June 15, 2009

デリカシーゼロに捧げる哀れみの文章

執念の五連勤を終え、そのまま家路につくのは何とも寂しく、俺はスーパー袋と折り畳み傘を引っ提げてバスに乗り込みナショナルタウン六本木へと出向く。

そこではザ・ブルースドッグスライヴショー、「簡単な事が難しくなる街」六本木、俺はライヴハウスの場所さえ分からず、仕事のイライラやら何やら、気が荒れた言葉でオグリ昌也氏に電話を入れる。

「こんな街は俺には無理だぜ、ところでどこに行けば良い?」

おー、人にモノを教わる時の言葉さえわきまえずどうにか辿り着く六本木バウハウス。

場末のディスコ感漂う雰囲気の中、具合が良いのか悪いのか、そんな事はノープロブレム、呑み放題のウイスキーを嗜み、二杯で存分に酔っ払う。俺はどうやら外で呑めばすぐに酔っ払う。ライヴを観賞しながら、もう誰も食べんであろうその辺に置かれたままのフランクフルトを食べ(盗み)、枝豆を食べ(盗み)、煙草はまさかのマルボロメンソール。

ラーメン屋駆け込みある事ない事喋りまくり、その後、生まれて初めての「ハードロック・カフェ」潜り込み、場違いか何か知らんがスーパー袋引っ提げたままノーアルコール「バナナスムージー」なるハイカラ飲料注文するも、それは酔いを三倍加速させ「ハードロック・カフェ」を我が物顔で楽しむその前にフラフラと店を出る事とする。

ザ・ブルースドッグス、ゴローのバイクに久方振りに乗っかりルート246を一直線、バイクの揺れやら折角食べたラーメンやらマルボロメンソールやら、気持ち悪さはバイクの速度同様加速し続けるが、平常心を保つ事はどうにか忘れず、そして目を閉じて50数えて遊ぶ事も断じて忘れたくはない。

そして俺はルート246の車道に数え切れん程の唾を吐き捨てる。車が走ってない場所だけは確認して唾を吐くが、デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまった。

三軒茶屋まで辿り着き、あと少しというところで俺はバイクの助手席に乗ったまま折角食べたラーメンを全て吐いた。愛すべき茶沢通りの入口で、走り続けるバイクの助手席で俺は全てを吐き出した。八年半着続けた愛すべきボーリングシャツに吐いたモノがかかった事を気に止めながら、バイクを止めて更に路地で吐いた。ついでにしょうもない事柄全てを吐き捨ててやりたい気分だった。

こんな経験はまるで初めてで、俺は自分自身の不甲斐無さに大いに驚いてしまった。デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまったのだ。

そんな訳で近々、三軒茶屋の街まで両手を合わせて謝りに行かなければならない。あの街を俺の都合で汚してしまった事実を、俺は許したくない。

どうにか部屋まで辿り着きベッドへ倒れ込み二時間近く眠った後、ハッキリと目が覚めた。

埃をかぶってしまったエレキギターを久方振りに掻き毟り、新しい唄が生まれそうな気がした。

弦を切り、BGMはザ・ピロウズ。バンドが演りたい。

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at 04:43│Comments(0)TrackBack(0)│ │短編 

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