June 2009

June 29, 2009

長編・「愛すべき日々」 六~八

※一~五は下段

六、

その時の俺とお母さんとの関係は最悪そのもので、会話さえロクになく、常に罵り合っていた。二人暮しで、二人共に疲れ果てていた。違いは俺には夢があるという事で、お母さんはもはや人生そのものに疲れ果てていた。

俺の楽しみは銀行の通帳記入を眺めて、確かに貯まっていく「数字」を確認する事だった。それ以前から俺は「家計簿」というモノをつけ続けていた。それはいつからか俺の「趣味」となり、様々なお金の計算は速くなった。

必ず20歳の誕生日までに、定めた120万円が貯まる寸法だった。いや、無理をしてでも貯めるつもりだった。実際に貯まっていくお金を目で見て確認する為、封筒にも何万円かずつを入れてヘソクリの様に隠しておいた。

お母さんは事ある毎に俺にお金を要求し、俺は文句を言いながら常に何万円かずつを渡し続けた。

「20万円あれば後は楽になる、そのお金はいつか返せる」

兄ちゃんは俺に囁き、俺は20万円を渋々銀行から引き出したが、そのお金が戻ってくる気配など微塵もなかった。俺はまず、その20万円の穴を埋める為に何度でもマイナスからやり直す必要があった。

ある時、包丁を突き出しながら叫んだ事があった、

「俺はお前にお金を渡す為に新聞配達を続けとる訳ちゃうぞ」

お母さんは「殺せばええがな」と寂しそうに呟いた。

今思えば恥ずかしいが、俺は何かにとり憑かれていた。

そんな日々が続いたが、ある日書置きがあった、

「怖い人が来て、とても怖かったから、悪いとは思ったけど封筒のお金を抜き出しました。ごめんなさい」

俺は何も知らず、状況をわきまえてもなかった。お母さんの胸中を察して、恥ずかしいやら憤りやらで頭がイカれ、外に飛び出し交互二車線の道路のど真ん中をワーギャー叫びながら走り続けた。

ある夜、お母さんが言った、

「もうどっか行くわ」

「どっかって何処や?」

「どっか行ってもう死ぬんや」


俺とお母さんとの関係は最悪そのものだったが、俺よりも辛い境遇の奴などこの世には腐る程に存在するという事実、それを思えばあまりに俺は幸せ過ぎるとも感じていた。ガスは止まったままで風呂には何日も入ってなかった。俺は事ある毎に女の子の部屋でシャワーを借り続けていた。

女の子に御飯を作ってもらっても、たまに外に食べに行っても、俺には後ろめたさが常につきまとった。「お母さんはこんな物食べてないんじゃないか?」、俺は強く両手を合わせる事だけは忘れんかった。そして作ってくれる女の子にもそれを強要した。言われてするのではなく、あくまで自然にそうであってほしいと強く望み続けた。パチンコ屋で支給されるおにぎりやらパンの残りを俺は大事に包んでお母さんに渡し続けた。

どんな事があっても東京に行こうという気持ちが揺らぐ事はなかった。お金もほとんど貯まった2000年11月頃、大家が家にやって来た。家賃は3ヶ月分溜まった状態だった。

東京に出て行く為に頼んだ引越し屋のダンボールが玄関先には既に置いてあった。意地の悪い顔をした大家はそれを見つけて言った、

「引っ越すんか?ところでその前に家賃払ってもらわんと困るわ」

大家の言う事は全て正論だったが、俺の目は激しくギラつき、精神はいつも苛立ちに満ちていた。

「引っ越そうが何しようが関係ないやろが、払えばそれでええんやろが」

敬語も何も関係なく、俺は気付けば誰にでも吠え続けていた。

この大家はすぐに黙らせてやる必要があった。手数料を取られる時間帯だったが、そんな事に構わず俺は銀行まで原付バイクを走らせて家賃3ヶ月分を引き出し、そして大家に「これでええやろが」と激しく突き出した。

七、

いよいよ東京に出て行くその日、すなわち20歳の誕生日、俺は友達に電話をかけ、ワンワンと泣いた。とんでもない事が始まる、東京に出て行くその当日に初めてそんな気分になった。それは誇らしい気分でもあった。知人を頼りに東京に出て行く訳でもなく、俺よりも前に出て行った奴など一人もおらんかった。俺は一人で誰も知らん場所へと出向き、一人で全てを巧みに転がしてやるつもりだった。二番煎じなど真っ平御免で、俺は何かにとり憑かれていた。中学生の頃から何かと一緒に過ごした9歳年上の女の子にコロンビア製のカラフルなポータブルレコードプレーヤーを預け、「これはお前が持っとけ」と気取り、笑い、そして「何でこんな大事なモノを?」と彼女は泣いた。とにかく、とんでもない事をやらかす気分だった。

なんだかんだで120万円以上が見事に貯まったお金を全て引き出し、俺は夕方から仕事に出向くお母さん、トイレでうずくまるお母さんにトランプの様に万券を誇らしげに広げて見せ、「これ取っとけ」と気取り13万円を手渡した。

「ええんか?」

お母さんは呟き、そして笑った。

「冗談かと思ったらほんまに行くんか?」

「行くってずっと言うとったやろ」


関係は徐々に良くなりつつあった。

仕事に出向くお母さんを見送った。「元気でね」とお母さんはさり気なく手を振り、俺は顔を見る事さえ出来ず、自転車に乗るその背中をぼんやりと眺めながら果てしなく泣いた。

