September 22, 2011
マリーが走る ’11
「いいか、落ち着いて。大きく見せようなんて思わずに。ただ詩を届ける事だけを意識して」
ウッドストック本番直前、湖に浮かんだステージに突然降りて来て声を掛けてくれる偉大な人物がいた。
誰なのかは書くまでもない、俺はただただその言葉を深く胸に刻んだ。
「なんか怖かったぜ」
終了後に声を掛けてくれる偉大な人物がいた。
俺は気を入れ過ぎていて笑う暇などなかった。
その言葉を聞いて遅ればせながらヘロヘラと笑った。
成功か失敗かも知らんままに二日間を過ごした。
随分とくすぶっていたがとある出演者のたった一言でこちとら歓喜のカムバックを果たそう、
「多幸感溢れる会場では明らかに異質なナイフで切り裂く様な唄を・・・」
最後まで書くなんて気狂い×39390、
抜群にヒップな言葉に改めて目が覚めた、それはジャスト欲する言葉だった、
俺は俺を狙えば良いって類いのあまりにもヤスい解決策だ。
吹き荒ぶ台風でトレインはストップ、
改札口の1587ヤード前から律儀に行列をカマす逆偉大な人間達、
行列なんて断固御免の殿堂入り、選択肢は二つ、奴等の上を颯爽とダイブして転がり続けるか一目散に逃げるかだ。
そして俺は一目散に逃げた、傘を杖にして歩き続ければあっという間に猿小屋へイン、
「ニューヨークで例えれば何ブロック分歩いたか」などとハイカラ極まる思考を試みるもきっと所詮大した距離でもない。
ニューヨークついでに去年の今頃はニューヨーク行きを確定し右往左往、
チェルシーホテルの部屋を確保し全ての狙いをニューヨークに定め、全てを手配していた。
「たかだか一週間程度でヌカすな」などと手配した事も行った事も無い万年場外野郎にヌカされた時にはさすがに眉間の皺を一層深くもしたが、
今の俺が行うべき事もこれとまるで同義だ、
目的が「俺が向かうべきニューヨーク」から「俺自身の全て」になってるってだけの案外ヤスい話だ。
「贅沢な悩みだ」と、「羨ましい」と、ズタボロトランクの特等席に夢を詰めた男が云った、
そんな時、こちとら8.27秒のジャリズリタイムで即座に答えよう、
「おー、全て見逃すなよ」×54321(マンフレッドマン)。