短編
July 24, 2009
【マシンガン・エチケット】
1996年11月、イカした名前と風貌の、粋で悪そうなバンドのLPを手に入れた。タイトルは「Is this High Time?」で、曲さえ知らんバンドのLPになけなしの三千円を注ぎ込むにはなかなかの勇気が必要だった。俺はその時15歳だったが、レジに駆け込むその時の気持ちは今も鮮明に憶えている。
初めて聴いた時、15歳のペーペーな俺は曲と歌詞の格好良さがイマイチ理解出来てはなかった。
バットしかし、新譜が出る度に聴き続け、いつの間にかのめり込み、いつの間にかど真ん中のロックンロールとなった。「Is this High Time?」を聴き直して絶叫し、踊り狂い、仕事の休憩時間にはこのバンドの辞書みたいに分厚い本を読み漁り、ルースターズに辿り着き、ドクター・フィールグッドに辿り着き、そしてモッズ・ムーブメントにも辿り着いた。俺はルーツを探るのが好きだった。
1999年、横浜アリーナスタンディングライヴの映像を観た時、俺は確かに興奮し、唯一無二の存在として全てを蹴散らし好き放題演っている様に見えるやさぐれ感満点のこのバンドをもはや敬愛していた。
2000年3月、岡山のライヴハウスにて初めてこのバンドを生で観た。その場はとんでもない事になっており、俺は気付けば13回もダイヴを繰り返していた。傍には女がおり、「飛んで行くのがよく見えたよ」と、「本当に好きなんだね」と笑っていた。
東京に出てきてからは数え切れん程にライヴを観た。ある時はダイヴをして黒人に引っ張り上げられ、ある時は関係者入口からお澄まし顔で忍び込んでライヴを観賞した。
2003年9月、解散が発表された事を人づてに聞いた時、俺はこの目で確かめるまで信じる訳もなく、直ちにマンガ喫茶に駆け込んだ。そこで事実を確認した。傍には女がおり、「おいおい」と、「あー」とボヤキながら家路についた。
そんなバンドの偉大なるギタリストが突然死んだ。信じられん事実がここにも一つ。
ある時、女が言った、
「当時ルースターズを生で観た人達の事を私達が羨ましがる様に、このバンドを生で観た事があるといえばきっと子ども達は羨ましがるだろうね」
ただ観た事を自慢するより自分がやった事を自慢出来る人間でありたいが、確かにこの言葉には一理ある。
永遠に再結成は消えた、耳をつんざく鬼の形相携えたギタリストは突然逝ってしまった。きっとこの死で、色んな人達が俺の事を思い出したりしたんじゃないかと勝手に考えたりしている。俺も色んな事を思い出し、そして呆然としている。
俺が今死んだら一体どうなるか。ニュースになどなる訳もなく、作品が残る訳でもなく、葬られて終わりだ。誰かは泣いてくれ、誰かには笑われ、二つに一つで終わりだ。
あっけない終わりはもう充分、俺は真っ赤に燃えている。
まだ見た事のない風景を全部焼きつけて俺は死ぬ
感じた事のない感情を使い果たして俺は死ぬ
気持ち良い事をやりまくり、気持ち良いロックを聴きながら眠ろう。
July 01, 2009
【誇り高きお調子者の文章】
10年近く前の事を書き綴ったり思い出したりしながら、俺は日に日に気持ちが楽になっていくのを強く感じていた。それはさながらチャールズ・ブコウスキーの様にも感じられ、あの偉人が書かずにはおれんかったその理由を今まで以上に明確に体感した気分だった。似せる必要など一切ないが、それは多分、まるで同じ気分だった。俺は自らの過去に触れ、様々な感覚を取り戻し、そして足取りは軽やかそのものになった。
屋上で煙草を吹かしたり、ギターを抱えたまま眠ったり、エルヴィスを聴いたり、わきまえと教養溢れる古本屋で突然バディ・ホリーが聴こえてきたり、焼豚ラーメンを食べたり、夜には何も食べんかったり、昼間からビールを呑んだり、下駄が欲しかったり、サングラスが欲しかったり、突然左目が腫れてきたり、保険証を要したり、金髪にしてやろうと企んだり、気付けば7月だったり、ルネ・マグリットの画集を探したり、俺みたいなモンにもちゃっかりと定額なんちゃら金は支給されたり、行きつけの昭和の香り漂う喫茶店で髪の毛を切った事を褒められたり、常連顔を気取ったり、色々とある。
ある男とは渋谷駅構内ですれ違い、ある男とは下北沢一番街で偶然すれ違ったりする。俺の背中越しに声が聞こえた、
「元気か?」
俺は頼りなく、それでいて力強く左腕を上げ、半分だけ振り返りながら問いに答えた、
「ヘイ!」
ある男は雨宿りの名目で俺の部屋へとやって来て、ロング缶ビールを呑みながらふざけて笑い合った。ロング缶ビールは男の奢りで俺はその時、長編を画面を睨みながら書いていた。
ある女とは渋谷駅構内で待ち合わせた。俺が持ち歩くスーパー袋、本やら何やらを詰め込んだスーパー袋を指差して女が聞いた、
「何か買ったの?」
俺は答えた、
「これの事か?これはバッグやがな!」
女は笑ったが、俺はその倍、高らかに笑っていた。スーパーではウイスキーやらロング缶ビールやら高級おつまみやらを買い込んだ。買い物袋を持って人と人との間をくぐり抜けて早足で歩く俺の背中越しに声が聞こえた、
「人と人の間駆け抜けるの上手過ぎだね」
俺はドンクサイ輩が心底嫌いだった。そしてそのドンクサイ輩のさらに後ろに堂々と群がり続ける輩がその80倍嫌いだった。
「まぁ、プロみたいなモンやで」
俺は答えた。資格試験があるなら是非とも受けに行きたい心意気だった。頭の悪い輩の見分けは、例えば傘の持ち方一つで分かる。俺は何を見ても腹が立つ分、同じにはならん様に気を遣い続け、そして毎日気疲れしていた。俺も頭は良くないが、そんななすび野郎と一緒にされる事だけは真っ平御免だった。
部屋に辿り着き玄関を開けた瞬間に女が言った、
「イメージ通りの部屋ですね」
「怖いイメージ」「アイスクリームを食べないイメージ」「タスポなんて持ってないイメージ」「絶対に走りそうにないイメージ」、色々あるが、俺はいつだって自分の思考にだけは忠実に生きてきた。イメージなんて誰かが勝手に抱くモノで俺はイメージなど考えた事もないが、女は部屋の中を見渡しながら何度も同じ事を呟いた。俺はそれを素直に喜んだ。
俺はある意味、人が良過ぎた。情に脆く、情に厚過ぎる一面があった。それは大事な事だが、ある女には「アンタは優し過ぎる」と嘆かれてもいた。
気懸かりは一点のみだった。俺はその「一点」に執着し過ぎ、切り離せずにいた。それを経て跳ね返ってきたモノは俺の責任もありとんでもなく過酷な結果になってしまったが、俺は精神病でも何でもなくただただ日々を生きていた。それは確かに深い暗闇だった。後悔を公開し、人間関係を航海していた。そしてその「一点」を振り切った時、俺は気付けば心の底から笑っていた。俺はやるべき事をやり過ぎる程にやった。やり過ぎてしまった。そう、全ては茶番劇だった。茶番劇に始まり茶番劇にて幕は閉じた。
俺の体を叩きながら女が言った、
「何故アンタ程の人がそこまで??」
女は笑っていたが、俺はその倍、高らかに笑っていた。こんな女と旅に出たら面白いかも知れんなと思った。切り出したのは女の方だった、
「一緒に旅に出ませんか?」
俺は答えた、
「罵り合いながら最後の最後は握手だ、終わり良ければ全て良しだ」
持ち前のスナック感覚を駆使して俺はまた旅に出るだろう。
「美術館にも行きませんか?」
「そんな神聖な場で俺は一言も話したりはせんけどな」
女は笑っていたが、俺はその倍、高らかに笑っていた。
ある男とはルート・スゥイートホームですれ違い、煙草を吹かしながら語り合い、話の流れで「新宿へ行こうか」となった。男の目当ては一箱の高級煙草だった。俺はボトルコーヒーやらおつまみやらを入れた買い物袋を持っていた。高級煙草を手に入れる小さな旅に出るその前に、買い物袋を部屋へと置きに戻った時、玄関を開けた瞬間に男が言った、
「イメージ通りの部屋ですね」
俺は照れていた。俺のイメージがどういうモノなのか定かではないが、ほとんどの人間が俺の部屋へやって来る度に同じ事を口にした。生き方そのままで全てが潔い、自分に正直で嘘が一つもないと男は笑っていた。
男は俺の文章を読んでいた。文章に隙がなく、魂で溢れ、それで生活するべきだ、俺は気持ち悪い程に褒められていた。それは「コイツ何か裏でもあるんちゃうんけ」と思う程だった。俺は確かに全てに魂を宿らせていた。俺はまだまだ駆け出しの人間という事を充分にわきまえた上で、今の時点でそれがぶれる事なく誰かに伝わっとると感じる言葉を耳にした時、俺は何よりも嬉しかった。その場にヒップな女でもおればさらに誇らしい気分にもなれたが、俺達は二人きりだった。そして俺はその二人きりの雰囲気を愛してもいた。
「詩人になれば良いのに。あっ、もう詩人か」
男は笑った。俺は、いや、詩人は照れ続けていた。
新宿駅構内にて、ごった返す人と人との間をくぐり抜ける俺の背中で男の声が聞こえた、
「そっちじゃない、こっちですよ!」
そんな事は分かっていたが、俺はまず、人と人との間をくぐり抜ける事に全神経を注いでいた。全ての事柄は繋がっていて、全ての行動は俺の反射的な行動だった。
高級煙草を手に入れて、「喫茶西武」、すなわち新宿にも存在する昭和の香り漂う喫茶店で煙草を吹かしながらアイスコーヒーを飲んだ。男は高級煙草を二箱手に入れ、その内の一箱を二人で吹かした。男は禁煙中だったがとてもウマそうに煙草を吹かしていた。コーヒーを飲みながら俺達は酔っていた。男は写真を撮り、俺の事を含めて文章を書いた。
http://ameblo.jp/aogrove/entry-10291534522.html
この男だって充分なやり手のくせに、俺は思った。全く違う方向に目を向けながら、俺達はお互いを褒め称え合う事が出来た。
余った高級煙草を俺が受け取り、俺達は新宿の街で握手をして別れた。俺はレコード屋へと出向き、男は下北沢へと舞い戻った。それはとても自由だった。
俺は紛れもなく物書き体質だった。誰が何と言っても蹴散らしてやれば良い。中途半端な偽者野郎にはドロップキックした直後になんちゃらスクリューでも喰らわしてやれば良い。書く事が何よりも好きだ。時間は瞬く間に過ぎていく。
俺は酔っていた。そして今も酔っている。俺はとり憑かれていた。そして今もとり憑かれている。
そんな訳で俺には友達がいた。気を許せる友達と呼べる友達が何人も存在した。東京に出て来て何年間か、俺には友達と呼べる友達など皆無に近かった。これは全て一つずつ、それでいて確実に組み上げてきたモノだ。俺の事を良く言う奴だけが友達ではない、「友達」という意味を俺はわきまえてもいた。
結局、俺は何も見失う事なく、何も変わってなかった。俺は俺のままだった。合うか合わんか二つに一つ、それで良かった。またミスを犯す事もあるだろう、バットしかし、俺は確かにまた一つ賢くなった。俺は全てに焦りすぎていた。俺は見切り発車を繰り返してもいた。スナック感覚は時に度が過ぎた。
とにかく深い暗闇を俺は抜けた。ようやくだ。俺は自分の弱さを知り、強さも知った。そして誰かの力も借りて俺は本格的に蘇った。もう間違いない、俺は立ち上がった。俺の事が心底嫌いな輩にも、さりげなく言葉をかけてくれた人間にも、何にもせんかった人間にも感謝を忘れる事はない。
さぁ、今までそうしてきた様に、そろそろ全てを笑いに変える時がきた。俺はいつだって笑って救われたいのだ。
よく言われる事がある、「本当に良い名前ですね」。俺は名前負けなどしたくもない。期待しろ期待しろ、俺の今後に期待しろ。嫉妬しろ嫉妬しろ、俺にはまだまだ自信があった。
夏の甲子園は予選開幕、俺は今年も甲子園まで駆けつけるだろう。奴等は言葉の代わりにボールを投げ、そして打ち返してもくる。格好良過ぎて嫉妬するぜ。
屋上で煙草を吹かしたり、ギターを抱えたまま眠ったり、エルヴィスを聴いたり、わきまえと教養溢れる古本屋で突然バディ・ホリーが聴こえてきたり、焼豚ラーメンを食べたり、夜には何も食べんかったり、昼間からビールを呑んだり、下駄が欲しかったり、サングラスが欲しかったり、突然左目が腫れてきたり、保険証を要したり、金髪にしてやろうと企んだり、気付けば7月だったり、ルネ・マグリットの画集を探したり、俺みたいなモンにもちゃっかりと定額なんちゃら金は支給されたり、行きつけの昭和の香り漂う喫茶店で髪の毛を切った事を褒められたり、常連顔を気取ったり、色々とある。
ある男とは渋谷駅構内ですれ違い、ある男とは下北沢一番街で偶然すれ違ったりする。俺の背中越しに声が聞こえた、
「元気か?」
俺は頼りなく、それでいて力強く左腕を上げ、半分だけ振り返りながら問いに答えた、
「ヘイ!」
ある男は雨宿りの名目で俺の部屋へとやって来て、ロング缶ビールを呑みながらふざけて笑い合った。ロング缶ビールは男の奢りで俺はその時、長編を画面を睨みながら書いていた。
ある女とは渋谷駅構内で待ち合わせた。俺が持ち歩くスーパー袋、本やら何やらを詰め込んだスーパー袋を指差して女が聞いた、
「何か買ったの?」
俺は答えた、
「これの事か?これはバッグやがな!」
女は笑ったが、俺はその倍、高らかに笑っていた。スーパーではウイスキーやらロング缶ビールやら高級おつまみやらを買い込んだ。買い物袋を持って人と人との間をくぐり抜けて早足で歩く俺の背中越しに声が聞こえた、
「人と人の間駆け抜けるの上手過ぎだね」
俺はドンクサイ輩が心底嫌いだった。そしてそのドンクサイ輩のさらに後ろに堂々と群がり続ける輩がその80倍嫌いだった。
「まぁ、プロみたいなモンやで」
俺は答えた。資格試験があるなら是非とも受けに行きたい心意気だった。頭の悪い輩の見分けは、例えば傘の持ち方一つで分かる。俺は何を見ても腹が立つ分、同じにはならん様に気を遣い続け、そして毎日気疲れしていた。俺も頭は良くないが、そんななすび野郎と一緒にされる事だけは真っ平御免だった。
部屋に辿り着き玄関を開けた瞬間に女が言った、
「イメージ通りの部屋ですね」
「怖いイメージ」「アイスクリームを食べないイメージ」「タスポなんて持ってないイメージ」「絶対に走りそうにないイメージ」、色々あるが、俺はいつだって自分の思考にだけは忠実に生きてきた。イメージなんて誰かが勝手に抱くモノで俺はイメージなど考えた事もないが、女は部屋の中を見渡しながら何度も同じ事を呟いた。俺はそれを素直に喜んだ。
俺はある意味、人が良過ぎた。情に脆く、情に厚過ぎる一面があった。それは大事な事だが、ある女には「アンタは優し過ぎる」と嘆かれてもいた。
気懸かりは一点のみだった。俺はその「一点」に執着し過ぎ、切り離せずにいた。それを経て跳ね返ってきたモノは俺の責任もありとんでもなく過酷な結果になってしまったが、俺は精神病でも何でもなくただただ日々を生きていた。それは確かに深い暗闇だった。後悔を公開し、人間関係を航海していた。そしてその「一点」を振り切った時、俺は気付けば心の底から笑っていた。俺はやるべき事をやり過ぎる程にやった。やり過ぎてしまった。そう、全ては茶番劇だった。茶番劇に始まり茶番劇にて幕は閉じた。
俺の体を叩きながら女が言った、
「何故アンタ程の人がそこまで??」
女は笑っていたが、俺はその倍、高らかに笑っていた。こんな女と旅に出たら面白いかも知れんなと思った。切り出したのは女の方だった、
「一緒に旅に出ませんか?」
俺は答えた、
「罵り合いながら最後の最後は握手だ、終わり良ければ全て良しだ」
持ち前のスナック感覚を駆使して俺はまた旅に出るだろう。
「美術館にも行きませんか?」
「そんな神聖な場で俺は一言も話したりはせんけどな」
女は笑っていたが、俺はその倍、高らかに笑っていた。
ある男とはルート・スゥイートホームですれ違い、煙草を吹かしながら語り合い、話の流れで「新宿へ行こうか」となった。男の目当ては一箱の高級煙草だった。俺はボトルコーヒーやらおつまみやらを入れた買い物袋を持っていた。高級煙草を手に入れる小さな旅に出るその前に、買い物袋を部屋へと置きに戻った時、玄関を開けた瞬間に男が言った、
「イメージ通りの部屋ですね」
俺は照れていた。俺のイメージがどういうモノなのか定かではないが、ほとんどの人間が俺の部屋へやって来る度に同じ事を口にした。生き方そのままで全てが潔い、自分に正直で嘘が一つもないと男は笑っていた。
男は俺の文章を読んでいた。文章に隙がなく、魂で溢れ、それで生活するべきだ、俺は気持ち悪い程に褒められていた。それは「コイツ何か裏でもあるんちゃうんけ」と思う程だった。俺は確かに全てに魂を宿らせていた。俺はまだまだ駆け出しの人間という事を充分にわきまえた上で、今の時点でそれがぶれる事なく誰かに伝わっとると感じる言葉を耳にした時、俺は何よりも嬉しかった。その場にヒップな女でもおればさらに誇らしい気分にもなれたが、俺達は二人きりだった。そして俺はその二人きりの雰囲気を愛してもいた。
「詩人になれば良いのに。あっ、もう詩人か」
男は笑った。俺は、いや、詩人は照れ続けていた。
新宿駅構内にて、ごった返す人と人との間をくぐり抜ける俺の背中で男の声が聞こえた、
「そっちじゃない、こっちですよ!」
そんな事は分かっていたが、俺はまず、人と人との間をくぐり抜ける事に全神経を注いでいた。全ての事柄は繋がっていて、全ての行動は俺の反射的な行動だった。
高級煙草を手に入れて、「喫茶西武」、すなわち新宿にも存在する昭和の香り漂う喫茶店で煙草を吹かしながらアイスコーヒーを飲んだ。男は高級煙草を二箱手に入れ、その内の一箱を二人で吹かした。男は禁煙中だったがとてもウマそうに煙草を吹かしていた。コーヒーを飲みながら俺達は酔っていた。男は写真を撮り、俺の事を含めて文章を書いた。
http://ameblo.jp/aogrove/entry-10291534522.html
この男だって充分なやり手のくせに、俺は思った。全く違う方向に目を向けながら、俺達はお互いを褒め称え合う事が出来た。
余った高級煙草を俺が受け取り、俺達は新宿の街で握手をして別れた。俺はレコード屋へと出向き、男は下北沢へと舞い戻った。それはとても自由だった。
俺は紛れもなく物書き体質だった。誰が何と言っても蹴散らしてやれば良い。中途半端な偽者野郎にはドロップキックした直後になんちゃらスクリューでも喰らわしてやれば良い。書く事が何よりも好きだ。時間は瞬く間に過ぎていく。
俺は酔っていた。そして今も酔っている。俺はとり憑かれていた。そして今もとり憑かれている。
そんな訳で俺には友達がいた。気を許せる友達と呼べる友達が何人も存在した。東京に出て来て何年間か、俺には友達と呼べる友達など皆無に近かった。これは全て一つずつ、それでいて確実に組み上げてきたモノだ。俺の事を良く言う奴だけが友達ではない、「友達」という意味を俺はわきまえてもいた。
結局、俺は何も見失う事なく、何も変わってなかった。俺は俺のままだった。合うか合わんか二つに一つ、それで良かった。またミスを犯す事もあるだろう、バットしかし、俺は確かにまた一つ賢くなった。俺は全てに焦りすぎていた。俺は見切り発車を繰り返してもいた。スナック感覚は時に度が過ぎた。
とにかく深い暗闇を俺は抜けた。ようやくだ。俺は自分の弱さを知り、強さも知った。そして誰かの力も借りて俺は本格的に蘇った。もう間違いない、俺は立ち上がった。俺の事が心底嫌いな輩にも、さりげなく言葉をかけてくれた人間にも、何にもせんかった人間にも感謝を忘れる事はない。
さぁ、今までそうしてきた様に、そろそろ全てを笑いに変える時がきた。俺はいつだって笑って救われたいのだ。
よく言われる事がある、「本当に良い名前ですね」。俺は名前負けなどしたくもない。期待しろ期待しろ、俺の今後に期待しろ。嫉妬しろ嫉妬しろ、俺にはまだまだ自信があった。
夏の甲子園は予選開幕、俺は今年も甲子園まで駆けつけるだろう。奴等は言葉の代わりにボールを投げ、そして打ち返してもくる。格好良過ぎて嫉妬するぜ。
June 22, 2009
「心の友達」 番外編
「シュルレアリストの最も単純な行為は、拳銃を手に通りに出て、群衆に向かってできるだけ無差別に撃ちまくることだ。人に屈辱感を抱かせ無能化する現行の歪んだ社会制度に対してこのような方法で決別したいと思ったことが一度もない者は、明らかに自分自身がこの群衆に属しており、それも弾の飛んでくる位置に自らの腹を見せているのだ」
アンドレ・ブルトン
先駆者、偉人、何故か「キチガイ」と呼ばれてしまう表現者達、俺は愛している。
朝、何かしらの夢を見た後、いつもの時間に目が覚めたと同時に涙、涙。嬉しいのか哀しいのか、それさえも分からず、涙も拭わず14時まで眠り続ける。
さぁ、今こそ「シュルレアリスム宣言」を読み耽ろう。それはとても難しく、意味を理解する事など安易ではないが、俺はそこから満ち溢れ、はち切れんばかりのエネルギーを感じ取る。
