March 12, 2010
執念のグッド・ドリームス
フラフラと立ち寄った本屋ではチャールス・ミンガス伝記本を発見し、一人で胸を躍らせる。
近頃はめっきりと本を読んでないが、まだまだ根こそぎ読みたいと思う心意気は消え失せてはいない。
久方振りにチャールス・ミンガスを次々と回せば、その本がますますと読みたくなるって寸法だ。
俺は「ミンガス狂」でも何でもないがこんなモノは雰囲気一発、すなわち好きか嫌いか、そして俺は断固「好き」だ。
真夜中、読破せず置いたままになっていたボリス・ヴィアン「墓に唾をかけろ」を12ページ読みながら、
「コーヒー&シガレッツ」サウンドトラックの心地良さ満点のリズムに揺られて、本を抱いたまま眠りに落ちる。
ウイスキーコークは一杯嗜んだだけ、久方振りの平穏な夜。
ところで珈琲好きの底無し沼、朝も昼も止まる事なく体内に流し込み、
部屋に戻りまずやる事は珈琲用のお湯を沸かす事ってんだから「筋金入り」の称号は断固譲らない。
さて、天下のボブディランはいよいよ来日、
「本日が日本ツアー初日公演だぜ」などと訳もなく勝手にソワソワと過ごしていたら、
何と追加公演により初日は昨日終わっていた。
発表されていたセットリストを凝視して驚愕、
「おい、これほんまか!!」
こちとらPC画面に向かってさぞかし歓喜、盛大に叫び散らしている始末。
俺は「ディラン狂」でも何でもないが、7年以上も待ち侘びていたのだ、
もはや期待は膨らむばかり、まだ見た事もない風景を根こそぎ焼き付けてやろう。
名刺やらチラシやら、持ち前の勢い駆使して、やり方さえ知りもせんままに発注をかけていた印刷業者から連絡が入る、
「データチェックが完了いたしました、どうぞご安心ください!」
おー、デジタルの荒波に飲み込まれながら一仕事、いや、大仕事終えた気分だ。
あとは完成品の到着を待ち、届けばソイツをあちらこちらへばら撒くだけって寸法だ。
数え切れん人間達が囁きかける、
純粋、不良、繊細、チンピラ、デリケート、極悪人、硝子細工、強い、弱い、怖い、何やらかんやら、
どういう意味だ、俺は個人であるという事にエゲツナイ程に誇りを持っているシャイなあん畜生。
一つだけ確かな事は、誰かの真似をして満足出来る様な単細胞星住人ではないという事だ。
サスペンダーでおどけていた俺に誰かが言ったぜ、
「柄の悪いチャップリン!」
その言葉は胸の内に留めておこう、ヒップ且つウィットに富んだ言葉だからだ。
臆病者の桃源郷、神経質が服着て歩く男このワタシ、
とことん煙たがられながら、とことん愛されながら、狙うハッピーエンド。