January 21, 2009

スタイリッシュにかかって来い ’09 其の二

朝、俺の部屋一直線に鳴り響く電気ドリルの轟音で目が覚める。「震度5強の地震でも起きん可能性が最も高い男」の名を欲しいままにする、そんな俺の強靭な睡眠をも堂々と突き破る轟音。

俺は冗談抜きで例の張り紙を貼った輩の気が狂い、電気ドリルなるハイカラ極まる武器を駆使し迫って来たのかと思い真剣に焦った。俺とした事が真剣に焦ってもうたがな状態。

俺はこの輩が目の前に現れた時、モデルガンを駆使してパンパン撃ってやる作戦を企てた。バットしかし、電気ドリルは反則違反ちゃうんけ、ちょっと待ったりーやである。

これは単なる何かの工事で俺の勘違いだった。ほぉ、俺はまた余計な事を考え過ぎたのだ。

ロードバイク跨り三軒茶屋、ご多分に漏れずレコードと本を漁り、部屋に戻りおまけみたいなベランダに目をやれば、丸め込まれた一枚の紙切れプラスアルファを発見するに至る、


dscn25530001.jpg


おぉ!プリーズ・ギブ・ミー・チョコレート・サンキュー!!

このシチュエーションでは「石」を包んで投げつけてこそにも関わらず、やっこさん、御丁寧にもチョコレートを包み、ブコウスキー名ゼリフ「前例なんて破っちまおうぜ」に従ったのか否か、「チョコレートあげるから静かにしてよ」と言わんばかりにこちらを投げつけてきたのである(確かに張り紙が貼られた日、ベランダで音がした気がする)。

ウィットに富んだまさかの攻撃においら、やっこさんの事が不覚にも好きになりそうになってしまったぜ。

ところで、やっこさんが気が狂った様に申し立てる「ビービー」とは一体何なのか。「ジャンジャカ」なら察しもつこうというもの、「ビービー」では皆目検討もつかん。

とにかく俺は「前例なんて破っちまう」程のやかましさで過ごしとるつもりはない。

そんな訳で下から物を投げつけてくる辺り、何号室の輩かは判明した。俺の真下に住む「ド新人」の仕業だ。

俺はモデルガンに弾を詰め込み、ガスをパンパンに吹き込み、優作松田の如き体勢で待ち構えるに至ろう。

もしやって来た輩がファットでスキンヘッドで髭もじゃ野郎だったとしたら?だと?

そんなモン、ご多分に漏れず一目散に逃げるに至ろう。

まぁ、そんな「本物」がこんなセコイ手段を仕掛けてくる訳もないがな。

俺はやっこさんに人生において最も大事な事の一つを特別に伝えてやりたい、

「食べ物は投げるモンじゃないぜ、バットしかし、モデルガンは撃つモンなんだぜ」

パンパンッパンパンッ!!!



近年稀にみる小さな闘いは続く。

at 16:53│Comments(0)TrackBack(0)│ │短編 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索