター一本だけで一枚作る」という自らの目論みに従い、「ライトアップ・ザ・ポリシーズ」は果敢に完成へと漕ぎ着けた。一喜一憂の忘れ難い日々だった。小林琢也の優しさとオレの執念みたいなものが記録されたアルバムだと思っている。

オレはスペシャルズのやり方を見て、コレを一人で表現してやろうと思い、弾き語りの道へ入った。メンバーに頼らず、まずは一人で何が出来るのかを試してみたかった。

25歳直前の12月、バンド仲間に誘われて初めてまともにアコースティックギター一本だけでステージに立った時の一曲目は無論、スペシャルズ(原曲はダンディリヴィングストン)の日本語版だった。

あの瞬間から今に至り、知らん間に
アコースティックギターには穴が空いた。死ぬ奴は死に、辞める奴は辞め、誰が決めたかも分からん様な「社会のルール」とかってカテゴリーに当て嵌められて消えてしまった。そしてオレは、まだまだこのまま行きたいと思っている。

ビートジェネレーション、岡林信康、
ヒッピー、ボブマーリー、スペシャルズ、パンク、共通点は全て「レヴェルミュージック」、そしてどうやら「政治」へと辿り着くってな仕組みだ。

「ゴタクをゴジャゴジャ、コレはコレでこう?右側の勝利者としてだって?洒落臭いお前、幸福の扉のノックはオレがし続けるぜ」

右とか左とかそんな左右の話はどうだっていい、オレは前か後ろかの話だけがしたい。

もう二度とこのままでは唄わないであろう初めて弾き語った時の「Rudy,a message to you」の詩が見つかった。今読めば詰めは甘いが、伝えたい気持ちは何も変わらない。

前だけ見据えて次のやり方を模索したい。ポイ捨てと自由は結び付かない。



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July 02, 2019

七月のベター '19


オレはPM21:23にようやく目を覚まし、AM04:37にようやく顔を洗ったところ。その間にボクシングのパンチングボールを注文し、御飯をいただいた。

それが朝御飯なのか昼御飯なのか、皆目見当はつきそうにない。

気付けば七月、梅雨前線のど真ん中。不愉快の最先端、ギターさえもベタついている始末。別の顔をした太陽がいる北海道、若しくはサンフランシスコ辺りへ一目散に舞い戻りたい気分。

「太陽は一つだけ」だなんて、オレは断固信じたコトがない。

思考は次から次へと向かっている。それはファッションブランドが夏のアロハシャツを売り出している時に、真冬のアイテムについての最終会議を行っているのととてもよく似ている。

下北沢で煙草を買って帰ろうと思っている時、オレは新宿駅に居る時点でその小銭を既に握り締めている様な男だ。だからこそ、改札口の手前で切符を探してアタフタしていやがるドンクサ星人にはどうにも我慢がならない。それでいて、降りる人を待てずに我先にと乗り込もうとしてきやがるナスビ野郎みたいに頭イカレてもいない。

準備が早過ぎて、準備していたコトすら忘れてしまっている時がある。どうやらIQは低めらしいが頭はまだ正常だ、約束を無駄にしていない限りは。

AM07:27、今から入ろうと思っている風呂は朝風呂なのか一仕事終えた後の風呂なのか、そんなコトはもう誰にも分からないってな塩梅。


 

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June 21, 2019

ズタボロトランクが話し掛けてくる '19


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オレは今、どうやら9度目の北海道から猿小屋へと果敢に舞い戻り、ロックンロールレコードを回しているところ。今はまるで「北海道から東京へ引っ越して来た」様な、そんな胸中。

旅から戻りまずやるべきコトの相場ってのは大概決まっている。ブーツを磨き、焼きたてのアンパン色にしてやるってコトだ。きっと全人類がやっている行為なんだろう。

磨きながら汗が滴り落ちてくる。なんと季節は完璧に変わったらしい。

北海道、まるで独立国。行けども行けども道は尽きない。力ばかり借りて、「果たしてボクは誰かの役に立てたコトなどあるのでしょうか?」だなんて思考したりもするが、それと同時に強く思っているコトは、また必ずあの「国」へ生きて舞い戻ってやろうってコトなんだな。

