June 21, 2019
ズタボロトランクが話し掛けてくる '19
オレは今、どうやら9度目の北海道から猿小屋へと果敢に舞い戻り、ロックンロールレコードを回しているところ。今はまるで「北海道から東京へ引っ越して来た」様な、そんな胸中。
旅から戻りまずやるべきコトの相場ってのは大概決まっている。ブーツを磨き、焼きたてのアンパン色にしてやるってコトだ。きっと全人類がやっている行為なんだろう。
磨きながら汗が滴り落ちてくる。なんと季節は完璧に変わったらしい。
北海道、まるで独立国。行けども行けども道は尽きない。力ばかり借りて、「果たしてボクは誰かの役に立てたコトなどあるのでしょうか?」だなんて思考したりもするが、それと同時に強く思っているコトは、また必ずあの「国」へ生きて舞い戻ってやろうってコトなんだな。
トラブルなんてもはや想定内だ。何処へ行けどもトラブルなんてある。どう対処していくかってのが腕の見せどころらしい。
仲間に甘え、主催者に頼り、お客さんに安心感を抱き、ドライバーに命を預け、パイロットを信用し、車掌にお任せする。オマケに用意された部屋の鍵を預かり、勝手に冷蔵庫を開けて寝しなのハイボールを煽ったりする。詰まる話、一人では到底成り立たない旅ってのがそこにはある。
恥ずかしいコトをやっていたらすぐに切り捨てられるプレッシャーってのは常にある。しかし、まだ見たコトのない風景を見続ける為に大切なコトは動き続けるって行為に他ならない。
安全圏に身を置いて、画面に張り付いて名も名乗らず誰かが誰かを罵っている。そんな時、オレが抱く感情は残念ながら殺意だが、殺したいと思ってしまった奴等からも常に学べるコトってのはある。そんな人間には断固成らないんだと自らにキツく念じてやればいい。
早い話、本気で何かに取り組んでいる人間は、誰かを罵る時間など無駄以外のナニモノでもないと思っている筈だ。
北海道にデカい手帖を持ち込んで2019の締め括り方ってのを思考しながら各地の愛すべきアウトロー達と連絡を取り合っていた。
まだ死ぬワケには、生粋の阿呆に殺されるワケにはいかないんだな。
大地の上を疾走する車中から「鳥注意」「牛注意」「鹿注意」、トドメに「動物注意」と書かれた標識を見た。詰まる話、全ての注意を怠らず突き進むだけなんだろう。
さて、回り続けているロックンロールレコードはB面ラストへと差し掛かっている。
ダラダラ書き綴ってみたところで伝えたいコトってのはたったの一言でも可能らしい。北海道、無駄とは無縁の風景と日々をありがとう。
May 08, 2019
the MAN '19
オレは今、長い旅を終え新しく手に入れたレコードにやっと針落としたところ。
そして、誰かオレに珈琲でも淹れてくれないかと思っているところ。
ほとんど雨に打たれるコトもなく一気に駆け抜けた。「筋金入りの晴れ男」って称号はもはやオレのモノってコトで良いだろう。
街には人が居て、優しさがあり、嬉しさがあった。序盤戦、名古屋の夜はもう半年ほど前に感じる。
オレは今、今日は唄わなくて良いのか?道に迷わなくて良いのか?と立て続けに思っているところ。
令和39年頃まで生き延びたあかつきにようやく「オレは平成最後も令和最初も唄っていた」とか一丁前にホザかせていただこう。
沢山の喜びをくれた人達に心底から感謝します。
そしてまた、必ず旅に出ます。
美味いお酒とニクい夜にありがとう。誰も死ぬなよ。
April 18, 2019
フィッシンオンライフ '19
まだ「夏」と呼ぶには早いのか。この冬「寒い」と吐いた回数なんと二千強、使い古しの言葉はええ加減、海に投げ捨てろ。定型文なんてロボットでも吐ける。
4月上旬、山口県周南市は25℃近くあった。「暑い」とホザく時が遂に来たのかと思った。移動の合間、相棒の下原元気と釣りをした。
一人旅と一人じゃない旅との違いはただ一つ、より自由になれるのかなれないのかって点だ。
ソレは気心知れた人間とじゃないと成り立たない。南の方へと旅に出て、途中で北九州のアレンギンズバーグ、下原元気と合流した。
ヤツは2006年頃、東京は三軒茶屋のライヴバーで知り合った。ブランクが10年近くもあったが見事去年再会し、ポッピンな関係は今も続いている。音楽と人間性のオカゲだ。