東京に出向く手段はバスでも間違っても新幹線でもなく、寝台列車だった。一番遅い便は「0時33分発」だった。俺は切符を受け取ったがその切符には誕生日の「12月13日」ではなく、日付が変わった「12月14日」と記してあった。俺はそれが気に食わず、一便早い「21時31分」の便に取り換えた。切符には希望通り、誕生日の「12月13日」と記された。寝台列車はバスよりも新幹線よりも値段が高かったが俺は一生残るであろうロマンを忘れたくなかった。

そしてお母さんに書置きを残した、

「頼むからもう死ぬなんて言わんといてね」

目の前では口に出した事もない言葉口調で書き綴り、俺は笑ってしまう程に泣き続けた。

夜、女の子が駅まで車で送ってくれた。その女の子は11歳年上だった。俺は当時、幸せな事に年上の女の子達に守られていた。勝手で我儘な俺みたいなモンに何人かの女の子達が優しくしてくれた。俺は優しくされる事に滅法弱い性質だった。そして俺は我儘で傲慢でありながら極度の寂しがり屋だった。

八、

引越し屋には預けんかった荷物、ハードケースやら大型バッグやら、3人分以上の荷物に値する大荷物を抱えて寝台列車に飛び乗る為にホームまで歩くと何人かの男と女、バンド仲間達がお忍びで見送りに来てくれており、ある女は陰で見守り、ある男は俺の背中を叩いた。俺は嬉しくて心底驚いたがもう泣くのは止めにしていた。気掛かりは東京に対する不安ではなく、お母さんが一人になってしまう事だった。兄ちゃんは卒業後一流企業の寮に入り、お父さんは何処で何をしとるのかまるで見当もつかず、お母さんは夕方から数時間工場で働いて小銭を稼ぎ、そして俺は何かにとり憑かれて続けていた。俺を乗せた寝台列車は着実に東京へと向かっていた。

続く。

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P.S 

俺の人生は多分、この18~19歳の時期に最も強い影響を受けとるといえる。貧乏性とロマン、風貌と目つき、人との付き合い方としつこさ、その他諸々だ。一円を馬鹿にする奴を心底ハナで笑い、出された御飯を平気で残せる奴を毛嫌いし、格好だけの宙ぶらりん野郎とは話す気にもなれず、デリカシーの欠片もない輩には殺意を覚え、「メシ」「金」「死ね」「殺す」などと平然と呟くファッキン野郎の言葉には耳を塞ぎ、嫌悪感を露わに示す様になった。

この時期の俺も今の俺もさほど変わってない気がするが、東京に出て来てからその気持ちはより一層強いモノになった。ある女は「東京に行ったら人間が変わってしまうんじゃないか」と俺の事を心配していた。俺は「お前は馬鹿か、今まで俺の何を見てきた?」とそんな心配には耳も貸してなかった。

東京に出て来てから俺の気持ちは逆に強くなり過ぎ、破れてほころびた服を好んで着続ける様にもなり、何から何まで風貌が汚くなった俺の事を今やお母さん本人が毛嫌いする様になってしまったが、「あの育て方がもしも計算だったとしたら」と考えただけで鳥肌が立った。

東京に来て実際に離れてから、俺はその素晴らしさに充分過ぎる程に気付かされた。

こんな話は今までほとんど誰にもした事がなかった。する必要もなかった。でも俺はこの時期の事を一番本にしたいとずっと思っとる。近頃はこの文章の事だけを考え続けた。俺は一体何を悩んどるのかといった気分になった。そして俺は何日か前からこの時期の事を書き出す作業に着手した。「時期は来た」と勝手に捉えるに至った。あの頃の事を鮮明に思い出せる事実が嬉しかった。振り返る事も悪い事ではないと、俺は思っとる。

関係性はこうやって築かれた。罵り合いながら築く関係を俺は愛している。バットしかし、それは「愛」があってこそだ。

料理を目の前に感謝を忘れない 
両手を合わせていつもありがとうって思うよ

「お母さん、今日も御飯にありつけたぜ」
下北沢から遠くまで届ける

俺のお母さんが電話口に笑う
「あんた山程やる事があってええね」って笑う

「お母さん、まだ死んじゃ駄目だぜ」
俺がもっと偉くなる時まで生き続けてくれ

愛してる日々


東京に出て来て7年半が経過した2008年6月、こんな唄が意識さえする前に生み出された。俺は儲けた気分で、全ての事柄に感謝していた。成功も失敗も関係なく、どんな仕事につくかでもなく、どんな生き方をするかに対してのみに俺は命を燃やし続けようと思った。


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長編・「愛すべき日々」 一~五

一、

東京に出て来て初めての夏、すなわち2001年8月、「斉藤荘E号室」とネーミングされた共同玄関共同トイレ風呂無四畳半のブタ箱の様な俺の部屋にはエアコンはおろか、扇風機さえなかった。

四つ上の、話が噛み合う事など滅多にない兄ちゃんがこの時ばかりは俺に言った、

「おいお前、扇風機くらい買え」

俺は答えた、

「ほっとけ、そんな贅沢する為に東京来たんちゃうぞ」

お母さんはハナで笑った、

「アンタ、阿呆ちゃうんか」

その時、俺にはお金があった。広島で貯めた120万円がしっかりとあったが、俺はそんなモノにお金を使うつもりなど毛頭なかった。

俺は自分に酔っていた。いつか笑い話になるぞと言い聞かせ、そんな暑さよりもレコードやら楽器やらで床が抜けんかどうか、レコードが曲がったりせんかどうか、ネックが反ったりせんかどうか、汗を垂れ流しながらそんな事柄だけを気遣い続けた。

