散文

January 28, 2024

ストロベリーとバニラをお一つ '24


'24.01.25-27


「CORONA」という名称はまず第一にトヨタの名車の事であり、第二にメキシコ産ビールの事である。これは揺るぎない事実だ。他は断固必要ない。ところがそれがいつの日からか、厚かましい我が物顔で突如登場したウイルスの名称に変わったらしい。

この驚異的ネーミングセンスの無さにオレはいまだ腸が煮え繰り返ったまんまだ。言葉選びは何よりも重要だ。

そのウイルスの通り名を今日まで口にせずどうにかやり過ごしてきた。
口にするのが恥ずかしくて堪らないからだ。哀しいかな並大抵の努力ではなかった。いい方を変えれば無駄な労力とも呼ばれるんだろう。我ながら面倒な思考だとは思うが性分には逆らえない。許せないモンは許せない。

そう、ヤツには「COVID-19」というオリジナリティ溢れる、もはやクールと呼んでもいい正式名称がしっかりとある。八番煎じが元祖ヅラをキメ込むなという話だ。

さて、25日は大久保くじら号でライヴの予定だった。朝方何度も寒気で目を覚ましたが、ただの寒がり男と洒落込まし布団と枕に抱きついて昼前に起き上がった。

ゾンゾン突いてくる悪寒に「ただの寒がり男」では済まない異変を感じ、寝ぼけ眼で何気なく体温計を取り出したなら一気に38.7℃を記録。突然の稀に見る大台に苦笑い、「まぁ夕方までにはどうにか」なんて思いつつも万が一に備えくじら号へ報告したところ、即座にキャンセルとなった。

申し訳なさと残念さに苛まれながらも気が抜けたのか、持ち前のいてまえ精神もかたなし、ただのヘナヘナガリヒョロボーイに成り下がり、気付いた時は初めて見る様な数字の40.1
℃、キャンセルで当然、だってワタシはただのヘナヒョロだから。

翌日、か細いヘナ声で病院へ連絡、「インフルエンザかしら?」なる思いを抱えどうにか診察へ。症状を説明するとナースが云った、「インフルエンザっぽいですね!」。

「そうでしょう」などとヘナ声で返答し、「これでただの風邪ならポップね」などと思考し、結果をギャンブル感覚である意味では楽しみに待った後、ドクターが颯爽と登場して開口一番こう云った、

「ふー、コロナですね」
「えっ!インフルエンザじゃなくて?」(ヘナボイス)

思いもよらぬ結果と、その名称を自身に使われた事と、あんなモノに捕まってしまった不甲斐無さからくるトリプル精神的ダメージを抱え三割増のヘナ歩き退散。

そして本日。猿小屋のドアノブに友から苺の差し入れ有。ヘナガイからタフガイへの道標。熱は下がり、本を読んでいたら文章を書きたい衝動に駆られ得意の夜更かし。

ところで因みに「インフルエンサー」なる名称も大嫌いだ。いうまでもなく「
インフルエンザ」に似過ぎだろう。もはや嫌がらせの一種だと思わずにはいられない。 長々書いたが俺が云いたい事はただ一つ、言葉選びは何より重要だ。






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January 03, 2024

the strong smart '24


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12月、43歳になった。計画をし、準備をし、ライヴをし、DJをし、このままやりたい事だけをやり遂げたいと、どうにかこのまま行かせてくれと相も変わらず思っている。

12月、人前に出る時以外はあらゆる場所の掃除に時間を費やしていた。埃を憎み、より良い環境を目指し、大切なモノを大切に仕舞い、不必要なモノで高値で売れるモノは譲るという行為を覚えた。

人が死んでいく。見たくない。俺が生きているのは単なる運とほんの少しの危機管理能力のおかげだ。

馬鹿が馬鹿の揚げ足を取り更にそこに新たな馬鹿が我が物顔で首を突っ込んでいき、でっち上げられた嘘の真実だけが威勢良く転がっていく。俺はボンクラかも知れないが、この目で見たモノと友達の言葉しか信じない。

携帯電話を捨てようと思っている。そして同時に、捨てないんだろうとも思っている。しかし、あの電話機の名称から「スマート」という単語を取り除いてほしいとは13年前から思っている。

年が明けるとリセットされる様な、また一からキメよう、きっと巧みにやりこなせるだろうってな類の清々しい胸中にもなる。

掃除を終え新装した猿小屋では「お正月はジャズ」の理論に則り、ニクい音量でモダンジャズが垂れ流されている。

元日、「新春RUN」と洒落込み、早くも3万km走行を突破したワイルドバイクに跨った。ナビゲーションを開くと緊急警告の文字が躍っている。邪魔に思い、最初は無視して走っていたが、暫くしてニュースを見ると地震が起こっていた。

その時、手には確かに電話機を握っていた。何人かの友達に連絡を取り無事を確認した。

本日は買い出しに出向き、直ぐに戻って読書に明け暮れようと目論んでいたら新千歳空港発の飛行機が見慣れた空港で燃えている映像が飛び込んできた。

俺が生きているのは単なる運で、携帯電話は捨てないだろう。重要なのは取り扱い方だ。

いくら綺麗にしようが、お金を稼ぎまくろうが、一瞬で幕を閉じてしまう可能性は誰にだってある。

そう、
このままやりたい事だけをやり遂げたいと思わざるをえない。モノホンのスマートを狙いながら2024年も強く笑えますように。




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February 17, 2023

ロボットバイバイ '23


一昨年のよく晴れた夏の始まり、借り物のダサいバイクで走っていたら物陰に隠れていた白バイが突如現れサイレンを鳴らし出した。 路肩に停車し、何かと問えば「歩行者妨害」だという。

俺に思い当たる節はなく、事務的な口調で、さっきまでコソコソと物陰に隠れていたヤツが「市民の安全の為」ヅラで目の前に居る。

俺はどうにか紳士を気取ろうと冷静に正義ヅラに問うた、「そんなやり方でお金を稼いで楽しいのか?」「心が傷むでしょう?」

正義ヅラはピシャリ云った、「楽しくないですよ。仕事です。仕事ってそういうもんでしょう。上から云われた事をやるんです。貴方もそうでしょう?違うんですか?」

「違う」と心が云ったので、ピシャリ「違う」と答えた。同時に、コイツとまともに話をするのはチェコスロバキア人と仲良くなるよりも難解だろうと思った。

洗脳、教育、恐ろしい事だ。きっとロボットを演じきれるエゲツナイ訓練でもしているんだろう。

周りを歩く市民は俺を気狂いを見る目で眺め、バッタモンの正義を売りにしているその相手へは「ご苦労様です!」を目で送っていた。

条件は揃った。怒りの沸点は一気にレッドゾーンだ。

ヤツの主張は「横断歩道の前に人が居たのは気付きませんでしたか?」だった。俺は気付いていたが、渡る気がない事は目と目で確認していた。

俺は捲し立てた、「市民の安全を守る筈のヤツが物陰に隠れて恥ずかしくないのか?」

正義ヅラは恥じらいの欠片もなく云った、「そんなに叫んでもしょうがないじゃないですか?」

ヤツは自らの正義を信じて疑わないのだ。

罰金の記された紙を手渡され、俺は最後に云った、「この罰金がアンタの給料になるのか?」

ヤツは赤面するワケもなく云った、「それは違いますよ。市民の安全の為に使われます」。

次の日、警察署に電話をした。違反切符を切られたとは云わず、「こういうパターンって違反になったりするんですか?」という聞き方をした。

電話にはアルバイトみたいな女が出た。「時給800円でやってられるか」ってな声だった。即座に上の者に変わった。

小一時間、怒りに加え笑いさえ交えて話をした。「上の者」は巧いのか、まだ話が出来る「人間」だった。

次の日、俺は罰金を払ってしまった。実にクダラナイ話だ。

(919文字)





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January 04, 2022

HARD DRIVIN' BLUES '22


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'22.01.01-03

炬燵とドリップ珈琲とヴィニール盤、煙草と本と生き方改革。炬燵の中でアレコレやっている隙に年が明けた。

年の瀬にレコードを買い漁り、炬燵の中で楽しみたいが為にポータブルのプレーヤーを移動させ針を落とす。横には断固、ドリップ珈琲があればいい。がぶ飲みだ。そしてお酒は嗜む程度でいい。

何しろ、なんでもかんでも音楽をタダで聴こうだなんてムシが良過ぎる話だ。ディグするのは画面の中からではなく、まずはレコード屋でってのが筋だろう。

レコードを存分に楽しんだ翌日の元旦、年の瀬に出来なかった愛車の洗車に片道30分ほど掛けて出向く。無論、車中は爆音の唄いまくりだ。横を走り抜けるベンツ野郎にはまず、ザ・ビートルズを聴かせてやればいい。

爆音の唄いまくりの聴かせまくりだがハニー、デジタルな音がてんでいけすかない。折角のイカすナンバーが台無しにさえなりかねない。レコードを散々ダイナミズムに聴き込んだ後では尚更、まるでダイナミズムの欠片も拾えていない。

ところでオレは今、手に入れた最新型のファッキンマッキントッシュでコレを書いている。試しにマイルスデイヴィスをデジタルで聴いてみたりしながら。

なんと驚いたコトに素晴らしい音がする。感動とさえ呼んでいい。呼ばせて下さい。コレしか知らなければもうコレで充分となるに違いない。

音楽が売れなくなる理由は分かる。A面B面もなくほとんどタダで、ボタン一つでカタが付くってんだから。

分かるがベイビー、オレはレコード漁りもカセットテープ作りも引退したりはしない。ソレとコレではてんで話が違う。ジャマイカの粗悪な環境でカッティングされたダイナミズムど真ん中のドーナッツ盤を聴けば答えは明白だ。

そう、ごちゃごちゃとヌカしているが、たった一つだけ確実なコトがある。音楽が好きだ。


 

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November 12, 2021

2021.11.12


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「ワクチンを打ってないと白い目で見られるだろうから、よく分からないけど取り敢えず打っとこう」ってな思考は最もヤスい回路だと思う。

随分と久方振りに文章らしい文章を書く気がする。理由としては、2011年の正月にゴダール映画のチケットと共に半ば強引に手に入れたファッキントッシュが9割方壊れてしまっているからに他ならない。

そしてコレはソイツで書いている。事実、書き出すまでに20分強を費やし、その間にまた投げ捨てようとも思ったがどうにか留めて書いている。「どうか動いてくれ」と頭の片隅で考えてしまっている時点で純度は薄れてしまう。以前の下書き保存は8月9日になったままだった。

今村"バンディーニ"竜也から譲り受けたライダースを着てバイクに乗った。「ライダースさえ着とけばロックンロール」みたいなヤスい思考が大嫌いで、革のライダースだけは一生着ないままに生涯を全うする予定だったのに、竜也氏がそのライダースを手に入れた思い出話も相まってその牛の革は随分と暖かく感じた。

因みにトーキョーに出て来て初めて手に入れた衣服は初めての原宿で衝動買いした革のジャケットだった。「ライダースと一体何が違うのですか?」と問い詰められたなら、誰しもが納得する返答などヤスい政治家の様に巧くは出来ないのかも知れない。

死んでしまった友達の母親から殆ど二通同時に手紙が届いた。出会った時期もまるで異なる別々の友達だが、気付けば死にやがった時期は同じだった。

残念ながらオレはまだ死ぬ気がしない。奴等を後悔させてもやりたいし、そんなコトよりもまだまだやりたいコトが多過ぎるからだ。

念願の車免許を手に入れて丸一年が経つ。初心者マークはもう勘弁だ、なんて思いながらトーキョーに出て来て以来初めて手に入れた念願の炬燵の中でコレを書いている。


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May 02, 2021

路上 '21


'21.05.02(日) 


30年前の5月3日、オレは車に飛ばされて意識不明の事故にあった。信号無視をしたのは自転車に乗っていたこのオレで、車は何も悪くない。分別は弁えている。

気付いた時は救急車の中、飛ばされる直前の記憶はまるでない。あのまま死んでいたら今頃オレは確実にお化けのキングになっていただろう。断固望まない。

あれからジャスト30年、この長い30年間をオレはボーナストラックなどと名付けて生きてきた。そしてオレはまだ生きていて、驚いたコトにまだ生きる予定で、ついでにステップアップさえさせていただきたい胸中だ。なんて贅沢な話なんだろう。

近頃は充実した日々を過ごしている。サボテンを育てたり、運転を勉強したりしている。

そう、来世でも無理だと思っていたマイカーを転がして、近場でも観れる映画をわざわざ遠くまで観に行ったりしていた。

こんな街では車など必要ないってコトは千も承知の上で車を手に入れた。しかし、譲り合える粋なドライバーと挨拶を交わす度、ロードサイドの寂れたラーメン屋のヤンチャな看板を運転席から眺めたりする度、やはり車は完璧に必要なんだと感じれるって寸法だ。

そして同時に強くこう思っている、頼むから自転車で信号無視はしないでくれと。

近頃は充実した日々を過ごしている。大量のCDを薄型ケースに入れ替えたり、毛筆ペンでハッタリな絵を描いたりしていた。


坊主になり早一ヶ月以上が経過した。サボテンの棘より短い頭を毎日掻いている。

今はテキサスの町を車で走るまでは死ぬワケにいかんなと思っている。そして同時に見えている、ソレを実現した暁にはまた違う何かを求めて更に生き続けようとしている姿が。

なんて贅沢な話なんだろう。


(696文字)





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January 21, 2021

グッドラック '21


泣く子と、資本家と、人を不愉快にさせるコトにかけてのみ才能を発揮する人達と、寒さにだけはいつまで経っても勝たれない。

年が明けて早20日。毎年毎年炬燵を買いそびれ、電気ストーブの前から一歩足りとも動きたくないってな有り様を繰り返している。

昨年11/13、夢にまでみた免許を手に入れ、その足で即座に車を借りる為の会員証を作った。訳分からんままでゴーの精神で翌日から早速都内を走った。

雨の首都高速湾岸線、どちらに進むかも分からず、ギリギリのところで左へハンドルを切った。後ろを見る余裕すらなかった。悪いのは車ではなく、技術不足のオレだ。後ろに車がいたら一瞬で終わっていただろう。