レコード屋にてヒートウェイヴを二枚掘り出す。俺はいつだってレコード屋に出向く度、「新入荷」コーナーと「ハ行」コーナーを探し続けた。それが現実に見つけ出される瞬間、電気が体を駆け巡る瞬間、そんな瞬間にこそ俺は全身にロマンを感じる事が出来る。
山口洋が語った事を目にした、
「ミュージシャンとしての屈辱は中古盤屋にて自らのCDを見つけてしまう事とそのCDが廃盤になる事だ」
そのCDは廃盤となり、そして俺はそのCDを中古盤屋にて掘り出した。無論、山口洋を助けたい為ではない。そんな意味で同情される位なら俺だって音楽、そして表現など直ちに辞めるだろう。
それは俺個人が必要としていたからこそ、探し求め手に入れたのだ。
二月、確か名古屋へと向かう深夜高速バスの中で書いた、
「ビートルズよりも、エディ・コクランよりも、ヒートウェイヴは偉大だ」
ヘッドフォンで、歌詞カードをまるでスポーツ新聞の様に丸め込んで音楽に浸かり込む。
「半年以上、ほとんど毎日聴き続けられる音楽とは?」
こんな問いに俺はハナで笑いながら答えざるをえん、
「それはヒートウェイヴだぜ」
感心を通り越して、俺が抱くモノはもはや嫉妬だ。俺の胸中を察してこんな唄を書き上げたんじゃないかとすら勝手にも思えてくる。
表現する事はあまりに素晴らしい、そして俺は立ち上がる。
チャールズ・ブコウスキー・オールド・パンク
鮮やかな純粋色
世に言うアウトサイダーが
心の友達
四年位前か、俺が唄う。
どれだけお金に困っても大事なレコード、CD、本、そしてロマン、俺は売ったりしない。
一本の折れ曲がった煙草を二人で吸う、こんなロマンを俺は愛している。
身を削り続けるしかない表現者に愛を。
June 21, 2009
現実は小説よりも奇なり論
喧嘩を売る様にこの街に来た
朝も夜も睨みつけながら
吟遊詩人が唄う、そんな訳で俺の目つきは誰よりも悪くなった。
今まで怒鳴り散らしてきた事柄、嘆き続けてきた事柄とは一体どんな事柄だったのか、それさえもアヤフヤになってしまう程に俺は今、どうやら予想以上にどでかいモノに支配されてしまっている。
部屋に戻ればアルコールの抜けたビールを一気に飲み干し、裏切りと裏切りの狭間でもがいている。
ところで明日から、仲間と呼びたい男が俺の働く職場へとやって来る。無論、遊びに来る訳でも見学に来る訳でもない、お金を稼ぐ為にやって来るのだ。それはきっと、とんでもなく素晴らしい我が物顔を携えてやって来るんだろう。
「おーおー、ほんまかいな、それなら俺のとこに来りゃええがな、俺はいつだって面白くしたいだけなんだぜ」
時に物事はトントン拍子で運ぶ。この誇らしい事実、そう、この件は瞬く間に事が運んだ。
得意技はスナック感覚、上辺だけの予定調和で溢れる世の中なら、俺は飲み込まれる前に何かしらの手を打たなければならない。
バットしかし、そんな親愛なる男の初出勤日においらは休日、目当てはご多分に漏れず駆け込み寺「美術館」、恵比寿ガーデンプレイスなるハイカラの極地に攻め込んでみたくもなるが、どうやら美術館の類いは月曜日に休みを取るという憎いシステム。
おっと、一聴してノータリンと確認出来る女の声で電話が鳴る、
「アノゥー、ワタシイッケブクロノー、マルイッテワッカリマッスカー??」
オーベイビー、愛想も尽き果て無言で電話を切る事としよう。
電話を切られたノータリン女は電話口にてきっとこう呟くんだろう、
「コイツマジシネッ!」
許せ、許せよ、胸中は察する。察するにしても日本人は一体何処へ向かうのかという疑問。
「シネ」なんて言葉、死ぬまで使ったら駄目なんだぜ。
さぁ、今こそパープリン池袋シティに届く程の金切り声を、
「イキルゼネエチャン!」
明日もきっとレコード日和、危険な夜に最もマッチする男の音楽を、俺は幸せな事に知っとる。
朝も夜も睨みつけながら
吟遊詩人が唄う、そんな訳で俺の目つきは誰よりも悪くなった。
今まで怒鳴り散らしてきた事柄、嘆き続けてきた事柄とは一体どんな事柄だったのか、それさえもアヤフヤになってしまう程に俺は今、どうやら予想以上にどでかいモノに支配されてしまっている。
部屋に戻ればアルコールの抜けたビールを一気に飲み干し、裏切りと裏切りの狭間でもがいている。
ところで明日から、仲間と呼びたい男が俺の働く職場へとやって来る。無論、遊びに来る訳でも見学に来る訳でもない、お金を稼ぐ為にやって来るのだ。それはきっと、とんでもなく素晴らしい我が物顔を携えてやって来るんだろう。
「おーおー、ほんまかいな、それなら俺のとこに来りゃええがな、俺はいつだって面白くしたいだけなんだぜ」
時に物事はトントン拍子で運ぶ。この誇らしい事実、そう、この件は瞬く間に事が運んだ。
得意技はスナック感覚、上辺だけの予定調和で溢れる世の中なら、俺は飲み込まれる前に何かしらの手を打たなければならない。
バットしかし、そんな親愛なる男の初出勤日においらは休日、目当てはご多分に漏れず駆け込み寺「美術館」、恵比寿ガーデンプレイスなるハイカラの極地に攻め込んでみたくもなるが、どうやら美術館の類いは月曜日に休みを取るという憎いシステム。
おっと、一聴してノータリンと確認出来る女の声で電話が鳴る、
「アノゥー、ワタシイッケブクロノー、マルイッテワッカリマッスカー??」
オーベイビー、愛想も尽き果て無言で電話を切る事としよう。
電話を切られたノータリン女は電話口にてきっとこう呟くんだろう、
「コイツマジシネッ!」
許せ、許せよ、胸中は察する。察するにしても日本人は一体何処へ向かうのかという疑問。
「シネ」なんて言葉、死ぬまで使ったら駄目なんだぜ。
さぁ、今こそパープリン池袋シティに届く程の金切り声を、
「イキルゼネエチャン!」
明日もきっとレコード日和、危険な夜に最もマッチする男の音楽を、俺は幸せな事に知っとる。
June 18, 2009
東京にて前しか見ない
ほんの一瞬でも気を許したら根こそぎもっていかれてしまいそうな危うい感覚、俺は今、何と闘うべきなのか。
皆が言うシックオンユー、バットしかし、それを真っ正面から受け入れたら何とも歯痒く情けない気分に追いやられてしまうんじゃないか、そんな気分の、我ながらややこしい精神の持主このワタシ。
ところで仕事場で何かとちょっかいを出してくるスーパーバイザーへ単刀直入、クールを気取って問いかけてみる、
「その感じ、俺の事嫌いじゃないでしょ?」
「どっちかと言うと一生付き合いたいね」
もはや腐れ縁なのか何なのか、文句を羅列しながら築く信頼関係、こんな類いが俺は断じて嫌いじゃない。
そして頭に思い描く男達、すなわち麗しのレコーディングメンバーには着実にアポイントを取り始める。
返事はイエス、断固イエス、オーケー、オールオーケー、俺は何一つ諦めてない。溺れてしまいそうになりながら、胃に穴が開く事も禿げる事も立ち上がれん程に体を壊す事もなく、どうやら丈夫に過ごしとるといえる。
やったモン勝ちの理論、もはや狂乱の全メンバーをさっさと発表して後には引けん状態を作り上げてしまいたい。そして気が遠くなる程の果てしないスケジュールを一つ一つ組み立ててしまいたい。
先日福山に帰った時、諦めの意味さえ解らず東京に戻るこの俺にお母さんが言ったぜ、
「これ五千円、お寿司食べに行けんかったからこれで美味しい物でも食べなさい」
バカヤロー、ふざけるのもええ加減にしろ、そんなモノを受け取ったら俺は完全に腐ってしまう。
俺はやりたい事をやる為に無茶を充分承知で東京へとやって来た。ヒートウェイヴの言葉を借りるなら「都会で理由のある反抗をする為に」東京へとやって来た。一人で暮らす母親を残してやって来たこの俺がまさか、そんな母親に頼るなんて恥ずかし過ぎて冗談の一つにもならん。ハナで笑って拒否反応の様に叫ぶ言葉、「お金なら腐る程ある、そんなモン要らんがな、先ずはアンタがそのお金で旨いモンを食べるべきだぜ」。
なんやなんや、尋常じゃない程の涙が溢れ出す。泣いたり怒鳴ったり喜んだり浮いたり沈んだり、さながら情緒不安定を引きずりながら俺はもう前しか見ない。
本日、誰かに聞いたぜ、
「優しさって一体どういう事だい?」
その意味さえ理解する事なく、俺はもう前しか見ない。
近頃は写真を撮りたい気分、ジャケットから味から何からを愛してしまった上等ビール、ASAHI「The Master」。そしてその背後に見えますのは哀愁の明治いちごオレ、俺はもう前しか見ない。
取り乱す事も多々あるだろう、バットしかし、呪文の様にほざき続けろ、前しか見ない。
吐き出し続ける為の唯一の救いの手段、俺にはもはや「書く」しかない。
June 15, 2009
デリカシーゼロに捧げる哀れみの文章
執念の五連勤を終え、そのまま家路につくのは何とも寂しく、俺はスーパー袋と折り畳み傘を引っ提げてバスに乗り込みナショナルタウン六本木へと出向く。
そこではザ・ブルースドッグスライヴショー、「簡単な事が難しくなる街」六本木、俺はライヴハウスの場所さえ分からず、仕事のイライラやら何やら、気が荒れた言葉でオグリ昌也氏に電話を入れる。
「こんな街は俺には無理だぜ、ところでどこに行けば良い?」
おー、人にモノを教わる時の言葉さえわきまえずどうにか辿り着く六本木バウハウス。
場末のディスコ感漂う雰囲気の中、具合が良いのか悪いのか、そんな事はノープロブレム、呑み放題のウイスキーを嗜み、二杯で存分に酔っ払う。俺はどうやら外で呑めばすぐに酔っ払う。ライヴを観賞しながら、もう誰も食べんであろうその辺に置かれたままのフランクフルトを食べ(盗み)、枝豆を食べ(盗み)、煙草はまさかのマルボロメンソール。
ラーメン屋駆け込みある事ない事喋りまくり、その後、生まれて初めての「ハードロック・カフェ」潜り込み、場違いか何か知らんがスーパー袋引っ提げたままノーアルコール「バナナスムージー」なるハイカラ飲料注文するも、それは酔いを三倍加速させ「ハードロック・カフェ」を我が物顔で楽しむその前にフラフラと店を出る事とする。
ザ・ブルースドッグス、ゴローのバイクに久方振りに乗っかりルート246を一直線、バイクの揺れやら折角食べたラーメンやらマルボロメンソールやら、気持ち悪さはバイクの速度同様加速し続けるが、平常心を保つ事はどうにか忘れず、そして目を閉じて50数えて遊ぶ事も断じて忘れたくはない。
そして俺はルート246の車道に数え切れん程の唾を吐き捨てる。車が走ってない場所だけは確認して唾を吐くが、デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまった。
三軒茶屋まで辿り着き、あと少しというところで俺はバイクの助手席に乗ったまま折角食べたラーメンを全て吐いた。愛すべき茶沢通りの入口で、走り続けるバイクの助手席で俺は全てを吐き出した。八年半着続けた愛すべきボーリングシャツに吐いたモノがかかった事を気に止めながら、バイクを止めて更に路地で吐いた。ついでにしょうもない事柄全てを吐き捨ててやりたい気分だった。
こんな経験はまるで初めてで、俺は自分自身の不甲斐無さに大いに驚いてしまった。デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまったのだ。
そんな訳で近々、三軒茶屋の街まで両手を合わせて謝りに行かなければならない。あの街を俺の都合で汚してしまった事実を、俺は許したくない。
どうにか部屋まで辿り着きベッドへ倒れ込み二時間近く眠った後、ハッキリと目が覚めた。
埃をかぶってしまったエレキギターを久方振りに掻き毟り、新しい唄が生まれそうな気がした。
弦を切り、BGMはザ・ピロウズ。バンドが演りたい。
そこではザ・ブルースドッグスライヴショー、「簡単な事が難しくなる街」六本木、俺はライヴハウスの場所さえ分からず、仕事のイライラやら何やら、気が荒れた言葉でオグリ昌也氏に電話を入れる。
「こんな街は俺には無理だぜ、ところでどこに行けば良い?」
おー、人にモノを教わる時の言葉さえわきまえずどうにか辿り着く六本木バウハウス。
場末のディスコ感漂う雰囲気の中、具合が良いのか悪いのか、そんな事はノープロブレム、呑み放題のウイスキーを嗜み、二杯で存分に酔っ払う。俺はどうやら外で呑めばすぐに酔っ払う。ライヴを観賞しながら、もう誰も食べんであろうその辺に置かれたままのフランクフルトを食べ(盗み)、枝豆を食べ(盗み)、煙草はまさかのマルボロメンソール。
ラーメン屋駆け込みある事ない事喋りまくり、その後、生まれて初めての「ハードロック・カフェ」潜り込み、場違いか何か知らんがスーパー袋引っ提げたままノーアルコール「バナナスムージー」なるハイカラ飲料注文するも、それは酔いを三倍加速させ「ハードロック・カフェ」を我が物顔で楽しむその前にフラフラと店を出る事とする。
ザ・ブルースドッグス、ゴローのバイクに久方振りに乗っかりルート246を一直線、バイクの揺れやら折角食べたラーメンやらマルボロメンソールやら、気持ち悪さはバイクの速度同様加速し続けるが、平常心を保つ事はどうにか忘れず、そして目を閉じて50数えて遊ぶ事も断じて忘れたくはない。
そして俺はルート246の車道に数え切れん程の唾を吐き捨てる。車が走ってない場所だけは確認して唾を吐くが、デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまった。
三軒茶屋まで辿り着き、あと少しというところで俺はバイクの助手席に乗ったまま折角食べたラーメンを全て吐いた。愛すべき茶沢通りの入口で、走り続けるバイクの助手席で俺は全てを吐き出した。八年半着続けた愛すべきボーリングシャツに吐いたモノがかかった事を気に止めながら、バイクを止めて更に路地で吐いた。ついでにしょうもない事柄全てを吐き捨ててやりたい気分だった。
こんな経験はまるで初めてで、俺は自分自身の不甲斐無さに大いに驚いてしまった。デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまったのだ。
そんな訳で近々、三軒茶屋の街まで両手を合わせて謝りに行かなければならない。あの街を俺の都合で汚してしまった事実を、俺は許したくない。
どうにか部屋まで辿り着きベッドへ倒れ込み二時間近く眠った後、ハッキリと目が覚めた。
埃をかぶってしまったエレキギターを久方振りに掻き毟り、新しい唄が生まれそうな気がした。
弦を切り、BGMはザ・ピロウズ。バンドが演りたい。
May 26, 2009
「心の友達」 Vol.5
麗しのスナック感覚を駆使してフォーキータウン吉祥寺へ向かおうとルート・スゥイートホームを歩けば一人の男が俺を見つける。
俺が以前結成した「ヤウターズ」なるド素人ブルースバンドでギターを弾いた男、明大前からスゥイートホームに引っ越してくる際、レンタカーで運転までして荷物を運んでくれた男、三年振りに偶然にも再会する男。
「おいおいどうした、こんなところで何をやっとる?」
この部屋は当時「ヤウターズ」の溜まり場、煙草と音楽、そして練習が止む事などなかった。
当時、練習をしてない事がバレバレの男にボロカスの言葉を投げつけた。「やる」と言った奴が「やらん」かった時、その無責任な発言に俺はご多分に漏れず心底ハラワタが煮え繰り返る。
バットしかし解散ライヴの際、今までステージにさえ上がった事がなかった男がMCで言った、
「こんな経験が出来たのも全てこの男のお蔭です」
俺は無論、心で泣いた。すなわち終わり良ければ全て良しだ。
そんな男と三年振りの再会、吉祥寺行きを遅らせ缶コーヒーと煙草で近況を語り合う。
男は今や一流会社の店長、俺は今も変わらず無名音楽家。
「面白いモンやね、ほんまに!」
ところで俺はポッケにモノが入りきらん際、スーパーの袋にモノを詰めて持ち歩く。カメラ、文庫本などを入れて持ち歩く。
そのスーパー袋を指差して男が言ったぜ、
「何も変わってないですね、こういうところとか」
オーケー、オールオーケー、一億円貯金が出来たとしても俺はこういう部分を絶対に大事にしたい。
ブーツインをしたその瞬間から俺が俺でなくなる様に、ブランド物に頼る様になったら俺は終わったも同然だ。
「そのシャツいくら?」
「720円やがな」
これこそが俺の理想、時に例外もあるが根本はいつもこれだ。
いつか死ぬ時、「俺が俺で良かった」と笑う義務が俺にはある。コソコソと意味もなく怯える様な真似は金輪際止めろ。
男と別れフォーキータウン吉祥寺において酔いどれポーグスのレコードを手に入れ、ライヴハウスに駆け込めば十条フォークジャンボリーと再会。
男も女も関係ない、俺は人間らしい人間が好きだ。
俺が以前結成した「ヤウターズ」なるド素人ブルースバンドでギターを弾いた男、明大前からスゥイートホームに引っ越してくる際、レンタカーで運転までして荷物を運んでくれた男、三年振りに偶然にも再会する男。
「おいおいどうした、こんなところで何をやっとる?」
この部屋は当時「ヤウターズ」の溜まり場、煙草と音楽、そして練習が止む事などなかった。
当時、練習をしてない事がバレバレの男にボロカスの言葉を投げつけた。「やる」と言った奴が「やらん」かった時、その無責任な発言に俺はご多分に漏れず心底ハラワタが煮え繰り返る。
バットしかし解散ライヴの際、今までステージにさえ上がった事がなかった男がMCで言った、
「こんな経験が出来たのも全てこの男のお蔭です」
俺は無論、心で泣いた。すなわち終わり良ければ全て良しだ。
そんな男と三年振りの再会、吉祥寺行きを遅らせ缶コーヒーと煙草で近況を語り合う。
男は今や一流会社の店長、俺は今も変わらず無名音楽家。
「面白いモンやね、ほんまに!」
ところで俺はポッケにモノが入りきらん際、スーパーの袋にモノを詰めて持ち歩く。カメラ、文庫本などを入れて持ち歩く。
そのスーパー袋を指差して男が言ったぜ、
「何も変わってないですね、こういうところとか」
オーケー、オールオーケー、一億円貯金が出来たとしても俺はこういう部分を絶対に大事にしたい。
ブーツインをしたその瞬間から俺が俺でなくなる様に、ブランド物に頼る様になったら俺は終わったも同然だ。
「そのシャツいくら?」
「720円やがな」
これこそが俺の理想、時に例外もあるが根本はいつもこれだ。
いつか死ぬ時、「俺が俺で良かった」と笑う義務が俺にはある。コソコソと意味もなく怯える様な真似は金輪際止めろ。
男と別れフォーキータウン吉祥寺において酔いどれポーグスのレコードを手に入れ、ライヴハウスに駆け込めば十条フォークジャンボリーと再会。
男も女も関係ない、俺は人間らしい人間が好きだ。
May 20, 2009
「心の友達」 vol.4
すっかりと日が昇った朝、うなされるだけうなされてようやく眠りについた。
寝覚めたのは17時44分、かれこれ20年来の友達が死んでしまった夢を見た。
その事は告げず、夢で見た男へ9ヶ月振り位に電話をかけてみる。
1コールが鳴り終わる前に男は電話に出た。
「よー、すっかり嫌われたかと思ったぜ!」
「ごめん、色々とな」
「ちゃんと食べとるのか?」
「まぁ基本的にピザポテトを好んで・・・」
高らかに笑う俺達二人組、確かに生きとる。
「どうせお金ないんやろ?電話かけ直すぜ!」
心底申し訳ない。俺は結局、人に頼ってばかりの不甲斐無い人間かも知らん。
断わろうとしたが結局、電話はかけ直された。
何故、俺みたいなモンが人に優しくされるのか、不思議でしょうがなくなる事が頻繁にある。
優しくされて寂しさ込み上げたよ
俺が唄う、そんなモノに慣れた例などない。
バットしかし、その優しさが無理矢理なら初めから止めてくれ、中途半端な優しさは立ち直れん程に深い傷を背負ってしまう。
倍返しをする必要がある人物が山程存在する。いや、倍返しでは済まん、そう、狂乱の八倍返しだ。
男が言った、
「文章を読んで、生きとる事だけは分かっとったぜ!」
そこで俺は100%確定する、
「関西でライヴ演ってから電車に乗って帰るぜ!」
待っとけ相棒!もうすぐ帰るぜ。
待っとけお母さん!ふざけた髪型でもうすぐ帰るぜ、どうか怒るなよ。
男が言った、
「その時まで生き延びてくれよ!」
オーケー、オールオーケー、なんやなんや、結局味方ばっかりか。
誰に嫌われてもノープロブレム、バットしかし、こんな重要な仲間達に嫌われる事だけは避けたい。
相棒、朝までウイスキーで乾杯しようぜ、気が狂った様に喋り続けるぜ。
ところでDJ、俺に一曲捧げてやってくれ、
中島みゆきで「NOBODY IS RIGHT」。
寝覚めたのは17時44分、かれこれ20年来の友達が死んでしまった夢を見た。
その事は告げず、夢で見た男へ9ヶ月振り位に電話をかけてみる。
1コールが鳴り終わる前に男は電話に出た。
「よー、すっかり嫌われたかと思ったぜ!」
「ごめん、色々とな」
「ちゃんと食べとるのか?」