東京に出て来ると決めた時、俺は仕事やら何やらに追われて、東京にて目的が疎かになってしまう事を極端に恐れていた。

二、

20歳の誕生日までに120万円貯めてやろうと思った。高校を卒業して、新聞配達ーレンタル屋ーパチンコ屋のローテーションで、朝から晩までボロカス文句を吐き出しながらもとり憑かれた様に働き、俺は文字通り夢に溢れ、ドキュメンタリーと捉え、そしてどうやら矢沢永吉の「成り上がり」に強い影響を受けていた。

新聞配達は中学校に入学する前から続いていた。エレキギターが欲しかった。苦労を味わうべきだと思った。そして周りが手をつけてない事を誰よりも先にやりたかった。俺は毎朝鳴り響く黒電話で叩き起こされ、遅刻の常習犯だった。ギターは中学1年の12月に手に入れたが、俺は意地でも新聞配達を続けてやろうと思っていた。

パチンコ屋一本に絞った方がお金を貯めるには手っ取り早い事くらい俺にも分かったが、俺はそれを馬鹿みたいに拒み続けた。

「お前は馬鹿か?」「何でそんな遠回りするの?」と笑われもしたが、俺はその頃からどうやら不器用で遠回りを愛し、そして人に指図される事が何よりも嫌いだった。俺は意地と勢いと夢、そしていつか笑い話にする事だけしか考えてなかった。

ほとんど何も食べず、そして何も飲んでなかった。俺はいつもお腹を空かせていた。俺の「ケチ具合」は周りであまりに有名になったが、そんな事はどうでも良い事だった。「お前等とは目的が違う」と笑い飛ばし、周りはその徹底加減に驚いていた。何か食べ物や飲み物がなくなると決まって俺のせいにされた。俺はそれが嬉しかった。おーここまできたか、思った。「残った食べ物はこいつが全部片付ける」、そんな決まりが生まれた。俺が俺を作り出した瞬間だった。周りも呆れて笑い出した。俺は何かにとり憑かれていた。自動販売機もコンビニエンスストアも全てを俺は素通りした。外食なんて奇跡の出来事だった。レコードと服、そしてライヴ観賞の為に使うお金だけは別腹だったが、昼休憩には本を読み、レンタル屋とパチンコ屋へ行くまでの僅かな時間はただただ横になって過ごした。

三、

1999年12月13日、19歳の誕生日に俺は新しいエレキギターを手に入れた。それはエピフォン製で色は愛すべきエンジ、カタログを見て取り寄せ、値段は9万いくらだった。

お母さんは「そんなお金があるなら回してくれ」と嘆き、兄ちゃんは「こいつは気が狂っている」と哀れんだが、俺は大事な事だけは忘れたくなかった。お金を貯めながら、俺が必要とするモノにはお金を使い続けた。

四、

ある日、原付バイクでパチンコ屋へと向かう途中、車と接触事故を起こし、俺は倒れ込んだ。俺の原付バイクには何故か「サニーディ・サービス」とシンプルに書かれたステッカーが貼ってあり、運転手は「どこかの業者の方ですか?」と俺に聞いた。俺は適当な返事をして運転手と別れ、仕事を休んでゆっくりするには絶好の機会だと思ったが、俺はその夜もパチンコの玉を気が狂った様に運び続けた。俺は意地と勢いと夢、そしていつか笑い話に変える事しか考えず、主人公を勝手に演じ続けた。

パチンコ屋に高校時代の同級生の女の子が偶然やって来た。その女の子は卒業したら大阪でお笑いを目指すと言い続けていた。

「大阪には行ってないんか?」

「あぁ、それ辞めたわ」


こいつは頭がおかしいのかと本気で思った。何故、始める前に辞める事が出来るのか、俺にはそれが不思議で不思議でしょうがなかった。

楽しみは夜だった。詩を書いたり曲を作ったりしながら、座椅子に座りギターを抱えて電気も点けたまま毎日気付けば眠りについた。

五、

2000年4月、新しいバンドを結成した。俺はシンプルに「トライアングル」と名付けた。ドラムは顔見知りでベースはパチンコ屋で知り合った男、俺は新しいギターを弾ける喜びに満ちていた。完全に自分の都合で事を進めていた。ある時、ベースの男に「こいつは何か違う」という感情が生まれ、それは日々強くなっていった。俺は電話で何かしらの理由をつけ、「もうええで」とクビを宣告した。すぐ近くにおったであろう男の彼女が突然電話口にシャシャリ出てきた。

「アンタどういうつもり?ちょっといつも自分勝手過ぎるんじゃないの?」

女は吠え、割れんばかりの声で叫んでいた。俺の事が心底嫌いといった口調だったが、俺はその女と会った事も話した事もなかった。

「お前一体誰や?女が外野席からゴチャゴチャと口を挿むな、このタコ!」

俺は口が悪かった。散々怒鳴り散らした後、黒電話の受話器を叩き切り、このカップルを哀れんだ。「彼女がどうのこうの」、俺はそんな事柄が心底嫌いだった。

次のライヴも次の次のライヴも決まった状態だった。駅前で弾き語りをしていた話した事もない同い年の女の子に声をかけ、「ベースを弾いてくれ」と頼み込んだ。返事は二つ返事で「オーケー」だった。