所詮、生きているなんて運に過ぎない。

そして何度か実験走行を繰り返す内、違和感が爆発した。好みじゃない車に乗る為にオレは免許が欲しかったんじゃないってコトに。

見難いデジタルミラー、意味不明のアシスト音、やたら話し掛けてきた挙げ句、わざとの如く道を迷わすナビゲーションガールの声。

やかましいコノヤローなどと車中で散々罵り、過保護な機能を全てオフにした直後には上機嫌でチャックベリーを唄いながらハンドルを握っていた。感情は何時だって忙しない。

話は決まりだ。自分の車を自分の思うがままにカスタマイズした方が話は早い。思ったら最後、12/4、一気に攻め込むべく20年前の車の契約書にハンコを押した。

知らん間に免許を取り、気付けばポンコツカー転がし九州まで来てましたってのが理想だったが、納車日はいつまで経っても訪れない。
使わない駐車場なんてさせない傘と同義だ。すなわち、無意味だ。こちとら「超ガラスクリーナー!ピカピカ!」まで用意して万全の態勢で待っているのにだ。

訳分からんままでゴーで行きたかったのが、考える隙が出来てしまった。オレが今、心底思っているコトは「この間にバイク免許も取得するべきだったで」だ。

そんなこんなでここ数ヶ月、赤字が続いている。湯水の如く紙切れが流れて行く。ある意味爽快且つ痛快だ。

この状況、長い目で見て、根こそぎ取り戻す為にまず心得るべきエチケットはただ一つ、どいつもこいつも死ぬなよってコトだ。しかし、それさえも「運」だってんだから話は迷宮入りだ。

「超ガラスクリーナー!ピカピカ!」で心さえ磨いてその時を待とう。


(947文字)






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November 24, 2020

ザ・ライセンス vol.2


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'20.10.28~11.13

思えば小学生時分から中古車情報誌を読み漁ったりしていたオレが車の免許さえ持たず生きていた。幾度も機会を見送り、口では欲しいを繰り返しながら手に入れないままに過ごしてきた。

この訳の分からん情勢の中、今がその時なんだと思いつき、積年の思いを一気に実らせるべく照準を根こそぎライセンス取得に合わせた。

条件は三つ、一人きりで、まだ足を踏み入れた試しのない町で、試験は全て一発クリアでってコトだ。

そして今、「山形」と書いて執念と読める。

そんな訳で今最も道路交通法を語れる男このワタシ、遂に、悲願の、ロマンの免許を取得した。

免許如きで気取るなとハナで笑われそうだが、コレには20年以上の果てしない思いが詰まってるってんだからしょうがない。人にはそれぞれ順番があるんだ。

山形では一日三食、朝から太陽を浴び、迷い込んだ宇宙人の様な風貌のまま学び、宿でも勉強を怠らず、22時頃には「そろそろ眠ろう」などと一人やっていた。

まるで産まれて初めてかの様に、規則正しいとされる生活リズムを徹底的に実行し、やけに甘いモノを欲せば、たけのこの里に貪りついたりしていた。

教官は最初、ほとんどの人達がオレを「免許取り消し処分になった男の再取得」と見なしていた様だが、そんなコトは断固どうでもよかった。

聞くとこの年齢で初免許ってパターンはそうそうないらしい。好きな言葉は例外だ。

よく喋るベテラン教官が、運転しているオレの横で「君はアメ車が似合うよ」と云った。オレは今年一番の笑顔でギアを4速に入れた。

目的に向かってただひた走り、挑むって経験を気付けば久方振りにした。最短の16日間で卒業証書を手に入れ、あとは住民票がある東京でしか受けられない最終学科試験をパスすれば車の免許が手に入るってところまできた。

11月13日、東京に戻った次の日、一気に狙うべく朝も早よから学科試験を受けに出向いた。ひっかけ問題に足を取られ焦って最後で躓いたらマズいと思ったが、40になるジャスト一ヶ月前の日付が免許証に刻まれたら痛快だと思った。

いざ始まった試験は、オレの教養が半端じゃないほど増えたのか簡単過ぎたのか知らんが、10問解いた段階で完璧にイケると思った。時間ぎりぎりまでひっかけに騙されてないか見直した後は、発表を待つまでもなく合格を確信した。

合格発表ではデカいスクリーンに受験番号が表示された。最初、オレの受験番号「024」は見当たらなかった。ない訳がないと言い切れるほど自信があった。そしてゆっくりと「024」を見つけ、やりやがったなコノヤローと叫んだ。

免許証が発行されるまで3時間くらい待たされた。その間、知らない街を徘徊しながらいつもとは違う視点で流れる車を眺めていた。

そして手に入れた免許証はゴールドだった。原付免許の色がそのまま更新されるって仕組みらしい。

その足で車を借りれる手続きをとっとと済ませ、次の日には強張った顔つきながら都内を走り回っていた。ドライブスルーに入り、運転席から「ホットコーヒーのMで!」などとヌカしている姿に誰よりも驚いているのはオレ自身だ。

そんな訳で今最も道路交通法に近い男このワタシ、これまでとは違う視点で中古車情報誌を捲りながら次の展開を思考している。

運転しながら珈琲が飲めるんなら酒など要らない。


(1346文字)






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September 08, 2020

ザ・ライセンス '20


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 '20.09.08(火)

季節季節の素通り野郎このワタシ、オレは今、手に入れたばかりのサイコビリーレコードへ踊りたいが為だけに針を落としたものの、文章を書く為にサイコは不要だと即座に針を置き無音に戻したところ。

2020年、夢の40歳へ向けアクセルを踏みまくろうと試みたのも束の間、気付けば障害物に阻まれ、ハンドルさばきは常に不安定の逆暴走状態。

元来、「CORONA」ってのはトヨタの名車の事であり、それからビールの名称だ。二番煎じどころか八番煎じには用がないと信じて今日まで生きてきた。

このままいったら2020年は1点さえも稼げずただ無表情で無意味な40を迎えて終わりそうな感さえ漂い出している今日この頃。

そんな最中、オレは「第19次免許ほしいの」ブームの真っ直中に突入していた。「今こそギアが
噛み合う最たる時なのか」と自問自答し、そうと決まれば一気に追求した。

旅の計画も安易に立てられない昨今、それでいて旅の計画を強行する方法はただ一つ、合宿免許だ。無論、場所はまだ足を踏み入れた事がない町ってのが好ましい。ロマンの呪縛人を気取るなら当然の思考回路だ。

オレの前世は生粋の車乗りだったんだろうとずっと思ってきた。ミニカー収集、ミニ四駆、ラジコン、そして小学生時分からスクラップ車の運転席を基地と称して独占していた。

高校入学と同時に時給650円で働いたのは自ずとガソリンスタンドだった。ハイオクと軽油の違いすら分からず、ハイオクを入れるべき高級車に軽油を満タンにぶち込んでしまう程の無知だったが、車が好きだった。

気付けばどの町に行こうが車の写真ばかり撮っていた。アメリカでは早く目的地に向かいたいのに、停車してある車がいちいち格好良過ぎて立ち止まってばかりいた。とにかく旧車が好きだった。

しかし、オレは周りの連中が高校卒業前に車の教習に通っている18の頃は東京に行く事しか眼中になく、東京では免許は不要、しかし原付の免許は役に立つだろうと踏み、その頃に原付の免許だけ取得した。

「何故この時期に原付だけなんだ?」と先生はハナで笑ったが、オレはその頃、東京に行く事しか眼中になかった。そしてそのまま東京まで持ち込んだ「福山ナンバー」の真っ赤なバイクは数々の場面で確かに活躍した。

あれから20年、事ある毎に「何故あの時に」と悔やみながらもあの時はしょうがなかったと自らを慰めてきた。

今世ではもう車の運転は無理なのかと半ば諦めかけてもきたが、
今まで何度も見逃してきた車の免許を取得する時が遅ればせながら遂にきたらしい。

無論、「AT限定」などと免許証に刻まれるのは断固ポリシーに反するが故、ミッション操作に全神経を集中する。

「オートマティック限定」って、まるで針の落とし方さえ知らんみたいな云われ様は真っ平御免だ。

永遠の助手席DJボーイを気取るのも良いが、それは結局「一人では何も出来ない」ってのとイコールだ。20年分の遅れを、2020年の内に取り戻してやろう。それは無論、2021年以降の自由に繋がるという目論みだ。

40の誕生日を迎える日にはまず、横須賀辺りまでウイニングランってのはどうだろう。実現した暁には辛うじての55点を自らにくれてやる。

そしてオレはその瞬間、長年ホザいてみたかったセリフを表情溢れるツラで満を持して口にしたりするんだろう、

「このまま次の街へ行かんといけんけぇ、今日は呑まれんのや」

敬具。


(1388文字)




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July 29, 2020

ザ・ルポルタージュ vol.4


'20.07.29(水)

風が吹けばそのまま身体ごと舞い飛んでしまいそうなガリヒョロ具合で、7月さえ闇へと消えそうだ。

「本日は×××人感染」ってのはまるでオリコンチャートの様だ。クダラナ過ぎて閉口。

近頃は夕方に眠り真夜中に起床、コレが主流となりつつある。完璧に狂っている。1周遅れなのか先回りなのか、皆目見当も付かない始末。

むしろもう少しこのズレが進行すれば「21時就寝4時半起床」、すなわち、まったくもってのお爺ちゃんスタイル完成と相成るのかも知れないってな塩梅。

実行に踏み切れない情勢、計画も立てられない日々、トドメに連日の雨。「四方八方塞がれて抜け出せやしない」、勝手にしやがれ。

イカす本を読んでも、ニクい映画を観ても、たとえ教養を蓄えたところでてんで満足など出来ない。「で、貴様はどうなんだ?」の自問自答でまた振り出しに戻るだけだ。

最近、あの「マスク二枚配布」なる恐ろしき発想について改めて考えていた。「愚策」と辞書で引けば「マスク二枚」と出てくるべきあの異様さについて。

そんな中、「マスク8000万枚追加配布」なる両目玉を飛び出させるにはウッテツケのニュースが飛び込んできた。関わって得がある様な連中じゃない。気を付けろ、狂っているのはオレじゃない。

今週末、久方振りにDJをする。オレはクール且つポッピンなナンバーだけを回すだろう。

DJをする際、最も気を遣っているコトがある。

偉いのはその盤を探し出したオレでも、今この瞬間にその曲を繋いだDJでもなく、「クール且つポッピンなナンバー」を生み出したバンドそのものに他ならない。

その辺りを弁えてないディガーとは仲良くやれない。

もはや答えは出ている、
クール且つポッピンなモノ」を生み出し続けるしか道がない。


(730文字)

 


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July 07, 2020

ザ・ルポルタージュ vol.3


'20.07.07(火)

もう今年は旅に出るコトさえ叶わないのかも知れない、そんなムードさえ漂っている今日この頃。

元来、7/24〜8/9までの期間は少なからずこの街を離れる気で居た。そう、オリンピックの開催予定だった期間は。


さて、無職さながらの態で早数ヶ月が過ぎた。やりたくもないコト「だけ」やって、でもお金貰えるなら満足です!ってな、奴隷根性剥き出しの無神経な人間には、たとえなりたいと願ってみたところで到底なれない作りらしい。

オレはサラリーマンを心底尊敬している。しかし、サラリーマンはオレをコケにしているってな構図らしい。哀しい。

先日、横浜で開催中のバンクシー展へと出向いた。そこには現物が目の前にあるにも関わらず、一枚ずつを写真に撮り、その撮った画像を確認しては次の写真を撮るを繰り返す輩がわんさか居た。ナマが目の前にあるにも関わらずだ。

頭の中では奴等の髪の毛を引っ掴み、「貴様、ナマの意味が分かるか?」などと吠えまくる映像が浮かんでいた。

しかし無論、そんなコトは実際にはやらない。同じ時代に生きながらして思考がてんで違うからだ。オレにとって奴等は阿呆で、奴等にとってオレは馬鹿の極みだ。相容れる隙もないらしい。

はたまた先日は久方振りに会う友人を誘い、この街のパトロールへと出掛けた。馴染みのバーへはかれこれ5ヶ月振りに顔を出し、苦しい現状がきっとあるクセしやがりながらも全てを笑いに変え、やり繰りしようとするそのマスターの表情、心意気には取り敢えず安堵する。

そして猿小屋真向かいに鎮座し続ける、風情溢れる焼鳥屋へと久方振りに流れ着いた。そこには昔働いていたバーの常連客がおり、その男がオレのコトを大将に紹介してくれた。

すると大将は堂々と煙草を吹かしながら生粋の江戸前口調でこう云う、

「向かいに住んでんだろ?音、聴こえてくるよ。窓、いつもちょっと開けてんじゃん。もっと好きに演りなよ」。

地域密着型の最たる見本。オレはこの街が大嫌いで、そして大好きだ。明日は焼鳥を持ち帰りで決まりだ。

そして大将には断固こう云うだろう、

「出来たら外から直接呼んでや、すぐ取りに来るけぇ」。

スマートとはこのコトをいう。


(901文字)

 


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June 25, 2020

ザ・ルポルタージュ vol.2


'20.06.25(木) 

スナック感覚で記録を残し続ける心積もりだったが、早くも中9日開いていた。書いては消しを繰り返し、気付けば7月さえ目前だ。

西村賢太を根こそぎ読み漁り、辞書を引き、大衆とは折り合いがつかず、つける気もなく、

旅に出る目処も立たず、理不尽なゴミに絡まれて、その品の欠片もない挑発に乗ってしまうオレはカスなのだろうかなどと思考する。

曇天の下、都知事選挙の演説を聞きに明大前へと向かった。いつからか選挙期間中は何故か落ち着かない胸中を抱える様になった。

別に「貴方は何も悪くない」などと云ってほしい訳じゃない。オレはある意味、充分に悪いだろう。

しかし大学卒業、いい企業、持ち家35年ローンが正しい生き方だとは残念ながら産まれてこの方一度も考えた事がない。

それと同時にオレはサラリーマンを尊敬している。生き方なんて各々でいい。

とにかく変化を決め込むには斬新なニューヒーローの誕生が必要だ。そしてオリンピックは中止でいい。

明大前から歩いて帰る。久方振りにジャズ喫茶「マイルス」の前を通る。完璧な佇まい。

しかしその扉にも、以前はなかった「禁煙」の文字が躍っていた。


(491文字)


 


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June 16, 2020

ザ・ルポルタージュ vol.1


 2020.06.16(火)