トラブルなんてもはや想定内だ。何処へ行けどもトラブルなんてある。どう対処していくかってのが腕の見せどころらしい。

仲間に甘え、主催者に頼り、
お客さんに安心感を抱き、ドライバーに命を預け、パイロットを信用し、車掌にお任せする。オマケに用意された部屋の鍵を預かり、勝手に冷蔵庫を開けて寝しなのハイボールを煽ったりする。詰まる話、一人では到底成り立たない旅ってのがそこにはある。

恥ずかしいコトをやっていたらすぐに切り捨てられるプレッシャーってのは常にある。しかし、まだ見たコトのない風景を見続ける為に大切なコトは動き続けるって行為に他ならない。

安全圏に身を置いて、画面に張り付いて名も名乗らず誰かが誰かを罵っている。そんな時、オレが抱く感情は残念ながら殺意だが、殺したいと思ってしまった奴等からも常に学べるコトってのはある。そんな人間には断固成らないんだと自らにキツく念じてやればいい。

早い話、本気で何かに取り組んでいる人間は、誰かを罵る時間など無駄以外のナニモノでもないと思っている筈だ。

北海道にデカい手帖を持ち込んで2019の締め括り方ってのを思考しながら各地の愛すべきアウトロー達と連絡を取り合っていた。

まだ死ぬワケには、生粋の阿呆に殺されるワケにはいかないんだな。

大地の上を疾走する車中から「鳥注意」「牛注意」「鹿注意」、トドメに「動物注意」と書かれた標識を見た。詰まる話、全ての注意を怠らず突き進むだけなんだろう。

さて、回り続けているロックンロールレコードはB面ラストへと差し掛かっている。

ダラダラ書き綴ってみたところで伝えたいコトってのはたったの一言でも可能らしい。北海道、無駄とは無縁の風景と日々をありがとう。
 


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May 08, 2019

the MAN '19


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オレは今、長い旅を終え新しく手に入れたレコードにやっと針落としたところ。

そして、誰かオレに珈琲でも淹れてくれないかと思っているところ。

ほとんど雨に打たれるコトもなく一気に駆け抜けた。「筋金入りの晴れ男」って称号はもはやオレのモノってコトで良いだろう。

街には人が居て、優しさがあり、嬉しさがあった。序盤戦、名古屋の夜はもう半年ほど前に感じる。

オレは今、今日は唄わなくて良いのか?道に迷わなくて良いのか?と立て続けに思っているところ。

令和39年頃まで生き延びたあかつきにようやく「オレは平成最後も令和最初も唄っていた」とか一丁前にホザかせていただこう。

沢山の喜びをくれた人達に心底から感謝します。

そしてまた、必ず旅に出ます。

美味いお酒とニクい夜にありがとう。誰も死ぬなよ。
 

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April 18, 2019

フィッシンオンライフ '19


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まだ「夏」と呼ぶには早いのか。この冬「寒い」と吐いた回数なんと二千強、使い古しの言葉はええ加減、海に投げ捨てろ。定型文なんてロボットでも吐ける。

4月上旬、山口県周南市は25℃近くあった。「暑い」とホザく時が遂に来たのかと思った。移動の合間、相棒の下原元気と釣りをした。

一人旅と一人じゃない旅との違いはただ一つ、より自由になれるのかなれないのかって点だ。

ソレは気心知れた人間とじゃないと成り立たない。南の方へと旅に出て、途中で北九州のアレンギンズバーグ、下原元気と合流した。

ヤツは2006年頃、東京は三軒茶屋のライヴバーで知り合った。ブランクが10年近くもあったが見事去年再会し、ポッピンな関係は今も続いている。音楽と人間性のオカゲだ。

ヤツはまるでオレとは真逆の性分だ。どうやら血液型はオレと同じA型だという。カテゴライズなんていかにクダラナイ事柄かってのが手に取る様に分かる。

ヤツの釣り竿は15000円で、オレが借りたのは1500円のモノだった。玩具みたいなルアーに玩具みたいなリール。

釣るコトが目的ってよりも、ただ雰囲気を楽しんでいた。そして胸中は穏やかの最先端だった。ただただいい時間を過ごしていた。

次の日、チェックアウト後、次の街へと向かう前にオレは云った、「もう一回、釣りをする時間はあるかい?」、

そして前日とは違うスポットへと出向いた。「お前、ほんまにこのルアーで釣ったコトあるんか?」と聞いた直後、ヤツは得意気な顔で魚を釣り上げ、そして直ぐに海へと返した。

