August 16, 2009

ファンタジック・ルームにて

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ゴキブリのキヨシ君、俺のお気に入りのポスター上を我が物顔で這いずった後、部屋を飛び回る。

レコードプレーヤー上にて踏ん反り返りながら俺を警戒するが残念ながら俺はやっこさんが思う程に敵ではない。

何たってやっこさん、そこらに蔓延るドンクサ星人よりも断然頭が切れるってんだからまったくもってイカす。

俺はある出来事以降、生き物という生き物を出来うる限り殺す事を止めた。バットしかし、フライドチキンは笑顔で頬張り、塩サバは骨以外きれいさっぱり平らげてしまいたいあん畜生。

矛盾は永遠のテーマだと唄わずにはおれん男このワタシ、例えばステーキハウスにて牛が笑った絵が描かれた看板を発見したら、豚の家族が仲良く寄り添う絵が描かれた看板を発見したら、何ともやり切れん感情に襲われたりもする。すなわち、それらの看板は動物に対してとても失礼なモノに思えてならんという感情に襲われたりもする。

おっと、詩人の言葉が本日もフラッシュバック、

「ゴキブリの方がよっぽど人生に忠実な気がするぜ」

人間よりも会話の出来ん動物の方がよっぽど賢いという事実、こんな例は腐る程にある。

バットしかし近くには来てほしくもないゴキブリのキヨシ君、やっとどっかに隠れてくれたと、安堵の表情でふと天井を見上げたら、天井をカニ歩きさながらに歩き回っていた。ゴキブリのカニ歩き、クールと捉えて何ら差し支えない。そして再び飛び羽を広げて飛んだ。

甲子園に出向く期間中、もはやこの部屋はやっこさんに任せる。

レコードを回しながら本でも読んで、ウイスキーボトルを足で開けてズーズー鳴らしながら煽ってくれたならそれはとんでもなくファンタジー。

この部屋を愛して止まない。俺はゴキブリと暮らしている、とんでもなく元気に。














at 20:43│Comments(0)TrackBack(0)│ │短編 

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