気付けば39になり半年以上が経過した。もう半年も経たない内に40になるらしい。

近頃は本ばかり貪り読んでいる。今日はAM05:12に目が覚めた。昨日も一歩も外へ出ず本ばかり読んでいた。イカす本を読んでいると外へ出る気も失せるって仕組みだ。

本ばかり読んでいると本が作りたくなる。そして文章が書きたくなる。しかしその文章は哀しいかなカネにはならないのかも知れない。

気分を変え、太陽を浴びながら歩きたくなり外へ出た。足は自然と本屋を狙っている。そしてオレが読みたい本は大概置いてない。

便箋を手に入れ、地域密着型の文房具屋で400字詰め原稿用紙を手に入れた。

その昔、「ビートジェネレーション」に倣い、「ポストジェネレーション」と名付けたハイカラな遊びを流行らそうとした。

すなわち、手紙や絵葉書をポストに投函しながらやり取りをする文通の類いだが、このデジタル最先端の時代、まるで流行る気配もなかった。

そういえば先日、映画館に出向く際、電話機を忘れたまま街へ繰り出した。街から猿小屋へ戻るあの5、6時間は胸を張って「スマート」と呼べる時間だった。

あれで良いのだ。

「ポストジェネレーション」復活に向け動き出した方が良さそうだ。

「メールアドレス教えてくれ」などと野暮な事は聞かず、「住所教えといてくれ」と堂々と聞く方がクールだ。

オレは時代遅れの最先端なのか。しかし「時代」なんて誰かが決めた広告みたいなモンだ。くだらない。

もうすぐ40になるらしい。


(628文字)


 


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April 04, 2020

the long winter vol.4


3月17日、午前の内に神戸空港へ着いた。2020年に入りほとんど初めて、太陽を浴びた様な感覚だった。

それから6日間、晴れは続き、詩の重要さを再確認し、人との出会いを思い、
 意気揚々と下北沢へ舞い戻った。

3月24日、「The Sundance」を猿小屋へ招き、今後の胸躍る出来事について打ち合わせ。ターンテーブルの上ではローリングストーンズ「イッツオンリーロックンロール」が回っていた。

3月28日、急遽穴の開いた下北沢CCOで今村竜也とセッション。今村竜也が云った、「これがラストライヴかも知れんぞ」。その後、今村竜也が帰った後も結局宴は真夜中まで続いた。以前誰かが云った「オレ達は下北沢という村に生きている」という言葉を思い出した。

そして4月。太陽を浴びない日々プレイバック。今、外には出たくない気分だ。誰もが先が見えず、スケジュールを組み直すのもままならない中、オリンピックの延期日程だけは最速で出しやがったなコノヤロー。

今年7月で77歳を迎えるお母ちゃんがいつか電話越しで云っていた、「7月やろ、77歳やろ、スリーセブンや。せやからオリンピック見てから死んだら丁度ええかな思てますねん」

「丁度ええってどないやねん!」、電話は笑って切ったが、個人的なその観点からみればオリンピックは永久に中止でええぞバカヤロー。

ボブディラン中止、ジムジャームッシュ公開延期、規模の小さいオレのライヴも他のライヴも中止、
ライヴハウスは当面の自粛、個人経営のバーは客入りが途絶え、行くヤツは阿呆と捉えられる風潮。そして東北でのオリンピック聖火展示会には5万5000人が殺到したらしい。

主催者がヌカす、「予想を遥かに上回っちゃいました」。ハニーベイヴ、この世はペテンとイカサマ。

オレは閉じ篭っている。誰にも干渉されず、誰にも指図されず、一旦静まる為に。

動く事が悪となり、その悪を唱える奴等が満員電車に乗っているという矛盾。国と国との争いなんかじゃなく、人と人との間から戦争ってのは始まる仕組みだ。加わるな。

今まで詩を唄ってきて最も嬉しかった言葉は「ヤクザの人がアンタの詩を聴いて泣いてたよ」って言葉だと思う。12月の札幌だった。

得意気な顔したこの国のリーダーが云う、一つの住所にマスク二枚を送ります。期待するから馬鹿を見る。アテにするから落ち込む。生まれながらのボンボンは残念ながら理解力に乏しい。ヤクザの方がよっぽど信頼出来るぜ。

オーケー、オレの住居は302号室と303号室をぶち抜いて一つにしてある特殊な構造なので登録住所は二つになる。すなわち、四枚頼むで!ってか。


 

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March 14, 2020

the long winter vol.3


センバツ甲子園の中止が発表された。スキあらば来週からの関西シリーズの合間に高校球児と甲子園本体に御挨拶へ出向こうと思っていた。

目にも見えない物体に様々な事が潰されていく。所詮人間なんて自然の前では成す術もないんだろう。

当然オリンピックも中止でオーケー、思いながら、オレは断固関西へ行き、ツバを飛ばしながら唄おうと思っている。パイロットが操縦してくれる限りは。

もうムチャクチャだ、矛盾だらけで。

どうやら全ては人頼りだ。布団があり眠れて、ブーツがあり歩けて、ニベアがあり肌が潤う。全ては発明した人物のオカゲだ。オレに出来る事など皆無に近いらしい。

そして今、気掛かりなのは「世論とは寝ない男ランク」ボクのナンバー1、ボブディランがジャパンツアーを敢行するのか否かだ。

オリンピック中止なんてある訳がないと思っているヤツも居れば、中止で決まりだと思っているヤツも居る。

御国を上げての戦争どころか御国自体で戦争が起こるぜ。馬鹿らしい。その列に加わる気は毛頭ない。

何処に行けどもいいヤツが居て悪いヤツが居るってそれだけの話だ。北朝鮮にいいヤツも居ればカンボジアに悪いヤツも居る。香港に醜いヤツも居ればアメリカにイカすヤツも居る。

御国や土地柄でカテゴライズするなんてダサ過ぎる。大阪にも面白くないヤツはわんさか居るってのと同義だ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここまで書き残した直後、ボブディラン来日中止のニュースが飛び込んできた。その足でライブバーへ出向いた。満席だった。

「オレの立場になればオレが正しく、君の立場になれば君が正しい」、ボブディランの言葉だ。


 


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March 04, 2020

登場人物全員気狂い '20


「オレって本当は間抜けだったのか?この不幸は全て自分で招いているのか?ありうる話だ。実はオレってオツムの足りない、生きているだけでも御の字な奴って事も充分にありうる 
(ヘンリーチナスキー)


電車降りる前に我先にと乗り込んでくるゴミ、改札の出入口で大荷物を抱えて立ち止まっているカス、下を向いて歩く逆スマート野郎、自らの不注意で忘れ物をしたクセに店員に八つ当たりする腑抜け、そして驚いた事にとりあえず謝ってみる店員。

面白くないヤツほどデカい声で喋る。不思議な事に誇らし気なツラを晒しながら。

阿呆にヤラれる前に逃げろ。しかし逃げども逃げども大量に溢れ、目に余る光景。怒りよりも恐怖、嘆きよりも悲哀、登場人物全員気狂い、IQなら2.8ってところ。

何事にも目を瞑り、何も感じない振りをする人間を「大人」と呼ぶなら、オレは永遠のポッピンボーイのまま死に至りたい。

もう10年ほど前、今村竜也氏がオレに云った言葉を今も鮮明に憶えている、

「そんなガリヒョロじゃイチャモンつけてもヤラれちゃうよ」

オールオーケー、オレは殴り合いも水掛け論もしない、宇宙人と闘うよりタチが悪そうだから。

さて、昨今の情勢から、コロナビールの売り上げが落ち込んでいるらしい。オーマーシー、もう許して下さい。

デマ騒動でトイレットペーパーは売り切れ、ライヴは軒並み中止、そして東京マラソンには7万人の観衆。

主催者がヌカす、「集まっちゃいました」。ハニーベイビー、IQなら2.8ってところ。

この世はペテンとイカサマ、洗脳された右向け右の精神、ソレを恥ずかしい事だとは思わないどころか、正しい事だと信じて疑わない図太ささえも持ち合わせているらしい。

コレがラジオ番組ならオレは直ちに一曲お届けするだろう、ヒートウェイヴで「トーキョーシティーダイアリー」。

「気を付けます、受け止めます
マニュアル通りに街を歩き、とにかく何とか生き延びます」

この詩を真正面から捉えるか皮肉と受け取るかはそれぞれの感性だ。

よく居るだろう、「自分らしくあれ!」ってな類いの作られたヒットシンガーの曲を額面通りに受け取って、デリカシーの欠片も無い行為を繰り返しながらも「これがボクだ!」とかホザきたがる輩が。

帰れよ、くれぐれもそのヒットシンガーにも迷惑を掛けん様に静かに。

オレはインターネットなどには引っ掛からないヒップなナンバーを沢山知っている。右向け右な連中には誇らし気なツラを晒してやろう。

しかし奴等の返答は残念ながら火を見るよりも明らかだ、「で?」。プリーズシュガー、仲間なんて無理してまで増やすものじゃない、気付けばそこにあるものだ。絶対に忘れるな。

思いのままに書き殴りながらオレは今もモダンソファに腰掛けて、ニュースを読んだりしている。嫌気が差しては本を読み、本を読んだら頭が動いて止まらなくなる。

体重計に乗ったら+2kgの表示が出た。頭以外、ほとんど動かしてないからだ。

ナニモノでもないオレが品のない言葉を並べながら、同時に脳内では冒頭の言葉を繰り返している、

「オレって本当は間抜けだったのか?この不幸は全て自分で招いているのか?ありうる話だ。実はオレってオツムの足りない、生きているだけでも御の字な奴って事も充分にありうる

電気ストーブがあるなんて奇跡だぜ。IQなら辛うじて8.93はほしいところ。

 


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February 27, 2020

the long winter vol.2


気付けば近頃はレコードさえも裏返してないな、と思っている。

そもそも音楽自体をほとんど聴いていない。

ターンテーブルにはアールボスティックのベスト盤が乗ったままだ。

オレは回す気がしない、今はただただ自らと向き合う季節らしい。

普段、24時間中17時間は座っているであろうモダンソファが置いてある猿小屋には窓がない。

何処に居るよりも落ち着くが、同時に何処に居るよりも気に障る空間だ。矛盾は永遠のテーマだ。

明確に寒いってのが嫌いだ。まるで虫って事になる。そんな訳で北海道には住めない、こんなに愛しているのに。

すなわち、電気ストーブと魂だけが頼りだ。ほとんど外に出歩く事もなく、答えのない答えを探し続けている。

しかし、そんな事を繰り返していると煮詰まるのも当然らしい。閉じ篭っていても答えなんて永久にやって来ないだろう。

それ以前に「答え」なんてないって事をオレは誰よりも知っているってんだからタマラナイ。

さて、埒が明かんのでターンテーブルのレコードを加川良大将の「教訓」に置き換えて回した。最高だ、根本の美学。

そして新宿へ友川カズキ先生の「どこへ出しても恥かしい人」というドキュメンタリーを観に出向いた。完璧だ、独自の哲学。

大嫌いな新宿が、危うく大好きになってしまいそうなくらいだ。

重要なのは、知らん間に訳の分からんレースに巻き込まれて競い合う事ではなく、脇目も振らず自らが目指す山の頂を狙い続けられるか否かだ。

寒さのせい、時代のせい、タイミングのせい、それ、全部引っ括めてお前のせいだろう。

心底笑う日の為には笑えない期間ってのが必要だ。

宇宙に一人ぼっち、望みもせんのに連れて行かれた様なAM05:18、モダンソファの上で、大声で唄わせてもらおう。




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February 11, 2020

the long winter vol.1


近頃は無の季節だ。何をやっても満足とは程遠い。

イカしたコップを手に入れても次の瞬間にはこう思っている、「ソレがどうした」、

ニクい映画を観たとて「オレはなんだ?」、曲を書こうにも「一体どうやって?」、

何時だって笑える為には笑えない期間ってのが必要だ。

ほとんどパジャマ姿のままで、朝も夜もなく日々が過ぎていく。外はいつも暗いままだ。

どうやら肩が凝っている。無意味な力が入り、まるで誰かが後ろに乗りかかっているかの様だ。

そう感じ、
オレが今まずやるべきコトは風呂釜をピカピカに磨き上げ、何も考えず凝り固まった肩と頭を労る為に湯舟へダイヴするコトだと踏み、文字通りピカピカに磨き上げた。風呂があるなんて奇跡だ。

そしてお湯をふんだんに使い、のぼせかけた今はこう思っている、「もう風呂に入った様なモンだ」。

肩は凝ったままだ。湯舟にダイヴするのは明日へ持ち越しだ。


さて、持ち越した後、満を持して二日連続で湯舟にダイヴした。入浴剤だって手に入れた。「ロマンティックジャスミンの香り」、小粋なネーミング頼りだ。

感想はこうだ、「で、オレはどうだ?」。肩と頭は凝ったままだ。

先日、2020に入ってから初めて外でお酒を呑んだ。それは愉快且つ痛快なトークで終始笑いと再会で溢れていた。しかし次の日にはこう感じていた、「ソレがどうした」。

危険だ、何をやっても満足とは程遠い季節。

空き物件を見つけては、「此処で昔ながらの弁当屋をやったら絶対に流行るで」などと勝手にそんなコトばかりを考えている。そんな時、店の名は断固「NAKED LUNCH」でキマりだろう。