2000年8月、「ティーンズ・ミュージック・フェスティバル」の予選に出場した。20組中3組が岡山大会に進出出来る仕組みだった。

俺は自信に満ち溢れており、「こんなんも通らん様なら直ちに解散してやるぜ」とメンバーに息巻いた。俺は自分に酔っていた。通常2曲までのところ、無理矢理3曲を詰め込んだ。俺は指図される事を極端に拒んでいた。ドラムセットの上に飛び乗り叫び続け、俺はステージで暴れながら感情を爆発させ、「分かる奴だけついて来い」と調子に乗り続けていた。重要なのはインパクトを与える事で、俺は自然と湧き出て抑える事さえ不可能な「パンク精神」とやらに酔い続けていた。

結果は予選敗退だった。俺は他の訳の分からんバンドが選ばれる光景を目の当たりにし、「ふざけるのもええ加減にしろ」と吠え続け、そして気付けば悔しくて泣いていた。バンドはその後ちょっとしてから解散した。東京に行く日が確実に近付いていた。


at 23:46|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │長編 

June 25, 2009

生きる偉人の言葉を借りてさようなら

俺はどうやら、手の内を明かし過ぎてしまった。曝け出し過ぎてしまった。

矛盾に矛盾を積み重ねて俺は存在してしまっている。「男に二言はある」と化してしまった戯け人間このワタシ、暫らくこちらへ書く事は控えた方が良いと悟る。

いや、書く事自体を止める必要などどこにもない。何も書く事がなくなった時、それは「死」さえ連想させる。俺には書く事など腐る程にある。「何も書く事がない」と嘆く輩を俺は心底軽蔑している。「何も書く事がない」という事実をヒップな文面で書き綴る事が出来ればただそれだけで読物とはいとも簡単に完成する。そして今の俺にはノートブックと鉛筆一本あれば良い。こんなところにすったもんだほれたはれたを書き綴るその前に、戯けた気分を全て詩の中に収めてしまいたいと相成る。


詩は良い、自分の胸の内を真っ正面から書き殴り、それがアカの他人に受け入れられたりする事もある。何なら自分の胸の内をさも誰かの出来事の様に仕上げてしまう事だって可能だ。この世に「詩」という名のアナログが存在して良かったと思う。それはどんなハイカラデジタル機器でも成し得ん事だ。だから詩は、表現する事は何よりも素晴らしい。

バットしかしもしも明日、心から胸踊る出来事と出くわしたなら、俺は吹けもせん口笛を吹く素振りでもしながらこちらに、文面さえも躍り出しそうな過剰な物語を堂々と書き綴ってしまうかも知れない。

何もかもが曖昧だ。仕事を終え、書き、ウイスキーを煽って眠るだけ。冷房機器の寒さにだって怯え、勝てず、理解出来ず、そして今日も怒りに満ちている。

俺は酔っていた。無論、ウイスキーにではない、結果、自分自身に酔い過ぎていたのだ。

それはとても重要な事ではある。意識するまでもない、ご多分に漏れず世の中の狂った仕組みにすっぽりと納まり、ええ加減に渡り歩くなんて真っ平御免、二億円貰っても無理なモンは無理だと、こう言える程の強さだってほしい。

ある奴とは袂を分かち ある奴はこの世から消え去り
ある奴は一人旅に出て 誰もが同じ漂白の日々

新しい煩わしさや あらすじ通りの日々や
あきらめの色 哀しみの色 すべて塗りつぶしてしまおう
天才的にエクスキューズ 白旗ならいくらでもあげよう


生きる偉人の言葉を借りてさようなら。

コメントをくれた何人かの男達に俺は深く感謝している。きっとどこかで会ってもそんな事は口にはせんだろう、バットしかし、深く感謝している。

優しさってどういう意味、誰かが何かと闘い苦しむ時、サラッと声をかけれる男の事、打って変わって黙って見守る男も断じてクールと呼べる。

俺は甘えていた、頼っていた、自分にはないモノにすがっていた。

「お前にそんな覚悟があるんか」、俺は怒鳴った。

そしてそう、覚悟の一つも出来てなかったのはこの俺の方だったという冗談にもならん事実。

道は遠いが強引にもオーケー、オールオーケー、

俺だけの言葉を携えて、三日後、一週間後、二ヵ月後、はたまた明日、俺は必ず戻ってくる。

レッツゴー・仙台、そしてニュー・オリンズ、夢は続く。

そして誰かはきっと思うだろう、「懲りもせずこの文章は酔っている」。

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P.S

’09.7.14(火)
ライヴ アット 池袋トライ
18時開場/18時半開演/1000円(+1drink)


18:30~19:00/十条フォークジャンボリー
19:05~19:35/竹内英輔
19:40~20:10/スズキタクヤ
20:15~20:45/松島英生
20:50~21:20/Loach
21:25~21:55/川田福志
22:00~22:30/高哲典


