March 13, 2010
粋残れ ’10
昼、かれこれ3ヶ月と28日ばかりも洗っていなかったであろう布団シーツを勢いよく洗濯機に放り込む。
70年代ボブディランを根こそぎ回しながら、期待と気分はいよいよ右肩上がり、胸はブギウギ断固キープオン。
こんな晴れた日は激安の殿堂まで徒歩16分、MP何ちゃらプレーヤーをポッケに詰め込み我が物顔にて街を歩く。
マカオの人力車勧誘のおっさんに叫んだ言葉が堂々たるフラッシュバック、
「No!No! I love walk!!」
そう、何時如何なる時も歩く事が好きだ(結局その人力車にはまんまと乗り込んだが)。
Tシャツの兄ちゃん、スケスケの姉ちゃん、
サンダル履きのおっさん、洒落たスカーフ巻きの貴婦人、そして擦り切れロングブーツ愛好家このワタシ、
あれやこれや眺めながら、春のお出ましを悟るに至る。
歩きながら本物の仲間、すなわちヒップな輩共の存在について思いを馳せる。
奴等、掛け値なしに本気で俺みたいな端くれを持ち上げてくれているのだとしたら、
俺は他に何を望めば良いのか、皆目見当もつかない。
信頼と不安の背中合わせ、真っ黄色の買い物袋を両手に抱えて、イヤホンで耳を塞いで歩き続ける。
場面は変わって夜、
右手にジャズレコード3枚、遂に格安で発見のアレン・ギンズバーグ詩集、左手にボトルコーヒー2本、
すなわち、奇跡の組み合わせを両手一杯に抱えて家路を急ぐ。
これ程までにモダンな組み合わせはそうそうお目にかかれない、
弁えた女に呟いてもらうのが俺の夢、
「粋とは何かと問われたら、今のアンタの両手と答えるわ」
全ては絵空事、
一丁前にひけらかす精神論、哲学を知った数々の人間が囁きかける、
「理解者は4、50代にしかいないでしょう」
オーマーシー、旅は続く。
BGMはフランク・シナトラ、昭和の夢を忘れない。