May 10, 2009

ドンヅマリ排水口ブルース

本来、水を吸い込んでこそ初めて排水口と呼べるその穴が、水さえ吸い込まん様になってしまった時、俺はもはやその穴を何と呼べば良いのか。

単なる穴と呼ぶのか、ぶっ飛びニセモノ野郎と罵るのか。

オーケー、オールオーケー、ヒップにやさぐれホールと名付けよう。

本来、リラックス空間であるべきシャワールームにおいて近頃、風呂桶側ではなく便器側にまで水が溢れ返り、シャワーを浴びて出る時にはまるで足湯に浸かるかの如き感覚の量の水が溜まりっぱなしだ。

これは全てやさぐれホールの仕業だといえる。

そして先日、シャワーを浴びてリラックス空間であるべきその扉を開けた時、俺は突然呆然唖然、おまけに愕然としてしまった。

玄関にまで床下浸水かの如く水は溢れ返り、ブーツはびしょ濡れ、SHOE GOO塗りたくり愛用靴びしょ濡れ、マットびしょ濡れ、アンプびしょ濡れ、トイレットペーパーびしょ濡れ、雑誌びしょ濡れ、ギターびしょ濡れ、すなわち濡れっぱなしのびしょ濡れダンス天国。

ちょっと待ったらんかいジャスタモメンプリーズ!!


俺は怒る事さえ止めにし、寂しい表情を携えてたっぷり40分間、シャワーを出たままの姿、すなわちスッポンポンのまま、一人ではこんなに必要ないであろうタオル&バスタオルを駆使し、ただただ水を拭き取る作業に没頭する。

そしてその次の日からの俺ときたらどうだ、シャワーを浴びながらやさぐれホール様の顔色を情けない表情で窺い、二度とこんな事が繰り返されません様にと強く念じ、必要ない時は水を止めながら溜まり具合を確認し、リラックス空間であるべき場所において「水、なるべく出しませんから!」顔で遠慮に遠慮を重ね、シャワーを浴びる。

ハロー、ストレス社会!

何も考えず、ノンベンタラリと過ごせる日なんて一日だってないぜ。


そしてそれから何日か経過した本日、俺は意を決してやさぐれホール様と御対面するに至る。

「お風呂掃除キット」なるハイカラ極まる用具など断じて持ち合わせてない男このワタシ、ヌメヌメのホールに右手を突っ込み、溜まりに溜まった髪の毛やら何やらを取り除いてみる。


その状態でシャワーを浴びればどうだ、おー、排水口と呼ぶに相応しい華麗なる復活劇。

ハロー、ストレス社会!

勝つぞ、俺は勝つぞ、ヌメヌメに右手を突っ込んで余裕の一勝をプレゼントしろ。

ところがどっこいすっとこどっこい、どうやら何時だってお金はない。

バットしかし、今やウイスキーは俺の大事な相棒と化した。

「JAMESON」はあまりに高級ウイスキー、そんな訳で安物「トリスウイスキー」で祝杯を。

安物だろうが高級だろうが味の違いなどそんなモン、俺は何一つ分かっちゃおらんのだ。

分かった様な振りをするのは止めとけ、そして寂しさ紛らわす呑み物を俺にくれ。

dscn29980001.jpg



P.S 現代の異端パンクフォークブルース、野狐禅が突然の解散を発表した。今年はまだ5月にして、どうやら色んなモノが終ってしまう年だ。

もはや前髪で前が見えん俺は近々、バッサリとやってしまい視界をはっきりとさせる必要性を感じる。














at 21:35│Comments(0)TrackBack(0)│ │短編 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索