「まぁ基本的にピザポテトを好んで・・・」
高らかに笑う俺達二人組、確かに生きとる。
「どうせお金ないんやろ?電話かけ直すぜ!」
心底申し訳ない。俺は結局、人に頼ってばかりの不甲斐無い人間かも知らん。
断わろうとしたが結局、電話はかけ直された。
何故、俺みたいなモンが人に優しくされるのか、不思議でしょうがなくなる事が頻繁にある。
優しくされて寂しさ込み上げたよ
俺が唄う、そんなモノに慣れた例などない。
バットしかし、その優しさが無理矢理なら初めから止めてくれ、中途半端な優しさは立ち直れん程に深い傷を背負ってしまう。
倍返しをする必要がある人物が山程存在する。いや、倍返しでは済まん、そう、狂乱の八倍返しだ。
男が言った、
「文章を読んで、生きとる事だけは分かっとったぜ!」
そこで俺は100%確定する、
「関西でライヴ演ってから電車に乗って帰るぜ!」
待っとけ相棒!もうすぐ帰るぜ。
待っとけお母さん!ふざけた髪型でもうすぐ帰るぜ、どうか怒るなよ。
男が言った、
「その時まで生き延びてくれよ!」
オーケー、オールオーケー、なんやなんや、結局味方ばっかりか。
誰に嫌われてもノープロブレム、バットしかし、こんな重要な仲間達に嫌われる事だけは避けたい。
相棒、朝までウイスキーで乾杯しようぜ、気が狂った様に喋り続けるぜ。
ところでDJ、俺に一曲捧げてやってくれ、
中島みゆきで「NOBODY IS RIGHT」。
May 16, 2009
成程神様
先日夜、格安で手に入れた「欲望という名の電車」を観る。
ロウソクに火を灯して観る。バットしかし20分で止める。
お母さんと電話で話すのは、「THE COTTON CLUB」サウンドトラックA面が終わるまで、
すなわち20分。
大阪へ行かなくちゃ、京都へ行かなくちゃ、そして本物の兄ちゃんはどうやら奈良で暮らしとる。
それならば奈良へ出向くのは止めとこう、合わせる顔などないさかい。
それならばもっと西まで向かおうか。
車で気ままに行きたい気分だが、おっとおいら、残念ながら免許がない。
神様に気をつけろ
涙したい訳を聞かせてくれないか
失ったモノそれが私の宝物
堪らない訳を聞かせてくれないか
二年程の執行猶予 例えて言うならば
孤独な振り 出来そうにない
見つからない訳を教えてくれないか
悪い事一つとて したって訳じゃないのに
あの時の罪 思い出した
神様シラケた顔でおいらの姿眺めては
罰下してやるって事でどっかから現れる
行き詰っているなら笑顔を見せないか
窓の外鮮やかな虹かかっているのに
いっそ悪者気取り貫き通そうか
皆が言うシックオンユー 自らも認めてる
楽しげな振り 出来そうにない
あの時の罪 思い出した
神様ギラついた目でおいらの仕草眺めては
罰下してやるって事でどっかから現れて
神様皺入りの手でおいらの頭撫でては
まだまだ終わりはしないって言って消えたんだ
誰かおいら静かに殺してくれないか
痛みは少なめにして消えていけたら良いね
これは早10年近くも前、今やまともな会話が成り立つ事さえなくなってしまった本物の兄ちゃんがまさか、京都で見つけたという本格アコースティックギター型キーホルダーをプレゼントしてくれ、俺はそれが嬉しくて嬉しくて涙も溢れんばかり、原付バイクの鍵にしっかりと取り付けて常に持ち歩いたものの何ヵ月か後、気を許してバイクに挿しっ放しにしてしまい、バイクはなくならず何故か鍵だけが跡形もなく消えてしまった際に作り上げた思い出の一曲。
あの出来事は今も七不思議の一つとして俺の中で鮮明に生き続ける。バイクは無傷、ところがどっこいすっとこどっこい、どれだけ探しても鍵が、キーホルダーが見つかる事はなかった。
神様か、思った。
あれから10年も経ち、今まさにこの曲が全く違う捉え方で蘇える奇跡。
気付けば俺は10年どころでは済まされん期間、ごちゃごちゃヌカしながら詩を書いたり曲を作ったりを続けとる。
そしてそれはこれからも続くだろう、何故ならばそれが一番好きだからだ。
ほら、フラワーカンパニーズが唄っとったぜ、
やりたい事をやるだけなのに何でこんなにボロボロなんだ
300万枚売れて然るべきナンバー。
この世は狂っとる、おっと、狂っとるのは俺の方かも知らんぜ、神様。
誰かが血迷ってしまったら、俺はその誰かと泣きながら笑いながらウイスキーを煽ろう。
今度こそ俺が救う番だ、それは誰かから見ればきっと茶番劇だろう。
残念ながらそんな事に構っとる暇などない。
待っとけイノダコーヒー、性懲りもなく俺が行くさかい。
ロウソクに火を灯して観る。バットしかし20分で止める。
お母さんと電話で話すのは、「THE COTTON CLUB」サウンドトラックA面が終わるまで、
すなわち20分。
大阪へ行かなくちゃ、京都へ行かなくちゃ、そして本物の兄ちゃんはどうやら奈良で暮らしとる。
それならば奈良へ出向くのは止めとこう、合わせる顔などないさかい。
それならばもっと西まで向かおうか。
車で気ままに行きたい気分だが、おっとおいら、残念ながら免許がない。
神様に気をつけろ
涙したい訳を聞かせてくれないか
失ったモノそれが私の宝物
堪らない訳を聞かせてくれないか
二年程の執行猶予 例えて言うならば
孤独な振り 出来そうにない
見つからない訳を教えてくれないか
悪い事一つとて したって訳じゃないのに
あの時の罪 思い出した
神様シラケた顔でおいらの姿眺めては
罰下してやるって事でどっかから現れる
行き詰っているなら笑顔を見せないか
窓の外鮮やかな虹かかっているのに
いっそ悪者気取り貫き通そうか
皆が言うシックオンユー 自らも認めてる
楽しげな振り 出来そうにない
あの時の罪 思い出した
神様ギラついた目でおいらの仕草眺めては
罰下してやるって事でどっかから現れて
神様皺入りの手でおいらの頭撫でては
まだまだ終わりはしないって言って消えたんだ
誰かおいら静かに殺してくれないか
痛みは少なめにして消えていけたら良いね
これは早10年近くも前、今やまともな会話が成り立つ事さえなくなってしまった本物の兄ちゃんがまさか、京都で見つけたという本格アコースティックギター型キーホルダーをプレゼントしてくれ、俺はそれが嬉しくて嬉しくて涙も溢れんばかり、原付バイクの鍵にしっかりと取り付けて常に持ち歩いたものの何ヵ月か後、気を許してバイクに挿しっ放しにしてしまい、バイクはなくならず何故か鍵だけが跡形もなく消えてしまった際に作り上げた思い出の一曲。
あの出来事は今も七不思議の一つとして俺の中で鮮明に生き続ける。バイクは無傷、ところがどっこいすっとこどっこい、どれだけ探しても鍵が、キーホルダーが見つかる事はなかった。
神様か、思った。
あれから10年も経ち、今まさにこの曲が全く違う捉え方で蘇える奇跡。
気付けば俺は10年どころでは済まされん期間、ごちゃごちゃヌカしながら詩を書いたり曲を作ったりを続けとる。
そしてそれはこれからも続くだろう、何故ならばそれが一番好きだからだ。
ほら、フラワーカンパニーズが唄っとったぜ、
やりたい事をやるだけなのに何でこんなにボロボロなんだ
300万枚売れて然るべきナンバー。
この世は狂っとる、おっと、狂っとるのは俺の方かも知らんぜ、神様。
誰かが血迷ってしまったら、俺はその誰かと泣きながら笑いながらウイスキーを煽ろう。
今度こそ俺が救う番だ、それは誰かから見ればきっと茶番劇だろう。
残念ながらそんな事に構っとる暇などない。
待っとけイノダコーヒー、性懲りもなく俺が行くさかい。
May 10, 2009
ドンヅマリ排水口ブルース
本来、水を吸い込んでこそ初めて排水口と呼べるその穴が、水さえ吸い込まん様になってしまった時、俺はもはやその穴を何と呼べば良いのか。
単なる穴と呼ぶのか、ぶっ飛びニセモノ野郎と罵るのか。
オーケー、オールオーケー、ヒップにやさぐれホールと名付けよう。
本来、リラックス空間であるべきシャワールームにおいて近頃、風呂桶側ではなく便器側にまで水が溢れ返り、シャワーを浴びて出る時にはまるで足湯に浸かるかの如き感覚の量の水が溜まりっぱなしだ。
これは全てやさぐれホールの仕業だといえる。
そして先日、シャワーを浴びてリラックス空間であるべきその扉を開けた時、俺は突然呆然唖然、おまけに愕然としてしまった。
玄関にまで床下浸水かの如く水は溢れ返り、ブーツはびしょ濡れ、SHOE GOO塗りたくり愛用靴びしょ濡れ、マットびしょ濡れ、アンプびしょ濡れ、トイレットペーパーびしょ濡れ、雑誌びしょ濡れ、ギターびしょ濡れ、すなわち濡れっぱなしのびしょ濡れダンス天国。
ちょっと待ったらんかいジャスタモメンプリーズ!!
俺は怒る事さえ止めにし、寂しい表情を携えてたっぷり40分間、シャワーを出たままの姿、すなわちスッポンポンのまま、一人ではこんなに必要ないであろうタオル&バスタオルを駆使し、ただただ水を拭き取る作業に没頭する。
そしてその次の日からの俺ときたらどうだ、シャワーを浴びながらやさぐれホール様の顔色を情けない表情で窺い、二度とこんな事が繰り返されません様にと強く念じ、必要ない時は水を止めながら溜まり具合を確認し、リラックス空間であるべき場所において「水、なるべく出しませんから!」顔で遠慮に遠慮を重ね、シャワーを浴びる。
ハロー、ストレス社会!
何も考えず、ノンベンタラリと過ごせる日なんて一日だってないぜ。
そしてそれから何日か経過した本日、俺は意を決してやさぐれホール様と御対面するに至る。
「お風呂掃除キット」なるハイカラ極まる用具など断じて持ち合わせてない男このワタシ、ヌメヌメのホールに右手を突っ込み、溜まりに溜まった髪の毛やら何やらを取り除いてみる。
その状態でシャワーを浴びればどうだ、おー、排水口と呼ぶに相応しい華麗なる復活劇。
ハロー、ストレス社会!
勝つぞ、俺は勝つぞ、ヌメヌメに右手を突っ込んで余裕の一勝をプレゼントしろ。
ところがどっこいすっとこどっこい、どうやら何時だってお金はない。
バットしかし、今やウイスキーは俺の大事な相棒と化した。
「JAMESON」はあまりに高級ウイスキー、そんな訳で安物「トリスウイスキー」で祝杯を。
安物だろうが高級だろうが味の違いなどそんなモン、俺は何一つ分かっちゃおらんのだ。
分かった様な振りをするのは止めとけ、そして寂しさ紛らわす呑み物を俺にくれ。
P.S 現代の異端パンクフォークブルース、野狐禅が突然の解散を発表した。今年はまだ5月にして、どうやら色んなモノが終ってしまう年だ。
もはや前髪で前が見えん俺は近々、バッサリとやってしまい視界をはっきりとさせる必要性を感じる。
単なる穴と呼ぶのか、ぶっ飛びニセモノ野郎と罵るのか。
オーケー、オールオーケー、ヒップにやさぐれホールと名付けよう。
本来、リラックス空間であるべきシャワールームにおいて近頃、風呂桶側ではなく便器側にまで水が溢れ返り、シャワーを浴びて出る時にはまるで足湯に浸かるかの如き感覚の量の水が溜まりっぱなしだ。
これは全てやさぐれホールの仕業だといえる。
そして先日、シャワーを浴びてリラックス空間であるべきその扉を開けた時、俺は突然呆然唖然、おまけに愕然としてしまった。
玄関にまで床下浸水かの如く水は溢れ返り、ブーツはびしょ濡れ、SHOE GOO塗りたくり愛用靴びしょ濡れ、マットびしょ濡れ、アンプびしょ濡れ、トイレットペーパーびしょ濡れ、雑誌びしょ濡れ、ギターびしょ濡れ、すなわち濡れっぱなしのびしょ濡れダンス天国。
ちょっと待ったらんかいジャスタモメンプリーズ!!
俺は怒る事さえ止めにし、寂しい表情を携えてたっぷり40分間、シャワーを出たままの姿、すなわちスッポンポンのまま、一人ではこんなに必要ないであろうタオル&バスタオルを駆使し、ただただ水を拭き取る作業に没頭する。
そしてその次の日からの俺ときたらどうだ、シャワーを浴びながらやさぐれホール様の顔色を情けない表情で窺い、二度とこんな事が繰り返されません様にと強く念じ、必要ない時は水を止めながら溜まり具合を確認し、リラックス空間であるべき場所において「水、なるべく出しませんから!」顔で遠慮に遠慮を重ね、シャワーを浴びる。
ハロー、ストレス社会!
何も考えず、ノンベンタラリと過ごせる日なんて一日だってないぜ。
そしてそれから何日か経過した本日、俺は意を決してやさぐれホール様と御対面するに至る。
「お風呂掃除キット」なるハイカラ極まる用具など断じて持ち合わせてない男このワタシ、ヌメヌメのホールに右手を突っ込み、溜まりに溜まった髪の毛やら何やらを取り除いてみる。
その状態でシャワーを浴びればどうだ、おー、排水口と呼ぶに相応しい華麗なる復活劇。
ハロー、ストレス社会!
勝つぞ、俺は勝つぞ、ヌメヌメに右手を突っ込んで余裕の一勝をプレゼントしろ。
ところがどっこいすっとこどっこい、どうやら何時だってお金はない。
バットしかし、今やウイスキーは俺の大事な相棒と化した。
「JAMESON」はあまりに高級ウイスキー、そんな訳で安物「トリスウイスキー」で祝杯を。
安物だろうが高級だろうが味の違いなどそんなモン、俺は何一つ分かっちゃおらんのだ。
分かった様な振りをするのは止めとけ、そして寂しさ紛らわす呑み物を俺にくれ。
P.S 現代の異端パンクフォークブルース、野狐禅が突然の解散を発表した。今年はまだ5月にして、どうやら色んなモノが終ってしまう年だ。
もはや前髪で前が見えん俺は近々、バッサリとやってしまい視界をはっきりとさせる必要性を感じる。
ロックンロールの物語
喪服など関係ない。いつもよりもラフな格好で代々木上原まで歩き、相棒と待ち合わせて乃木坂へと向かう。
駅に着いた瞬間から献花の為の果てしない行列は始まり、とりあえずはその列に身を任せるが、俺はすぐに疑問を持ち始めてしまった。
何万人も集まる事くらい安易に想像はつくが、もっと一斉に押し寄せる光景を想像した。集まった人達が律儀に並び続ける事など想像もしてなかった。
輪は乱れるか知らんが、こんな時にもおとなしく律儀に並び続けるしかないのか。
一時間半程その流れにどうにか身を任せたが、俺は先の見えん律儀な果てしない蟻の様な行列が何よりも性に合わず、そして「KING」と謳われたあのはみ出し者の偉人だってこんなの望んでない筈だぜと勝手に決めつけ、進む事すらない行列を抜け出し、果てしない行列を横目で見やりながら入口付近まで煙草を吹かしながら歩く。
入口付近に辿り着いた時には、また行列に戻る気などさらさらなくなり、列に残ったままの相棒を電話で呼んで、会場から聴こえてくる音楽を聴きながらその雰囲気に立ち尽くす。
そして時間が経った後、俺達は入口付近の列に紛れ込み、世に言う「横入り」というヤツをした。
輪を乱し、そこまで何時間もかけて並び続けた人達には失礼か知らんが、俺はこの点、残念ながらあまり「悪い」という感覚がない。
俺はとことん勝手な人間なのかも知らん。マナーがモラルがと普段散々口にしておきながらこの点、「悪い」という感覚があまりない。
逆にこんな時は誰もが押し寄せるべきなんじゃないかとすら思えてくる。
中に入り献花する為の列に並べば、ファッション感覚で携帯電話のカメラを駆使して写真を撮りまくる輩、輩。
こいつらは一体何をしにここまで来たのか。いや、勝手にすれば良いが俺は断じてこんな輩とは一緒にされたくないと強く思う。
俺はとことん勝手な人間なのかも知らん。この輩達は逆に俺みたいなモンの事を「横入りをしたこんな奴と一緒にされたくない」と強く思うかも知らん。
俺はどうやらよく勘違いされる。
「怖い」
「モラルの欠片もない人間なんじゃないか」
随分と理解され難い道に入り込んだ感もある。
「トランジスタラジオ」が聴こえてくると涙がこぼれてきたが、俺はそれをどうにか抑えた。
58歳、気付けば俺のお父さんが死んだのも58歳だった。
俺よりこの人の事が好きな人などきっとこの中には何万人もおるだろう。ただ、俺の中にも確かに哀しい気持ちはあった。それで今日、この場所までやって来た。
花を置き、写真の前で両手を合わせて初めて話しかけた、
「横入りをしてここまで来ました。なぁボス、俺は間違ってますか?」
ベタですが、俺は俺の道を死ぬまで進もうと思ってます。
そして俺は、挨拶が出来て良かったと心底思っとる。
駅に着いた瞬間から献花の為の果てしない行列は始まり、とりあえずはその列に身を任せるが、俺はすぐに疑問を持ち始めてしまった。
何万人も集まる事くらい安易に想像はつくが、もっと一斉に押し寄せる光景を想像した。集まった人達が律儀に並び続ける事など想像もしてなかった。
輪は乱れるか知らんが、こんな時にもおとなしく律儀に並び続けるしかないのか。
一時間半程その流れにどうにか身を任せたが、俺は先の見えん律儀な果てしない蟻の様な行列が何よりも性に合わず、そして「KING」と謳われたあのはみ出し者の偉人だってこんなの望んでない筈だぜと勝手に決めつけ、進む事すらない行列を抜け出し、果てしない行列を横目で見やりながら入口付近まで煙草を吹かしながら歩く。
入口付近に辿り着いた時には、また行列に戻る気などさらさらなくなり、列に残ったままの相棒を電話で呼んで、会場から聴こえてくる音楽を聴きながらその雰囲気に立ち尽くす。
そして時間が経った後、俺達は入口付近の列に紛れ込み、世に言う「横入り」というヤツをした。
輪を乱し、そこまで何時間もかけて並び続けた人達には失礼か知らんが、俺はこの点、残念ながらあまり「悪い」という感覚がない。
俺はとことん勝手な人間なのかも知らん。マナーがモラルがと普段散々口にしておきながらこの点、「悪い」という感覚があまりない。
逆にこんな時は誰もが押し寄せるべきなんじゃないかとすら思えてくる。
中に入り献花する為の列に並べば、ファッション感覚で携帯電話のカメラを駆使して写真を撮りまくる輩、輩。
こいつらは一体何をしにここまで来たのか。いや、勝手にすれば良いが俺は断じてこんな輩とは一緒にされたくないと強く思う。
俺はとことん勝手な人間なのかも知らん。この輩達は逆に俺みたいなモンの事を「横入りをしたこんな奴と一緒にされたくない」と強く思うかも知らん。
俺はどうやらよく勘違いされる。
「怖い」
「モラルの欠片もない人間なんじゃないか」
随分と理解され難い道に入り込んだ感もある。
「トランジスタラジオ」が聴こえてくると涙がこぼれてきたが、俺はそれをどうにか抑えた。
58歳、気付けば俺のお父さんが死んだのも58歳だった。
俺よりこの人の事が好きな人などきっとこの中には何万人もおるだろう。ただ、俺の中にも確かに哀しい気持ちはあった。それで今日、この場所までやって来た。
花を置き、写真の前で両手を合わせて初めて話しかけた、
「横入りをしてここまで来ました。なぁボス、俺は間違ってますか?」
ベタですが、俺は俺の道を死ぬまで進もうと思ってます。
そして俺は、挨拶が出来て良かったと心底思っとる。
April 12, 2009
「心の友達」 vol.3
一時間のコンパクトな残業を切り抜け、レザージャケットをスナック感覚で着こなした俺達はバイクに乗り込む。
そして俺はそう、ご多分に漏れず後ろ座席だ。
「よーよー、今宵も例の場所まで連れてってくれよ」
俺は密かに目を閉じて50数えて遊び、あっという間にクレイジータウン品川へと到着する。
そこで今宵は「角煮ラーメン」なる俺みたいなモンにはたっぷり二年は早いであろう贅沢なラーメンにありつき手を合わせ、そしてスープまで一滴残らず吸い尽くす。
再びバイクに乗り込めば、命まで預けたクールな男に声をかける、
「よーよー、ヒップな風景が見渡せる場所まで連れてってくれないかい」
東京湾から颯爽と吹いてくる潮風を全面に感じながら車一台走ってない道路を疾走し、そして辿り着くヒップな風景が見渡せる場所。
俺は贅沢な男だ。我儘な注文を嫌な顔一つせず、理想を上回る場所まで誘ってくれる仲間が確かに存在する。
「俺は不幸せだ」
こんな事をヌカしたならきっととんでもない罰が当たるぜ。
フェンス越しに見渡す風景はまるで異国、バットしかし、ここは紛れもなく日本だ。
俺は日本を愛し、東京を愛し、今やレインボーブリッジまでをも愛してしまっとる。
例えば今夜が最後の夜なら虹を潜り何を想う
俺が唄う。
「東京なんて住む場所じゃないぜ」
知った口調でヌカしたのはどこのどいつだ。
俺は田舎も都会も存分に知り尽くしてやるぜ。
車一台走ってない道路をアメリカさながらに逆走しとる事に遅ればせながら気付き高らかに笑う俺達二人組、
もはや約束の場所、アメリカのジャズクラブ感漂うカフェに辿り着きコーヒーを啜る。
ブラックコーヒーはおかわりだってしよう、アルコールなどなくても充分に酔っ払う事だって出来るぜ。
誰かが言ったぜ、
「母親思いのアンタが幸せになれない筈は絶対ないよ!」
おー君!話が早いぜ、
気持ち悪い位に心の中で愛してもええかい。
ハローお母さん!
