April 27, 2008

老いも若いもノープロブレム

推定50代、男女四人組が突如店内に現れる。耳を澄ます必要もなく聞こえてくる話題はたった一つ、「フォーク」、すなわち70年代フォーク。「岡林の野音行きたかった」に始まり「URCがどうしたこうした」「はっぴぃえんどの解散ライヴは・・・」「斉藤哲夫の曲で・・・」。そうと分かればその輪の中に入り込みたい欲望がすぐに沸点をオーバーする男このワタシ、どうにか盛り上がる四人組を見計らい、話し掛けるタイミングを窺う。話題が「最近キテルと思う女優は?」なら上手く輪に入り込む自信はないが、こういう話なら自ら進んで話をしたい。そして話を続けるおばさんの言葉、「ワタシ、中津川フォークジャンボリー観に行ったもん、パンフレットとかまだ持ってるよ」。出た、生きる証言者。おー、俺も一杯ひっかけながら話を聞きたい。話を聞く残り三人も「へー、それはやり手だなぁ」とさすがの驚き表現。俺も一杯ひっかけながら一緒に驚き表現したい。そこで俺は店内BGMを「この場だけはどうか高田渡にさせて下さい」願望が噴き出るが、残念ながら置いてない為、ミシシッピ・ジョン・ハートにしようとCDを探す。しかしすぐに見つける事が出来ず、変わりにリトル・ウォルターを回す。その直後に会計、このまま帰す訳にはいかんと、俺は絶好のタイミングで話し掛ける、「フォークお好きなんですか?」。「そうそう!あのねー!」と話し出す推定53歳の男性に間髪入れず、「自分も大好きなんですよー」。こうなるともう話は早い。握手を交わし、「岡林さんの日比谷にも行ったんですよ」と俺は話を続ける。「中津川の話されてましたよね?」「そうなの、ワタシが17歳の時に。今度パンフレット持ってまた来るわ!ゆっくり話しましょ」、隣りの男性は言う、「でもまだ生まれてもなかったんじゃないの?」。音楽に歳の差などあって堪るか、老いも若いもノープロブレム、それ、音楽の特権。俺は人見知り且つ面倒臭がりのあん畜生かも知らんが、共通の話題さえあれば自ら話をかけたくなる。バーで働く事によってこういうタイプの出会いもあるのかとまた一つ経験を積む。これだからバーテンは辞められん(とかいうたりして)。BGMは吉田拓郎、当然。

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