お母さんは65歳最後の日、俺はとびきりの詩を唄うだけ、ただそれだけ。

きっとこの日は「胸踊る出来事」として深く刻まれるだろう。





at 21:22|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │日々 

June 24, 2009

ミスターソングライターの散文 vol.1

俺は王様だと思っていた。

「下らない」、そいつが俺の口癖、
いつまでも宝探しを続けるの。

何かとっても悪い事がしたい、良く喋る女両脇に付け、
このまま行ったら当然頭はおかしくなるだろう。

プラットホームの女の子、ちょっと何かが欠けてる様な女の子、
ドラッグストアの女の子、何から何まで行き届いてる様な女の子。

花柄テーブル円で囲んで未来の話を繰り広げてみたくもなるね。

踏切が開くまでの間、電車内のスーツ姿を眺めている。
そこで尊敬と軽蔑を50対50で抱いているのがふざけたこの俺さ。

明け方の街をふらつきながら歩いている、
弱そうに見える犬ほどよく吠え続けるけれど心配すんなよ、俺はお前の理解者だぜ。

喜怒哀楽な男でごめんね、
俺は純粋な気取り屋、神経質が服着て歩くぜ。

半分腐りかけてる心が半分生きている筈の心を蝕み、
半分腐りかけてる心を半分生きている筈の心が繋ぎ止め、
半分腐りかけてる心と半分生きている筈の心がツイスト踊る。

やる事をやれ、そうすればいくら馬鹿にされても媚びる事など何一つない。

マニュアルライフのアニマル、アヴェレージこそがハッピー、
ポリシーは剥がれ落ちてもOK。

誰もが忘れても俺は忘れたりしないぜ、世界が笑っても自分を疑わない。

「こいつは細かくてうるさい」、ノー、断固ノー、俺は至って普通の男だ。
元来、怒る必要などない筈の部分から吠え出さずには過ごせん根本から狂った日々。

いつかまた世界を馬鹿にしてみないか?

根本から変える必要があるんだよ、革命とかそんな大逸れた事じゃなくて、
未来の話で盛り上がろうぜ。

誰にも認められずに投げつけたライターは奴にとって大切な代物に違いない、
欠片を拾い取る時に涙を見つけたんだ、誠実な輝きを俺は受け取ったんだ、
そして負けるなよと思った。

もしも私が全て正しくて、とても正しくて、周りを見れば、
世にある限り全てのものは、私以外は間違いばかり。

もしもあなたが全て正しくて、とても正しくて、周りを見れば、
世にある限り全てのものは、あなた以外は間違いばかり。

辛いだろうねその一日は、嫌いな人しか出会えない。
寒いだろうねその一生は、軽蔑だけしか抱けない。

自分だけが正気だと思っていた、それは狂気の始まりに過ぎなかった、
頭蓋骨の裏のスクリーンにはいつもトラウマの映画が映ってた。

久し振りに一人きり街をぶらついていたら、ボロを着た酔いどれが胸を張って高らかに、
「気が狂っている様に見えるかも知れないがそれはお前等の方だぜ」

「俺が感じている事、声に出して何が悪い?」
冷たい視線モノともせず胸を張って高らかに。

顔は苛立ちに満ちていて、吟遊詩人の風貌は数少ない生き残り、益々と声上げるから格好ええなと思った。

ヒリヒリする孤独を歌う誰かの歌を愛している、ホーボーマン。

居酒屋で真実を注文してみたい、自動販売機の下に宝物はないかい。
思い出をワンダース届けてもらいたい、神聖なオフィスで演奏してみたい。

死んでもなりたくなかった奴に生きたまま近付いてしまっている、
怠けている優しさをそこらじゅうにバラまいている。

秒単位で性格の変わるドランカー、気が強いくせに泣き虫だった、臆病なくせに傲慢な俺は何もかもが曖昧だった。
矛盾だらけの自分自身に爪を立て吠え続けている。

ポケットの中、嫌な思いをしてやっとこさ稼いだお金、
ジャラジャラ鳴らして夕方の新宿辺りブラブラしようぜ。
目的の場所辿り着く頃疲労困憊、目に映るモノ全てに裏がある様に見える。

「腐ったモンはほっといたって消えて粉々になるだけだよ」、
そう訴えかける目をして後ろポケット手を突っ込む、寂しくないといえば嘘になる。

降り止まぬいつもの雨、放浪の虫がムズムズと動く。

雨が降り止む気配はない、傘の骨は突き出してるし、濡れて歩いてみるのも良い。
「そっちの方が似合ってる」って言われたとしたら思わず俺は笑顔で、
「ありがとう」だとか口にしてしまう様な気もするね。

雨がやり切れん思いを全て流すとか言ったりするけど俺はそうは思わない、
どうしてかって聞かれたりしたら、だって雨って神様の涙って思ってる方が幸せになれる気がするの。

雨が降ってきた夜に喜び勇んで外に飛び出した、
「怖いものはこの世にないんだ」といった雰囲気で飛び出したんだ。

ある出来事の後、世界はもう二度と輝いて見えなくなった、
穴のあいた舟で海へとこぎ出せ、都会で「理由のある反抗」をする為に。

けれど仲間は去り、運には見放されて、まるで俺は裸の王様になる。

俺は王様だと思っていた、けれど俺はどうせまた同じヘマをやらかし、
同じ奴を愛し、同じ奴を憎み、同じラベルの酒を飲み、同じ怒りでテーブルを叩き割るだろう。

目を開けたまま夢を見ている、半分死んだまま俺は生きている。全てを投げ出してしまいたくなる事もある。

才能と日々、浪費してるだけ。犯罪はたまたま犯さなかっただけ。

夜中の3時、寝る前にちょっとテレビをつけて、
ブラウン管に唾吐きかけたい衝動に駆られてとても眠れない。  

コーヒーカップに染み込んだ騒がしい思い出と、
灰皿の中に詰め込んだ苦々しい思い出を繋ぎ合わせて今を生きている。

赤と黄色と黒のストライプで、ポップアートの偽者の住人
明るさ暗さと燃えてる感じで、ポップアートの危険な住人

言うならば俺の人生こんな感じ、
落ち着き所が掴めない状況。

言うならば俺の人生こんな感じ、
救い所が分からない心境。


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誰かが気持ちを全て代弁してくれるなら、俺は音楽も書く必要も生きる事さえも辞めなければならない。