ヤツはまるでオレとは真逆の性分だ。どうやら血液型はオレと同じA型だという。カテゴライズなんていかにクダラナイ事柄かってのが手に取る様に分かる。
ヤツの釣り竿は15000円で、オレが借りたのは1500円のモノだった。玩具みたいなルアーに玩具みたいなリール。
釣るコトが目的ってよりも、ただ雰囲気を楽しんでいた。そして胸中は穏やかの最先端だった。ただただいい時間を過ごしていた。
次の日、チェックアウト後、次の街へと向かう前にオレは云った、「もう一回、釣りをする時間はあるかい?」、
そして前日とは違うスポットへと出向いた。「お前、ほんまにこのルアーで釣ったコトあるんか?」と聞いた直後、ヤツは得意気な顔で魚を釣り上げ、そして直ぐに海へと返した。
そのクールで無邪気な仕草を羨まし気な顔で眺めた。「そろそろ行きましょう」と満足気なヤツを尻目に「もう一回だけやらせてくれ」とせがみ、最後に垂らした糸へ遂に魚が喰い付いた。
あの瞬間の快感こそ生きている理由だ、とかヌカすと大袈裟だが、実際そうなのかも知れない。オレはクールな仕草を真似て、釣り上げた名も知らん魚の目を見て云った、
「おー、痛かったよな」、そして直ぐに海へと返した。名も知らん魚は泳げる喜びを感じている仕草で海の底へと消えた。
記憶に残るいい時間だった。その時、脳内ジュークボックスからは釣りにまつわる曲が何曲か回っていた。
来週からまた旅が始まる。「暑い」って言葉なら二万回吐いたって苦にならない。
生きる上での目標があるとするならただ一つ、ロボットにだけはなるなってコトだ。型にハマった奴等の指図こそ悪の根源だ。
とにかく死ぬ前に、「暑い」ところで会おう。
April 01, 2019
四月の咆哮 '19
新元号は「浪漫」でいい。オレが眠っている間にそう発表しといてくれ。
バランスを損ない、リズムを奪われ、ほとんど閉じ篭っている内に四月だ。
この調子で行くと2019年のオレは「12点しかやれません」ってなコトになりかねない。こちとら93点はほしいのにだ。
点数を与えるのもオレならもらうのもオレだ。敵なんかどうでもいい。
より高い点数を叩き出す為にはやはり、新たな荒野へと向かう必要がある。
ショーケンが死んだ。会ったコトもないが、何故かダメージが大きい。大切なモノを一つ、失った様な胸中だ。
歯医者通いは続いている。クラシック調にアレンジされた「アヴェマリア」をBGMにして、あの歯医者特有の機械音が鳴り響く室内はもはや狂気だ。
四月、飛び出した場所でオレはようやくリズムを取り戻すだろう。白い歯で会おう。
March 08, 2019
タンブリンダイス '19
電車ーバスー飛行機ーバスを乗り継いで13ヶ月振りに福山へと帰った。目的はまず一つ、お母ちゃんに会う為だ。
ヤツはボブディランの二歳下。まるでボケる要素もなく、得意料理を振る舞い、TVのクイズ番組に答えを出し、オレを「汚いルパン」などと罵っている。
オレはここぞとばかりに食べまくり、三日間でジャスト二週間分は平らげた気分だ。
大好きな自動車博物館へと出向き、粋なトランクを後ろに乗せたバイクに跨がり、モダンなストライプソファがあるクラシックカーの運転席に鎮座する。
いくら気取ってみたところでオレには決定的な欠点がある。免許がないってコトだ。
何十年か振りに「鞆の浦」まで足を伸ばし、何をするでもなくほっつき歩き、ただ其処に居る人達を眺めたりする。
精神は安らぐが同時に不安は常に隣り合わせにある。このままじゃいけない。
「また来ます」とお母ちゃんに告げ、雨のトーキョーへと戻って来た。いつからか此処が戻る場所になった。今や福山よりも長い年月、この苛立ちの街に居る。
一念発起して、長年燻っていた歯の治療に出向く。病院に行くコト自体数年振りだ。完璧にヤラレる前に出来るコトはヤっとくべきなんだろう。
レントゲン写真を見ながらドクターがヌカす、「格闘技とかやってました?」。歯を食いしばる力がヤケに強いらしいが、残念ながらオレはただのガリヒョロボーイだ。
診察台に寝転がる「まな板の上の鯉」このワタシにドクターがホザく、「もしも痛い場合は左手を上げて下さい」。
