September 12, 2009

「心の友達」 vol.6

頭の回転は鈍く、ヒップな言葉の一つも掘り当てられず、切れ味はゼロ、何かが違うと息巻いて、

心なしかの臆病風、スナック感覚で体温計をはさめば37.3℃、

無論、大した熱でも何でもないが頭を過ぎるのはかの有名な最新型インフルエンザ、

危惧する職場、厄介者の吹き溜まり、危険人物はオテノモノ、

そんな馬鹿なとヘラヘラ笑い、面白味の欠片もない言葉が口を吐く度、自らには苦笑い。

例の患ってしまった男はそれに構わず本日もスティック振り回してロックンロールの渦の中、

奴とは確かに近頃、ずっと一緒に居た様な気がするぜ。

万が一、この俺が最新型インフルエンザを患ってしまったなら、うつされていたとしたら、

俺は奴を一発ど突いた後、肩でも組んで更なる絆を深める事が出来るかも知れない。

バットしかし、そんな事、さほど望んでもない。

バットしかし、そんな事が起こったなら、大笑いは俺達だけのモノ。

「コイツが律儀にインフルエンザを運んできやがりよって」

永遠に言い続け、笑い続ける事が可能可能、それも心のどこかでは捨て難いという茶番な心境。

冗談の一つも通じない輩とはつるまない、ギリギリのラインを弁えて俺は笑いたい。

何かがくすぶっている夜、

こんな夜、俺にとって重要な事はご多分に漏れずレコードを回して眠りにつく事だ。

「よーよー、もしも熱が上がったらお前がレコードを裏返す役を買って出ろよ」

そうそう、喜び勇んで買って出てくれよ。

それ位の義務はあるってモンだぜ。










at 21:00│Comments(0)TrackBack(0)│ │短編 

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