これは自らの詩七割、偉人達の言葉三割で構成された文章、ある意味では誰かの言葉を少なからず借りた、そんな恥ずかしい文章。

バットしかし、俺は気付けばいつだって「音楽」という名の悪魔に守られてきた。敬意を込めて礼を言いたい。

やる事をやれ、やりたい事をやれ、気持ち良い事を信じ続けろ、そう、迷惑と心配はなるべくかけずにだ。

「経験」とは素晴らしい。


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June 23, 2009

焦燥の監獄にて

渋谷駅構内にて何が何だかまるで分からず、両手でどうにか体のバランスを保ちながらのフラフラダンス、

そんな時、「もはや肌色なんてなくしてしまいたいぜ」と豪語する麗しのヒッピー・タトゥー男から一本の電話、俺は相手の用件もロクに聞かんままに切り出す、

「よーよー、一体今何処だい?とにかくウイスキーでも呑まないかい?」


そんな訳で部屋に舞い戻れば、すぐさま男は部屋へとやって来た。いや、やって来てくれたと、こう書くべきだ。

小一時間の他愛もない話、「相変わらずの城だね」と男は笑い、そして他愛のある話、ポスターは剥がれ落ちながらもピザポテトを食べ、天国と地獄の話はいつだって続く。

俺が本当の意味でイカレてしまう時、それはきっとぶっ倒れてしまう時だ。

意地を張るのはもう止めだ、あまりに脆い俺の精神は今にも腐ってしまいそうだ。矛盾に矛盾を重ね、俺は恥ずかしくも存在してしまっている。

自業自得ともいえる気が狂ってしまいそうな焦燥の日々、甘い言葉を吐いてしまう自分が嫌にもなる。

そして久方振りに手に入れた「JAMESON」を煽り、俺は見た事もない、誰も知らん街に行きたいと強く願っている。

ある男は何も知らず高らかに笑い、ある女は全てを知った上で俺を哀れむだろう。

どうでも良いぜそんな事柄、もはや誰もが役者。







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June 22, 2009

「心の友達」 番外編

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「シュルレアリストの最も単純な行為は、拳銃を手に通りに出て、群衆に向かってできるだけ無差別に撃ちまくることだ。人に屈辱感を抱かせ無能化する現行の歪んだ社会制度に対してこのような方法で決別したいと思ったことが一度もない者は、明らかに自分自身がこの群衆に属しており、それも弾の飛んでくる位置に自らの腹を見せているのだ」

アンドレ・ブルトン

先駆者、偉人、何故か「キチガイ」と呼ばれてしまう表現者達、俺は愛している。


朝、何かしらの夢を見た後、いつもの時間に目が覚めたと同時に涙、涙。嬉しいのか哀しいのか、それさえも分からず、涙も拭わず14時まで眠り続ける。

さぁ、今こそ「シュルレアリスム宣言」を読み耽ろう。それはとても難しく、意味を理解する事など安易ではないが、俺はそこから満ち溢れ、はち切れんばかりのエネルギーを感じ取る。

レコード屋にてヒートウェイヴを二枚掘り出す。俺はいつだってレコード屋に出向く度、「新入荷」コーナーと「ハ行」コーナーを探し続けた。それが現実に見つけ出される瞬間、電気が体を駆け巡る瞬間、そんな瞬間にこそ俺は全身にロマンを感じる事が出来る。

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山口洋が語った事を目にした、

「ミュージシャンとしての屈辱は中古盤屋にて自らのCDを見つけてしまう事とそのCDが廃盤になる事だ」

そのCDは廃盤となり、そして俺はそのCDを中古盤屋にて掘り出した。無論、山口洋を助けたい為ではない。そんな意味で同情される位なら俺だって音楽、そして表現など直ちに辞めるだろう。

それは俺個人が必要としていたからこそ、探し求め手に入れたのだ。

二月、確か名古屋へと向かう深夜高速バスの中で書いた、

「ビートルズよりも、エディ・コクランよりも、ヒートウェイヴは偉大だ」

ヘッドフォンで、歌詞カードをまるでスポーツ新聞の様に丸め込んで音楽に浸かり込む。

「半年以上、ほとんど毎日聴き続けられる音楽とは?」

こんな問いに俺はハナで笑いながら答えざるをえん、

「それはヒートウェイヴだぜ」

感心を通り越して、俺が抱くモノはもはや嫉妬だ。俺の胸中を察してこんな唄を書き上げたんじゃないかとすら勝手にも思えてくる。

表現する事はあまりに素晴らしい、そして俺は立ち上がる。

チャールズ・ブコウスキー・オールド・パンク 
鮮やかな純粋色
世に言うアウトサイダーが 
心の友達


四年位前か、俺が唄う。

どれだけお金に困っても大事なレコード、CD、本、そしてロマン、俺は売ったりしない。

一本の折れ曲がった煙草を二人で吸う、こんなロマンを俺は愛している。

身を削り続けるしかない表現者に愛を。

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June 21, 2009

現実は小説よりも奇なり論

喧嘩を売る様にこの街に来た
朝も夜も睨みつけながら


吟遊詩人が唄う、そんな訳で俺の目つきは誰よりも悪くなった。

今まで怒鳴り散らしてきた事柄、嘆き続けてきた事柄とは一体どんな事柄だったのか、それさえもアヤフヤになってしまう程に俺は今、どうやら予想以上にどでかいモノに支配されてしまっている。