そして何もされてない段階から一目散に左手を上げようとしている男このワタシ、「オレってひょっとしてオカマの最先端に君臨しているのかも知れない」、一人ごちる。
治療を終え麻酔で痺れたベロを気遣いだらしなくヨダレを拭きながらドクターに告げる、「とうもはりかとぅこさいまひた」。そう、一人ではてんで無力だ。
口の中にはクスリの不愉快な味が残っている。オレはソイツを今、レモンハイボールにて流し込んでいるところ。どうやら不愉快な味は一層広まるばかりだ。
このままじゃいけない。
そう思い、ギターを抱えたら簡単に曲が出来た。重要なコトはまず一つ、腐らないってコトだ。
March 02, 2019
三月の殺伐 '19
いい映画を観たからと云って、ソレだけでいい一日とは呼べない。
美味い御飯を食べたからと云って、ソレだけでグッスリとは眠れない。
サイコビリーを回しながらファーフゥーと踊り叫んでいても、ソレだけでオレは最高だなんて思わない。
核の部分が霞んでいると、精神も歪んでくる。気取るならブレるな、最低限のマナーだ。
二月は東京でライヴが四本あった。各地の人間らしい人間達と会い、よく笑い、よく呑んだ。いい一日だった。
いい写真を何枚も送ってくれるカメラマン。カメラマンズ。いいカメラで撮ったいい編集。オレには出来ないコトをやってくれる立役者達。
いい相棒にいい理解者、いいレコードにいい悪友。どれもこれも最高だ。最高なクセに、ソレだけではまだ満足出来ない。核があと291倍、際立ってないと真の満足に手は届かない。
「(I can't get no) satisfaction」を今こそ爆音で回してくれ、無論7インチで。
我侭だと人が云う。求め過ぎだと人が云う。生意気だと人が云う。
パズルを埋める作業は続いている。多分、永久に続くんだろう。選んだ道である限りは。
明日から何日間か広島へ行く。トランクにはまず本を詰めるだろう。サリンジャーとかジムトンプスンとか。あとは少しのパンティと、アーガイルの靴下さえあれば充分だ。
そしてお母ちゃんはまた云うだろう、「アンタ、髭剃れ」「息子と思われたないから離れて歩いてや」。
最高だ、踊り続けよう。
February 04, 2019
二月の混沌 '19
満足のいく仕事がほとんど何も出来ないままに一月は去ってしまった。太ってもないのに太った事を気にしている女の様な気分が続いている。
棒読みの「お疲れ様です」なんて骨の折れた傘と同義だ。すなわち、無意味だ。興味が無い。
こんな事を書き殴る意味があるのかさえ定かでないが、4月頃に読み返した時には笑える様に残しておこうと思う。オレは今、何日も書いては消してを繰り返しながら、着地も見えんままにまたタイプを進めているところ。
ピシャリ一言で書くと、近年稀にみるほどに具合が悪い。車で例えるならガソリン、ストーブなら灯油、絵描きなら絵の具切れの類い。そう、まるで冴えてない例えだ。
無論、時節になぞってホザくとするなら「鬼は外」ってヤツだろう。
特に何があったってワケでもない。というか、何も無さ過ぎるってのが気に入らない。幾万の内の一にならない為の道だけを探している。
冬の暗さ、寒さのせい、蟻みたいな行列のせい、マニュアル人間のせい、などと誰かのせいにするのは容易いが、そんな言い訳はオカマのやる事だ。
そういえば何年か前、突然こんな風に云われたコトがある、
「アンタの発言は私の親も読んでるんだから気を付けてね」。
その言葉に従い、ただ、嫌われないでいようと心構えした瞬間に叩き出される点数はそう、平均点だ。てんで興味が無い。
8年ほど前、お金がほしいが為だけに迷い込んでしまった「仕事場」で、当時まるで仲良くもなかった男が吹っかけてきた言葉がフラッシュバックする、
「あのー失礼かもしれないですけど研修って言葉、世界一似合わないですよね?」。
有名俳優は逮捕され、オレは逮捕もされず今もタイプを進めている。どうやら幸せだ。
ところで、今日の東京はカリフォルニアみたいな気温になるという。言い訳ながら、冬はもう終わりでいい。
January 25, 2019
ゴム手袋を捨てろ '19
神経が過敏だ。何をやっても満足出来ない。
気になるコトがある時にまずやるべき行為はただ一つ、気にならなくなるまでやるってコトだ。
