January 26, 2017
the AT's Column '17
レコード屋のボスがアルバイト姉ちゃんを怒鳴り散らしている。
「俺はブルースコーナーに連れて行けといったのに、コレがブルースか?!」などと吠えている。
姉ちゃんは不貞腐れた顔をして、ボスはそれで更に火が点き捲し立てている、
「何だよ、不貞腐れやがって。そんなんじゃ接客業に向かねーよ。失せろ、俺の視界から消えろ。何だよ、早く失せろよ!」
「何か云えよ。おい、何だよ。分からないなら分からないって云えよ。失せろよ」などと色気の欠片もない東京弁で息巻いている。
ボスは店長を呼び、引き続き接客業がどういうモノかってのを大そうに唱えている。
さて、完璧に間を見計らいその辺りで颯爽と登場するレコードを漁っていた堂々たる「客」このワタシ、
「ヘイ。そんな話をデカい声で客の前で怒鳴るアンタの了見はどんな次第で?」。
ボス。そんな時、アンタは返す言葉さえもっていない。
「ヘイ、何か云えよ」
返す言葉さえもってない人間は哀れだ。
誇らし気に気取るのは返す武器を持ってからだ。
オレは気分良くボビーウーマックの7inchを探したいだけの「客」だ、
「失せろ。オレの視界から消えろ。オレの鼓膜に貴様の怒鳴り声を入れるな。早よ失せろ!」ってか。
アンタの周りにもいるだろう、ボスでもないボスが。
全てのボスがボスとは限らない。
全てのポリスが正義とは限らない様に。