May 2021

May 02, 2021

路上 '21


'21.05.02(日) 


30年前の5月3日、オレは車に飛ばされて意識不明の事故にあった。信号無視をしたのは自転車に乗っていたこのオレで、車は何も悪くない。分別は弁えている。

気付いた時は救急車の中、飛ばされる直前の記憶はまるでない。あのまま死んでいたら今頃オレは確実にお化けのキングになっていただろう。断固望まない。

あれからジャスト30年、この長い30年間をオレはボーナストラックなどと名付けて生きてきた。そしてオレはまだ生きていて、驚いたコトにまだ生きる予定で、ついでにステップアップさえさせていただきたい胸中だ。なんて贅沢な話なんだろう。

近頃は充実した日々を過ごしている。サボテンを育てたり、運転を勉強したりしている。

そう、来世でも無理だと思っていたマイカーを転がして、近場でも観れる映画をわざわざ遠くまで観に行ったりしていた。

こんな街では車など必要ないってコトは千も承知の上で車を手に入れた。しかし、譲り合える粋なドライバーと挨拶を交わす度、ロードサイドの寂れたラーメン屋のヤンチャな看板を運転席から眺めたりする度、やはり車は完璧に必要なんだと感じれるって寸法だ。

そして同時に強くこう思っている、頼むから自転車で信号無視はしないでくれと。

近頃は充実した日々を過ごしている。大量のCDを薄型ケースに入れ替えたり、毛筆ペンでハッタリな絵を描いたりしていた。


坊主になり早一ヶ月以上が経過した。サボテンの棘より短い頭を毎日掻いている。

今はテキサスの町を車で走るまでは死ぬワケにいかんなと思っている。そして同時に見えている、ソレを実現した暁にはまた違う何かを求めて更に生き続けようとしている姿が。

なんて贅沢な話なんだろう。


(696文字)





drecom_eroom5session at 20:39|PermalinkComments(0)│ │散文 
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