俺はアンタの事を思い続ける、そして近々一年振りに会いに帰るぜ。
帰り道、目を閉じて50数えながら異国の風景を思い浮かべた想像で遊び、
道行く女の子を眺めれば命まで預けたクールな男と勝手な言葉を並べ合う。
「あの娘はどうだい?」
「いやいや、とても俺の事など理解してくれそうにもないぜ」
「あれはどうだい?」
「おー、あの感じはひょっとしてチャビー・チェッカーまでをも理解してくれるかも知れんぜ」
女の子側からすれば失礼極まりないであろう勝手な想像の言葉を並べ合う。
ハロー恋人達!
俺はお前が変わり果ててしまって存分に寂しい思いをしたぜ。
バットしかし、見事に新たなる風景を見い出したぜ。
そして俺は更に何倍も強くなる事に成功してしまったぜ。
ハロー、俺の事が嫌いで嫌いでしょうがない輩達!
そんな輩も歓迎、大歓迎してやるぜ。
俺は寝言がうるさい、それは今に始まった事ではない。
寝ても何かに怒っとる、いつも何かに怒っとる。
先日明け方、またもお前の夢を見たぜ、
「このまま終わると思うなよ」
こう怒鳴り散らす自らの声で5時頃に目が覚めたぜ。
近頃は明け方に必ず一度は目が覚める。
様々な人達から受け取った嬉しい言葉を思い返しとる内にバイクは俺の愛すべき部屋に辿り着き、旅の終わりの一服を吹かす。
そこでは警察官二人が歩み寄り俺達二人組にこう切り出す、
「パトロールをしてるんです、物騒な話とか聞いた事ないですか?」
わきまえた警察官にはわきまえた言葉を、
「ご苦労様です!バットしかし俺達、残念ながら何一つ悪い人間じゃないんですよ!」
「腰回りとか見せてもらっても良いですか?凶器とか持ってないですか?」
わきまえた警察官にはその倍のわきまえた言葉を、
「あぁ、これ?これは形こそピストルですがただの鍵なんです。まぁこれも充分に凶器には成り得ますけどねぇ」
俺はボールペンでさえ凶器に成り得る事を知っとる。
巧い事言ってやろうか?
俺は凶器こそ持ってないが狂気なら存分に持ち合わせとるぜ。
それで取り締まる事が出来るか?
その「狂気」は誰にも迷惑などかけてない、すなわち犯罪でも何でもないぜ。
そしてわきまえた警察官は敬礼をして去って行った。
こんな人達にはいつだって協力しよう。
一つお願いでもすれば良かったぜ、
「あの娘の心もパトロールしてやって下さい」
そして俺は書く事によって救われる。
この時間が一番幸せな時間なのかも知らん。
相棒!これを「ブログ」などと一言で片付けてくれるなよ。
書くべき事はまだまだ積もる程にある。
ほんの一コマでさえ見逃すなよ、俺が作るべきモノは本だ。ずっと昔から唱え続けとる。
そして俺は着実に一つ一つ夢を叶え続けてやるぜ。
さぁ、両手を合わせてお祈りでもしよう、ハッピーな夢が見れます様に。
そして俺はそう、ご多分に漏れず後ろ座席だ。
「よーよー、今宵も例の場所まで連れてってくれよ」
俺は密かに目を閉じて50数えて遊び、あっという間にクレイジータウン品川へと到着する。
そこで今宵は「角煮ラーメン」なる俺みたいなモンにはたっぷり二年は早いであろう贅沢なラーメンにありつき手を合わせ、そしてスープまで一滴残らず吸い尽くす。
再びバイクに乗り込めば、命まで預けたクールな男に声をかける、
「よーよー、ヒップな風景が見渡せる場所まで連れてってくれないかい」
東京湾から颯爽と吹いてくる潮風を全面に感じながら車一台走ってない道路を疾走し、そして辿り着くヒップな風景が見渡せる場所。
俺は贅沢な男だ。我儘な注文を嫌な顔一つせず、理想を上回る場所まで誘ってくれる仲間が確かに存在する。
「俺は不幸せだ」
こんな事をヌカしたならきっととんでもない罰が当たるぜ。
フェンス越しに見渡す風景はまるで異国、バットしかし、ここは紛れもなく日本だ。
俺は日本を愛し、東京を愛し、今やレインボーブリッジまでをも愛してしまっとる。
例えば今夜が最後の夜なら虹を潜り何を想う
俺が唄う。
「東京なんて住む場所じゃないぜ」
知った口調でヌカしたのはどこのどいつだ。
俺は田舎も都会も存分に知り尽くしてやるぜ。
車一台走ってない道路をアメリカさながらに逆走しとる事に遅ればせながら気付き高らかに笑う俺達二人組、
もはや約束の場所、アメリカのジャズクラブ感漂うカフェに辿り着きコーヒーを啜る。
ブラックコーヒーはおかわりだってしよう、アルコールなどなくても充分に酔っ払う事だって出来るぜ。
誰かが言ったぜ、
「母親思いのアンタが幸せになれない筈は絶対ないよ!」
おー君!話が早いぜ、
気持ち悪い位に心の中で愛してもええかい。
ハローお母さん!
俺はアンタの事を思い続ける、そして近々一年振りに会いに帰るぜ。
帰り道、目を閉じて50数えながら異国の風景を思い浮かべた想像で遊び、
道行く女の子を眺めれば命まで預けたクールな男と勝手な言葉を並べ合う。
「あの娘はどうだい?」
「いやいや、とても俺の事など理解してくれそうにもないぜ」
「あれはどうだい?」
「おー、あの感じはひょっとしてチャビー・チェッカーまでをも理解してくれるかも知れんぜ」
女の子側からすれば失礼極まりないであろう勝手な想像の言葉を並べ合う。
ハロー恋人達!
俺はお前が変わり果ててしまって存分に寂しい思いをしたぜ。
バットしかし、見事に新たなる風景を見い出したぜ。
そして俺は更に何倍も強くなる事に成功してしまったぜ。
ハロー、俺の事が嫌いで嫌いでしょうがない輩達!
そんな輩も歓迎、大歓迎してやるぜ。
俺は寝言がうるさい、それは今に始まった事ではない。
寝ても何かに怒っとる、いつも何かに怒っとる。
先日明け方、またもお前の夢を見たぜ、
「このまま終わると思うなよ」
こう怒鳴り散らす自らの声で5時頃に目が覚めたぜ。
近頃は明け方に必ず一度は目が覚める。
様々な人達から受け取った嬉しい言葉を思い返しとる内にバイクは俺の愛すべき部屋に辿り着き、旅の終わりの一服を吹かす。
そこでは警察官二人が歩み寄り俺達二人組にこう切り出す、
「パトロールをしてるんです、物騒な話とか聞いた事ないですか?」
わきまえた警察官にはわきまえた言葉を、
「ご苦労様です!バットしかし俺達、残念ながら何一つ悪い人間じゃないんですよ!」
「腰回りとか見せてもらっても良いですか?凶器とか持ってないですか?」
わきまえた警察官にはその倍のわきまえた言葉を、
「あぁ、これ?これは形こそピストルですがただの鍵なんです。まぁこれも充分に凶器には成り得ますけどねぇ」
俺はボールペンでさえ凶器に成り得る事を知っとる。
巧い事言ってやろうか?
俺は凶器こそ持ってないが狂気なら存分に持ち合わせとるぜ。
それで取り締まる事が出来るか?
その「狂気」は誰にも迷惑などかけてない、すなわち犯罪でも何でもないぜ。
そしてわきまえた警察官は敬礼をして去って行った。
こんな人達にはいつだって協力しよう。
一つお願いでもすれば良かったぜ、
「あの娘の心もパトロールしてやって下さい」
そして俺は書く事によって救われる。
この時間が一番幸せな時間なのかも知らん。
相棒!これを「ブログ」などと一言で片付けてくれるなよ。
書くべき事はまだまだ積もる程にある。
ほんの一コマでさえ見逃すなよ、俺が作るべきモノは本だ。ずっと昔から唱え続けとる。
そして俺は着実に一つ一つ夢を叶え続けてやるぜ。
さぁ、両手を合わせてお祈りでもしよう、ハッピーな夢が見れます様に。
March 28, 2009
「心の友達」 vol.2
先日、保険証を借りっぱなしの男から連絡がきた。
「保険証をそろそろ返してくれないかい」
俺はその男に返事を出し忘れ、そのまま眠りに就いてしまった。
AM1:30、俺はウイスキーを煽って窓も開けたまま夢の中。
そんな中、窓際からさりげなく声が聞こえる感がある。
「とりあえず玄関を開けてくれよ・・・」
暫らくして薄目を開けて窓際を覗いてみれば、目の前に苦しそうな男の顔が現れる。
幽霊ではない。
ハエがギャオーと鳴く程に驚きの表情で飛び起きれば、
「オレオレ、保険証、保険証返して・・・」(小声)
配水管によじ登ってきた男が小声で叫ぶ、
「とりあえず玄関を開けてくれよ・・・」
「お前何しとんねん、もうええねん、怖過ぎるわ」
「相変わらず寝起き悪いな、全然起きねーんだもん」
「何をそんな場所から確認してくれとんねん」
思い、両手の塞がったソイツの口に保険証をさっさと突っ込み、
「ありがとな、気をつけて帰れよ」
男は配水管を苦しそうに引きずり降りて去って行った。
そして俺は窓をしっかりと閉めて、再び眠った。
よー言い忘れたぜ。
お前のおかげで痒いの治ったぜ、
ずっと友達でおってくれよ。
ところでお前は「脅迫」をした事があるかい?
俺は28回位、あるのかも知らん。
突っ張りを忘れるなよ。
「保険証をそろそろ返してくれないかい」
俺はその男に返事を出し忘れ、そのまま眠りに就いてしまった。
AM1:30、俺はウイスキーを煽って窓も開けたまま夢の中。
そんな中、窓際からさりげなく声が聞こえる感がある。
「とりあえず玄関を開けてくれよ・・・」
暫らくして薄目を開けて窓際を覗いてみれば、目の前に苦しそうな男の顔が現れる。
幽霊ではない。
ハエがギャオーと鳴く程に驚きの表情で飛び起きれば、
「オレオレ、保険証、保険証返して・・・」(小声)
配水管によじ登ってきた男が小声で叫ぶ、
「とりあえず玄関を開けてくれよ・・・」
「お前何しとんねん、もうええねん、怖過ぎるわ」
「相変わらず寝起き悪いな、全然起きねーんだもん」
「何をそんな場所から確認してくれとんねん」
思い、両手の塞がったソイツの口に保険証をさっさと突っ込み、
「ありがとな、気をつけて帰れよ」
男は配水管を苦しそうに引きずり降りて去って行った。
そして俺は窓をしっかりと閉めて、再び眠った。
よー言い忘れたぜ。
お前のおかげで痒いの治ったぜ、
ずっと友達でおってくれよ。
ところでお前は「脅迫」をした事があるかい?
俺は28回位、あるのかも知らん。
突っ張りを忘れるなよ。
March 11, 2009
ウイスキー・デイズ
死にそうになるまでは
生きてる事を忘れてる
感謝はむずかしい
ちっぽけな並の暮らしに
ちっぽけな忙しい日々に
感謝はむずかしい
喜びはすぐに当たり前になり
新しい悲しみにぶつかるたびに
足りない数ばかり数えてる
足りない数ばかり数えてる
数少ない生き残りの吟遊詩人が唄う。
当たり前な事などこの世に何一つないと、人一倍理解しとるつもりだった。
全部敵に回しても俺には最大の理解者がおると、
コイツがおってくれればそれだけで良いと、
勝手にずっと安心し続けてきた。
そんな唯一の味方だと思ってきた娘を、守るべきこの俺が傷つけるだけ傷つけ、
自らの手で敵に回し、憎しみさえ抱かせ、取り返しのつかん事をしたのもこの俺自身だと責任を感じた時、
恥ずかしくて合わせる顔すらなかった。
哀愁の夏目漱石展は見逃し、週に一度のお楽しみラジオ、
「放送室」は今月いっぱいでまさかの最終回を迎える。
そうか、三月はご多分に漏れず別れの季節か。
ムーンストンプのライヴは演った、
キャンセルしようと真剣に考えたが、それは結局考えただけだった。
’09.3.8(日)
高哲典企画
「ブレイクスルー・アコースティック 2マンシリーズ vol.3」
アット 高円寺MOONSTOMP
【高哲典VS十条フォークジャンボリー】
1.喜怒哀楽な男
2.雨が降ったって大丈夫
3.深夜高速バスブルース
4.ロマンチック
5.ドクター
6.どうにかなりそう
7.思い出を繋ぎ合わせて今を生きる
8.アウトロー・バカヤロー
9.マリーと暮らす
10.愛すべき日々
始まる前と終わった後、共にウイスキーなるモノを煽ったが無論、酔っ払う事などなかった。
「今日はトバすね」、十条フォークジャンボリーが言った。
「そりゃまぁな」、俺が答えた。
十条フォークジャンボリーの唄は胸に突き刺さり、俺は自分の歌を唄いながら、如何に断片的に歌詞にあの娘が登場する曲が多かったか、それに自ら気付いてハッとした。
モデルガンを抱き締めてお前の帰りを待っていた
お前の心臓ぶち抜こうと思って待っていた
イカれた振りして大いに唄ってみる
俺が唄う。
「いる」を「いた」と過去形に変えた時、胸には確かに迫るモノがあった。
こういう時こそ逆に、説得力を増して歌える唄があるんかと捉えた。
俺は心底感情込めて唄える男だ、それだけは変えようのない事実だ。
なんたって自分の事しか唄ってない。
夢の中で君に会いたくなったら
両手を合わせてそうなる様に願うよ
次の日の事も忘れて俺は夢を見る
夢の中で君にいつだって会える
俺が唄う。
夢を見て、「ごめん」と謝りながら強く抱き合う夢を見て、夢の中で泣いた。
そこで目が覚めた時、目には現実の涙が溢れ返り、胸を締め付けられる思いでボロボロに泣いた。
夢の続きを現実で泣く、そんな事が何日か続いた。
髭なんか生やして大人ぶって
世の中分かった様な口を利きやがる
偉そうに 何もないくせに
だからこんな俺が嫌いだ
分かってんのか 優しいって事は
機嫌の良い事とは違うぜ
数少ない生き残りの吟遊詩人が唄う。
ここ数日何があったか、どうって事はない。
特別な事はない。
竜也兄貴とビール片手にセッションした。
真夜中のセッション。
ギターとベース取っ換えたりなんかして、久し振りにベースを弾いた。
「GOODLUCK」、一緒に唄ってグッときた。
さよなら 街を歩き疲れた俺もそこには居ない
今日は今日とて西新宿、
以前呟いた、
「俺はパスポート手に入れたら何するか分からんぜ」
来月20日頃、その第一弾として香港にスナック感覚を持ち込む事が決定した。
頭に浮かんだ事全部 片付けて行け20代
以前、10代の俺が唄った。
頭に浮かんだ事全部 片付けて行け30代
28歳端くれ自称音楽家、くたばるにはまだ早く、片付けたい事は死ぬまでなくなる事がない。
お金も返す、全部取り戻そう。
以前、あれだけ一人旅が好きだったのが、今は少なくともそんな気分じゃない。
俺は知り合って間もない、それでいて気が合う酔いどれ天使を引き連れて、
完全なノープランで香港をほっつき歩く。
団体行動ほど嫌いなモノはない。よって二人だ、ギリギリ良い。
集団でしかモノを言えん奴、カゲでしか意見を言えん輩、
俺はそこまでは成り下がってない。
その点、二人は良い。ギリギリ良い。
知らん街を、海を越えて我が物顔で歩け。
「おい、あそこの近くまで行ってみようぜ」
「此処、ええ感じちゃう?」
目に焼き付けたい光景を目で見て選ぶ、それ位で良い。
荷物はカメラだけ、あとは手ぶらでも良い。
パスポートを引き換えた後、俺は西新宿で迷子になった。
駅を見つけるまで30分以上、西新宿を歩き続けた。
ブーツは擦り切れても、まだ俺には歩く事が出来た。
近頃、ウォークマンなるハイカラ機器を片耳で聴きながら歩く機会が増えた。いや、増やした。
以前は夜行バスと眠る時以外、使う事などほとんどなかった。
街を歩く時は他人の下らん話に耳を傾け、歌詞を考えたりするのが常だった。
近頃は要らん考えを排除したかった。
もう何も見たくない、聞きたくない、喋りたくもない、
伝言ゲームは性には合わん、ニュアンス一つ違っただけで大変な事になる。
事実かどうかも分からんのに、こんな状態になってからも傷つけ続けたのは俺に違いないが、
これ以上傷つけ合うのは俺だって嫌だ。
「二人で築いた世界が存在する」だとか、
「あれだけ分かり合えた類い稀なる、肩で風切る二人が他人に戻ってしまうのはあまりに哀しい」だとか、
勝手に信じ込んで書き殴ったりしたが、それさえもただの思い過ごしだったと知った時、
束縛など大嫌いでそんなモノとは無縁の自然な関係だと思い込んどったこの俺自身が
一番束縛しとったんかと思った時、無理をさせ続けてしまったんかと知った時、
全部恥ずかしくなった。お門違いほど恥ずかしい事はない。
神経質が服着て歩く男このワタシ、神経が擦り切れて疲れてしまった。
効き目のないサイレン鳴らして消防車走る
水をぶっかけなきゃならない事は増えてくばかり
昨日まで支え合うように見えたふたりが唾をかけあう
欲しかったのはきっかけで残ったのは憎しみだけか
カラカラに乾いて ちょっと擦れただけで点火する 点火する
数少ない生き残りの吟遊詩人が唄う。
こんな終わり方になるとは少なくとも想像してなかった。
そうさせてしまったのも俺の責任だ。
ドキュメンタリーフィルムのワンシーンを気取って、片耳から聴こえてくるのがヒートウェイヴ。
今は日本人の曲しか聴いてない。
和の心は断じて捨てたつもりはない。
拝啓 ミスターソングライター
俺に言葉の雨がジャンジャン降る
敬意を込めて礼を云うよ
ヒートウェイヴが唄う。
西新宿で迷子になったおかげで、俺にも言葉の雨がジャンジャン降ってきた。
そこでこの文章を頭の中で組み立て、久し振りに文章を書こうと思った。
P.S 今年の俺の運勢は「大吉」だった。天狗様にもお参りした。
バットしかしそんなモン、自分の行動次第で「大凶」にもなってしまう。
「大凶」を引いたところで、自分の行動次第で「大吉」に変える事だって出来るだろう。
以前、天狗様に言われた気がしたな、
「所詮お前次第やで」
誰も悪くない、俺の過ちだ。
生きてる事を忘れてる
感謝はむずかしい
ちっぽけな並の暮らしに
ちっぽけな忙しい日々に
感謝はむずかしい
喜びはすぐに当たり前になり
新しい悲しみにぶつかるたびに
足りない数ばかり数えてる
足りない数ばかり数えてる
数少ない生き残りの吟遊詩人が唄う。
当たり前な事などこの世に何一つないと、人一倍理解しとるつもりだった。
全部敵に回しても俺には最大の理解者がおると、
コイツがおってくれればそれだけで良いと、
勝手にずっと安心し続けてきた。
そんな唯一の味方だと思ってきた娘を、守るべきこの俺が傷つけるだけ傷つけ、
自らの手で敵に回し、憎しみさえ抱かせ、取り返しのつかん事をしたのもこの俺自身だと責任を感じた時、
恥ずかしくて合わせる顔すらなかった。
哀愁の夏目漱石展は見逃し、週に一度のお楽しみラジオ、
「放送室」は今月いっぱいでまさかの最終回を迎える。
そうか、三月はご多分に漏れず別れの季節か。
ムーンストンプのライヴは演った、
キャンセルしようと真剣に考えたが、それは結局考えただけだった。
’09.3.8(日)
高哲典企画
「ブレイクスルー・アコースティック 2マンシリーズ vol.3」
アット 高円寺MOONSTOMP
【高哲典VS十条フォークジャンボリー】
1.喜怒哀楽な男
2.雨が降ったって大丈夫