しかし、残念ながらオレの夢は弁当屋になるコトじゃない。

季節を越せるかはお前次第だ。




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January 18, 2020

the light up '20


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2020.01.18 AM07:55

誰かの揚げ足を取るコトでしか笑いを取れない奴等の声が左右から聞こえてくる。

オレは笑う気がしない、愉快とは程遠いから。

下を向いて歩く連中が持っているソレと、連中をかわす為に常時左右に目を凝らしているオレとの温度差。

あの電話機の名称をいい加減変更してくれ。文明の利器が悪いんじゃない、許せないのは言葉選びを誤っているって点だ。

しかしオレには名称を変える力などない。クダラナイ事柄は考えるだけ時間の無駄だ。喜びは自らで探すしかない。

近頃は電球のコトで頭がいっぱいだ。街の何処を見てもあれは何ワットだ、あれがLEDなのか、あれの口金はどうだなどと一人ごちている。

この研ぎ澄まされた感覚はレコーディング時のソレと瓜二つだ。何を聴いても音の鳴り方と録り方のコトで頭がいっぱいになるアレだ。

電球よりもレコーディングのコトで頭を満たしたい、思いながらオレはピンクの豆球の下でコレを書いている。

思うにいつも一月二月ってのは忍耐の季節らしい。目覚めれば暗く寒い。モッズコートとブーツだけが頼りだ。

目を覚まし元気になる頃にはもうどこもかしこも閉まっている。電気屋も文房具屋も。

好きだった店がどんどん潰れて行く。隣にあったレンタル屋の家賃は月100万で、その隣にあったスーツ屋の家賃は月260万だったらしい。

そしてこの街のシンボルだと勝手に思っていた天狗神社は知らん間に姿を消していた。

さて、気付けばメインストリートはガールズバーの呼び込みだらけだ。今、この時間もやっている店、それはどうやらガールズバーだ。早朝サービスって頃合いか。

オレは行く気がしない、意気揚々と豆球の話をされてもガールズが困るだろうから。



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January 12, 2020

ローソクと静寂 '20


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2020.01.08 AM06:38

世間の丑三つ時を突破したこの時間、最も元気なのはやはりボクなのですか?ってな静寂。

おみくじだとか占いだとかの前に、イカす年に出来るか出来ないかってのは自ら次第だ。

いい曲が出来た後でいい珈琲やいいお酒を嗜みながら映画や本を読むのが幸福であり、ただいい映画やいい本を読んだだけでは真のイカす一日とは呼べない。


今年はまたアメリカに行きたいなと漠然と思っていた。 しかし情勢はどうにも穏やかではないらしい。

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この辺りまで書いて文章を止めていた。今は2020.01.12、やはり丑三つだ。一昨日はPM17:38に目を覚まし、昨日はそのまま30時間起き続け、今日はAM06:43から起きている。

相変わらずどこまでが昨日でどこからが今日なのか、いつが朝でいつが夜なのかってのが定まらない。

とりあえず今日でも昨日でも思っているのは「東京オリンピック期間中は根こそぎ丸々この街を抜け出していたい」ってコトだ。茶番には飽き飽きとしている。能天気と悪はイコールだ。

猿小屋に閉じ篭り、イカす一日を目指し頭の中を整理する。

PM17:28、高松からライヴを演りに来た男に会いに渋谷のライヴハウスへ出向く。ようやく外に出る時だ。

高松の知った顔の何人かが渋谷に集まれば、そこはもはや高松だ。気分がいい。

気分はいいが途中で抜け出し猿小屋へ舞い戻る。まだ一日は長い。

帰り道、立ち寄った公衆トイレで何やらやかましい外国人三人組と出くわす。何喰わぬツラで横にいる奴等をさり気なく窺いながら、「奴等が突然襲ってきたらボクがまず取るべき行為は?」なんて勝手に自問自答している。

「来るなら来やがれ」、勝手に覚悟したものの奴等はほとんど見向きもせずに出て行った。頭の中の整理に終わりは訪れないって仕組みだ。

真のイカす一日を狙い気付けばAM06:09、世間の丑三つ時を突破したこの時間、最も元気なのはやはりボクなのでしょうか?ってな静寂。

灯していたローソクの火は今、二つとも消えた。

さてオレは今、ローソクにまた二つ新たな火を点けて、この静寂にギターの音を突き刺したいと思っているところ。
 


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January 04, 2020

モダンソファに腰掛けて '20


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気付けば三日振りに風呂に入った。すなわち、2020初の風呂に。

別に忙し過ぎたってワケじゃない。他のコトを優先させていたら風呂はもう後回しってだけだ。

「お正月はジャズ」という格言がある。まぁ、2009年の年明け頃にボクが勝手に作った戯言だ。

今年の年明けはそんな気分でもなかったが、昨日辺りから一気に火が点いた。今はチャールスミンガス大将の「道化師」を回している。タイトルからしてピッタリだろう?

無事に元旦を迎えて早々に初詣へと出向いたが、そこには長蛇の列が出来ていたのでおみくじだけ引いて引き上げた。

帰り道、2020年初の買い物をした。不要な買い物はしない。しかし、ボブディランのコンサートチケットは必要だ。

その日の夕方、次の日の夕方も神社へと訪れたがまだ長蛇の列は続いていた。引き上げた。神様もお忙しいでしょう?ってコトで。

そして本日、列が短くなったコトを確認し遅ればせながらお参りをした。沢山笑えます様に。

お参りをする直前に見つけた神社の張り紙にはこう書いてあった、

「おみくじはお参りが終わった後に引くのが神様への礼儀です」。

オーベイビー、堪忍してほしい。

40になる前に頭の中に抱えている様々な事柄を形にしたい。誰かの芸術を観て批評だけして満足みたいな輩には生まれ変わってもなりたくない。

そんな輩にこそ神様、罰を当ててやってくれよ。

「今年も宜しくお願いします」の前に、宜しくやってもらえるか否かってのはこちとら次第だと年々強く思う。

オーケー、誰かにとっては「そう思うならまずは風呂入れ」ってコトになるだろう。

このファッキン情報社会、全員の意見に耳を傾けていたらもはや残るモノはたったの一つ、「何も行わない」って行為だ。すなわち、御免だ。

オレは今、ミンガスを止めて、昨夜降ってきた曲を完成に導こうと思考しているところ。

沢山笑おう。
 


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October 22, 2019

歴史 '19


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オレにとって一番の癒しは、履き潰されたレザーブーツの写真をただただ眺めるコトだ。

余計なコトは考えず、そうなったまでの経緯についてだけ考える。すなわち歴史について。

何年も前、場所は福岡でのライヴを観てくれていたマダムが身内にこんなコトを囁いていたと後で聞いた、

「足元が寒そうで可哀想だわ」

当時、オレのブーツは穴だらけで、オマケにつま先が破れパカパカで、中の靴下まで見えていた。

その言葉を褒め言葉と受け取るのか、侮辱と捉えるのかなんて人それぞれだ。そこにはただ歴史があるだけだ。

さて、2019の終わりに向けて始まる今回の旅は、どうやら東京に戻らず行きっぱなしの旅の中で過去最長のモノになるみたいです。

19日間で17本、無事にコトを終えて東京に戻って来れた暁にはその足でブーツ修理屋に駆け込みたい所存です。

準備と行動と経験の繰り返し、それを続けている内にいつか必ずやって来る事実がある、死だ。

穴の開いたギター。哀しいと感じるのか、嬉しいと捉えるのかなんて人それぞれだ。

何処かの町でお会いしましょう。

 

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July 29, 2019

SWEET AND DANDY '19


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2019の7月も佳境に差し迫る今日この頃、気象庁は梅雨明け発表を勿体振り、オレはといえば定位置に座りジャマイカンミュージックとそれにまつわるレヴェルミュージックに身を捩らせている。

暫く触れてもなかった、「Jamaica」と書き殴った仕切り版の枠内に収められているレコードを掘り起こしてはその素晴らしさに改めて感嘆している、その精神に。

去年の今頃は、兵庫県豊岡市竹野町で行われたレコーディング合宿への準備で身を捩らせていた。基本的には「ギター一本だけで一枚作る」という自らの目論みに従い、「ライトアップ・ザ・ポリシーズ」は果敢に完成へと漕ぎ着けた。一喜一憂の忘れ難い日々だった。小林琢也の優しさとオレの執念みたいなものが記録されたアルバムだと思っている。

オレはスペシャルズのやり方を見て、コレを一人で表現してやろうと思い、弾き語りの道へ入った。メンバーに頼らず、まずは一人で何が出来るのかを試してみたかった。

25歳直前の12月、バンド仲間に誘われて初めてまともにアコースティックギター一本だけでステージに立った時の一曲目は無論、スペシャルズ(原曲はダンディリヴィングストン)の日本語版だった。

あの瞬間から今に至り、知らん間に
アコースティックギターには穴が空いた。死ぬ奴は死に、辞める奴は辞め、誰が決めたかも分からん様な「社会のルール」とかってカテゴリーに当て嵌められて消えてしまった。そしてオレは、まだまだこのまま行きたいと思っている。

ビートジェネレーション、岡林信康、
ヒッピー、ボブマーリー、スペシャルズ、パンク、共通点は全て「レヴェルミュージック」、そしてどうやら「政治」へと辿り着くってな仕組みだ。

「ゴタクをゴジャゴジャ、コレはコレでこう?右側の勝利者としてだって?洒落臭いお前、幸福の扉のノックはオレがし続けるぜ」

右とか左とかそんな左右の話はどうだっていい、オレは前か後ろかの話だけがしたい。

もう二度とこのままでは唄わないであろう初めて弾き語った時の「Rudy,a message to you」の詩が見つかった。今読めば詰めは甘いが、伝えたい気持ちは何も変わらない。

前だけ見据えて次のやり方を模索したい。ポイ捨てと自由は結び付かない。



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July 02, 2019

七月のベター '19


オレはPM21:23にようやく目を覚まし、AM04:37にようやく顔を洗ったところ。その間にボクシングのパンチングボールを注文し、御飯をいただいた。

それが朝御飯なのか昼御飯なのか、皆目見当はつきそうにない。

気付けば七月、梅雨前線のど真ん中。不愉快の最先端、ギターさえもベタついている始末。別の顔をした太陽がいる北海道、若しくはサンフランシスコ辺りへ一目散に舞い戻りたい気分。

「太陽は一つだけ」だなんて、オレは断固信じたコトがない。

思考は次から次へと向かっている。それはファッションブランドが夏のアロハシャツを売り出している時に、真冬のアイテムについての最終会議を行っているのととてもよく似ている。

下北沢で煙草を買って帰ろうと思っている時、オレは新宿駅に居る時点でその小銭を既に握り締めている様な男だ。だからこそ、改札口の手前で切符を探してアタフタしていやがるドンクサ星人にはどうにも我慢がならない。それでいて、降りる人を待てずに我先にと乗り込もうとしてきやがるナスビ野郎みたいに頭イカレてもいない。

準備が早過ぎて、準備していたコトすら忘れてしまっている時がある。どうやらIQは低めらしいが頭はまだ正常だ、約束を無駄にしていない限りは。

AM07:27、今から入ろうと思っている風呂は朝風呂なのか一仕事終えた後の風呂なのか、そんなコトはもう誰にも分からないってな塩梅。


 

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April 18, 2019

フィッシンオンライフ '19


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まだ「夏」と呼ぶには早いのか。この冬「寒い」と吐いた回数なんと二千強、使い古しの言葉はええ加減、海に投げ捨てろ。定型文なんてロボットでも吐ける。

4月上旬、山口県周南市は25℃近くあった。「暑い」とホザく時が遂に来たのかと思った。移動の合間、相棒の下原元気と釣りをした。

一人旅と一人じゃない旅との違いはただ一つ、より自由になれるのかなれないのかって点だ。

ソレは気心知れた人間とじゃないと成り立たない。南の方へと旅に出て、途中で北九州のアレンギンズバーグ、下原元気と合流した。

ヤツは2006年頃、東京は三軒茶屋のライヴバーで知り合った。ブランクが10年近くもあったが見事去年再会し、ポッピンな関係は今も続いている。音楽と人間性のオカゲだ。

ヤツはまるでオレとは真逆の性分だ。どうやら血液型はオレと同じA型だという。カテゴライズなんていかにクダラナイ事柄かってのが手に取る様に分かる。

ヤツの釣り竿は15000円で、オレが借りたのは1500円のモノだった。玩具みたいなルアーに玩具みたいなリール。

釣るコトが目的ってよりも、ただ雰囲気を楽しんでいた。そして胸中は穏やかの最先端だった。ただただいい時間を過ごしていた。

次の日、チェックアウト後、次の街へと向かう前にオレは云った、「もう一回、釣りをする時間はあるかい?」、

そして前日とは違うスポットへと出向いた。「お前、ほんまにこのルアーで釣ったコトあるんか?」と聞いた直後、ヤツは得意気な顔で魚を釣り上げ、そして直ぐに海へと返した。

そのクールで無邪気な仕草を羨まし気な顔で眺めた。「そろそろ行きましょう」と満足気なヤツを尻目に「もう一回だけやらせてくれ」とせがみ、最後に垂らした糸へ遂に魚が喰い付いた。

あの瞬間の快感こそ生きている理由だ、とかヌカすと大袈裟だが、実際そうなのかも知れない。オレはクールな仕草を真似て、釣り上げた名も知らん魚の目を見て云った、

「おー、痛かったよな」、そして直ぐに海へと返した。名も知らん魚は泳げる喜びを感じている仕草で海の底へと消えた。

記憶に残るいい時間だった。その時、脳内ジュークボックスからは釣りにまつわる曲が何曲か回っていた。

来週からまた旅が始まる。「暑い」って言葉なら二万回吐いたって苦にならない。

生きる上での目標があるとするならただ一つ、ロボットにだけはなるなってコトだ。型にハマった奴等の指図こそ悪の根源だ。

とにかく死ぬ前に、「暑い」ところで会おう。


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April 01, 2019

四月の咆哮 '19


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新元号は「浪漫」でいい。オレが眠っている間にそう発表しといてくれ。 

バランスを損ない、リズムを奪われ、ほとんど閉じ篭っている内に四月だ。

この調子で行くと2019年のオレは「12点しかやれません」ってなコトになりかねない。こちとら93点はほしいのにだ。

点数を与えるのもオレならもらうのもオレだ。敵なんかどうでもいい。

より高い点数を叩き出す為にはやはり、新たな荒野へと向かう必要がある。

ショーケンが死んだ。会ったコトもないが、何故かダメージが大きい。大切なモノを一つ、失った様な胸中だ。

歯医者通いは続いている。クラシック調にアレンジされた「アヴェマリア」をBGMにして、あの歯医者特有の機械音が鳴り響く室内はもはや狂気だ。

四月、飛び出した場所でオレはようやくリズムを取り戻すだろう。白い歯で会おう。


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March 08, 2019

タンブリンダイス '19


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電車ーバスー飛行機ーバスを乗り継いで13ヶ月振りに福山へと帰った。目的はまず一つ、お母ちゃんに会う為だ。

