April 27, 2016
the AT's MILK HOUSE '16




前回書き綴ったコトが心底阿呆らしく思える程、北海道は嬉しさに満ちていた。
寒さも強風も八の次でオーケー、あの土地はまず、やはり、何から何までデカかった。
「どうだった北海道?」ってな愚問にはピシャリ一言で片付けるしか手立てがない、最高だった。
二日目の昼間頃には、ミルクハウスは完璧に単なるオレの部屋になっていた。
興奮して眠れずに、天下のサッポロクラシックを煽っていた。
いまや何処に行っても死んだアイツの話になる。
ヤツが居たらこの瞬間どうなっていただろうと、いつも考えている。
三日目札幌stingray。武藤さんと「何か一緒に演ろう」って話になった。
何にするべきか、何が出来るかと考えていたら武藤さんが突然「ガールフレンド」を弾き出した。
直ぐに唄うコトが出来た。音楽は素晴らしい。
四日目中標津、眠りもなく早朝から出発しジャスト6時間、中標津って名の日本で最も東にあるとされる町に辿り着いた。
ヤツと一緒に来ると約束していた町だ。
そこにはワルを極めながら、いや、極めたからこそ心優しい男達がいて、カニやらホタテやらとんでもない高級料理が目の前に出されていた。
それらにしゃぶりつかせていただきながら、その時、TVには地震を伝えるニュースが映っていて、どうすれば良いのかと躊躇う瞬間があった。
迎えた真夜中のステージ、盟友PISTOL BOOGIE VINCENTの名曲「キャットスパイダーブルース」を一緒に演った。
ヤツが大好きで拳を突き上げていた曲だ。
アンプとドラムセットの上に飛び乗り、エレキギターを掻き鳴らしながら、「こちとらまだ生きてるんです」と思った。
眠らずに迎えた朝、二人っきりの車内で男が云った、
「約束を守るとはさすがだな」
必ず中標津に辿り着く約束をしていた。ようやく叶った瞬間だった。
中標津からジャスト6時間、札幌に舞い戻り、懲りもせずstingrayまで呑みに繰り出した。
オールディーズテイスト満点の、エルヴィスがあちらこちらに飾ってあるその店は粋&モダン且つヒップだ。
一日目、二日目に共演した教養溢れるチャーミング野郎、仲井友菜を呼び呑み明かした。気分が良くて気付けば丑三つだった。
最終日、ミルクハウスをチェックアウトし千歳Jhoncafe。
着くなりマスターが云った、
「今回は奴等、一緒じゃないんですか?」
「三人は来てくれた。しかし一人は死んだ」
マスターは怒っていた、
「アイツふざけんなよ、夢語ってたクセしやがって馬鹿野郎」
何処に行ってもヤツの話になった。
PISTOL BOOGIE VINCENT、仲井友菜、皆千歳までやって来てくれた。
何と、中標津を含め毎日来てくれた人も居た。旅とは軌跡だ。
ダブルアンコールで最終日をゴキゲンに締めた後、打ち上げではギターを回して皆で色んな歌を唄った。
シェリー、オレは唄う、愛すべきモノすべてに。
今、死んでもいいかもなどと戯けたコトさえ思った。
皆帰ってしまった後、マスターと前回も共演した弥太郎、そして東京からやって来た二人と呑み、気付けば余裕の朝だった。
嬉しくてたまらなかった。
4月、ハイライトが多過ぎてとても追い付かないってな有り様、
そして明後日からは岐阜ー名古屋ー大阪ー神戸のゴールデンウィーク4デイズ、
また旅の軌跡に出会えるかもとか思ったら、胸中は爆発のオンパレードだ。
とにかく北海道、デカ過ぎる奴等、デカ過ぎる土地とはまた約束をした、
断固生きてカムバックしろ、ソレはオレ自身との約束だ。
誰も死なないでほしい。