3.深夜高速バスブルース
4.ロマンチック
5.ドクター
6.どうにかなりそう
7.思い出を繋ぎ合わせて今を生きる
8.アウトロー・バカヤロー
9.マリーと暮らす
10.愛すべき日々
始まる前と終わった後、共にウイスキーなるモノを煽ったが無論、酔っ払う事などなかった。
「今日はトバすね」、十条フォークジャンボリーが言った。
「そりゃまぁな」、俺が答えた。
十条フォークジャンボリーの唄は胸に突き刺さり、俺は自分の歌を唄いながら、如何に断片的に歌詞にあの娘が登場する曲が多かったか、それに自ら気付いてハッとした。
モデルガンを抱き締めてお前の帰りを待っていた
お前の心臓ぶち抜こうと思って待っていた
イカれた振りして大いに唄ってみる
俺が唄う。
「いる」を「いた」と過去形に変えた時、胸には確かに迫るモノがあった。
こういう時こそ逆に、説得力を増して歌える唄があるんかと捉えた。
俺は心底感情込めて唄える男だ、それだけは変えようのない事実だ。
なんたって自分の事しか唄ってない。
夢の中で君に会いたくなったら
両手を合わせてそうなる様に願うよ
次の日の事も忘れて俺は夢を見る
夢の中で君にいつだって会える
俺が唄う。
夢を見て、「ごめん」と謝りながら強く抱き合う夢を見て、夢の中で泣いた。
そこで目が覚めた時、目には現実の涙が溢れ返り、胸を締め付けられる思いでボロボロに泣いた。
夢の続きを現実で泣く、そんな事が何日か続いた。
髭なんか生やして大人ぶって
世の中分かった様な口を利きやがる
偉そうに 何もないくせに
だからこんな俺が嫌いだ
分かってんのか 優しいって事は
機嫌の良い事とは違うぜ
数少ない生き残りの吟遊詩人が唄う。
ここ数日何があったか、どうって事はない。
特別な事はない。
竜也兄貴とビール片手にセッションした。
真夜中のセッション。
ギターとベース取っ換えたりなんかして、久し振りにベースを弾いた。
「GOODLUCK」、一緒に唄ってグッときた。
さよなら 街を歩き疲れた俺もそこには居ない
今日は今日とて西新宿、
以前呟いた、
「俺はパスポート手に入れたら何するか分からんぜ」
来月20日頃、その第一弾として香港にスナック感覚を持ち込む事が決定した。
頭に浮かんだ事全部 片付けて行け20代
以前、10代の俺が唄った。
頭に浮かんだ事全部 片付けて行け30代
28歳端くれ自称音楽家、くたばるにはまだ早く、片付けたい事は死ぬまでなくなる事がない。
お金も返す、全部取り戻そう。
以前、あれだけ一人旅が好きだったのが、今は少なくともそんな気分じゃない。
俺は知り合って間もない、それでいて気が合う酔いどれ天使を引き連れて、
完全なノープランで香港をほっつき歩く。
団体行動ほど嫌いなモノはない。よって二人だ、ギリギリ良い。
集団でしかモノを言えん奴、カゲでしか意見を言えん輩、
俺はそこまでは成り下がってない。
その点、二人は良い。ギリギリ良い。
知らん街を、海を越えて我が物顔で歩け。
「おい、あそこの近くまで行ってみようぜ」
「此処、ええ感じちゃう?」
目に焼き付けたい光景を目で見て選ぶ、それ位で良い。
荷物はカメラだけ、あとは手ぶらでも良い。
パスポートを引き換えた後、俺は西新宿で迷子になった。
駅を見つけるまで30分以上、西新宿を歩き続けた。
ブーツは擦り切れても、まだ俺には歩く事が出来た。
近頃、ウォークマンなるハイカラ機器を片耳で聴きながら歩く機会が増えた。いや、増やした。
以前は夜行バスと眠る時以外、使う事などほとんどなかった。
街を歩く時は他人の下らん話に耳を傾け、歌詞を考えたりするのが常だった。
近頃は要らん考えを排除したかった。
もう何も見たくない、聞きたくない、喋りたくもない、
伝言ゲームは性には合わん、ニュアンス一つ違っただけで大変な事になる。
事実かどうかも分からんのに、こんな状態になってからも傷つけ続けたのは俺に違いないが、
これ以上傷つけ合うのは俺だって嫌だ。
「二人で築いた世界が存在する」だとか、
「あれだけ分かり合えた類い稀なる、肩で風切る二人が他人に戻ってしまうのはあまりに哀しい」だとか、
勝手に信じ込んで書き殴ったりしたが、それさえもただの思い過ごしだったと知った時、
束縛など大嫌いでそんなモノとは無縁の自然な関係だと思い込んどったこの俺自身が
一番束縛しとったんかと思った時、無理をさせ続けてしまったんかと知った時、
全部恥ずかしくなった。お門違いほど恥ずかしい事はない。
神経質が服着て歩く男このワタシ、神経が擦り切れて疲れてしまった。
効き目のないサイレン鳴らして消防車走る
水をぶっかけなきゃならない事は増えてくばかり
昨日まで支え合うように見えたふたりが唾をかけあう
欲しかったのはきっかけで残ったのは憎しみだけか
カラカラに乾いて ちょっと擦れただけで点火する 点火する
数少ない生き残りの吟遊詩人が唄う。
こんな終わり方になるとは少なくとも想像してなかった。
そうさせてしまったのも俺の責任だ。
ドキュメンタリーフィルムのワンシーンを気取って、片耳から聴こえてくるのがヒートウェイヴ。
今は日本人の曲しか聴いてない。
和の心は断じて捨てたつもりはない。
拝啓 ミスターソングライター
俺に言葉の雨がジャンジャン降る
敬意を込めて礼を云うよ
ヒートウェイヴが唄う。
西新宿で迷子になったおかげで、俺にも言葉の雨がジャンジャン降ってきた。
そこでこの文章を頭の中で組み立て、久し振りに文章を書こうと思った。
P.S 今年の俺の運勢は「大吉」だった。天狗様にもお参りした。
バットしかしそんなモン、自分の行動次第で「大凶」にもなってしまう。
「大凶」を引いたところで、自分の行動次第で「大吉」に変える事だって出来るだろう。
以前、天狗様に言われた気がしたな、
「所詮お前次第やで」
誰も悪くない、俺の過ちだ。
February 03, 2009
あの頃の登校拒否の様に
小学三年生の時、俺は立派な登校拒否児だった。小学生になる前、保育所の時には、「小学生には夏休みがあるのに何故保育所には夏休みがないのか?」と真剣に問い続けた。所謂、生意気な子どもだ。とにかく学校なるシステムにファックユー、愛想笑い、付き合い、全てが面倒臭かった。そして俺は何を隠そう、いじめられっ子の類いだった。いや、俺はいじめられっ子を演じた事だってある。
はっきりと思い出す事は、周りが俺の事を「ホモ」なんじゃないかと騒ぎ出した。なんでも、手をかざせば俺がその手に抱きついてくると言う。
男が手をかざし、俺はそれに抱きついた。何本もの手に抱きついた。周りはここぞとばかりに笑いに包まれた。バットしかし、俺の意識の裏には明確に「はいはい」というヤッツケの感があった。俺はとっくに飽きとるのに、手はかざし続けられた。俺は演じ続けた。その方が面白いのだろうと踏んだからだ。あぁ、こいつらからはこんなにも簡単な事で大爆笑が取れるのかと見下した。
周りは俺の事を勝手に「ホモ野郎」として見下したかも知らんが、俺は俺で周りを「低能集団」として見下す事に成功したのだ。
その時の思考は今も明確に覚えとる。
何ヶ月に亘る登校拒否の時、クラス全員の生徒と担任の先生が家まで俺を呼びに来た。
嗚呼、俺の実家は小学校と文字通り目と鼻の先、徒歩7秒のところに存在する。俺はパジャマ姿のまま教室まで連れて行かれた。
訳の分からん同情を抱いた奴が俺に言った、
「今日はお前と一緒に帰ってやるよ」
おい忘れたのか、俺の家は学校から徒歩7秒なんだぜブラザー。
ところで俺は今日も仕事を休んだ。そして愛想は尽き果てた。
ただただ二月、ただただ節分というだけの一日。
贅沢という贅沢にさよならを。
はっきりと思い出す事は、周りが俺の事を「ホモ」なんじゃないかと騒ぎ出した。なんでも、手をかざせば俺がその手に抱きついてくると言う。
男が手をかざし、俺はそれに抱きついた。何本もの手に抱きついた。周りはここぞとばかりに笑いに包まれた。バットしかし、俺の意識の裏には明確に「はいはい」というヤッツケの感があった。俺はとっくに飽きとるのに、手はかざし続けられた。俺は演じ続けた。その方が面白いのだろうと踏んだからだ。あぁ、こいつらからはこんなにも簡単な事で大爆笑が取れるのかと見下した。
周りは俺の事を勝手に「ホモ野郎」として見下したかも知らんが、俺は俺で周りを「低能集団」として見下す事に成功したのだ。
その時の思考は今も明確に覚えとる。
何ヶ月に亘る登校拒否の時、クラス全員の生徒と担任の先生が家まで俺を呼びに来た。
嗚呼、俺の実家は小学校と文字通り目と鼻の先、徒歩7秒のところに存在する。俺はパジャマ姿のまま教室まで連れて行かれた。
訳の分からん同情を抱いた奴が俺に言った、
「今日はお前と一緒に帰ってやるよ」
おい忘れたのか、俺の家は学校から徒歩7秒なんだぜブラザー。
ところで俺は今日も仕事を休んだ。そして愛想は尽き果てた。
ただただ二月、ただただ節分というだけの一日。
贅沢という贅沢にさよならを。
January 28, 2009
背に腹は代えられんでゴー
背に腹は代えられん。
ロードバイク跨り三軒茶屋、ちゃっかりと水道料金を払い込んだ後下北沢へ舞い戻り、その足で泌尿×科へと出向く。
おっと、隠すところを間違えてしまった。いや、隠す事でも何でもない。
背に腹は代えられん。
その病院はまさか、以前働いたライヴハウスと同じビルの四階にあった。ここでも俺は苦笑いを浮かべたという訳だ。
そこの店員であり、以前バンドのメンバーだったロカビリー入墨男とエレベーター前で運悪く(いや、運良く)出くわす。
「上の病院行かなあかんねん、痒いんじゃボケー」
俺は告げる。
「えっ?へへっ、嘘でしょ?ねぇ、嘘でしょ?ハハッ!」
ニヤニヤ笑う男の顔を見ながら俺はエレベーターに乗り込む。
原因が何なのか、それは分かったモンじゃない。可能性として、俺はただの不潔人間という事だって有り得る。
俺はケンタロー(23歳)になりきり診察を受ける。粗相などない様に。
「はいはい、えぇ、まぁそうですねー、痒くてねー」
そして診察券には例によって「ケンタロー」と書き込まれた。ケンタロー、俺の不甲斐なさをどうか許してほしい。
処方箋を受け取り(ご多分に漏れず薬袋には「ケンタロー」の文字)その後、精神安定所「レコード屋」へと出向く。そこで手に入れるに至る究極ジャケ買いシリーズ、
コールセンターの頼れる男に「ええ加減病院行かな洒落なりませんわ」と告げた時、男は言った、
「またどうせ心の病院とか言ってレコード屋の方に行くんでしょ?」
ほぉ、俺は今や本物の病院と心の病院のハシゴにさえ成功したのだ。
ところでドサクサにまぎれ「ブレイクスルー・アコースティック/グッド・フィーリング」ライターを販売予定。構想一日、何とまさか、既に注文済みだ。周りの誰かが仕掛けるその前に勢い任せに動けと頭から指示が出た。二番煎じなど断じてごめんだ。
製作本数は200本。ほんまは粋なマッチを作りたいし、マッチにかなうモノなどないと信じて疑わんが、使い易さ、需要、料金を考えライターと相成る。俺はまんまと時代の流れに逆らえきれてないのか知らんが、とにかく手始めに持ち前のスナック感覚でライターを製作。料金は泣く子も歓喜の100円~150円だ。わきまえスモーカーにはとっておきの一品。
おっ、こういう宣伝は俺の中で「アリ」だ。
背に腹は代えられん、俺はやる。何から何まで楽しみ尽くしたい。
ロードバイク跨り三軒茶屋、ちゃっかりと水道料金を払い込んだ後下北沢へ舞い戻り、その足で泌尿×科へと出向く。
おっと、隠すところを間違えてしまった。いや、隠す事でも何でもない。
背に腹は代えられん。
その病院はまさか、以前働いたライヴハウスと同じビルの四階にあった。ここでも俺は苦笑いを浮かべたという訳だ。
そこの店員であり、以前バンドのメンバーだったロカビリー入墨男とエレベーター前で運悪く(いや、運良く)出くわす。
「上の病院行かなあかんねん、痒いんじゃボケー」
俺は告げる。
「えっ?へへっ、嘘でしょ?ねぇ、嘘でしょ?ハハッ!」
ニヤニヤ笑う男の顔を見ながら俺はエレベーターに乗り込む。
原因が何なのか、それは分かったモンじゃない。可能性として、俺はただの不潔人間という事だって有り得る。
俺はケンタロー(23歳)になりきり診察を受ける。粗相などない様に。
「はいはい、えぇ、まぁそうですねー、痒くてねー」
そして診察券には例によって「ケンタロー」と書き込まれた。ケンタロー、俺の不甲斐なさをどうか許してほしい。
処方箋を受け取り(ご多分に漏れず薬袋には「ケンタロー」の文字)その後、精神安定所「レコード屋」へと出向く。そこで手に入れるに至る究極ジャケ買いシリーズ、
コールセンターの頼れる男に「ええ加減病院行かな洒落なりませんわ」と告げた時、男は言った、
「またどうせ心の病院とか言ってレコード屋の方に行くんでしょ?」
ほぉ、俺は今や本物の病院と心の病院のハシゴにさえ成功したのだ。
ところでドサクサにまぎれ「ブレイクスルー・アコースティック/グッド・フィーリング」ライターを販売予定。構想一日、何とまさか、既に注文済みだ。周りの誰かが仕掛けるその前に勢い任せに動けと頭から指示が出た。二番煎じなど断じてごめんだ。
製作本数は200本。ほんまは粋なマッチを作りたいし、マッチにかなうモノなどないと信じて疑わんが、使い易さ、需要、料金を考えライターと相成る。俺はまんまと時代の流れに逆らえきれてないのか知らんが、とにかく手始めに持ち前のスナック感覚でライターを製作。料金は泣く子も歓喜の100円~150円だ。わきまえスモーカーにはとっておきの一品。
おっ、こういう宣伝は俺の中で「アリ」だ。
背に腹は代えられん、俺はやる。何から何まで楽しみ尽くしたい。
ご多分に漏れず俺は生きよう
’09.1.26(月)
今村竜也とウエタケユキオ企画
アット 下北沢オフビート
1.ラウンドミッドナイト
2.ワンダフルピースタイム
3.思い出を繋ぎ合わせて今を生きる
4.その日暮らしの哲学
5.ロマンチック
6.アウトロー・バカヤロー
7.ア・メッセージ・トゥ・ユー・ルーディ
8.自由
9.愛すべき日々
10.マリーと暮らす
11.俺が唄うブルースに首ったけ
テーマはスナック感覚。よって子どもの笑い声、完全には惹き込めてない感、その他諸々、構う事なく自分の為に唄う。そこで俺は迷う事なく自分自身に惹き込まれたのか否か、自分自身を救う事は出来たのか否か、これこそがまず重要。最近演ってなかった曲を散りばめ全11曲、客側はともかく、確かに自分自身に惹き込まれた感を多少なりとも味わう事に成功し、そして救われる。
唄っとる最中、その瞬間はスナック感覚などない。唄にどっぷり入り込み伝えるべき事に神経を研ぎ澄ませたい。ご多分に漏れず三弦は弾け飛び、弦を換える時間をMCで埋める雰囲気でもないのかと悟り俺は竜也兄貴にギターを借りるに至る。
一時間ずつ、雰囲気はスナック感覚を保ちつつ、がっちりと演り合う。
今村竜也とウエタケユキオが唄うブルースに首ったけ
誰にも負ける気がしない しない
俺が唄うブルースに首ったけ 誰にも負ける気がしないぜ しないぜ
おまじないの様なこの曲に嘘はない。この二組で演れた事にこそ今回は価値があったのではないか。それをふまえた上で俺みたいなモンを呼んでくれたのだとしたらこれはもはや歓喜だ。
終演後、ふと間が開いたその直後、CDが飛ぶ様に売れた。まさか、俺は思った。自分自身に「入り込めた」感覚を多少でも感じた時、やはり客側にもその感覚は伝わるのか、伝わるのだと信じて疑わん。そこで考える、歌詞カードだとか盤面だとかジャケットだとか、そろそろちゃんとしたモノを作りたい。
俺は宣伝が好きじゃない。MCでそれっぽい話し方になっとる気がしてきたら嫌気がさして途中で止めにする。そういうのが何故か俺は昔からむずがゆい。顔が真っ赤になる様な感覚が生まれる。
ほんまは宣伝など一切せず、CDがある事さえ言わず、それなのに売れる、これこそが最大の理想郷。「本物」の称号を俺は恥ずかしげもなく狙い続けたい。
打ち上げはその場におるだけで気持ち良く、落ち着きを取り戻し、世の中の下らん事柄を洗い流す。目の前には確かに分かり合える男達がおり、気付けば2時前と相成る。
ところがそれがまるで夢だったかの様に本日、ご多分に漏れずダブルワーカー。俺は怒鳴り、回りにきっと不愉快な思いをさせとる事にはっきりと気付きながらも抑える事など出来そうにない。
そんな自分が嫌にもなるが、ご多分に漏れず歯止めなど利かん。俺はきっとどうしようもなく面倒臭い男なのだろう。
指図される事が心底好きじゃない。それが興味のない事なら尚更で、まして的を得てない指図なら尚更だ。
年を取れば取る程にその思いは強くなるばかり、ところが諦めの気配など残念ながら微塵もない。
こんな俺に残された道はたったの一つしかない。そう、完全独立だ。
こんな戯けた考えを抱いとる輩は腐る程おるかも知らん、きっと俺はその中の一人なのかも知らん。
そう、それならばまずその為にはお金を貯める必要がある。すなわち、企業にまんまと収まりせっせと働く必要がある。
嗚呼。
不況不況と喚かれても一番ピンときてないのは、何を隠そうこの俺なのかも知らん。
俺はこの部屋を愛しとる、誰にも指図されてない。
ライヴを愛しとる、誰にも指図されてない。
バーに出向く前、久方振りに映画を四本借りる。
さてバーを終え、愛しとる部屋に戻ればご多分に漏れず水道供給は停止、苦笑いは永遠に止む事がない。
バットしかし、水道がたったの一日止まっただけで水道のちゃんと出る家へ逃げ出す様な輩がもしも存在するとすれば俺はそいつに哀れで残念な気持ちを抱かずにはおれん。
ほら、俺には四本の映画がある、手もあり、ギターもあり、夢なら今にもはち切れんばかり。楽しむ手段ならいつだって選びきれん程にある。
「ドキュメンタリーフィルムを常に撮られてる気分で居られればそれだけで良い」のだ。
たった一日水道が止まる事が一体何だというのか。十日ならさすがに堪えるが一日二日ならむしろありがたい、想像力も増すぜと捉える。
明日は水道局、これに加え、重たい重たい腰を上げていよいよとある病院に出向く必要がある。何を隠そう、俺には訳の分からん病気の疑いさえあるのだ。人生は面白い、心配ない。小さい事から大きい事柄まで一つ一つ確実に片付けてやる。
保険証?あぁ、そんな大事なモノさえ俺は持ってないじゃないか。そんな訳で病院での俺の名はケンタロー23歳、どうぞ宜しく。
