October 07, 2010
専売特許を抱き締めて逃げろ ’10
チンピラ、今や合言葉の如く響き渡る称号。
「おーい、チンピラー!」
背中越しに誰かが叫んだなら俺はもはや0.17秒のワールドタイムで振り向かざるをえない。
仕草、歩き方、着こなし、久方振りに再会したジュゼベルが事ある毎にほざく、
「チンピラ、あらーチンピラ、いやーチンピラ、似合い過ぎ」
要は考え方次第で世界は変わる、勝手に褒め言葉と解釈してヘラヘラと笑う、
「もう沁み付いて消えない。専売特許獲得だ」
そしてシャガールを鑑賞、
シャガールは教えてくれる、「アヴァンギャルドに生きなさい」と。
看板の前に並んでジュゼベルと二人で写真を撮る、美術館に一緒に行ける人間は信頼するべきという持論。
我が愛しのタワーレコード7Fの本で埋め尽くされたフロア内で「HIPPIE」という名の洋書写真集前で立ち止まる。
俺は思想を持っている、充分に幸せかも知れない。
ところで昼下がり、ドアを激しく叩く音が聞こえる。その音はそこそこ悪意に満ちている。
「大家だ、逃げ場はない、万事休す」
明々と点けていた電気を遅ればせながら消し、爆音ロックンロールレコードを最小音量まで下げる。
ドアは断固開けるべからず、負い目はこちらにある、勝ち目はない。
バットしかし、覗き穴からしっかりと見てやる、大家のファッキン憤慨顔を。
ドアのすぐ前にいる男はヘルメットを被っている。大家じゃない、通常大家はヘルメットなど被らない。
メーターが動いているのを確認した後、ヤツはもう一度激しくドアを叩く、プロフェッショナルのやり口だ。
覗き穴からしっかりと拝んでやる、得意の居留守はとっくにバレている。
「コイツ大家じゃない×801、電気代集金業者だ!もう一回でもドア叩いたらモデルガン八発撃ち込むぜ!」
そして集金業者は引き下がる、俺はロックンロールレコードの音量を戻して我が物顔で踊る。
とにかく追いかけたり追いかけられたり年がら年中ありとあらゆる事柄で溢れている。
夜、ブーツ磨きのホールデンからジリブルと電話が鳴る、
「僕、プール行ってきます」
ありとあらゆる事柄に飲み込まれそうになる事多々あれど、即座に答えてみる、
「僕も行きます」
季節の垣根なんて金輪際ノープロブレム事項、年がら年中プールサイドに君臨してやる。
さぁ、インチキ迷惑メールの追い込みが後を絶たない、立て続けに届くメールアドレスには憎しみのウィットを感じる、
@thogenkyo.jp
@cleopatla.jp
貴様桃源郷とクレオパトラ様にスグサマ謝れ×6億ジャスト。
与太話はこの程度にして新曲が次々と湧き出ている、
俺はありとあらゆる集金から逃げているだけの単なるコソ泥野郎ではない、
ボンクラ兼チンピラ、俺だって「どうしようもない輩」かも知れない、
バットしかし、思想と哲学位は知っている、存分に幸せかも知れない。
俺は何も盗まない、新曲が続々と完成に向かっている。