March 19, 2010
音楽好きの狂想曲
時に自らの行動力の沸き具合に喜びを感じる事がある。
インチキ新宿タウンに辿り着いたその時から、ほとんど落ち着く事もなくゴキブリの様に動き回っている。
レコードを何十枚も取り替えながら、傍にはいつだってブラックコーヒーが置いてある。
よー姉ちゃん、アルコールなど後回しだ、
まずは俺にコーヒーという名の聖水を根こそぎ塗し掛けてくれ。
午前には水道局のおっさんが集金にやって来た。水道供給停止前、最後の訪問であった事は紛れもない事実だ。
滑り込みセーフで料金を払い込み、文章をしたためていたら今度は佐川急便の小粋なおっさんがドアをノックした。
そんな訳で【ソウル・ロマン派】のポストカード型チラシが到着する。
何でもかんでも勢い任せにやってしまえば良い、座右の銘「簡単な事を難しくするべからず」は断固専売特許。
昼時、念願のチャールス・ミンガス伝記本を34ページ読み耽る。
想像の八段上行く読み応えに胸高鳴り、レコードはジャズへと切り替える。
昼時、探している他の本を求めて懲りもせずレコード屋、
狙いの本を見事一発で発見し、
「今日はレコードは漁りまへんねや」顔にてそそくさと店を出ようとしたその時、目に飛び込む驚愕のチラシ、
「ジェイムス・チャンス来日!!」
「おい、これ事実け?」顔にて店内を慌てふためく小僧このワタシ、
ボブディランに引き続くビッグネームの来日に眩暈覚醒、
イカれたサックス吹きをこの目に焼き付ける事を時間にして2.67秒の素早さで決める。
5、6年前に手に入れた「off white」はジャケットを拝見しただけでも一目瞭然、まったくもってイカすあん畜生具合。
いまだに何カ月おきの周期で聴きたくなるが、本日は来日記念に5、6回A面B面を繰り返すに至る。
夕刻時、久しく出向いていない感さえ漂う美術館の情報を隅々まで調べ倒しメモを殴り書き、
そして来月の旅の為のバスチケットを足早に手配する。
部屋を片付け、あれやこれやと繰り返す内にあっという間に夜はやって来る。
魂のレッド・ウィークはとんでもなく実り溢れるモノだった、
ボブディランの哀愁漂う姿を俺は忘れない、東京公演さえ大枚叩いても観に行きたい心意気だ。
やる事はいつだって尽きる事なく、明日も休みならピーハツ具合は最高潮、
バットしかし、自由に堂々と働ける場所があるという事実に俺はどうやら心底感謝しなくちゃいけない。
そしてどうやらついでに、相も変わらずまだまだ音楽が好きだ、
好きのまま死ねる幸せを果てしなく噛み締めなくちゃいけない。