通常、断じて借りるモノでもない保険証なるハイカラ証明を貸してくれたケンタローに心底感謝します。
おい、俺はなんだかんだで結局何かと人に頼ってばかりじゃないか。何が完全独立だ、何が無頼派だ、なすび野郎とはつまる話、俺の事じゃないのか。オーマーシー、かかって来いよおい。
P.S ブコウスキー「勝手に生きろ」を久方振りに読み切る。一体何なんだと口に出さずにはおれんこのエンディング、もはや最高としか捉え様はない。バッドエンドでなく、ハッピーエンドな訳もなく、ビターエンドで収まる筈もない。そう、全くもっていわば「何でもない」のだ。そんな決まり事などファッキンベイビーの類い、もう一度書こう、最高以外のナニモノでもない。これを読んで何も感じんとしたら俺はそいつの事をモグリと呼ばざるをえんのではないか。
おぉ、俺の勝手な価値観が上からモノを申してしまいそうだ。
今村竜也とウエタケユキオ企画
アット 下北沢オフビート
1.ラウンドミッドナイト
2.ワンダフルピースタイム
3.思い出を繋ぎ合わせて今を生きる
4.その日暮らしの哲学
5.ロマンチック
6.アウトロー・バカヤロー
7.ア・メッセージ・トゥ・ユー・ルーディ
8.自由
9.愛すべき日々
10.マリーと暮らす
11.俺が唄うブルースに首ったけ
テーマはスナック感覚。よって子どもの笑い声、完全には惹き込めてない感、その他諸々、構う事なく自分の為に唄う。そこで俺は迷う事なく自分自身に惹き込まれたのか否か、自分自身を救う事は出来たのか否か、これこそがまず重要。最近演ってなかった曲を散りばめ全11曲、客側はともかく、確かに自分自身に惹き込まれた感を多少なりとも味わう事に成功し、そして救われる。
唄っとる最中、その瞬間はスナック感覚などない。唄にどっぷり入り込み伝えるべき事に神経を研ぎ澄ませたい。ご多分に漏れず三弦は弾け飛び、弦を換える時間をMCで埋める雰囲気でもないのかと悟り俺は竜也兄貴にギターを借りるに至る。
一時間ずつ、雰囲気はスナック感覚を保ちつつ、がっちりと演り合う。
今村竜也とウエタケユキオが唄うブルースに首ったけ
誰にも負ける気がしない しない
俺が唄うブルースに首ったけ 誰にも負ける気がしないぜ しないぜ
おまじないの様なこの曲に嘘はない。この二組で演れた事にこそ今回は価値があったのではないか。それをふまえた上で俺みたいなモンを呼んでくれたのだとしたらこれはもはや歓喜だ。
終演後、ふと間が開いたその直後、CDが飛ぶ様に売れた。まさか、俺は思った。自分自身に「入り込めた」感覚を多少でも感じた時、やはり客側にもその感覚は伝わるのか、伝わるのだと信じて疑わん。そこで考える、歌詞カードだとか盤面だとかジャケットだとか、そろそろちゃんとしたモノを作りたい。
俺は宣伝が好きじゃない。MCでそれっぽい話し方になっとる気がしてきたら嫌気がさして途中で止めにする。そういうのが何故か俺は昔からむずがゆい。顔が真っ赤になる様な感覚が生まれる。
ほんまは宣伝など一切せず、CDがある事さえ言わず、それなのに売れる、これこそが最大の理想郷。「本物」の称号を俺は恥ずかしげもなく狙い続けたい。
打ち上げはその場におるだけで気持ち良く、落ち着きを取り戻し、世の中の下らん事柄を洗い流す。目の前には確かに分かり合える男達がおり、気付けば2時前と相成る。
ところがそれがまるで夢だったかの様に本日、ご多分に漏れずダブルワーカー。俺は怒鳴り、回りにきっと不愉快な思いをさせとる事にはっきりと気付きながらも抑える事など出来そうにない。
そんな自分が嫌にもなるが、ご多分に漏れず歯止めなど利かん。俺はきっとどうしようもなく面倒臭い男なのだろう。
指図される事が心底好きじゃない。それが興味のない事なら尚更で、まして的を得てない指図なら尚更だ。
年を取れば取る程にその思いは強くなるばかり、ところが諦めの気配など残念ながら微塵もない。
こんな俺に残された道はたったの一つしかない。そう、完全独立だ。
こんな戯けた考えを抱いとる輩は腐る程おるかも知らん、きっと俺はその中の一人なのかも知らん。
そう、それならばまずその為にはお金を貯める必要がある。すなわち、企業にまんまと収まりせっせと働く必要がある。
嗚呼。
不況不況と喚かれても一番ピンときてないのは、何を隠そうこの俺なのかも知らん。
俺はこの部屋を愛しとる、誰にも指図されてない。
ライヴを愛しとる、誰にも指図されてない。
バーに出向く前、久方振りに映画を四本借りる。
さてバーを終え、愛しとる部屋に戻ればご多分に漏れず水道供給は停止、苦笑いは永遠に止む事がない。
バットしかし、水道がたったの一日止まっただけで水道のちゃんと出る家へ逃げ出す様な輩がもしも存在するとすれば俺はそいつに哀れで残念な気持ちを抱かずにはおれん。
ほら、俺には四本の映画がある、手もあり、ギターもあり、夢なら今にもはち切れんばかり。楽しむ手段ならいつだって選びきれん程にある。
「ドキュメンタリーフィルムを常に撮られてる気分で居られればそれだけで良い」のだ。
たった一日水道が止まる事が一体何だというのか。十日ならさすがに堪えるが一日二日ならむしろありがたい、想像力も増すぜと捉える。
明日は水道局、これに加え、重たい重たい腰を上げていよいよとある病院に出向く必要がある。何を隠そう、俺には訳の分からん病気の疑いさえあるのだ。人生は面白い、心配ない。小さい事から大きい事柄まで一つ一つ確実に片付けてやる。
保険証?あぁ、そんな大事なモノさえ俺は持ってないじゃないか。そんな訳で病院での俺の名はケンタロー23歳、どうぞ宜しく。
通常、断じて借りるモノでもない保険証なるハイカラ証明を貸してくれたケンタローに心底感謝します。
おい、俺はなんだかんだで結局何かと人に頼ってばかりじゃないか。何が完全独立だ、何が無頼派だ、なすび野郎とはつまる話、俺の事じゃないのか。オーマーシー、かかって来いよおい。
P.S ブコウスキー「勝手に生きろ」を久方振りに読み切る。一体何なんだと口に出さずにはおれんこのエンディング、もはや最高としか捉え様はない。バッドエンドでなく、ハッピーエンドな訳もなく、ビターエンドで収まる筈もない。そう、全くもっていわば「何でもない」のだ。そんな決まり事などファッキンベイビーの類い、もう一度書こう、最高以外のナニモノでもない。これを読んで何も感じんとしたら俺はそいつの事をモグリと呼ばざるをえんのではないか。
おぉ、俺の勝手な価値観が上からモノを申してしまいそうだ。
January 21, 2009
スタイリッシュにかかって来い ’09 其の二
朝、俺の部屋一直線に鳴り響く電気ドリルの轟音で目が覚める。「震度5強の地震でも起きん可能性が最も高い男」の名を欲しいままにする、そんな俺の強靭な睡眠をも堂々と突き破る轟音。
俺は冗談抜きで例の張り紙を貼った輩の気が狂い、電気ドリルなるハイカラ極まる武器を駆使し迫って来たのかと思い真剣に焦った。俺とした事が真剣に焦ってもうたがな状態。
俺はこの輩が目の前に現れた時、モデルガンを駆使してパンパン撃ってやる作戦を企てた。バットしかし、電気ドリルは反則違反ちゃうんけ、ちょっと待ったりーやである。
これは単なる何かの工事で俺の勘違いだった。ほぉ、俺はまた余計な事を考え過ぎたのだ。
ロードバイク跨り三軒茶屋、ご多分に漏れずレコードと本を漁り、部屋に戻りおまけみたいなベランダに目をやれば、丸め込まれた一枚の紙切れプラスアルファを発見するに至る、
おぉ!プリーズ・ギブ・ミー・チョコレート・サンキュー!!
このシチュエーションでは「石」を包んで投げつけてこそにも関わらず、やっこさん、御丁寧にもチョコレートを包み、ブコウスキー名ゼリフ「前例なんて破っちまおうぜ」に従ったのか否か、「チョコレートあげるから静かにしてよ」と言わんばかりにこちらを投げつけてきたのである(確かに張り紙が貼られた日、ベランダで音がした気がする)。
ウィットに富んだまさかの攻撃においら、やっこさんの事が不覚にも好きになりそうになってしまったぜ。
ところで、やっこさんが気が狂った様に申し立てる「ビービー」とは一体何なのか。「ジャンジャカ」なら察しもつこうというもの、「ビービー」では皆目検討もつかん。
とにかく俺は「前例なんて破っちまう」程のやかましさで過ごしとるつもりはない。
そんな訳で下から物を投げつけてくる辺り、何号室の輩かは判明した。俺の真下に住む「ド新人」の仕業だ。
俺はモデルガンに弾を詰め込み、ガスをパンパンに吹き込み、優作松田の如き体勢で待ち構えるに至ろう。
もしやって来た輩がファットでスキンヘッドで髭もじゃ野郎だったとしたら?だと?
そんなモン、ご多分に漏れず一目散に逃げるに至ろう。
まぁ、そんな「本物」がこんなセコイ手段を仕掛けてくる訳もないがな。
俺はやっこさんに人生において最も大事な事の一つを特別に伝えてやりたい、
「食べ物は投げるモンじゃないぜ、バットしかし、モデルガンは撃つモンなんだぜ」
パンパンッパンパンッ!!!
近年稀にみる小さな闘いは続く。
俺は冗談抜きで例の張り紙を貼った輩の気が狂い、電気ドリルなるハイカラ極まる武器を駆使し迫って来たのかと思い真剣に焦った。俺とした事が真剣に焦ってもうたがな状態。
俺はこの輩が目の前に現れた時、モデルガンを駆使してパンパン撃ってやる作戦を企てた。バットしかし、電気ドリルは反則違反ちゃうんけ、ちょっと待ったりーやである。
これは単なる何かの工事で俺の勘違いだった。ほぉ、俺はまた余計な事を考え過ぎたのだ。
ロードバイク跨り三軒茶屋、ご多分に漏れずレコードと本を漁り、部屋に戻りおまけみたいなベランダに目をやれば、丸め込まれた一枚の紙切れプラスアルファを発見するに至る、
おぉ!プリーズ・ギブ・ミー・チョコレート・サンキュー!!
このシチュエーションでは「石」を包んで投げつけてこそにも関わらず、やっこさん、御丁寧にもチョコレートを包み、ブコウスキー名ゼリフ「前例なんて破っちまおうぜ」に従ったのか否か、「チョコレートあげるから静かにしてよ」と言わんばかりにこちらを投げつけてきたのである(確かに張り紙が貼られた日、ベランダで音がした気がする)。
ウィットに富んだまさかの攻撃においら、やっこさんの事が不覚にも好きになりそうになってしまったぜ。
ところで、やっこさんが気が狂った様に申し立てる「ビービー」とは一体何なのか。「ジャンジャカ」なら察しもつこうというもの、「ビービー」では皆目検討もつかん。
とにかく俺は「前例なんて破っちまう」程のやかましさで過ごしとるつもりはない。
そんな訳で下から物を投げつけてくる辺り、何号室の輩かは判明した。俺の真下に住む「ド新人」の仕業だ。
俺はモデルガンに弾を詰め込み、ガスをパンパンに吹き込み、優作松田の如き体勢で待ち構えるに至ろう。
もしやって来た輩がファットでスキンヘッドで髭もじゃ野郎だったとしたら?だと?
そんなモン、ご多分に漏れず一目散に逃げるに至ろう。
まぁ、そんな「本物」がこんなセコイ手段を仕掛けてくる訳もないがな。
俺はやっこさんに人生において最も大事な事の一つを特別に伝えてやりたい、
「食べ物は投げるモンじゃないぜ、バットしかし、モデルガンは撃つモンなんだぜ」
パンパンッパンパンッ!!!
近年稀にみる小さな闘いは続く。
January 20, 2009
スタイリッシュにかかって来い ’09
先程目覚め、「210」、すなわち俺の愛すべき部屋のドアに堂々と貼られてあった一枚の紙切れを目の当たりにするに至る、
「てめーいいかげんにしろよ ビービーうるせーんだよ」
ヘッ?ボッボク?ごめんやんかー。
俺はこの紙に、
「哲学の哲に辞典の典/絶賛掲載中!!!」
などと一丁前に太字で書き殴り、書いた輩の部屋の扉に貼り返してやりたい、すなわち「初期衝動」に駆られるが、性質が悪い事にその輩が一体何号室に住んどるのかは分かったモンじゃない。
確かに昨日はギターを掻き鳴らした。歌も唄った。バットしかし、それは「昨日から」始まった事ではない。
この部屋の自慢は「各部屋それぞれ御自由に」がスローガンであると俺は信じて疑ってなかった。3年4ヶ月、こんな事は一度もなかった。
この輩は新人なのか、俺の「うるささ」に心底怒りを感じ、それでいてノートを御丁寧に千切り、その辺に置いてあったであろうマジックを手に取り、「てめーいいかげんにしろよ ビービーうるせーんだよ」などと関東弁丸出しで書き殴り、俺の部屋までトコトコ歩いてきて、その勢いのままにドアを「おい、てめーいいかげんにしろよ!!出て来いよ!」とゴンゴンと叩きさえすれば御対面出来るものの、俺の部屋前でマニュアル通り立ち止まり、ヒップな唄声が聴こえるであろう中、ビニールテープを用いて静かに静かにこの紙を貼り、そのまま自分の部屋へ舞い戻ったのだ。
おぉ!「矛盾は永遠のテーマだね」とは君の事だね!
「ここで俺が叫んだら、近隣にも迷惑掛けるしな」などといった周りに対する配慮からそういった行動をとったのか。
いや、このスタイリッシュの欠片もない文面からしてそこまで頭が回るとは到底考え難い。
「貴様!誰に向かってヌカしとんねん!!」と怒鳴り散らす程に俺は自惚れてもないし、もし実際来たとして、悪いのがほんまに俺だとしたら俺は素直にその場は謝るだろう。
相手が誰かも分からず、敵にもならず困難。スタイリッシュ、紳士の粋を微塵も持ち合わせてない輩。
近年稀にみる小さな闘い。
ところがどっこいすっとこどっこい、今後、実際にこの輩が俺の部屋に来たとして、俺は鬼の形相で怒り狂う事が出来るか、というのは不明である。俺に多少の「非」がある以上、それを棚に上げて怒り狂うのは何ともむずがゆい。
神経質が服着て歩く男このワタシ、スタイリッシュの欠片、ある、ある。
最後に。
おい貴様、お前東京育ちか?都会育ちか?
そうじゃなかったら心底哀れむぜ。
東京育ちでもない輩が、
「てめーいいかげんにしろよ ビービーうるせーんだよ」
これは笑うぜ。
ド田舎者ならド田舎者らしく、
「おみゃーええかげんにせーや ジャンジャカうるさいっちゃ ほんまに」
って書けよ。それが礼儀だ。そしたら俺は一目置く、置いてやるぜ。
ド田舎者の誇りを見せてみろ。
ともあれお陰で一編書けたな、ナスビ野郎にありがとうを伝えたい。
お礼にライヴに招待するよ(へっ?いらんの?)。
ライヴにおいて「心ある野次」をいつだって望む男このワタシ、「心ない野次」にはさよならを。
「てめーいいかげんにしろよ ビービーうるせーんだよ」
ヘッ?ボッボク?ごめんやんかー。
俺はこの紙に、
「哲学の哲に辞典の典/絶賛掲載中!!!」
などと一丁前に太字で書き殴り、書いた輩の部屋の扉に貼り返してやりたい、すなわち「初期衝動」に駆られるが、性質が悪い事にその輩が一体何号室に住んどるのかは分かったモンじゃない。
確かに昨日はギターを掻き鳴らした。歌も唄った。バットしかし、それは「昨日から」始まった事ではない。
この部屋の自慢は「各部屋それぞれ御自由に」がスローガンであると俺は信じて疑ってなかった。3年4ヶ月、こんな事は一度もなかった。
この輩は新人なのか、俺の「うるささ」に心底怒りを感じ、それでいてノートを御丁寧に千切り、その辺に置いてあったであろうマジックを手に取り、「てめーいいかげんにしろよ ビービーうるせーんだよ」などと関東弁丸出しで書き殴り、俺の部屋までトコトコ歩いてきて、その勢いのままにドアを「おい、てめーいいかげんにしろよ!!出て来いよ!」とゴンゴンと叩きさえすれば御対面出来るものの、俺の部屋前でマニュアル通り立ち止まり、ヒップな唄声が聴こえるであろう中、ビニールテープを用いて静かに静かにこの紙を貼り、そのまま自分の部屋へ舞い戻ったのだ。
おぉ!「矛盾は永遠のテーマだね」とは君の事だね!
「ここで俺が叫んだら、近隣にも迷惑掛けるしな」などといった周りに対する配慮からそういった行動をとったのか。
いや、このスタイリッシュの欠片もない文面からしてそこまで頭が回るとは到底考え難い。
「貴様!誰に向かってヌカしとんねん!!」と怒鳴り散らす程に俺は自惚れてもないし、もし実際来たとして、悪いのがほんまに俺だとしたら俺は素直にその場は謝るだろう。
相手が誰かも分からず、敵にもならず困難。スタイリッシュ、紳士の粋を微塵も持ち合わせてない輩。
近年稀にみる小さな闘い。
ところがどっこいすっとこどっこい、今後、実際にこの輩が俺の部屋に来たとして、俺は鬼の形相で怒り狂う事が出来るか、というのは不明である。俺に多少の「非」がある以上、それを棚に上げて怒り狂うのは何ともむずがゆい。
神経質が服着て歩く男このワタシ、スタイリッシュの欠片、ある、ある。
最後に。
おい貴様、お前東京育ちか?都会育ちか?
そうじゃなかったら心底哀れむぜ。
東京育ちでもない輩が、
「てめーいいかげんにしろよ ビービーうるせーんだよ」
これは笑うぜ。
ド田舎者ならド田舎者らしく、
「おみゃーええかげんにせーや ジャンジャカうるさいっちゃ ほんまに」
って書けよ。それが礼儀だ。そしたら俺は一目置く、置いてやるぜ。
ド田舎者の誇りを見せてみろ。
ともあれお陰で一編書けたな、ナスビ野郎にありがとうを伝えたい。
お礼にライヴに招待するよ(へっ?いらんの?)。
ライヴにおいて「心ある野次」をいつだって望む男このワタシ、「心ない野次」にはさよならを。
January 17, 2009
麗しのスリル・トリップ
バーを終え、部屋のドアを開ける前に両手を合わせて強く願う。
緊張の面持ちで電気のスイッチをポチッとやる。
点いた、点いたぞハニー!!
俺は誰もおらん部屋の中であまりにもストレートな言葉を吐くに至る、
「ラッキー、ラッキーやんけこれ!」
電気がいつ止まるかも分からん生活、スリル・トリップ。
俺の部屋は全て電気、すなわちおいら、電気にあまえてばかりのあん畜生。
結局、何かに頼ってないと生活がままならず困難。
俺はまだまだアマイな。
電気一つ止まればコーヒーは飲めず、シャワーなど夢のまた夢、読書灯が灯る訳もなく、BGMなど静寂、パソコン?戯け野郎!近未来の遥か彼方。
俺はとりあえず安堵の表情に包まれ、読書灯を灯しブコウスキー「ポストオフィス」を読み返し、「暖房」なるハイカラ極まる装置の電源をオンにしたまま、知らん間に眠りに就いてしまった。
俺はアマイな。
電気代を払える目途はない。いつ止まるか分かったモンじゃない。
唄って稼いだお金を電気代に使う事は避けたい。
俺は堅いな。
スリル・トリップ、いつか必ず笑い話。
緊張の面持ちで電気のスイッチをポチッとやる。
点いた、点いたぞハニー!!