ヤツはボブディランの二歳下。まるでボケる要素もなく、得意料理を振る舞い、TVのクイズ番組に答えを出し、オレを「汚いルパン」などと罵っている。

オレはここぞとばかりに食べまくり、三日間でジャスト二週間分は平らげた気分だ。

大好きな自動車博物館へと出向き、粋なトランクを後ろに乗せたバイクに跨がり、モダンなストライプソファがあるクラシックカーの運転席に鎮座する。

いくら気取ってみたところでオレには決定的な欠点がある。免許がないってコトだ。

何十年か振りに「鞆の浦」まで足を伸ばし、何をするでもなくほっつき歩き、ただ其処に居る人達を眺めたりする。

精神は安らぐが同時に不安は常に隣り合わせにある。このままじゃいけない。

「また来ます」とお母ちゃんに告げ、雨のトーキョーへと戻って来た。いつからか此処が戻る場所になった。今や福山よりも長い年月、この苛立ちの街に居る。

一念発起して、長年燻っていた歯の治療に出向く。病院に行くコト自体数年振りだ。完璧にヤラレる前に出来るコトはヤっとくべきなんだろう。

レントゲン写真を見ながらドクターがヌカす、「格闘技とかやってました?」。歯を食いしばる力がヤケに強いらしいが、残念ながらオレはただのガリヒョロボーイだ。

診察台に寝転がる「まな板の上の鯉」このワタシにドクターがホザく、「もしも痛い場合は左手を上げて下さい」。

そして何もされてない段階から一目散に左手を上げようとしている男このワタシ、「オレってひょっとしてオカマの最先端に君臨しているのかも知れない」、一人ごちる。

治療を終え麻酔で痺れたベロを気遣いだらしなくヨダレを拭きながらドクターに告げる、「とうもはりかとぅこさいまひた」。そう、一人ではてんで無力だ。

口の中にはクスリの不愉快な味が残っている。オレはソイツを今、レモンハイボールにて流し込んでいるところ。どうやら不愉快な味は一層広まるばかりだ。

このままじゃいけない。

そう思い、ギターを抱えたら簡単に曲が出来た。重要なコトはまず一つ、腐らないってコトだ。




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March 02, 2019

三月の殺伐 '19


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いい映画を観たからと云って、ソレだけでいい一日とは呼べない。

美味い御飯を食べたからと云って、ソレだけでグッスリとは眠れない。

サイコビリーを回しながらファーフゥーと踊り叫んでいても、ソレだけでオレは最高だなんて思わない。 

核の部分が霞んでいると、精神も歪んでくる。気取るならブレるな、最低限のマナーだ。

二月は東京でライヴが四本あった。各地の人間らしい人間達と会い、よく笑い、よく呑んだ。いい一日だった。

いい写真を何枚も送ってくれるカメラマン。カメラマンズ。いいカメラで撮ったいい編集。オレには出来ないコトをやってくれる立役者達。

いい相棒にいい理解者、いいレコードにいい悪友。どれもこれも最高だ。最高なクセに、ソレだけではまだ満足出来ない。核があと291倍、際立ってないと真の満足に手は届かない。

「(I can't get no) satisfaction」を今こそ爆音で回してくれ、無論7インチで。

我侭だと人が云う。求め過ぎだと人が云う。生意気だと人が云う。

パズルを埋める作業は続いている。多分、永久に続くんだろう。選んだ道である限りは。

明日から何日間か広島へ行く。トランクにはまず本を詰めるだろう。サリンジャーとかジムトンプスンとか。あとは少しのパンティと、アーガイルの靴下さえあれば充分だ。

そしてお母ちゃんはまた云うだろう、「アンタ、髭剃れ」「息子と思われたないから離れて歩いてや」。

最高だ、踊り続けよう。

 

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February 04, 2019

二月の混沌 '19


満足のいく仕事がほとんど何も出来ないままに一月は去ってしまった。太ってもないのに太った事を気にしている女の様な気分が続いている。

棒読みの「お疲れ様です」なんて骨の折れた傘と同義だ。すなわち、無意味だ。興味が無い。

こんな事を書き殴る意味があるのかさえ定かでないが、4月頃に読み返した時には笑える様に残しておこうと思う。オレは今、何日も書いては消してを繰り返しながら、着地も見えんままにまたタイプを進めているところ。

ピシャリ一言で書くと、近年稀にみるほどに具合が悪い。車で例えるならガソリン、ストーブなら灯油、絵描きなら絵の具切れの類い。そう、まるで冴えてない例えだ。

無論、時節になぞってホザくとするなら「鬼は外」ってヤツだろう。

特に何があったってワケでもない。というか、何も無さ過ぎるってのが気に入らない。幾万の内の一にならない為の道だけを探している。

冬の暗さ、寒さのせい、蟻みたいな行列のせい、マニュアル人間のせい、などと誰かのせいにするのは容易いが、そんな言い訳はオカマのやる事だ。

そういえば何年か前、突然こんな風に云われたコトがある、

「アンタの発言は私の親も読んでるんだから気を付けてね」。

その言葉に従い、ただ、嫌われないでいようと心構えした瞬間に叩き出される点数はそう、平均点だ。てんで興味が無い。

8年ほど前、お金がほしいが為だけに迷い込んでしまった「仕事場」で、当時まるで仲良くもなかった男が吹っかけてきた言葉がフラッシュバックする、

「あのー失礼かもしれないですけど研修って言葉、世界一似合わないですよね?」。

有名俳優は逮捕され、オレは逮捕もされず今もタイプを進めている。どうやら幸せだ。

ところで、今日の東京はカリフォルニアみたいな気温になるという。言い訳ながら、冬はもう終わりでいい。




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January 25, 2019

ゴム手袋を捨てろ '19


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神経が過敏だ。何をやっても満足出来ない。

気になるコトがある時にまずやるべき行為はただ一つ、気にならなくなるまでやるってコトだ。

一月に入ってほとんど、整理整頓ってヤツに精を出している。何故、こんなコトに神経を持っていかれているのか、もはや自らでも理解不能だ。今は時々やって来やがる、何もかもが無意味に思える季節らしい。

因みに年末の風呂場のファッキン黒ずみとの格闘は、辛うじて7対3での判定勝ちってな塩梅だった。もっと完璧な勝利がほしい。

さて、ゴム手袋などを両手にはめてオレは何をやっているんだろう。神経はそう、他の事柄に費やしたい。 

冬ってのは大嫌いだ。眠る気にならず、眠ればてんで起きれる気がしない。

しかし唯一、このクダラナイ季節にでもメリットがあるとするなら、様々な音楽を聴きまくり、ゴム手袋をしながらでも踊り唄っている。本来、291万枚は売れるべきだったバンドマン達のレコードを回しながら。

そう、明日はステージに立つ。博多天神からは京田つよしがやって来る。東京では遂に初共演だ。すなわち、いつまでもこんな季節の中に埋もれるワケにはいかないって仕組みだ。

「漢の中の漢」って言葉は、オレの中では京田つよしと京都のギアマスがまずは思い浮かぶ。合言葉は「クール」に他ならない。

そして酔いどれ花村雷蔵、DJはTatta、オマケに右往左往の総本山このワタシにて繰り広げるロマン、

ゴム手袋などさっさと踏み潰して楽しもうぜ、ジャングルライフ。


https://www.akinoritaka.net/




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January 18, 2019

一月の憂鬱 '19


no title


時々、全ての事柄が無意味に思えてしまう季節ってのがある。

一月とは何故か憂鬱だ。

イカす本を読んでも、
映画を観て教養を得たとしても、いくら素晴らしいと思う作品を作り上げたとしても、「果たしてソレが一体どうした」だなんて冷めてしまう季節ってのがある。

一月とは何故か憂鬱だ。

今、猿小屋をゼロから見直している。今、最も憎いモノは「埃」と「寒さ」だ。
片付けても片付けても、何時だって完璧なんて程遠いみたい。

埋もれたまま消えてしまったバンドの音楽を聴く。そのリズムに合わせて踊りながら猿小屋を見直している。

たとえば、カメラマンズというバンドがいた。ジェリーリーファントムというバンドがいた。

「何故、こんなバンドが国民的バンドと呼ばれないままに消えてしまったのか」だなんて考え出したら闇はそこそこ深くなる。

「今、気狂いに突然刺されでもしたら全ては無意味になる」だなんて考え出したらその闇は更に深くなるばかりだ。

しかし、ソレと同時に、今行っている作業がてんで無意味ではないだろうってコトも知っている。そう、生きている限りは。

スケジュール調整、猿小屋整理、頭の中は常にパズルのピースが巧くハマるコトだけを願っている。

組織に属せない連中は今日も我が道を駆け抜けるばかりだ。

一月とは何故か憂鬱だ、早急にこの季節を突破したい。

 

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January 09, 2019

魂が鈍ると形式が現れる '19


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今はもはや、「年末年始」と書いて「過去の産物」と読める。ドサクサ紛れの高熱にうなされながら、「寝込むなんてオカマだ」というポリシーに則り日々をやり過ごしていた。

年明け早々、気合いを入れる為にまず観返した映画は「ブコウスキーオールドパンク」。

何気なく、何者かも知らず、一枚のフライヤーだけを頼りに原動機付自転車で駆け込んだ2005年渋谷の映画館、そして観終えた後の爽快感だけが今も胸の中にある。

2019を彩り豊かに囃し立てる為にまず重要なコトは、動き続けるってコトに他ならない。「平凡」ってのは強固性に合わない。

一人だけではどうにも出来ないコトがある。今は一人でも出来るコトを着実に一つずつ片付けている。必要なモノを残し、不要なモノを捨てまくるって作業だ。

ヤケに薄い手帖を買ってしまった。書くスペースがなくなる程の分厚いヤツを買うべきだった。

常に8歩先の事を考えている。例えば新宿に居る時、オレは福岡に居る時の事を考えている。そして福岡に居る時には、北海道の事を考えている。

そして北海道に居る時には・・・、死ぬまで繰り返しだ。

何もかも巧みにコトが運ぶだなんて思ってもないが、今はまた新たなターニングポイントの渦中に居る様な気分。

魂を鈍らせるな、形式なんて後ろから勝手についてくる。

 


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December 21, 2018

ぶちまけろ '18


アルバム制作、その後に立て続いたライヴ行程を果敢にクリアし、ようやく少し落ち着いた様な気分。しかし落ち着いたら落ち着いたで何とももどかしい胸中にもなってくる。

どっちつかずのポッピンボーイこのワタシ、とっとと向こう一年分のスケジュールがほしい。

そんな中、ジェニーが猿小屋を去った。ヤツはオレを随分と助けてくれたが、オレはヤツに何か出来ただろうか。考える事は塵の如くあるが、別に仲違いしたってワケじゃない。「また此処でレコーディングしましょう」、そう告げて別れた。

先日、空っぽになった部屋でブーツを磨きながら「亀岡寛明のエゾサリヴァンショー」を聴いていた。すると突然、「今日はパレード」というオレの曲が聴こえてきた。

不思議な気持ちになりながら、よくラジオを聴いていた10代時分の事を思い出した。時代は変われど、いつだってラジオは魔法だ。

さて、猿小屋を断固維持すべく今は様々な角度から見直しを計っている。そして今、最も気になっている部分は風呂場の黒ずみだ。オレってひょっとしてオカマなのかも知れない。

しかし、気になり出したら気が済むまでやれってのが信条だ。

格闘する事、早三日。いくら泡立てようがタワシを用いて擦ろうが黒ずみは黒ずみのまま其処に鎮座している。その強い意志に思わず一人ごちる、「かっこいい」。

それでも負けを認めるワケにもいかず、オレは遂に文明の利器を駆使してやってしまった、「風呂の黒ずみ 落とし方」なんてタイプして検索ってヤツを。オレってオカマなのかも知れない。

「クエン酸がどうの重曹がこうのをミックスして風呂場の床にぶちまけ、ラップをして一時間ほど放置し、その後で洗い流せ」とか何だとか、オレには医学の話同様、まるで馴染みのない言葉の羅列がそこには記されてあった。

オレは何をやっているんだろう。そんな事より向こう一年分のスケジュールに取り掛かりたい。

オールオーケー、オレは今、ジミヘンドリックスの「BBCセッションズ」を聴きながら、奇跡的に持ち合わせてあった重曹と食器用洗剤を適当に風呂場の床にぶちまけ、ラップをして律儀に一時間放置しているところ。





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October 05, 2018

【ライトアップ・ザ・ポリシーズ】ライナーノーツ B面


裏ジャケット 完成版


7, 喜怒哀楽な男 -a delightful man-


この曲は25歳くらいの頃からあった。ライヴでは全く演ってなかったが、歌詞はずっと頭に残っていた。今唄うのはどうかとも思ったが、歌詞を読みながらオレは何も変わってないんだって事になり入れる事にした。六弦を一音下げてギターでベース音をオーバーダヴィングした。



8, マリファナ女が宙を舞う -Marijuana girl flying in the air-


今年の5月か6月辺りに突然出来た。出来たというか、気付けばあった。歌詞は蛇口を捻れば出てくる水かの如く一気に書き上げた。この歌詞の全てを説明するのは自らでも困難だが、コーラス参加のカンダケイコが云った言葉が印象的だった、「この主人公は死んだの?」。解釈は千差万別でいい。「作り笑いなら止めておけ」「カテゴライズは身体に毒」、これはオレの口癖。


9, その闇 -that darkness-


この曲は当初、録音する予定じゃなかった。他にあった「ないものねだりのオンパレード」という出来かけの曲を色々試しながら、どうにも気に入らず苛立っていた時、持ち込んでいたレコーダーからこの曲が聴こえてきた。歌詞は随分前からあったが、ちょっと手直ししてギターを至って静かに弾いた。「大きな声で呼びな。大きな声で叫ぶ名」。



10, 今日はパレード -today is a parade-


息抜きに海へ行き、洞窟までの長い距離を泳いだら波にさらわれそうになって溺れかけた。ヘロフラになりながら帰った後、小林琢也のギターを録った。音を聴いたら直ぐに元気は戻った。
この曲は小林琢也のアヴァンギャルドギターがあってこそだ。邪魔者は要らないパレード。


11, 手紙 -the letter-


9分16秒、今まで作った中でどうやら一番長い曲になった。でも実は歌詞はもっと長いヴァージョンがある。13分くらいになるかな。この曲を収録した盤を一刻も早く作りたかった。当初のアルバムタイトル候補はそのまま「手紙」だった。完成して嬉しい。ハープを録音するのには時間がかかると思ったが、なんと仮歌を唄いながら同時に試しに吹いた一回限りのヴァージョンをそのまま採用した。


御国をあげての戦争をまた始めるつもりですか?
目の前の争いだけで手一杯なのに
何処に行けどもいい奴が居て
悪いヤツが居るってそれだけの話なのに


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オールオーケー。あとは各々の解釈で楽しんでもらえます様に。





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October 03, 2018

【ライトアップ・ザ・ポリシーズ】ライナーノーツ A面


LUTP 曲リスト 完成版
  
遂に10月を迎えた。9月29日、製作開始から僅か2ヶ月足らずで完璧にキャラメル包装されたパッケージ作品が猿小屋へと到着。

カッターで段ボール箱を開ける時、あの瞬間こそがロマンの塊だ。ありとあらゆる麻薬をまとめて打ち込んだ様な胸中にもなる。これはさぞかし品のない例え話だが、とにかく高揚感で空も飛べそうってな気分だ。脳内麻薬だけでトリップは充分に可能だ。

音に始まりジャケット撮影、ブックレット、映像、ホームページ刷新、フライヤー作成、資料作り、エトセトラ、弾をしこたま詰め込み、そして一発ずつを確実に発射する。

その作業全てに携わってくれた小林琢也を筆頭に、ワイルドタフネスな猿小屋仲間達がいたからこそ出来た芸当です。

盤が届いて、初めて客観的に音を聴けた気がする。オレが今、どうかホザかせていただきたい言葉はたったの一つ、

「コイツ、なかなかええがな」って事です。

少なくとも8月から9月にかけて、「ポリシー」って単語を世界一口にし、宇宙一紙に書いたであろうポッピン野郎このワタシ、今は
もうすぐ始まる旅の事を思考しています。そして2019年の事を目論んでいます。

すなわち、作業ってのは永遠に終わらない仕組みなんだな。

さて、旅に出る前に簡単なライナーノーツ、というか、録音した際のドキュメントを残しておきます。書き出すとキリがないのでなるべく簡潔に。

おまけに歌詞カードには載っていない、どっかの資料で提出してくれと頼まれた曲の英語タイトルも残しておきます。レッツへビーリッスン!