一月に入ってほとんど、整理整頓ってヤツに精を出している。何故、こんなコトに神経を持っていかれているのか、もはや自らでも理解不能だ。今は時々やって来やがる、何もかもが無意味に思える季節らしい。
因みに年末の風呂場のファッキン黒ずみとの格闘は、辛うじて7対3での判定勝ちってな塩梅だった。もっと完璧な勝利がほしい。
さて、ゴム手袋などを両手にはめてオレは何をやっているんだろう。神経はそう、他の事柄に費やしたい。
冬ってのは大嫌いだ。眠る気にならず、眠ればてんで起きれる気がしない。
しかし唯一、このクダラナイ季節にでもメリットがあるとするなら、様々な音楽を聴きまくり、ゴム手袋をしながらでも踊り唄っている。本来、291万枚は売れるべきだったバンドマン達のレコードを回しながら。
そう、明日はステージに立つ。博多天神からは京田つよしがやって来る。東京では遂に初共演だ。すなわち、いつまでもこんな季節の中に埋もれるワケにはいかないって仕組みだ。
「漢の中の漢」って言葉は、オレの中では京田つよしと京都のギアマスがまずは思い浮かぶ。合言葉は「クール」に他ならない。
そして酔いどれ花村雷蔵、DJはTatta、オマケに右往左往の総本山このワタシにて繰り広げるロマン、
ゴム手袋などさっさと踏み潰して楽しもうぜ、ジャングルライフ。
https://www.akinoritaka.net/
January 18, 2019
一月の憂鬱 '19
時々、全ての事柄が無意味に思えてしまう季節ってのがある。
一月とは何故か憂鬱だ。
イカす本を読んでも、映画を観て教養を得たとしても、いくら素晴らしいと思う作品を作り上げたとしても、「果たしてソレが一体どうした」だなんて冷めてしまう季節ってのがある。
一月とは何故か憂鬱だ。
今、猿小屋をゼロから見直している。今、最も憎いモノは「埃」と「寒さ」だ。片付けても片付けても、何時だって完璧なんて程遠いみたい。
埋もれたまま消えてしまったバンドの音楽を聴く。そのリズムに合わせて踊りながら猿小屋を見直している。
たとえば、カメラマンズというバンドがいた。ジェリーリーファントムというバンドがいた。
「何故、こんなバンドが国民的バンドと呼ばれないままに消えてしまったのか」だなんて考え出したら闇はそこそこ深くなる。
「今、気狂いに突然刺されでもしたら全ては無意味になる」だなんて考え出したらその闇は更に深くなるばかりだ。
しかし、ソレと同時に、今行っている作業がてんで無意味ではないだろうってコトも知っている。そう、生きている限りは。
スケジュール調整、猿小屋整理、頭の中は常にパズルのピースが巧くハマるコトだけを願っている。
組織に属せない連中は今日も我が道を駆け抜けるばかりだ。
一月とは何故か憂鬱だ、早急にこの季節を突破したい。
January 09, 2019
魂が鈍ると形式が現れる '19
今はもはや、「年末年始」と書いて「過去の産物」と読める。ドサクサ紛れの高熱にうなされながら、「寝込むなんてオカマだ」というポリシーに則り日々をやり過ごしていた。
年明け早々、気合いを入れる為にまず観返した映画は「ブコウスキーオールドパンク」。
何気なく、何者かも知らず、一枚のフライヤーだけを頼りに原動機付自転車で駆け込んだ2005年渋谷の映画館、そして観終えた後の爽快感だけが今も胸の中にある。
2019を彩り豊かに囃し立てる為にまず重要なコトは、動き続けるってコトに他ならない。「平凡」ってのは強固性に合わない。
一人だけではどうにも出来ないコトがある。今は一人でも出来るコトを着実に一つずつ片付けている。必要なモノを残し、不要なモノを捨てまくるって作業だ。
ヤケに薄い手帖を買ってしまった。書くスペースがなくなる程の分厚いヤツを買うべきだった。
常に8歩先の事を考えている。例えば新宿に居る時、オレは福岡に居る時の事を考えている。そして福岡に居る時には、北海道の事を考えている。
そして北海道に居る時には・・・、死ぬまで繰り返しだ。
何もかも巧みにコトが運ぶだなんて思ってもないが、今はまた新たなターニングポイントの渦中に居る様な気分。
魂を鈍らせるな、形式なんて後ろから勝手についてくる。