俺は誰もおらん部屋の中であまりにもストレートな言葉を吐くに至る、
「ラッキー、ラッキーやんけこれ!」
電気がいつ止まるかも分からん生活、スリル・トリップ。
俺の部屋は全て電気、すなわちおいら、電気にあまえてばかりのあん畜生。
結局、何かに頼ってないと生活がままならず困難。
俺はまだまだアマイな。
電気一つ止まればコーヒーは飲めず、シャワーなど夢のまた夢、読書灯が灯る訳もなく、BGMなど静寂、パソコン?戯け野郎!近未来の遥か彼方。
俺はとりあえず安堵の表情に包まれ、読書灯を灯しブコウスキー「ポストオフィス」を読み返し、「暖房」なるハイカラ極まる装置の電源をオンにしたまま、知らん間に眠りに就いてしまった。
俺はアマイな。
電気代を払える目途はない。いつ止まるか分かったモンじゃない。
唄って稼いだお金を電気代に使う事は避けたい。
俺は堅いな。
スリル・トリップ、いつか必ず笑い話。
December 29, 2008
されど三日間で感じる事柄
’08.12.25(木)~27(土)
25日から28日明け方までの丸三日間、俺には自分を捨てる必要があった。ヒートウェイヴのワンマンもグルーヴァーズのワンマンも竹原ピストル氏のワンマンも観逃し、ギターを弾く事も本を開くこともなかった。そしてその三日間の渦中はそんな事すら忘れてしまった。自分の今後について考え続けた。無論、今となっては良い経験をしたぞと捉える事も出来る。
18歳から19歳の時、新聞配達ーレンタル屋ーパチンコ屋、このローテーションを日々繰り返した。東京に出て来る為に120万円貯めようと意気込んだ。音楽を演る為に東京に行くのに、お金に困って関係ない仕事に追われとる様じゃ、本末転倒も甚だしいぞと意気込んだ。20歳の誕生日を記念すべき上京日と定めた。様々な障害を乗り越えお金は貯まった。「コイツは缶ジュースも買わんケチな奴だ」と言われ続けた。冷蔵庫のジュースが減っとると決まって「アイツ飲みやがったな」と俺のせいにされた。知ったこっちゃあるか阿呆、俺はそんな風に言われる事を誇りに思い続けた。面白過ぎると思った。俺は俺の確固たるポジションを築いたぞと笑った。
その時、時給1000円のパチンコ屋一本で長い時間働いとけば、お金も体も多少は楽だったかも知らん。なんせ新聞配達は週5日で2万円弱、レンタル屋は時給700円程度だった。
「なんでパチンコ屋だけにしないの?」と問われ続けた。俺は好きな事もやりながらお金を稼いでやるぜと息巻いた。新聞配達はただの意地だけだったが、レンタル屋ではお金に捉われんプラスになる事を求め続けた。一つに縛られず、好きな事もキープしながら、それでいてお金を貯めようとして朝から晩まで働いとる自分を「間違ってないぞ」と思わせ続けた。
新聞配達所のおっさんに言われた、「お前、高校卒業したらどうするんや?」。
「アルバイトをしてお金を貯めて東京に行きます」と答えるとハナで笑われて散々馬鹿にされた。俺は新聞を配りながら泣いた。理解されん悔しさを嘆いて泣いた。俺は精神が今よりもきっと格段に弱かったのだ。
バットしかし、お前に俺の人生を決められて堪るかと強く思った。俺はそんな事を言う大人にはならんぞと誓った。
この三日間、その時の状況を何度か思い出した。結局、東京でもお金に追われて、それでいてお金に捉われず好きな事もやってやるぜのこの状況。何年後かに今の状況を思い返せば、18歳か19歳の頃の事を思う様に「やっぱり間違ってなかったがな」と必ず思える気がしてならん。
昨晩、大忘年会。怒号、労いの言葉の中でお金に捉われず働いた。気が狂う忙しさを面白く感じた。「おいおい、俺もまずまず頑張っとるんちゃうんけ」と思った。夜中を過ぎた辺りからバーはダンスパーティと化した。店中、皆でツイスト踊るダンスパーティ。ビートルズを回し続け、俺は喜んでDJを買って出た。「こういうの得意分野なんで任してくれんですかい」と買って出た。イントロが流れる度に客は沸いた。それはビートルズの手柄であり、俺の手柄では微塵もないが、それでも嬉しく感じた。「おっと、俺は今まさにお金に捉われず良い経験しとるんちゃうんけ」とワクワクした。そうとなればまさかのハイテンション、ヘロヘロの足を引っ提げて俺も適当なダンスを踊った。
ビートルズの素晴らしさを改めて思い知る。人を自然と踊り狂わす音楽。今後、ビートルズを聴く度、俺はこのクレイジーな夜を毎回思い出す事になる。
明け方6時以降はジェイムス・ブラウンに変更。踊る酔いどれ天使達。
閉店後、BGMはトム・ウェイツ「クロージング・タイム」。これ以外に一体何が考えられるのか。働いた三人の男は健闘を称え合い、労った。たかが三日間、されど三日間をどうにかこうにかやり切ってやったぞと俺は清々しさすら覚えた。
今後どうなるかなど知ったこっちゃない。全く違う道に行ったとしても俺は俺にとってプラスになる事だけをやり続けよう。そう、死ぬ時に笑える為にな。
誰かの意見などまるで重要じゃない。誰かの為じゃなく、俺は俺の為に生きとる。
25日から28日明け方までの丸三日間、俺には自分を捨てる必要があった。ヒートウェイヴのワンマンもグルーヴァーズのワンマンも竹原ピストル氏のワンマンも観逃し、ギターを弾く事も本を開くこともなかった。そしてその三日間の渦中はそんな事すら忘れてしまった。自分の今後について考え続けた。無論、今となっては良い経験をしたぞと捉える事も出来る。
18歳から19歳の時、新聞配達ーレンタル屋ーパチンコ屋、このローテーションを日々繰り返した。東京に出て来る為に120万円貯めようと意気込んだ。音楽を演る為に東京に行くのに、お金に困って関係ない仕事に追われとる様じゃ、本末転倒も甚だしいぞと意気込んだ。20歳の誕生日を記念すべき上京日と定めた。様々な障害を乗り越えお金は貯まった。「コイツは缶ジュースも買わんケチな奴だ」と言われ続けた。冷蔵庫のジュースが減っとると決まって「アイツ飲みやがったな」と俺のせいにされた。知ったこっちゃあるか阿呆、俺はそんな風に言われる事を誇りに思い続けた。面白過ぎると思った。俺は俺の確固たるポジションを築いたぞと笑った。
その時、時給1000円のパチンコ屋一本で長い時間働いとけば、お金も体も多少は楽だったかも知らん。なんせ新聞配達は週5日で2万円弱、レンタル屋は時給700円程度だった。
「なんでパチンコ屋だけにしないの?」と問われ続けた。俺は好きな事もやりながらお金を稼いでやるぜと息巻いた。新聞配達はただの意地だけだったが、レンタル屋ではお金に捉われんプラスになる事を求め続けた。一つに縛られず、好きな事もキープしながら、それでいてお金を貯めようとして朝から晩まで働いとる自分を「間違ってないぞ」と思わせ続けた。
新聞配達所のおっさんに言われた、「お前、高校卒業したらどうするんや?」。
「アルバイトをしてお金を貯めて東京に行きます」と答えるとハナで笑われて散々馬鹿にされた。俺は新聞を配りながら泣いた。理解されん悔しさを嘆いて泣いた。俺は精神が今よりもきっと格段に弱かったのだ。
バットしかし、お前に俺の人生を決められて堪るかと強く思った。俺はそんな事を言う大人にはならんぞと誓った。
この三日間、その時の状況を何度か思い出した。結局、東京でもお金に追われて、それでいてお金に捉われず好きな事もやってやるぜのこの状況。何年後かに今の状況を思い返せば、18歳か19歳の頃の事を思う様に「やっぱり間違ってなかったがな」と必ず思える気がしてならん。
昨晩、大忘年会。怒号、労いの言葉の中でお金に捉われず働いた。気が狂う忙しさを面白く感じた。「おいおい、俺もまずまず頑張っとるんちゃうんけ」と思った。夜中を過ぎた辺りからバーはダンスパーティと化した。店中、皆でツイスト踊るダンスパーティ。ビートルズを回し続け、俺は喜んでDJを買って出た。「こういうの得意分野なんで任してくれんですかい」と買って出た。イントロが流れる度に客は沸いた。それはビートルズの手柄であり、俺の手柄では微塵もないが、それでも嬉しく感じた。「おっと、俺は今まさにお金に捉われず良い経験しとるんちゃうんけ」とワクワクした。そうとなればまさかのハイテンション、ヘロヘロの足を引っ提げて俺も適当なダンスを踊った。
ビートルズの素晴らしさを改めて思い知る。人を自然と踊り狂わす音楽。今後、ビートルズを聴く度、俺はこのクレイジーな夜を毎回思い出す事になる。
明け方6時以降はジェイムス・ブラウンに変更。踊る酔いどれ天使達。
閉店後、BGMはトム・ウェイツ「クロージング・タイム」。これ以外に一体何が考えられるのか。働いた三人の男は健闘を称え合い、労った。たかが三日間、されど三日間をどうにかこうにかやり切ってやったぞと俺は清々しさすら覚えた。
今後どうなるかなど知ったこっちゃない。全く違う道に行ったとしても俺は俺にとってプラスになる事だけをやり続けよう。そう、死ぬ時に笑える為にな。
誰かの意見などまるで重要じゃない。誰かの為じゃなく、俺は俺の為に生きとる。
December 24, 2008
「心の友達」 vol.1
夜はすっかり明けて、いつの間にか日は昇りきった。先程起床の、毎日「やっちまった」をぼやく戯けた男このワタシ、パサパサの喉を潤す為に一気に飲み干す。
何を?などと野暮な事を聞くのは止めろよ、「マミー」だよ、マミー。そう、赤ちゃんから大人までの喉を潤すヒップ極めた飲料。
二十一歳位の時、誰かに言われたな、
「なっ?何食べてんすか?アッ?アイスクリーム?似合わないですよ!」。
おい、食べ物に似合うも似合わんもあるのか。俺は聞いた、
「ほな俺、何食べたらええねん?」。
一歳下の男は即座に答えた、
「味噌汁ですよ、ミソシル!!」。
あの時、確かに笑い転げた。SKAのDJだったアイツ、元気かな。SKAとNIRVANAを組み合わせた様な曲を作ってくれと言われて、若林の四畳半の部屋でそいつの前で作った「CRAZY DYNAMITE 5」。ベース弾いて、ギター何本も被せて、ドラム打ち込んでって光景、何時間もアイツ見とったな。
このインストゥルメンタルはSEで何度か使ったし、今後も使いたいと思っとる。
部屋が目と鼻の先だった。俺はコイツの部屋で「bowling-strikers」ステッカーを作ってもらった。そのステッカーは何枚もレコードプレーヤーに貼り付けてある。
急に仕事(ジーンズメイト)来ん様になって部屋まで迎えに行った。鍵閉まっとって、裏から配水管か何かにしがみついて2階の部屋までよじ登った。窓の鍵は開いたままで、俺は真剣に死んどるんじゃないかと思って心臓バクバクさせながら風呂場まで覘いた。
そいつ結局何かやらかして警察に捕まっとって、それが理由で実家に帰った。
ウィットに富んどる人生。暫らくして手紙とTシャツが送られてきた。
「今は古着屋で働いてます。その店であんたから貰ったCDたまに流してます。BEGIN最高ですね。好きそうなTシャツ見つけたので送ります」。
当時、「俺にもDJやらせてくれや」と選曲したCDを作って渡した。SKAだけじゃなくてこういうのもアリなんちゃうんけと邦楽を中心に選曲した。無論、「CRAZY DYNAMITE 5」も入れた。織田裕二にもSKAの曲あるぞと笑った。それは入れんかった。そしてTシャツはイカした50年代のアメ車がデカデカとプリントされた一品だった。俺はあまりに嬉しくて部屋の壁にTシャツを貼り付けた。こんな友達がおる事が誇らしかった。
ウィットに富んどる人生。アイツ元気かな。どうせ今日も目の色変えてレコードでも漁っとるんやろ。
今、連絡はまるで取れん。でもきっとまたいつか会えるな。
その時はリトルリチャードのCD、ええ加減返せよ。
何を?などと野暮な事を聞くのは止めろよ、「マミー」だよ、マミー。そう、赤ちゃんから大人までの喉を潤すヒップ極めた飲料。
二十一歳位の時、誰かに言われたな、
「なっ?何食べてんすか?アッ?アイスクリーム?似合わないですよ!」。
おい、食べ物に似合うも似合わんもあるのか。俺は聞いた、
「ほな俺、何食べたらええねん?」。
一歳下の男は即座に答えた、
「味噌汁ですよ、ミソシル!!」。
あの時、確かに笑い転げた。SKAのDJだったアイツ、元気かな。SKAとNIRVANAを組み合わせた様な曲を作ってくれと言われて、若林の四畳半の部屋でそいつの前で作った「CRAZY DYNAMITE 5」。ベース弾いて、ギター何本も被せて、ドラム打ち込んでって光景、何時間もアイツ見とったな。
このインストゥルメンタルはSEで何度か使ったし、今後も使いたいと思っとる。
部屋が目と鼻の先だった。俺はコイツの部屋で「bowling-strikers」ステッカーを作ってもらった。そのステッカーは何枚もレコードプレーヤーに貼り付けてある。
急に仕事(ジーンズメイト)来ん様になって部屋まで迎えに行った。鍵閉まっとって、裏から配水管か何かにしがみついて2階の部屋までよじ登った。窓の鍵は開いたままで、俺は真剣に死んどるんじゃないかと思って心臓バクバクさせながら風呂場まで覘いた。
そいつ結局何かやらかして警察に捕まっとって、それが理由で実家に帰った。
ウィットに富んどる人生。暫らくして手紙とTシャツが送られてきた。
「今は古着屋で働いてます。その店であんたから貰ったCDたまに流してます。BEGIN最高ですね。好きそうなTシャツ見つけたので送ります」。
当時、「俺にもDJやらせてくれや」と選曲したCDを作って渡した。SKAだけじゃなくてこういうのもアリなんちゃうんけと邦楽を中心に選曲した。無論、「CRAZY DYNAMITE 5」も入れた。織田裕二にもSKAの曲あるぞと笑った。それは入れんかった。そしてTシャツはイカした50年代のアメ車がデカデカとプリントされた一品だった。俺はあまりに嬉しくて部屋の壁にTシャツを貼り付けた。こんな友達がおる事が誇らしかった。
ウィットに富んどる人生。アイツ元気かな。どうせ今日も目の色変えてレコードでも漁っとるんやろ。
今、連絡はまるで取れん。でもきっとまたいつか会えるな。
その時はリトルリチャードのCD、ええ加減返せよ。
November 12, 2008
俺と外国人四人組と下北沢の風情物語
煙草の味でいつも分かる。何かが違うのが俺には分かる。すなわち、まんまと風邪ひいちゃったのかも人間このワタシ、とにかく寒い。
気分で表せば、襟の長いボロボロのトレンチコートをスナック感覚で羽織りたい心境。
ところでバー、22時半まで客は来ず。俺は地下から地上に出て様子を窺う。
その瞬間、外国人四人組、バーの看板を指差しながら、バーの売り文句を口にする。
「ホァッツ?ヒップミュージックアンドサムシング??レッツゴー!!」
俺の横を通り抜け地下に降りて行く四人組。
そこで、「ワォ!えらいのが来たでー」と思わざるをえん男このワタシ、英語能力ゼロ&体調不備有。これはややこしい。バットしかし焦る事など何一つない。ここは日本、流暢な日本語で、お澄まし顔で「いらっしゃいませー!」と告げればそれで良いのだ。
男前推定アメリカ人がまず俺に問う、
「チャージアリマスカ?」。
突然の来客、四対一、目を泳がせ告げるは
「チャージ?ノー!オーケー?」。
「ワー、アリガット!!」。
ここは東京、外国人に合わせる必要などどこにもない。
バットしかし苦笑いで告げるは
「メニュードウーゾ」。
これは危険、飲み込まれるぞ。
何とかメニューを聞き、お酒を出す。
おー、話がしてみたくなる。例えば「こちとら英語出来まんねん」顔で、
「ホェアードゥユーフロム?」。
緊張が走る。その答えが返って来たとて、次の返事を俺は用意出来そうにない。
四人組は俺に問う、何かと問う。
「コノCDハナンデスカ?」
「ソレミセテモラッテイイデスカ?」
「コノビデオハナンデスカ?」。
「ヘヘッ、コッコレ、コレデスヨ」一点張り人間このワタシ、飲み込まれるぞ。
帰り際、一人が言う、
「ワタシタチハイマシモキタザワニスンデマス」。
おーほんまか。ここで「ミートゥ」でもスラッと出ればスタイリッシュも板につくが、俺は残念ながらそんなにスタイリッシュ野郎ではない。
「俺は日本人」顔で堂々と告げる、
「また来て下さいよ!」。
「ワタシハディビット、アナタハイツモイマスカ?」
いつもはおらんが、その説明をするには難易度が高過ぎるが故にこう告げる、
「いつもいます、高といいます」。
そこでディビット、
「タカト?ハジメマシテ!」。
おぉ、まずい!!飲み込まれるぞ。
訂正する術を知らん男このワタシ、ヒキツリ笑いで、よし、この場はタカトでいったろうと悟る。
どこで覚えたかカタコトの礼儀正しい日本語を喋る四人組はシモキタザワに消えた。
和の心を持つ外国人、そこらの馬鹿よりよっぽど純粋で大事なモノを持っとる。
また会いたい、怯む事はない。
気分で表せば、襟の長いボロボロのトレンチコートをスナック感覚で羽織りたい心境。
ところでバー、22時半まで客は来ず。俺は地下から地上に出て様子を窺う。
その瞬間、外国人四人組、バーの看板を指差しながら、バーの売り文句を口にする。
「ホァッツ?ヒップミュージックアンドサムシング??レッツゴー!!」
俺の横を通り抜け地下に降りて行く四人組。
そこで、「ワォ!えらいのが来たでー」と思わざるをえん男このワタシ、英語能力ゼロ&体調不備有。これはややこしい。バットしかし焦る事など何一つない。ここは日本、流暢な日本語で、お澄まし顔で「いらっしゃいませー!」と告げればそれで良いのだ。
男前推定アメリカ人がまず俺に問う、
「チャージアリマスカ?」。
突然の来客、四対一、目を泳がせ告げるは
「チャージ?ノー!オーケー?」。
「ワー、アリガット!!」。
ここは東京、外国人に合わせる必要などどこにもない。
バットしかし苦笑いで告げるは
「メニュードウーゾ」。
これは危険、飲み込まれるぞ。
何とかメニューを聞き、お酒を出す。
おー、話がしてみたくなる。例えば「こちとら英語出来まんねん」顔で、
「ホェアードゥユーフロム?」。
緊張が走る。その答えが返って来たとて、次の返事を俺は用意出来そうにない。
四人組は俺に問う、何かと問う。
「コノCDハナンデスカ?」
「ソレミセテモラッテイイデスカ?」
「コノビデオハナンデスカ?」。
「ヘヘッ、コッコレ、コレデスヨ」一点張り人間このワタシ、飲み込まれるぞ。
帰り際、一人が言う、
「ワタシタチハイマシモキタザワニスンデマス」。
おーほんまか。ここで「ミートゥ」でもスラッと出ればスタイリッシュも板につくが、俺は残念ながらそんなにスタイリッシュ野郎ではない。
「俺は日本人」顔で堂々と告げる、
「また来て下さいよ!」。
「ワタシハディビット、アナタハイツモイマスカ?」
いつもはおらんが、その説明をするには難易度が高過ぎるが故にこう告げる、
「いつもいます、高といいます」。
そこでディビット、
「タカト?ハジメマシテ!」。
おぉ、まずい!!飲み込まれるぞ。
訂正する術を知らん男このワタシ、ヒキツリ笑いで、よし、この場はタカトでいったろうと悟る。
どこで覚えたかカタコトの礼儀正しい日本語を喋る四人組はシモキタザワに消えた。
和の心を持つ外国人、そこらの馬鹿よりよっぽど純粋で大事なモノを持っとる。
また会いたい、怯む事はない。
June 24, 2007
急に色んな事を思い出した
2000年12月13日~14日、俺は寝台特急に荷物を山の様に積み込み東京へと出て来た。4畳半の部屋に転がり込み、俺はトランクスを一ヶ月間穿きかえる事なく過ごす生活をした。代えのパンツはあるにはあったが、そうした。そうしたかった。そうする事に魅力を感じた。ある日、スーツを着て警備の仕事に行った時、見ず知らずの人が俺の肩をはたいた。スーツに付いたフケをはたいた。はたいてくれた。あの人の気持ちがどんなだったか俺には分からんが、申し訳なさと嬉しさが同居した。東京に来て初めての夏、俺は扇風機もなく過ごした。扇風機を買うお金位は多分あった。扇風機を使わん夏に魅力を感じた。心配なのは体ではなく、ギターのネックが反らんかどうかだった。こんな事を書いて誰が得するとも思わんが、俺はその頃の事をとても宝に思っとる。現在、生活は以前に比べれば格段良くなった。シャワーがあり、扇風機があり、電気コンロがある。人はどこまでも欲張りになる。しかし俺はその頃の気持ちを一生忘れる事なく持ち続けたいと強く思っとる。
June 08, 2007
カリプソを踊れ