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1, 恋とスモーキンシガレット -love&smokin cigarette-


竹野に辿り着いて最初に録音した曲。どんな手法で録っていくか、小林琢也もオレも最初は探り探りだったが、この曲を録る過程で直ぐに理解し合えた。試しに録って、聴いて、録って、聴いていく。このアルバムのテーマは当初、オーバーダヴィングはなるべく避けるって事だったが、いきなり「絶対にここにはギターソロが要る」と思いついた。先が思いやられもしたが、断固実行した。ライヴとは違う広がり方と唄い方。歌詞はいつか、ジェニーの運転する車の助手席で吹かしていた煙草の灰がお気に入りのブーツに落ちていく瞬間を見た時に、頭の中でほとんどを書いた。


2, 珈琲の匂いのする方へ - to the smell of coffee-


曲自体は前からあったが、言葉が巧く乗らず、唄い方も分からずにいた。しかしどうしてもこのアルバムに入れたかった。未完成の状態で試しに録り、「コレはダサいな。考える時間をくれ」とか云いながら徐々に完成へと向かった。この曲には女コーラスが断固必要だと思っていた。カンダケイコに曲を送ったら、「悪い感じなジャズシンガーっぽく?それからウィスパー姉ちゃんな感じでいく?」などと気の利いた返事があった。そして録音し終え、ヘッドフォンを外した瞬間には興奮して云った、「おい、ジョーンバエズやないか!」。イメージ通りだ。最高だ。


3, ロールオンザストリート -roll on the street-


曲自体は前からあったが、言葉が巧く乗らずにいた。しかしどうしてもこのアルバムに入れたかった。「とにかく今日は時間をくれ」と、丸一日かけて練り直したら一気にハマる言葉が降ってきた。それから何度も録り直し、遂に完成を迎えた時には完全なるトリップ状態だった。小林琢也に聞いた、「なぁ、コレ最高じゃない?なぁ、どうなん?いや、最高やろ」だとか何だとか。その日の夜、「今日はこの曲の完成を記念して焼き肉を食べよう!」と小林琢也が云った。いただいてからぐっすりと眠った。旅の詩。


4, メンフィスのバラッド -Ballad of Memphis- 


2012年、初めてメンフィスに飛んだ。その時、目の当たりにした光景はまさにジムジャームッシュ監督の「ミステリートレイン」の世界そのものだった。当時、何度かライヴでは唄っていたがその時とは曲の構成も歌詞も異なる。記憶はずっと頭の中にある。どうか絵を浮かべながら聴いてほしい。旅の詩。


5, 街の灯 -city lights-


2017年9月、オレはアメリカを再訪する事に全てを賭けていた。サンフランシスコに「city lights books」という輝かしい歴史を持つ本屋がある。「その本屋の前で大好きな誰かと待ち合わせをしたなら」という空想の元、一気に詩を書き上げた。シティライツの間近にある「North Beach Hotel」の、とても綺麗とは云えない一室で。
曲は東京に戻ってからつけた。


6, 自由な犬 -free dog-


竹野で最後に録音した曲。当初の目標は10曲だった。しかし10曲を録り終えた後、もう一曲どうしても必要だと思った。合宿最終日、
丸一日かけて一から作った。どうしても竹野って町での風景をパッケージしたかった。その場所には小林琢也の愛犬、めーめちゃんがいた。これまで何度も会った事のある奴だ。どうやって竹野への思いにケジメをつけるべきか、悩みあぐねているオレを横目にコイツは呑気に横で眠り惚けていた。この生意気な愛すべきアウトローをテーマにしてやろうと思った。ラストの言葉はコイツのセリフだ、「使い古しの言葉は捨てろ」。一丁前な犬が気取って吠えやがったセリフだ。


レコードで捉えるとここでA面終わり。裏返したらまた明日。 

 


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August 03, 2018

永遠 '18


体内時計は永遠に故障中のままに迎える8月、夏はシタリ顔にて継続中。スマートとは程遠い電話機が律儀に警告をくれやがる、「原則、運動は禁止」。 

永遠に行方不明かに思われた恋人が心の扉をノックした7月の末、オレだってシタリ顔にて猿小屋に閉じ篭りいまだレコーディングの準備を進めている。「進めている」といえば聞こえはいいが、机の前にへばりついているだけでは大して何も出てこない。

いや、捉え方を変えれば想像力が豊かで困っているともいえる。一曲のメロディの中に何編もの詩が浮かぶ。とっ散らかってまとめ方が分からない。すなわち、こういう作業は締切がないと永遠に続くって仕組みだ。

バンプオブチキンが唄う、「可能性という名の道が幾つも伸びてるせいで散々迷いながら何処へでも行けるんだ」。恥ずかしながら迷っている時はその一行がいつだって顔を出す。

頼むから「生産性がない」だなんて云わないでほしい。哀しくなる。オレは国の為に生きているワケじゃない。

何が正義で何が過ちなのかさえ定かでないまま、太陽はそんな事など知らん顔でいつだって本気だ。その純粋さがかっこいい。

「ずっとそのままでいてね」というヤツも居れば「いつまで宝探しを続けるの?」なんて愚問を投げかけてきやがるヤツも居る。

答えなら一つでいい、「永遠に」だ。

本日、一足先にトランクを神戸に向けて送った。忘れ物がない様に何度も中は確認した。郵便局では62円切手も数枚手に入れた。無論、
愛すべき誰かにいつでも思いついた時に絵葉書を送れる様に。

さて、郵便局から舞い戻り早速、トランクに詰め忘れてしまっているブツに気が付いた。巷で最もホットな二人組「海水パンツ&ゴーグルズ」のゴールデンコンビだ。

オールオーケー、捉え方を変えれば、詰め忘れたモノがマイクじゃないって点がイカす。この世は捉え方次第で元気にもなれば病気にもなる。そして、オレは別に泳ぐ為に行くワケじゃない。

兵庫県は竹野というまだ見ぬ海沿いの町で録音作業は行われる。想像するのは完全に細野晴臣キャプテンの「HOSONO HOUSE」とザ・バンドの「BIG PINK」だ。

エンジニアは小林琢也、敵には回したくないその男が云った、

「問題は、裏の土手を一時間に二回ほどディーゼル列車が通るって事だ」

詰まる話、シチュエーションは完璧って事だ。

オレは答えた、「問題はゼロ、そのディーゼル音こそむしろ録ろう」。

コトが巧みに運べば10月からは30本越えのロングトリップに繰り出す予定です。すなわち、準備ってのは永遠だ。

煩わしい事柄は根こそぎ排除して録音作業と「泳ぎ」に熱中したい。

トランクに詰め忘れてしまった以上、ゴールデンコンビは手荷物で持参だ。


 


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July 30, 2018

DON'T THINK TWICE,IT'S ALLRIGHT '18


 猿小屋


昔々、今に比べてまったく酒に弱かった頃、新宿のライヴハウスのトイレに閉じ篭ってしまった事がある。なかなか戻って来ないオレの事を、当時よく一緒にいたジャーニーガールが律儀に男子トイレまで迎えにきてくれた、

「ねぇ、大丈夫なの?」。

オレは何喰わぬ顔立ちで個室を飛び出て早々彼女に云った、

「結婚してくれ。トイレでプロポーズってのは前例がないやろ?前例がない男ってのをずっと目指しとるワケやけど君はその点、一体どう思う?」。

紆余曲折あり、その話はトイレの水同様に流れた。それでいい。オレの思うクールは、誰かにとってはクズだ。しかし、その時に吐いた言葉だけは今もオレの脳内に残っている。

昔、上の写真を撮ってくれた今村"バンディーニ"竜也が吐いた数々の言葉は今も堂々とオレの脳内にインプットされていやがる、

「高哲典で居続けるってのも大変なんやな」、「君のライヴは見事に輩ばかりやな」「そんなガリヒョロじゃ、イチャモンつけるだけつけて直ぐにヤラれちゃうよ?」

すなわち、何気ない一言でさえ、言葉ってヤツにだけは終始敏感でいたい。呑んで記憶を失うだなんてモグリの最高峰だ。そんな勿体無い男にだけは強固なりたくもない。

何故、こんな事を突拍子もなく書き綴っているのかって事に特別な理由などない。あるとするなら、フジロックでのボブディランを観逃してしまったって事くらいだろう。「くよくよするなよ」(don't think twice)。

8月5日から始まるレコーディング合宿に向けてたっぷりと時間は取ってある。あくまで自然と言葉が降り注いでくる瞬間を今は待っている。贅沢な時間だ。

昨夜、どうにも火が点かず、敬愛して止まないタランティーノ大監督の「ジャンゴ」を久方振りに観返した。痛快さと言葉遊びに脱帽して興奮冷めやらず、「イングロリアス・バスターズ」さえ立て続けに観返してしまった。

上映時間5時間オーバー、学び直して教養を得た反面、オレはオレの事をやるしかないと思い直したAM07:57の出来事。

8月5日までに決めておきたい事柄が塵に如くある。2018を完璧に締め括り、2019の初詣でに胸を張って向かえる様に。




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July 24, 2018

あつさのせい '18


 unnamed


太陽が本気だ。もはやヒール。かっこいい。オレはオレが思っているその291倍、夏が好きらしい。アイス珈琲をどうぞオレにぶちまけてくれないか。笑って「one more cup of coffee!」なんて答える様に努めるから。

頭の中がパンク状態なので、ここらで脳内整理も兼ねてランダムに吐き出しておこうと思う。

九州に向かう直前、四日市で会った事のあるミラーガールから突然絵葉書が届いた。それはカナダの国旗が書いてある絵葉書で、一言で云うと「私、今カナダなの!」ってな知らせだった。

最高だ。年間通して「フェイスブックとかってやってますか?」なんてよく問われるが、そんな事よりも「住所教えてくれない?」と聞かれる方が性に合う。「コイツ、ひょっとして絵葉書でも送ってくれるつもりですか?」なんて胸躍るから。

九州。御多分に漏れず毎日快晴。北九州のアレンギンズバーグ、下原元気と11年振りの再会。イカれ具合は健在どころか増すばかりで嬉しくなる。11年間の空白はジャスト2秒で埋まった。

ヤツが云った、「旅に連れ出してくれてありがとう」。オレが答えた、「一緒に旅してくれてありがとう」。最高だ。好きなモノが好きで嫌いなモノが嫌いだ。

熊本で髪の毛を切った。旅先で髪の毛を切るのが好きだ。街をほっつき歩き、美容室の類いを探し彷徨う。「検索」など絶対にしない。

「襟足と耳の後ろを9mmバリカンで。モミアゲは残して」。伝えた筈の直後、おーベイヴ!バリカンはモミアゲ部分から豪快に入れられた。その瞬間の鏡に映っているオレの顔はきっと素っ頓狂の最先端だっただろう。最高だ。笑えるなら何でもいい。

さて、近頃はまたポマードが手放せない。風に漂う「TWOFACE POMADE」の香りが真夏をより強く感じさせてくれる。気品ある香りだ。そいつを付けたままよく眠ってしまう。目指すのは永遠のベッタリボーイだ。

九州直後、西日本豪雨のチャリティイベントに出演した。大分辺りに居る時に突然連絡が来て、断固二つ返事で快諾した。

チャリティなんて柄でもないが、いざやってみると嬉しくて火が点いた。普段と違う感じにしようと出番前から呑みまくり、気付けば今村竜也のステージに乱入しては苦手な筈のコーラスさえキメていた。

ところで、オレ自身のステージはお世辞にも褒められたモノじゃなかった。あんなステージをだらだらと続けるくらいならオレは潔くとっとと引退の道を選ぶだろう。

しかしあの日のテーマはハッピーだった。文字通りハッピーな夜だった。抱き締めてほしかったし、抱き締めたかったってな夜だ。

フジロックにボブディランがやって来る。昨夜から考えている事は日帰り弾丸で観に行こうぜって事だ。こんな時、スナック感覚で賛同してくれるヤツが居ればいい。

昨夜は勢い余ってグリーンステージとホワイトステージの距離がどれくらい離れているのかって事、そしてバスの時間まで「検索」してしまった。オレもまだまだだ。

明日は生まれてこの方初めて、ブルーノート東京へ行く。高級な珈琲でも注文してマークリーボーの音楽に身を委ねるって魂胆だ。郷に入れば郷に従え、ポマードとアロハシャツで行けばいい。