部屋に戻ればアルコールの抜けたビールを一気に飲み干し、裏切りと裏切りの狭間でもがいている。

ところで明日から、仲間と呼びたい男が俺の働く職場へとやって来る。無論、遊びに来る訳でも見学に来る訳でもない、お金を稼ぐ為にやって来るのだ。それはきっと、とんでもなく素晴らしい我が物顔を携えてやって来るんだろう。

「おーおー、ほんまかいな、それなら俺のとこに来りゃええがな、俺はいつだって面白くしたいだけなんだぜ」

時に物事はトントン拍子で運ぶ。この誇らしい事実、そう、この件は瞬く間に事が運んだ。

得意技はスナック感覚、上辺だけの予定調和で溢れる世の中なら、俺は飲み込まれる前に何かしらの手を打たなければならない。

バットしかし、そんな親愛なる男の初出勤日においらは休日、目当てはご多分に漏れず駆け込み寺「美術館」、恵比寿ガーデンプレイスなるハイカラの極地に攻め込んでみたくもなるが、どうやら美術館の類いは月曜日に休みを取るという憎いシステム。

おっと、一聴してノータリンと確認出来る女の声で電話が鳴る、

「アノゥー、ワタシイッケブクロノー、マルイッテワッカリマッスカー??」

オーベイビー、愛想も尽き果て無言で電話を切る事としよう。

電話を切られたノータリン女は電話口にてきっとこう呟くんだろう、

「コイツマジシネッ!」

許せ、許せよ、胸中は察する。察するにしても日本人は一体何処へ向かうのかという疑問。

「シネ」なんて言葉、死ぬまで使ったら駄目なんだぜ。

さぁ、今こそパープリン池袋シティに届く程の金切り声を、

「イキルゼネエチャン!」


明日もきっとレコード日和、危険な夜に最もマッチする男の音楽を、俺は幸せな事に知っとる。

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at 22:29|PermalinkComments(4)TrackBack(0)│ │短編 

June 20, 2009

純粋ってどういう意味

誰かを深く傷つけたら、それはいつか必ず自らに跳ね返ってくる。

想像を遥かに上回る程の大波、時速200kmの荒波で跳ね返ってくる。

「とても辛い」と誰かが嘆いた時、俺はきっとヘラヘラ笑っていたかも知れん。

色んな人達を傷つけてきた。そしてそれは今、全て自らに跳ね返ってきた。

「とても辛い」と俺が呟く時、誰かはきっとヘラヘラ笑うかも知らん。

繰り返し繰り返す男このワタシ、もはや真っ直ぐ歩く事さえ怪しい有り様、

どうした、前しか見ないと、孤高の丘に立って決めた筈だぜ、

平常心は保つ事で精一杯、夜の出来事、切り離せずに暗中模索、気が遠くなる程、話がしてみたくなる。

ところで何かとブツクサ呟き、踊り続ける俺にスーパーバイザーが苦笑いで言ったぜ、

「ちょっとは落ち着いて静かに仕事出来ねーのか?」

手を叩いて高笑いしながら答えよう、

「まぁまぁ、ええやないっすか!」

答えは出来ん、断固出来ん、どうか許してやってくれ。

棺桶の中でも動いてやるぜ。

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写真は心斎橋に堂々と鎮座する奇跡の定食屋「ニューライト」、

古くて新しい光を俺にくれ。













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穴の開いた男に愛を

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昨日とまるで同じ、すなわちウインナーパンと牛乳買い込み値段は333、

昨日と違う点はたったの一つ、俺は今、一人という事だ。

穴の開いた男に愛を。新曲はほとんど完成、気付けば一曲増えたぜといった塩梅、

それは恥ずかしい程のラヴソング、声を張り上げて唄わなくちゃいけない。


at 14:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │日々 

June 19, 2009

価値観という名の恐怖

昼間にはウインナーパンと牛乳を買い込んで、あまりにも昼食らしい昼食の雰囲気漂わせながら日の当たる階段に座り込み仲間と食す。それはさながら映画の如き雰囲気で、声を張り上げる事なく静かに語り合ったりする。

ところでブランド物をさも自分しか持ってないぜといった顔つきで街を闊歩する事など、俺にはとても出来た柄じゃない。

「さも自分しか持ってないぜといった顔つきでブランド物を身につけて街を闊歩しろ」

こんな罰ゲームがあったとしたら頭はイカれ顔はシワクチャ、そうなる事など安易に想像出来る。

「もしも同じ服の奴とすれ違ってしまったらどうすれば良い?」、ある人はそれが嬉しく思うのかも知らん、そこに仲間意識を見い出すのかも知らん。バットしかし、そんな回避可能な恐怖に怯えながら過ごすなんて俺には到底出来そうにない。そしてそんな事、しなくても良い。

俺はいつからか、古着という一点主義にしかほとんど興味がなくなった。ある人には汚く映り、お母さんは吠えるだろう、「よーそんなモン着るわ」。

スーパー袋を持ち歩く汚い俺に出番などないのかも知らん、バットしかし、いつか笑う時がくるだろう、みすぼらしいと思われたところでノープロブレム、傷つく事など何一つない。何故ならばそんな輩を逆に笑い飛ばす気力が俺にはある。

