October 10, 2017
地球の夢 '17 vol.5
アメリカに出向く直前、信頼すべき映画監督代表格、ジムジャームッシュの最新作「PATERSON」が公開された。
期待を裏切るって事を知らん氏のクール&モダン極まるやり口にまたしても脱帽し、主役の奥さん役の女の子にはまんまと恋をした。
あんな心の綺麗な女の子に惚れない男こそ狂っている、ってなほどにチャーミングだった。それと詩を書いている少女の生意気さ。
パンフレットではジムジャームッシュが語っていた、「パターソンはニューヨークからそんなに遠くないからフラッと行ってみたんだ。それでいつかここで映画を撮りたいと思った」。
映画を観るまで名前すら知らんかった「パターソン」って街にも行けたら行きたいなと思った。
行きの飛行機、座席前にある映画が観れる画面システムを確認し、何か観ながら眠ろうと思った。
「どうせロクな映画入ってないやろ」などと一つずつチェックしていたら、何と突然「パターソン」が出てきた。字幕無しのアメリカ版。
ニューヨーク滞在四日目、「行けたら行きたいな」は「絶対に行きます」に変わった。
何の情報もないまま、どうにか乗り換えを経てパターソン駅に辿り着いた。乗り換えのセコーカス駅の床は猿小屋の床とまるで同じ柄だった。
最高だ。これを見れただけでも来た甲斐があるってもんだろう。
パターソン駅に着いた。日曜日で、街はとんでもないお祭り騒ぎだった。狂乱のパレードで女は踊りまくり、男はゆっくり走るトラックの上で演奏していた。
そしてナマハゲみたいな格好をした奴等が太い綱を地面に叩き付けて銃声にも似たドデカイ音を出す度、道を埋め尽くした観衆は雄叫びを上げていた。
何の風習かも文化かも知る訳もない驚異のアウェイガリヒョロ星人このワタシ、しかしこの場面は俺だって何かしら叫ぶ必要性があるだろう、
「イェイイェー!」。
ここまで来たら何としてもあの「滝のある場所」まで行く必要があった。
ずっと歩いていたらパレードも途切れ、人気もどんどん少なく、怪し気になってきた。
いつまで経ってもその場所へは辿り着けそうになかったし、まずその滝が何処にあるのかさえ知らんままに歩いていた。
もう諦めようとした矢先、ようやくちゃんと地図を見てみたら信じ難いほどの逆方向を歩いていた。無駄な事は何一つないと別の道を歩きながら引き返した。
パレードの賑わいがまた蘇り、安心し、更に歩いてようやく辿り着いてみたら、その滝はパターソン駅からたかだか10分程度のところにあった。
映画を観た直後の今、あのスクリーンの中にあった風景が目の前にある。それって心底ロマン溢れる風景だと思う。
それは「パーマネントバケーション」の風景を生で見た時も感じたし、「ストレンジャーザンパラダイス」の風景を見た時にも感じた。「ミステリートレイン」なんてダイレクトに感じ過ぎて痙攣を起こしそうだった。
違いがあるとすれば俺は一人だったって事くらいだ。
さて、俺は今、ジムジャームッシュにお会いしたいな、なんて思っているところ。
drecom_eroom5session at 08:53│Comments(0)│
│AMERICA