さて、8月5日から暫くの間、レコーディング合宿と称して兵庫県の山奥に籠る。籠る前に甲子園には御挨拶に出向く予定だ。

本気の太陽に挑む為に、トランクには海水パンツとゴーグルも詰めとこう。
オレはオレが思っているその291倍、夏が好きらしい。




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June 30, 2018

2018.6.30の文章


寝ぼけ眼を引き摺ってエッシャー展を拝みに上野へと出向いた。落ち着きを取り戻す為、拝む前にアイス珈琲を飲んだ。無論、足だけで探し当てたモダン喫茶で。

昔、「ねぇ、アンタって珈琲で動いているの?」などと、さほど仲良くもなかった女が云った。いつだって900ml珈琲ボトルを持ち歩いていたからだ。

その言葉は今も受け取った言葉の中で上位に鎮座している。君の名は忘れても言葉はいつまでも頭の中にこびり付いているってな仕組みだ。

あと一ヶ月は続くだろうと踏んでいた梅雨が、なんともあっけらかんと姿を消した。クール且つスタイリッシュ極まる去り様に、逆に「梅雨」ってヤツが好きになってしまいそうだ。

さて、猿小屋には窓がない。デザインだけを重視して取り入れた照明は燦々たる光を放ちやがる白熱灯だ。熱い。暑いが7月を待たずして夏を気取れるとは断固気分がいい。回すレコードならカリプソがベストだろう。

一昨日、ブーツを磨きながらサッカー中継を見てみようと思った。批判を浴びていたゴールキーパーが根性のセーブを決めた瞬間には自ずと声が出た、「ファー!!」。

その瞬間を見たいが為だった。嬉しかった、その眉間に皺を寄せた顔が語る物語が。しかし、その後の展開には閉口した。戦略、次の為に、色々分かるが、その姿勢はこちとら風情には生理的に受け付けられないモノだった。そして最終的には嫌悪感さえ抱く結果となってしまった。

オレみたいなモンは白熱灯に照らされてカリプソでも回しながら、黙ってブーツを磨いておくべきだったのだ。

先程、懲りもせずテレビを点けてみたらロボットみたいなアナウンサーが吠えていた、「日本人全員で応援しましょう!」。

さて、「10-0で負けます様に」と何故か思ってしまうオレは少しどころか相当捻くれているのかも知れない。

明日から下半期に足をつける。予定はいつだって山積みだ。はっきりしたぜ、ロマンは甲子園と旅の中だけにある。「負けても次へ」だなんて、最も毛嫌いする「精神のオカマ」の思考だ。

とにかく夏の甲子園へと駆け込みたい。売り子も含めて、今に全てを賭けているあの純粋さこそが見たいし、オレだってそうであるべきだろう。

茶番劇はもう飽き飽きだ。オレは12月の終わりに、ポリシーに反するコトなく心底笑えているって事実だけを願って下半期へと突入したい所存。

今、ラムネを飲んでいる。梅雨が去り、季節は夏。



An important reminder fromBeechtown High School (2)
2018 九州フライヤー



 

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June 13, 2018

the 与太話 '18


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思った以上にロックの日の余韻が強い今日この頃。唄いながら、5年間の事と今に至るまでの経緯を多々思い出していた。今を生きるってのはそういう事だろう。

この日のテーマの一つはCCOを困らせてやるって事だった。「忙し過ぎるで」って事で。

以前、CCOで【レッツゲットロマン】って企画を定期的にやっていた。6年前の夏、一度だけ入場規制がかかった事があった。

その時に首謀者が云った言葉が今も耳元にこびり付いている、「お前、呼び過ぎだ」。

一丁前にソールドアウトを謳うのは好きじゃない。何たってフタを開けてみるまで何も分からない。紙のチケットが事前に用意されているワケでもない。

2018ロックの日はその6年前を超えてやる心意気で挑んだ。好きな言葉はいつだって「新記録」であるべきだ。

結果は、そこまでは届かなかった。ライヴとは常に水物だ。それでも席はほとんど埋まっていた。高望みを捨てれば、ストレスはゼロの空間だった。

数字だけ数えれば、武道館アーティストからしたら論外な数字かも知れない。バット、人はいつだってやれるべき事をやるべきだろう。

極端な話、たとえば仮に武道館を埋めたとて、オレは次の日にはどうせこうゴチるだろう、「東京ドームは無理なの?」。東京ドームが埋まれば「ウッドストックみたいなのはどうなの?」。ロマンに際限などない。

そして何より重要なのは「質」で、自分が自分であり続けるって事だ。余韻が強く残る一夜をありがとう。

やり残した事がまだあるもんやさかい、簡単には死にたくない。そして話の通じない気狂いに殺されるのだけは真っ平御免だ。

さて、7.10までライヴがない。この一ヶ月間でやるべき事は、欲という欲を根こそぎ制作意欲のみに集中させ、今ある曲と詩の断片をまとめ、8月から神戸の山奥で行われるレコーディングに備えるって事だ。

エンジニアを務めていただく神戸の小林琢也が云った、「猿小屋別荘って名付ければええやん!」、

ヤツも申年、人間とは
やれるべき事をやるべきだろう。

 

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June 07, 2018

猿小屋ロマン '18


2018.6.9 フライヤー版

 
遂に2018のロックの日が近付いてきた。去年末から決まっていたこのダブルアニバーサリー。

東京ワンマンショーは去年12月のバースディタイム以来。今回はゲストもオープニングも無し。

御多分に漏れず、既に武者震いの類いに苛まれている悩ましきポッピン野郎このワタシ、

今月はなんとコレ一本との闘いだ。断固一ヶ月分、吠え踊り散らかしたい所存なんです。

ファーストアルバム発売日の2013.1.14、「猿小屋レコーズ」などと本格的に屋号を掲げた。最初は半分のハッタリと本気の心意気だけだった。お金の計算ばかりしていたし、それは今も何ら変わりない。

因みに「猿小屋」なる称号は、掲げるずっと前から自らの部屋の事を勝手にそう呼んでいた事に由来します。

随分反対もされたが、そこに関しては気取って横文字にしたり、凝った名称を付ける気は微塵もなかった。「猿小屋」こそがクールだと思っていた。

それは今も何ら変わりません。そしてこの5年間だけでも様々な仕組みとカラクリを学んできた。

街でオレの事を「あぁ、アイツか。猿小屋のな!」ってな会話が成り立ったりする。ソレって最高に痛快だろう。それでもって、更に痛快に出来る方法を常に思案しています。

2009.1.14、初めてCCOのステージで唄った。ゲストもオープニングも無しのワンマンショーだった。その時にいただいたギャランティでギター型のネックレスを手に入れた。

そのネックレスは無論、今もオレの首元にぶら下がっている。

1.14という共通した日付、CCOと猿小屋の関係性についても当日、語り明かしたいと思っています。

ハッピー極まる事に予約数は既に定員数を突破しています。バット、キャンセルってのは常に悩ましき賜物であるが故、受付は当日まで続行します。

椅子は35席、それ以降は立見になります。19時からは愛しのロッキンガール、Tattaがロックの日にまつわる小粋なレコードを次から次へと回しているので、早めの来場をお待ちしています。

何処かの街で会った人達が、突然何の前触れもなく現れてほしい。その瞬間こそロマンでしょう。オレはどうやら多くを望み過ぎているけれど、ロマンには常に従順でいたい。

とにかく何でも自分でやってみるって事だ。やってみて初めて気付く事が塵の如くある。

火は常に点いている。しかし、燃やし過ぎると知恵熱が出やがるって仕組みだ。

オールオーケー、抜群の火加減で楽しもうぜ、ジャングルライフ。

敬具。




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April 13, 2018

2018 ロックの日


Anniversary!


下北沢にCCOという店がある。今や、もう随分と付き合いも長い。この店での様々な出会いがなかったら、今のオレはまるで別の場所に居たかも知れない。

初めてこの店に出演したのは2009年1月14日。オレにとっても多分、初めてのワンマンショーだったと思う。

その時に貰ったギャランティを何か特別なモノに交換したくて、ギター型のネックレスを買った。そのアクセサリーは今も無論、オレの首にぶら下がっている。

その後、何度かライヴを重ね、親交を深めていたある日、当時の首謀者から「今から来い」と突然電話がかかって来た。

バンドでのレコーディングの話だった。そこには首謀者と当時の店長とオーナーも居た。あのソファでの会話は今も鮮明に憶えている。候補に挙がっているバックミュージシャンは百戦錬磨の凄腕ばかりだったし、状況を把握するまでにはかなりの時間を要した。

オレは素っ頓狂な質問を繰り返していた、「そういう話は他の出演者にもするんですか?」だとか「何故オレが?」だとかヌカしていた。

返事は「お前は馬鹿か?」だった。嬉しかった。

2013年1月14日、そのバンドレコーディングでの曲、他にも録り貯めた曲を収録した「ダンス・ウィズ・ザ・ドキュメンタリー」を出した。

それを機に、以前から名乗っていた「猿小屋レコーズ」って名を一気に全面に押し出す事にした。

「ダサい」「止めとけ」「馬鹿らしい」、色々な意見があったが、ありきたりの気取った名前は嫌だった。そして今、猿小屋といえばせーのでオレの名前が挙がるってな仕組みだ。ラッキーだ。

初めてCCOに出演した日から丸4年が経っていた。因みに「1月14日」ってのはお父さんの命日だ。拘りはいつだって頭の中にある。

さて、2018年のロックの日は、実は去年の末から既におさえてあった。

CCOは6月で11周年、オマケに猿小屋は5周年。ダブルアニバーサリーとしておさえるべき日付は6月9日でキマりだ。

当初、あれこれと色んな企画が頭に浮かんでは消えたが、結局は完全なるワンマンショーで演らせていただく事に落ち着いた。

CCOのステージに上がるのは何と丸2年振りです。首謀者も当時の店長も今は独立してそれぞれの店を構えています。しかし、オレにとってはまず「CCOがあってこそ」です。

チケット料金は出来るだけ控えめに設定しました。その分、沢山呑める様に。

ロックの日、沢山遊びに来て下さい。

DJはTatta、猿小屋からも沢山レコードを持って行きます。パーティしようぜ。

敬具。

https://akinoritaka-new-hip-moderns.jimdo.com/


 


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April 06, 2018

風来坊ソング '18


19の頃、「馬鹿は相手にしないのさ」というタイトルの曲を唄っていた。

「腐り切った馬鹿共が俺の前をウロウロとしてんだ。面倒だ。馬鹿は相手にしないのさ」というサビだった。ソレを未だに時折、口ずさむ。

四日市、名古屋を経ての関西デイズ、計12日間の旅を終えた。ハイライトが多過ぎてまとめる術などない。

「話題には事欠かない男」、ソレが生きるテーマだ。その12日間の出来事だけでも一冊の分厚い本が出来るだろう。

その中で新たに出会えた人間達、旧知の仲間の中に馬鹿は一人もいない。いや、俺も含め皆底無しの馬鹿なんだろうが、馬鹿の種類がてんで違う。

すなわち、その中に、「いただきます」もロクに云えん様な馬鹿は一人もいないって事だ。

静かに喋っている時も、バァーと捲し立てている時も常に言葉は溢れている。

会いたい人間が沢山いてくれるからこそ生きていられる。 

昨夜、敬愛する加川良大先生の命日で、下北沢で行われたトリビュートライヴに出向いた。

ラストのラスト、加川良生涯ラストライヴになってしまった日の、最後のアンコール曲の音源が会場で流された。勿論、本人もそれが人前で唄うラストになるとは思ってもいない、博多での音源だった。

周りからはすすり泣く音が聞こえてきた。オレだって泣こうと思えば存分に泣けたが、ソレより「なんでくたばりやがった!」ってな気持ちの方が強かった。

オレにもいつかはそんな日が来るだろう。ソレは間違いない。

2018、オレみたいな馬鹿でもやれる事は全てやろうと思う。常に八歩先の事を考えている。

次は怒濤の北海道15デイズ、ソレがたとえラストになったとしてもやるべき事はやる。

馬鹿で独自で粋で気狂いでクールな人間が好きだ。



 


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March 16, 2018

ヘアースタイルブギ '18


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 遂にパッケージングまで完成した。最終作業中はプレス確認も兼ねて、永遠のリピートで回していた。ジェニーのチープヒップなラジカセから唾が飛んできている様なサウンドだった。

今、刷り上がった歌詞カードを読みながら最終×最終の確認をしていたら、誰にも気付かない様なミスを二ヵ所見つけた。細か過ぎる部分を含めればハニー、なんと五ヵ所もあった。眉間に皺を寄せてあれだけ確認したってのに。

きっと、完璧ってのは来世でも無理なんだろう。

でも心配はない。ホクロの位置が0.05mmほど下がったとて誰も気が付かないってなレヴェルのミスだ。

胸躍る疲労感だ。あとはトぶだけ。そして今は中途半端に刈り上げてしまった髪の毛にどうオトシマエをつけるかってのが課題だ。

予定通り、明日から発売します。

そして次は初の三重から名古屋、関西へ飛びます。

愛しの神戸では次へ向けたレコーディングも行う予定だ。

そう、髪の毛など八の次でいい筈だ。


'18.3.16(金)

【Laguna & ジェニーpresents <EVIL vol.8>】

東京 / 下北沢ラグーナ


Jenny & Akinori Taka

木杉建太朗

藤原健人

今泉まな

鈴木実貴子ズ(名古屋)


OPEN 18:10 START 18:40

ADV ¥2000(+1d) DOOR ¥2500(+1d) 




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March 15, 2018

the style's セルフライナーノーツ,


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the style
Jenny & Akinori Taka

1. ヘアースタイルブギ(19)
2. 友達
3. 憂鬱のど真ん中
4. トップオブザワールド
5. 詰め込んでよ

Vo&Ag&Eg&Hp&Cho / 高哲典-Akinori Taka- 
Ag&Eg&Vo&Cho / ジェニー

Recorded at 猿小屋
Produce&Engineer / 高哲典-Akinori Taka-

Jacket Design / 
Ryota Miyasho & 
高哲典-Akinori Taka-
(
inspired by "the sting"


★レッドヴィニール盤仕様 

猿小屋レコーズ (SGRC-0004)
¥1000_(with tax)

 


初めてセルフライナーノーツってヤツを書いてみる。
俺は、偉人の古いレコードを回しながらライナーノーツを読むのが何よりも好きだ。雰囲気が伝わってくるから。
なので、これを読みながら「the style」を聴いてほしいという願いを込めて残しておきます。



1, ヘアースタイルブギ(19)