そのクールで無邪気な仕草を羨まし気な顔で眺めた。「そろそろ行きましょう」と満足気なヤツを尻目に「もう一回だけやらせてくれ」とせがみ、最後に垂らした糸へ遂に魚が喰い付いた。

あの瞬間の快感こそ生きている理由だ、とかヌカすと大袈裟だが、実際そうなのかも知れない。オレはクールな仕草を真似て、釣り上げた名も知らん魚の目を見て云った、

「おー、痛かったよな」、そして直ぐに海へと返した。名も知らん魚は泳げる喜びを感じている仕草で海の底へと消えた。

記憶に残るいい時間だった。その時、脳内ジュークボックスからは釣りにまつわる曲が何曲か回っていた。

来週からまた旅が始まる。「暑い」って言葉なら二万回吐いたって苦にならない。

生きる上での目標があるとするならただ一つ、ロボットにだけはなるなってコトだ。型にハマった奴等の指図こそ悪の根源だ。

とにかく死ぬ前に、「暑い」ところで会おう。


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April 01, 2019

四月の咆哮 '19


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新元号は「浪漫」でいい。オレが眠っている間にそう発表しといてくれ。 

バランスを損ない、リズムを奪われ、ほとんど閉じ篭っている内に四月だ。

この調子で行くと2019年のオレは「12点しかやれません」ってなコトになりかねない。こちとら93点はほしいのにだ。

点数を与えるのもオレならもらうのもオレだ。敵なんかどうでもいい。

より高い点数を叩き出す為にはやはり、新たな荒野へと向かう必要がある。

ショーケンが死んだ。会ったコトもないが、何故かダメージが大きい。大切なモノを一つ、失った様な胸中だ。

歯医者通いは続いている。クラシック調にアレンジされた「アヴェマリア」をBGMにして、あの歯医者特有の機械音が鳴り響く室内はもはや狂気だ。

四月、飛び出した場所でオレはようやくリズムを取り戻すだろう。白い歯で会おう。


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March 08, 2019

タンブリンダイス '19


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電車ーバスー飛行機ーバスを乗り継いで13ヶ月振りに福山へと帰った。目的はまず一つ、お母ちゃんに会う為だ。

ヤツはボブディランの二歳下。まるでボケる要素もなく、得意料理を振る舞い、TVのクイズ番組に答えを出し、オレを「汚いルパン」などと罵っている。

オレはここぞとばかりに食べまくり、三日間でジャスト二週間分は平らげた気分だ。

大好きな自動車博物館へと出向き、粋なトランクを後ろに乗せたバイクに跨がり、モダンなストライプソファがあるクラシックカーの運転席に鎮座する。

いくら気取ってみたところでオレには決定的な欠点がある。免許がないってコトだ。

何十年か振りに「鞆の浦」まで足を伸ばし、何をするでもなくほっつき歩き、ただ其処に居る人達を眺めたりする。

精神は安らぐが同時に不安は常に隣り合わせにある。このままじゃいけない。

「また来ます」とお母ちゃんに告げ、雨のトーキョーへと戻って来た。いつからか此処が戻る場所になった。今や福山よりも長い年月、この苛立ちの街に居る。

一念発起して、長年燻っていた歯の治療に出向く。病院に行くコト自体数年振りだ。完璧にヤラレる前に出来るコトはヤっとくべきなんだろう。

レントゲン写真を見ながらドクターがヌカす、「格闘技とかやってました?」。歯を食いしばる力がヤケに強いらしいが、残念ながらオレはただのガリヒョロボーイだ。

診察台に寝転がる「まな板の上の鯉」このワタシにドクターがホザく、「もしも痛い場合は左手を上げて下さい」。

そして何もされてない段階から一目散に左手を上げようとしている男このワタシ、「オレってひょっとしてオカマの最先端に君臨しているのかも知れない」、一人ごちる。

治療を終え麻酔で痺れたベロを気遣いだらしなくヨダレを拭きながらドクターに告げる、「とうもはりかとぅこさいまひた」。そう、一人ではてんで無力だ。

口の中にはクスリの不愉快な味が残っている。オレはソイツを今、レモンハイボールにて流し込んでいるところ。どうやら不愉快な味は一層広まるばかりだ。

このままじゃいけない。

そう思い、ギターを抱えたら簡単に曲が出来た。重要なコトはまず一つ、腐らないってコトだ。




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