仕事のやり方にいくら不満を洩らして文句を言っても、俺には「朝が弱い」という最大の欠点がある。この点、言い返す事など出来ず「すいません、ごめんなさい」などと告げる事になる。このバランス感覚、何とも言えん。しかし、歴史は夜作られるとは上手い事言ったモンで、夜はなかなか手強いこのワタシ。とにかく今日は休んだ。玄関ドアにはさまれた、大家からの「至急振り込んで下さい」と赤字で書かれた紙切れ。素直にそうしようと思う。2時間以上散歩に出掛けた。そう、サンダル履いて。ポケットにカメラ、本、入れて。レコードを漁り、本屋を覘く。「マイルス・デイビス自叙伝」をええ加減読みたいが、見つからん。カリプソ踊りたい程陽気な天気で、すっかり休日。俺は間違っとるのか。近所の広場で村上龍を読んだ帰り道、タトゥー満載男が俺の真横にバイクをつける(心配するな、友達だ)。そう、この男も本日、「仕事を休んだ派」だったのだ。ベンチに座り込み、話をした後、すぐ近くの俺の部屋までバイクで二人乗りをする。俺のヘルメットはいつもの帽子。そう、開放的な夏はすぐ其処まで来とるのだ。
P.S BGMは吉田拓郎。そして明日はロックの日。
P.S BGMは吉田拓郎。そして明日はロックの日。
May 19, 2007
喜怒哀楽な男でごめんね
俺は人間が出来てないんか。朝、起き上がった瞬間から気分は悪い。それは、低血圧のせいではなく、ただ機嫌が悪い。勝手に怒鳴る。怒鳴って我に返る。我に返るが、やっぱり機嫌は悪い。お金を稼ぐ為だけに、そして意地も手伝い部屋を出る。当たり前の事か。研修。訳の分からん「新人」、このワタシ。しかし午前中、謎は解けた。「研修」、それはただただかっこつけの言い回しで、単純明快な事を、さも難しい事であるかの様にごじゃごじゃとぬかし、勝手に誰かが決めた専門用語を並べる説明書の様なモン。用件だけさっさと説明して、俺に仕事をやらせろ。やらせてみろ。「百聞は一見にしかず」、実際やってみて疑問があればその都度聞けばええ。実践した方がよっぽど早いし、その場で疑問を解決していった方がよっぽど憶えやすい。俺は読めん漢字はあるか知らんが、頭は悪くない。「やり方」に関して、お前等よりは少なくとも頭は悪くない。何でこんな単純な事が分からんのか。遠回し遠回しで説明だけして、結局やる事といえば、単純明快。あんな教え方で、頭角を現す奴が出てくるとはとても思えん。もし現れるとしたら、それはマニュアル人間以外の何者でもない。俺ならこうする、ぱぱっと要点だけ説明し、「この紙読みながらな、とりあえず電話してみてや。で、分からん事あったらその都度言うてや」。これだけで充分。その方がよっぽど伸びるんじゃないか。嗚呼、偉くなりたい。訳の分からん考えを根本から引っ繰り返してやりたい。そしてようやく実践。早いねと周りは言う。早いのは俺じゃなく、遅いのがお前等じゃ。俺は難しい人間なんか。こんなしょうもない事で俺の「やり方」が潰されて堪るか。仕事に疲れるより、そのあほらし加減に疲れる。無駄な疲労感。休憩時間も一時間、ただただ文句を吐き散らす。俺は頭がイカレてしまうんじゃないか。でも、一つだけ言っとく。イカレとるのは俺じゃなく、狂っとるのは一般人と呼ばれる輩じゃ。ふて腐れた顔して、周りにもきっと迷惑をかけとる気がする。それは良くない事だと分かる。それなら一人の方が良い。帰り際、エレベーターを待っとる時、ただ感情を抑えきれず、ビルの壁を思い切り蹴った。意識する前に足が出た。初期衝動。壁には大きな穴が開いた。開いてしまった。しかし、その場では我に返る事もなく、もう何がなんか分からず、ただ歩いた。早足で歩いた。一刻も早く部屋に戻りたかった。好きな事が自由に出来る、愛すべき部屋に。ラム酒をジンジャエールで割って呑み干し、顔を赤くした。今、この場で二つ謝りたい。帰り道、人混みの中、歩き煙草をした。いつもは嫌という程周りを気遣うが、すれ違った人の顔に煙がかかった気がした。気がしただけかも知れんが、俺はその事についてはすぐ後悔した。もう一つは、壁に穴を開けた。「物を誰より大事にする」精神が聞いて呆れる。この先どうなるか、そんな事知ったこっちゃない。俺よりも大変な奴なんか多分いくらでもおるのに、俺は我儘者か。自分の事で精一杯。
小さな事で大いに喜んだり 些細な事で蹴散らしてやったり
優しくされて淋しさ込み上げたよ それでも楽しい夜を過ごしたい
喜怒哀楽な男でごめんね ごめんね
普通な事が普通じゃなくなって 普通じゃない事が普通になりつつある
普通の定義が何か知らんけど おいらはおいらのままでいれば良い
単純明快な男でごめんね ごめんね
これ、唄いたい。嗚呼、旅に出たい。
P.S 拝啓・オグリ昌也殿、新しい仕事に馴染む事は出来たかい?企画は心から楽しめるモノにしてやろうぜ。
小さな事で大いに喜んだり 些細な事で蹴散らしてやったり
優しくされて淋しさ込み上げたよ それでも楽しい夜を過ごしたい
喜怒哀楽な男でごめんね ごめんね
普通な事が普通じゃなくなって 普通じゃない事が普通になりつつある
普通の定義が何か知らんけど おいらはおいらのままでいれば良い
単純明快な男でごめんね ごめんね
これ、唄いたい。嗚呼、旅に出たい。
P.S 拝啓・オグリ昌也殿、新しい仕事に馴染む事は出来たかい?企画は心から楽しめるモノにしてやろうぜ。
May 18, 2007
感情
何時まで慣れん仕事を繰り返すんか。今朝、部署異動になった仕事にはとても行く気になれず、嫌気がさして叫んだ。自分の為と言い聞かせ、重い足取りで仕事に向かう途中、色んな事を思い出した。俺は何も変わってないし、これからも変わらん気がする。19歳の時、東京に出る事だけを目的に3つの仕事を掛け持ちでやった。1日の始まり、新聞配達に行く前、俺は「東京に行く」というはっきりとした目的を掲げとるにも関わらず、「今日も仕事で塗り潰されるんか」と夜までの事を想像し、「だるい、だるい」と繰り返した。「だったら行きなさんな!鬱陶しいなぁ!」とお母さんは怒鳴った。ごもっともだと思いつつも、俺はぶつくさ言い続けた。東京に出てきて、三軒茶屋のパチンコ屋で働いとる時、出勤時間に間に合わん時間に目覚めた俺は、時間に縛られとる自分に苛立ち、そして、ちゃんと起きれんかった自分が悪いのを棚に上げ、部屋の壁を叩き蹴りながら暴れた。壁に大きな穴があいて我に返った。派遣会社の言いなりで、電車を何本も乗り継ぎ、1時間以上かけ鎌田のパチンコ屋へ行っとる時、「好きな事出来るのはこの生活のおかげ」という事を棚に上げ、「俺はこんな事しに東京来たわけじゃないんじゃ!」と勝手に怒鳴った。数え上げればきりがない程、勝手に暴れた。きっと色んな人に迷惑を掛けた。疲れた振りがしたい訳じゃない。ただ、感情が抑えきれん。俺は精神が伴ってないんか。何時まで慣れん仕事を繰り返すんか。部署異動になった仕事場はとても気が滅入った。唯一の望みは、異動する前同じ部署だった友達が何人かおるだけで(それは大きな事ではあるが)、仕事はまた全くのゼロからだった。訳の分からん「新人」だった。「今ここで抜け出したらどうなるか」などとばかり考えた。研修。好きな事をやる為には、好きじゃない事も学ばんといかんのか。やっぱりそうか。分かってもないクセに、さも分かった様な振りをして「はい、はい」と頷く。それは俺にとって帳尻合わせのトーク同様、気が滅入る。まるで適応性がない様に思える。また、適応して堪るか、と思ったりもする。周りの奴等は平気なんか。それとも平気な振りをしとるだけか。俺は時に、割り切る事も出来ん様になってしまう。教えてくれる人に悪気はない。でもあの人は俺の事をどう思うか。眠たい顔して、眉間にシワよせて、質問にも答えず苦笑いしかせん男の事を。逆の立場ならどうする?「お前もう帰れ!」とか何とか言ったりするんじゃないか。俺は自分勝手か。とにかくどこに行っても適応する事がない。とても周りの奴と他愛もない事を話す気にはなれん。仕事があったらあったで、なかったらなかったでぶつくさ言ってしまう。帰り道、持っとる傘を人混みの中で振り回したい衝動に駆られた。初期衝動。身も蓋もないので、抑えた。ラム酒とビールを手に入れて部屋に戻った。歩くのがやっとだった。部屋に戻った時、「帰ったぞ!俺は帰ったぞ!」と気狂いの様に叫んだ。喜びを噛み締めた。仕事場におる時間よりも長く、好きな事がやりたかった。しかし。ラム酒をストレートティーで割って呑み、クッキーを食べた後、また歯が痛み出した。何もする気がなくなった。うんざりした。言葉にならん言葉で叫んだ。知らん間に眠って夢を見た。そして1時間半前、起き上がった。明日も俺は起き上がり、仕事に出る。当たり前の事だ。きっとまた気が滅入ってしまいそうだ。しょうがない事か。そのお金でラム酒が買える。レコードが買える。音楽が出来る。
髪の毛は伸び放題 生活は荒れ放題
前が見えん前が見えん 前髪で前が見えん
生活を投げやって 髪の毛を掻き毟って
旅に出たい旅に出たい 色んな事感じて歩きたい
これ、唄いたい。嗚呼、旅に出たい。
髪の毛は伸び放題 生活は荒れ放題
前が見えん前が見えん 前髪で前が見えん
生活を投げやって 髪の毛を掻き毟って
旅に出たい旅に出たい 色んな事感じて歩きたい
これ、唄いたい。嗚呼、旅に出たい。
April 22, 2007
1991年5月3日(金)から2007年5月3日(木)
良く晴れた日でした。1991年5月3日朝9時30分、俺と兄ちゃんは、「競馬ゲーム」のある、自転車で15分位のところにある行きつけのゲームセンターへと向かうべく家を出ました。家を出る前、黒い上下の服を着ていたこの俺に、お母さんは「真っ黒やないか」と、不快感を露にした声で言いました。小学五年生のこの俺は、「まぁええがな」とふて腐れて言い返しました。その日も例の如く、そのゲームセンターに着くまでの距離、二人で自転車で「競馬レース」をする事になりました。よく、俺が「逃げ」で兄ちゃんが「追い込み」、そんな具合でジョッキーになりすまして遊んでいました。うちのお兄ちゃんは、お父さんの血を受け継いだのか、「競馬」が小学生の時から何よりも好きでした。それはきっと今も変わりません。「音楽」など眼中にはなく、ただ「ギャンブル」が好きでした。昔は一緒になってよく遊んでいた記憶があります。しかし今となっては、連絡を取る事すら皆無に近い状態となりました。そしてその日も、俺が「逃げ」ている時、事故は起こりました。短い横断歩道の信号を無視してしまったのか、車に吹っ飛ばされてしまいました。俺にはその前後の記憶が全くありません。意識不明でした。変な言い方ですが、もしあのまま死んでいたなら、俺は何の痛みも感じる事なくこの世を去る事になっていました。しかし、俺はそう簡単には見捨てられませんでした。気付いた時は救急車の中、鎖骨が外れ(折れ)、それを治そうとしている医者が目の前にいました。俺の右肩には今も違和感があります。触ったり触られたりした時、痛みはないが違和感があります。頭も強く打っていました。事故から何日かは、立つ事はもちろん、座る事すら出来ませんでした。座っただけで頭がクラクラして気持ち悪くなりました。脳波に異常があり、退院してからも何年か脳波の検査を受けていました。頭に針を何本もさして行う検査です。一体、どれ位入院していたのか覚えがありません。そんなに長くはなかった気がします。いつからか、座る事も可能になり、歩く事も可能になりました。この一見「当たり前」の動作を「当たり前」だと思ってはいけないという事を、俺は自らの体験から学びました。俺はその頃から、「東京に行って音楽を演るんだ」と強く思っていました。具体案は何もなかったけど、とにかくそんな事を描いていました。それから10年も経たぬ2000年12月13日、俺は夜行列車に飛び乗り、東京へとやってきました。そして10年後、2001年5月3日。20歳の俺は、念願の「千葉LOOK」というライヴハウスのステージで、バンドメンバーを引き連れ、唄っていました。吠えていました。これは俺を筆頭に、あの事故の頃からは誰一人として想像出来なかった事でした。俺は生き返りました。生まれ変わりました。5月3日は「憲法記念日」ではなく、ただただ俺の大事な日となりました。
日付は日捲り 曜日は関係ない
曜日は記号さ 日付は関係ない
誕生日とあの日以外は 何も関係ない
つまらない男だと思うかい
つまらなさはそんなとこにはないぜ
他を当たってくれないか
その日暮らしのおいらにゃ別にどうだっていい事ばっかりで
その日暮らしの人達の哲学 それは鮮やかなはっぴぃえんど
あの時、死んでなくて良かったと強く思っています。その次の年の5月3日、俺はハードディスクレコーダーを手に入れ、「斉藤荘」という最高の住処で、曲作りに没頭していました。はたまたその2年後の5月3日、ジャマインカン・ミュージックに傾倒していたこの俺は、「Down Beat Ruler」というスカのイベントへと繰り出し、ジョン・メイオールの息子にしてスカDJ界の大御所、ギャズ・メイオールに7inchのレコードを手渡しで貰うという嬉しい出来事もありました。あのレコードは、ギャズ・メイオールから俺への、確かなプレゼントでした。その他にも、高級な靴を手に入れてみたり(俺の中で高級)、ターゲットマークの時計を手に入れたりと、俺にはなくてはならない日となりました。そして去年、俺はその日に合わせて、「下北沢off beat」という小さなバーで、
「俺が唄うブルースに首ったけ」と名付けたパーティを開催しました。世間一般から見ては、「パーティ」と呼ぶには程遠いものだったのかも知れませんが、やかましい、俺にとっては紛れもないパーティでした。つくづく思いました、「あれから15年後にこんな場所でこんな企画を出来ると誰が思えるか。人生は面白い」と。そして今年も「あの日」は近付いてきました。誕生日同様、血湧き肉踊る、丸16年目の「5月3日」が。今年も楽しくやる予定です。そして俺は今、元気です。俺は誰にも憧れてなんかいません。誰になりたいとも思った事がありません。先日郵送した「ROOKIE A-GOGO」のプロフィール欄、これといって書く事もなかったこの俺は、一言だけ付け加えました。「目指したいのは自分だけ」。そんな感じで、素敵な出来事がまだまだ尽きません様に。
日付は日捲り 曜日は関係ない
曜日は記号さ 日付は関係ない
誕生日とあの日以外は 何も関係ない
つまらない男だと思うかい
つまらなさはそんなとこにはないぜ
他を当たってくれないか
その日暮らしのおいらにゃ別にどうだっていい事ばっかりで
その日暮らしの人達の哲学 それは鮮やかなはっぴぃえんど
あの時、死んでなくて良かったと強く思っています。その次の年の5月3日、俺はハードディスクレコーダーを手に入れ、「斉藤荘」という最高の住処で、曲作りに没頭していました。はたまたその2年後の5月3日、ジャマインカン・ミュージックに傾倒していたこの俺は、「Down Beat Ruler」というスカのイベントへと繰り出し、ジョン・メイオールの息子にしてスカDJ界の大御所、ギャズ・メイオールに7inchのレコードを手渡しで貰うという嬉しい出来事もありました。あのレコードは、ギャズ・メイオールから俺への、確かなプレゼントでした。その他にも、高級な靴を手に入れてみたり(俺の中で高級)、ターゲットマークの時計を手に入れたりと、俺にはなくてはならない日となりました。そして去年、俺はその日に合わせて、「下北沢off beat」という小さなバーで、
「俺が唄うブルースに首ったけ」と名付けたパーティを開催しました。世間一般から見ては、「パーティ」と呼ぶには程遠いものだったのかも知れませんが、やかましい、俺にとっては紛れもないパーティでした。つくづく思いました、「あれから15年後にこんな場所でこんな企画を出来ると誰が思えるか。人生は面白い」と。そして今年も「あの日」は近付いてきました。誕生日同様、血湧き肉踊る、丸16年目の「5月3日」が。今年も楽しくやる予定です。そして俺は今、元気です。俺は誰にも憧れてなんかいません。誰になりたいとも思った事がありません。先日郵送した「ROOKIE A-GOGO」のプロフィール欄、これといって書く事もなかったこの俺は、一言だけ付け加えました。「目指したいのは自分だけ」。そんな感じで、素敵な出来事がまだまだ尽きません様に。
January 11, 2007
モダン・ストライプ・ソファ
99円ショップの帰り道、とあるデッドストック家具屋店頭、ワタシの目を充分に惹き付ける力を持ち合わせたモダン・ストライプ・ソファ。堂々と鎮座。「はて、お値段は?」。手に入れる気もなく何気なく見た時、驚愕。「1890円」。ワタシの部屋=足の踏み場無、部屋から一番遠い物=ソファ(ワタシの部屋には既に立派なソファが鎮座している)。が、しかし。思いを巡らす。「いや、置ける置ける」。頭の中、勝手に部屋が広くなる。店員呼びつけ、「これ下さい」。配送?ノーノー、そんな甘い事するモンか。担いで帰る。担いでけぇる。渋谷駅まで。はたまた下北沢からワタシの部屋まで。両腕、笑う笑う。顔、歪む歪む。さて部屋に到着。「ワタシの部屋、こんなに狭かったっけかいな?」。が、しかし。場所を確保(無理矢理)。ギター弾くのにもってこい、ジム・ジャームッシュ見るのにもってこい、太宰治読むのにもってこい。そんなソファ。部屋の主が、一番遠いとされたソファを手に入れたいと思うこの感覚。いかに惹かれたかが分かる。もう一度、お値段、1890円。「買い物上手!」、おっ、肩を叩かれたい。そして感じの良いデッドストック家具屋の店員さんに一言。「お値段、付け間違えとんのとちゃいます?」。
December 26, 2006
傘泥棒にはなるなよ
降りしきる雨。俺は傘をヤツに貸す。それは優しさとはかけ離れたモノで、俺が帰る時、さも誰も使ってなさそうなボロボロの傘を選び出し、さも自分の物であるかの如く差して帰る魂胆。しかし、傘はない。ボロボロの傘はどこにもない。駅までの道のり、大雨の中全力疾走する男、それ私。俺は傘泥棒にはとてもなれない。なぜなら盗まれた奴に、「大雨の中全力疾走する男」の肩書きを与える事になる。俺がもし盗まれた側の男なら、「ドツキマワシタイ」では物足らず、「ドツキマワス」を連呼し、全力疾走で盗んだ男を追い回す。私は追いかけ回されたくはない。そして追いかけ回されたくなければ、傘泥棒にはなるなよ。部屋に戻ってすぐシャワーを浴びれる幸せ、これを当たり前だと思っちゃいけない。
November 18, 2006
短編・「The Kickstart Driver」
今から約5年10ヶ月前、東京の街で「The Kickstart Driver」というなんともイカシタ名前のバンドが生まれた。ベースの男が「Kickstart」ってなんか良くないか?と言い、俺は「driver」を使いたいんじゃわと言った。それを組み合わせたのがこのバンド名の由来だ。このバンドの初ライヴは、2001.4.21「横浜7th AVENUE」だった。すなわち関東初ライヴは東京23区ではなく、横浜港町だった(東京のライヴハウスにも何軒かデモテープを持ち込んだが返事はなかった)。初ライヴの前、「独り言ROCK」という曲を池尻大橋のスタジオでレコーディングし(俺は一発録りにこだわったが、結局別録りレコーディングとなった)、テープとチラシを作り、チラシは街で配ったりもした。その後も横浜や千葉、そして広島、福岡でライヴと、結局最後までこのバンドが東京でライヴを演る事はなかった。その頃の俺はとにかく「俺こそが本物だ」と意気込み(今もそうだがその頃とはちょっと捉え方が違う)、ライヴのMCでは敬語を一切使わんというルールを勝手に決め込み、「分かってなさそうな客」「うるさい客」には構わず暴言を吐いた(今もそうだがその頃とはちょっと捉え方が違う)。とにかく尖がっとった。その頃のビデオを今見返したら、「要らん力が入っとるなぁ」と思うが、その頃はそれで良かった。なんとも人気のないバンドで、対バンの奴等と仲良くなる事も一切なかった。結局一年も経たん内に関係もおかしくなり(その年の夏にはドラムも変わっとった)、自然消滅の様な感じになった。ベースの男は今、音楽もやってないし、去年の12月以来逢ってもないが、今も大事な男の一人だ。自然消滅の形になった後、「独り言ROCK」がなんかの企画のオムニバスCDに収められた。発売して何年か経った後、そのCDが岩手の中古レコード屋で売られとるのを見た奴がおる。そいつは言った、「中古にしては高い値段で売られてたよ」。
こんな話を夜、「オオゼキ」に行く為バイクを「Kickstart」した時、思い出した。
こんな話を夜、「オオゼキ」に行く為バイクを「Kickstart」した時、思い出した。