Vo&Ag / 俺
Ag&Cho / ジェニー


元々は19歳の時に書いた曲で、それで(19)と足した。歌詞は東京に挑む為だけに稼ぎまくっていた頃、周囲の浮ついた連中に皮肉を込めて、捻くれた胸中で書いた。それを今の俺が唄い、マイナーコードを得意とするジェニーがギターを弾くというスタイルで試してみた。ジェニーには「テーマは昭和歌謡且つ演歌、そしてコミックソング風で茶化す雰囲気にしたい」と伝えた。歌詞は恥ずかしい部分もあるがわざとそのまま唄った。手拍子を加えて皮肉感を煽り、ジェニーのコーラスでファッキン感を煽った。ほとんど録り終えた状態のモノをジェニーと聴き返し、「どう?これ、果たして意図したテーマは伝わるんか?」と聞いたら、「いや、マジメにかっこいい」と返ってきた。これは俺にとっての歌謡曲だ。結果、一曲目になった。一人ではやらないが、二人でやると楽しい。


2, 友達

Vo&Ag&Hp / 俺
Vo&Eg / ジェニー


ジェニーと知り合った頃、ヤツが適当に唄ったデモテープを猿小屋に持ってきた。その中にこの曲があった。「歌詞を書き直して共作にしよう」と提案した。直ぐに歌詞が出来た。シンプルな歌詞で、新しい友達(ジェニー)と、久しく会えてない友達の事を思って書いた。オーバーダビングはなるべくしたくないと思っていたが、陽気な感じに仕上げるべくギター四本、そしてハーモニカを吹きまくった。このアルバム中、一番トラックを使った曲になった。これも一人ではやらない。二人でこその曲だ。


3, 憂鬱のど真ん中

Vo&Ag / ジェニー
Eg&Cho / 俺


「これは二人の名義で発売するアルバムだから、ジェニーの曲も用意してくれ」と伝えて、ジェニーが持ってきた曲。俺は普段弾かないエレキギターで普段やらない事をやるべく、ジェニーのグレッチを歪ませてボトルネックで実験したり、カッティングを入れたり、色々と試してみた。それらを入れた仮バージョンを聴き返したら、全てが不要に思えてジェニーに聞いた、「おい、このギター要るか?」。ジェニーは「これもええで!」と云っていたが、俺はただの目立ちたがり屋のあん畜生にはなりたくなかったので、控えめなカッティングだけを録り直した。新鮮な体験だった。


4, トップオブザワールド

Vo&Ag / 俺
Eg / ジェニー


年明け一発目の二人でのライヴの際、この有名なカーペンターズの曲をカバーする事にした。無論、歌詞は日本語で書き直した。原曲とは視点を変えた男女の物語として。快楽に溺れた男の生き様として。この歌詞が出来た時、「ライヴが終わったらちょっと遊びで録音でもしてみるか?」とジェニーに伝えたのが全ての始まりだった。俺もリハビリをして感覚を取り戻したかったし、それにはうってつけの曲だと思った。ところがやり出したら遊びで終わるワケもなく、気が付いたらジェニーのギターを録るだけで6時間以上かかっていた。「あーもう一回」「いや、それは違う」「もっとこういう間で」とか繰り返していた。猿小屋で全てを録ると決め、その時にジャケットのイメージも脳内では仕上がっていた。「これは忙しなるで」と笑った。締切を3月に定め、突き進む事にした。


5, 詰め込んでよ


Vo&Ag / 俺
Ag / ジェニー


曲が山ほど録り貯めてあるレコーダーの中にこの断片があって、発掘した。詩はなく、適当に唄っていた。頭の中のジュークボックスについて。偉人は死んでも、残ったレコードに針を落とせば一緒に歌えるって事について。「君にも分かるかな?」って事をテーマにしたかった。しかし完成しないまま、歌詞カードの入稿期限が過ぎようとしていた。朝までには入稿と迫った真夜中、歌詞を悶々と考えていたら、突然サビのメロディが新たに降ってきた。そこで一気に広がり、急に加速して完成まで持ち込んだ。入稿画面の空いたスペースに歌詞を埋め、朝方にそのまま入稿した。あんなやり方は初めてだった。興奮した。そして、歌を録音したのが3月12日だ。


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そして今は3月15日。丸2ヶ月が経過したらしい。当初、音の善し悪しなどはどうでもよく、ただダイナミック且つチープで粋なナチュラルサウンドを目指しました。

PC利用無しのアナログ手法、L-Rの振り分け具合からマイクの違いまで、この文章を読みながら聴いてもらえたらまた違う楽しみ方も出来るんじゃないかな。音楽の楽しみ方など千差万別。

俺はスピーカーの前で腕組みして、出来てくる曲を確認しながらジェニーに何度も問いました、「ところでジェニー、こんな聴き方で、こんな細部まで聴くリスナーっておるんか?」。


とりあえずの充実感はあります。しかし常に次の事しか考えられない性分なので、次の次の次くらいまでは既にイメージがあります。

楽しもうぜ、ジャングルライフ。年末にまた笑える様に。敬具。


 

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March 12, 2018

答えをくれ '18


The Style


かれこれ同じ曲を、もう2000回以上は聴いている様な胸中だ。

昨日オーケーだったモノが今日にはボツになり、もはや何がクールで何が素っ頓狂なのかさえ定かでない始末。

壊しては作り、作っては壊して、いまだ完成とは声高に呼べない有り様。

こんな事を繰り返していたら、永遠に完成の日はやって来ないだろう。そしてオマケにオレはこう思っている、

「もう一回、唄を録り直したいな」。誰にも気付かない部分でオレだけが拘っている。

エンジニアの職人ですら云っていた、

「そんなモン、答えなんかないで」。

天下の大瀧詠一大先生が「20th エディション」だとか「30th エディション」だとかと銘打って、同じアルバムをリマスタリングしていた理由が今こそ分かる。

だいたいが、蓄えた髭を0.5mm短くしたとて、ほとんどの他人が気付かないのと同じだ。ほとんどが「ここが変わった」と云われて初めて気が付くってな話だ。

今日は盤面印刷を並行した。これはジェニーに任せた。その傍らでオレは怒りに震えていた、答えがないって事に。

ジェニーからはとっくにオーケーが出ている。「これでいいじゃん」とヤツは云うが、「もっと行ける」と一丁前にヌカしているオレがいる。

気分を変えようと、伸びてまとわりつく邪魔なモミアゲを根こそぎ切り落とした。

やりだしたら収集がつかず、バリカンを取り出し、まとわりつくファッキンな部分を刈り込んだ。

長いのもいいし、短いのもいい。ローが強いのもいいし、ハイが効いているのもいい。

すなわち、好きにやるってのが答えになるんだろう。

書き出したらキリがないので、最後にジェニーさんが書いた「憂鬱のど真ん中」って曲の唄い出し部分を残しておきます、

「見失う行く先、アンタは迷子」

いい事云うぜ、ジェニーボーイ。

 


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March 11, 2018

オーケーをくれ '18


9x9


年が明けて早々、相棒のジェニーに云った、

「ちょっとスナック感覚で録音でもしてみるか?」 、

それこそが全ての始まりだった。

神経質が服着て歩く男このワタシ、スナック感覚で終われる様な作業じゃないって事は始めから分かっていた筈だ。

録音、制作、仕入れ、デザイン、発注、受注、販売、レジ打ち、全てを一人でこなすには到底無理がある。

今日に辿り着くまでに至り、レコーディングエンジニアの職人、ライヴPAの職人が口を揃えて云っていた、

「餅は餅屋」に頼め。

レコーディングエンジニアはライヴPAをやらないし、ライヴPAはレコーディングエンジニアをやらない。

そしてオレの最たる役割は何かって事は存分に分かっている。曲を書いて唄う事「だけ」でいい筈だ。

あれからジャスト2ヶ月、気付けば今日は3.11。いまだ1日に何時間費やしたとて光が見えず、勉強しても、いくら勉強しようが、オレってひょっとして「今世紀一のノータリン」なのかもなどと不貞腐れては嘆く始末。

自らに課した締切はとっくに過ぎている。そして終わりはいまだ見えない。今直ぐ餅屋を呼びたいが、まずは自らが全ての労力を知っておくべきだとも思っている。

天下の山下達郎大先生が仰っていた、

「オーケーなんか出した事がない。1分1秒まであがく人間なので。もう締切ですと云われて諦めるだけです」。

スナック感覚で録って、「気付けば世に出てました」ってのが理想だ。

書き出したらキリがないので最後の曲にして最新曲、「詰め込んでよ」の詩を残しておきます。

死ぬには早過ぎる、3.16に会おう。



ジュークボックスの中に詰め込んでよ

コイン集めて奴を蘇らせる
 

君も分かってくれたならいいな

光集めたら夜も怖くない
 

コーヒーショップのマッチで灯した

部屋に揺れる光の向こう側で奴が回ってる
 

遠く遠く離れても時々思い出す

遠く遠く離れてても距離は感じない
 

ジュークボックスに詰め込んでおけよ

心の奥底に忍ばせておけよ
 

埃払い磨いておくよ、共に唄える様に

君にも分かるかな

 



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February 18, 2018

寸暇を惜しんで '18


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 何年か前、「何かしらの保険には入っておいた方がいい」という考えの元、あらゆる資料を読み漁っていた。

読んでも何の事やら、バロウズの小説以上に意味不明だったが、とにかく「死亡保証金」の額だけを凝視していた。

そんなある日、マイビッグマザーが云った、「アンタはなんで死んだ時の事ばかりを考えとるの?そういうのは普通、事故とか病気の事を考えて入るもんやで」。

この言葉には心底、目から鱗だった。オレは死んだ時の事ばかりを考えるクセがあるらしい。

「コレ、持って帰れば?」と、何枚もある中の一枚の写真が差し出された。京都にいた頃の3歳のオレらしかった。

ビッグマザー曰く、「なんでコレが今のこんなんになったんや?」だ。

少なからず築き上げてきた財産を後世に残したい、いつか産まれるんであろうオレの子どもに「ボクのファザーはとんだロクデナシだったが、こんなイカしたモノを残してくれた」なんて云わせてやりたい。

そんなワケで、一昨年くらいから血を残したいなどと一丁前に意識する様になった。やはり、死んだ時の事を考えるのがクセらしい。

そして無論、相手は行方不明だ。

まだ死なないでいてもらう為に、生き続けていただく為にと、気付けばジャスト2年振りに広島に帰った。 

安心した。死ぬ気配などまだ微塵もないって事と、その記憶力の正しさに。縁起でもない事を考えていた。

帰省中、本ばかり読んでいた。トムウェイツのヒップ極まる個性に彩られた与太話が羅列された本を。

ビッグマザーが云った、「スンカを惜しんで読書するんやな?誰に似たんや?」、

オレはスンカの意味が分からず問った、「何を惜しんでって?」。

「寸暇や。本読んどるのに知らんのか?」、

悔しかった。いつだって言葉には敏感でいたい。

東京に挑む為だけに稼いでいた19の頃、餓えて、草臥れて「バス停のベンチでもう死ぬねん」と云ったこの女に包丁を突き付けた事がある、

「オレはお前の為に働いとるワケじゃない。殺したろか」。

あの頃があって今がある。

「寸暇を惜しんで」今、書いている。もう誰も死なないでほしい。


 


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February 10, 2018

記録 '18


年が明けた時、今年こそは毎日映画を観てやるなどと意気込んでいた。しかしそうは問屋が卸さないってのがこの世の仕組みだ。どうせ、あの世でもその世でもそうなんだろう。

寒いのはもういい。まるでワンパターンでセンスがない。タイトルなら「飽きてますよ、、、冬」だ。7inchシングルカットでいける。

こちとら、明確に夏が好きらしい。夏の真っ直中に「早よ冬にならんかな」だなんて矛盾の神様みたいな戯言は口にしない。

近頃は録音の事で脳内オーバーヒートだ。車の免許を取るだなんて来世でも無理だろう。

今はエロヴィデオを観ても「これはどんなマイクで録ったの?」などと聞きたくなる季節だ。

品がない話は嫌いだ。しかし事実だ。

「ワタシはエロヴィデオなんて観ません」などと涼し気なモテ顔でヌカす男は信用出来ない。

今年はずっとそんな胸中を抱えたまま過ぎ去るのかも知れない。神経はいつだって過敏だ。

何が正しいのか、ボクは善なのか悪なのか無なのか、それさえも定かではなくなっている。締切を決めて事に臨んではいる。締切がなければ永遠に作業は終わらないって仕組みだ。

テイクを重ね、これはいい、これもいい、いや、これは駄目だ、君はノータリンか、などと自問自答を繰り返す。しまいには「これ、歌詞から書き直そうか?」「こんな曲、ええか?」となり、またゼロから仕切り直しなんて事にならない為に締切とは必要だ。

持ち前の実験精神を駆使して二本組のチープ且つモダンなコンデンサーマイクを手に入れた。 

相棒のジェニーが三千円くれた、「カンパするぜ」。粋な男だ。


先日、年が明けて初めて外に呑みに出た。話す内容は無論、音楽の話だ。

結局のところ、音楽文化にまつわる話をしている時が何よりも胸躍る。結婚だなんて来世でも無理かもな。

何しろ映画は後回しだ。自らの仕事が先だ。

 


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January 30, 2018

ドリップデイズ '18


オレは今、久方振りにロバートジョンソンのレコードへと針落としたところ。

ジャケットの下には「1936年、ホテルの一室で録音」などと英語で書かれている。

はて、2018年を生きているオレは何をやっているんだろうってな心持ちにもなってくる。

冬が本気だ。寒いのとドンクサイのだけは嫌いだ。

雪が降るという予報が出ていた日の明け方、一日だけぶっ倒れた。冬の勝利なのかと思われたが、冬以上にオレだって本気だ。

15時間後、ようやく立ち上がり、窓を開けて外を確認し一人ごちた、

「オーシット!」。

近頃は猿小屋に閉じ篭っている。様々な実験をし、勉強には余念がない。

昔、息抜きに料理をしたり洗い物をしたりする人達に憧れていた。

集中するだけ集中して、ソレがようやく一段落した時に台所に立つだなんて正気の沙汰ではないと思っていた。

しかし2018年、何とこのオレもその感覚を完全に身に付けつつある。

スナック感覚で台所に立ち、珈琲をドリップし、ピッツァトーストなどをこんがりと焼き上げる。

それから作業を再開し、また集中力が途切れたなら洗い物をする。それからニヒルなあん畜生、冬に勝つ為のホットな味方、柔らかな武器、数々のニクい称号を独り占めして止まない「湯豆腐様」を拵える。

そんなこんなで知らん間に1月が逃げて行く。今やっている事は近々、全て実を結ぶだろう。

布団に深く沈み込み、西村賢太の本を読みながら眠るのが今の楽しみだ。

 


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