そしておいらエアコン恐怖症、あの風はまさしく有害、真夏なら二百歩譲って許すも現在六月梅雨の真っ只中、暑くもないのにどこもかしこもエアコンはギンギン、外は穏やか中はギンギン、体は追いつかず咳は止まらず、長袖にするのか半袖にするのか、世の中は勘違いの贅沢で溢れている。おっと、七分袖というヒップな幸せの選択肢を有効に活用するべきなのか。

気をつけろ気をつけろ、世の中の仕組みに飲み込まれたら一瞬でさらわれてしまうぞ。

仕事場では不安定な精神ぶらさげて足の震えも手の震えも止まらず体は無意識の内に踊りっぱなし、落ち着くところなどある筈もなく、ルネ・マグリットのウィット満点絵画にのみ心を預ける。俺の敵は周りでも電話口の相手でもない、俺自身だ。

重要なのは心意気だけよ、ドキュメンタリーフィルムを常に撮られてる気分でいられればそれだけで良いのよ

マリーは俺の心に住んでる女の子。

拝啓アベユウジ氏、俺の場面は今とても見応えあるシーン。俺はアンタのコメントを一日何度も読み返しているんだぜ。

夜は夜とて下北沢デイジーバー、今村竜也氏渾身のバンド「PLEASANT TAP」観賞。ゆっくりメンバーと話がしたいところだったが、俺はご多分に漏れず団体行動が頑なに好きじゃない。それは時に恐怖、なんやなんや、この世は恐怖で溢れとるのか。見ず知らずの人間で溢れる打ち上げはパスさせていただき俺はとっとと家路につく。

愛すべきは一対一、一人でも知らん奴が近くにおったら俺はすぐに眉間に皺を寄せ、そして黙る。回避可能な気疲れは避けたい心境。

我儘な男だときっと誰かは笑うだろう。分かる、充分に分かるぞ。バットしかし、自らの価値観しか信じる事が出来ん男このワタシ、オーケー、オールオーケー、突き進む。

ところでレコーディング第一弾は7月4日で確定、メンバー四人でスタジオに閉じ篭る。そう、バックバンドは麗しの「PLEASANT TAP」、オーケー、オールオーケー、突き進む。俺がやるべき事は今、これだ。

知っとる、充分に知っとるぜ、俺には不安定と嘆くだけの余裕がある。明日もスナック感覚で乗り切れるだろう。

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at 22:30|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │言及 

June 18, 2009

東京にて前しか見ない

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ほんの一瞬でも気を許したら根こそぎもっていかれてしまいそうな危うい感覚、俺は今、何と闘うべきなのか。

皆が言うシックオンユー、バットしかし、それを真っ正面から受け入れたら何とも歯痒く情けない気分に追いやられてしまうんじゃないか、そんな気分の、我ながらややこしい精神の持主このワタシ。

ところで仕事場で何かとちょっかいを出してくるスーパーバイザーへ単刀直入、クールを気取って問いかけてみる、

「その感じ、俺の事嫌いじゃないでしょ?」

「どっちかと言うと一生付き合いたいね」


もはや腐れ縁なのか何なのか、文句を羅列しながら築く信頼関係、こんな類いが俺は断じて嫌いじゃない。

そして頭に思い描く男達、すなわち麗しのレコーディングメンバーには着実にアポイントを取り始める。

返事はイエス、断固イエス、オーケー、オールオーケー、俺は何一つ諦めてない。溺れてしまいそうになりながら、胃に穴が開く事も禿げる事も立ち上がれん程に体を壊す事もなく、どうやら丈夫に過ごしとるといえる。

やったモン勝ちの理論、もはや狂乱の全メンバーをさっさと発表して後には引けん状態を作り上げてしまいたい。そして気が遠くなる程の果てしないスケジュールを一つ一つ組み立ててしまいたい。

先日福山に帰った時、諦めの意味さえ解らず東京に戻るこの俺にお母さんが言ったぜ、

「これ五千円、お寿司食べに行けんかったからこれで美味しい物でも食べなさい」

バカヤロー、ふざけるのもええ加減にしろ、そんなモノを受け取ったら俺は完全に腐ってしまう。

俺はやりたい事をやる為に無茶を充分承知で東京へとやって来た。ヒートウェイヴの言葉を借りるなら「都会で理由のある反抗をする為に」東京へとやって来た。一人で暮らす母親を残してやって来たこの俺がまさか、そんな母親に頼るなんて恥ずかし過ぎて冗談の一つにもならん。ハナで笑って拒否反応の様に叫ぶ言葉、「お金なら腐る程ある、そんなモン要らんがな、先ずはアンタがそのお金で旨いモンを食べるべきだぜ」。

なんやなんや、尋常じゃない程の涙が溢れ出す。泣いたり怒鳴ったり喜んだり浮いたり沈んだり、さながら情緒不安定を引きずりながら俺はもう前しか見ない。

本日、誰かに聞いたぜ、

「優しさって一体どういう事だい?」

その意味さえ理解する事なく、俺はもう前しか見ない。

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近頃は写真を撮りたい気分、ジャケットから味から何からを愛してしまった上等ビール、ASAHI「The Master」。そしてその背後に見えますのは哀愁の明治いちごオレ、俺はもう前しか見ない。

取り乱す事も多々あるだろう、バットしかし、呪文の様にほざき続けろ、前しか見ない。

吐き出し続ける為の唯一の救いの手段、俺にはもはや「書く」しかない。



at 22:05|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │短編 

シャレコウベ・ダンス

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有無をも言わさぬスピードで新曲は完成目前、思考する必要もなく完成目前、こんな夜があるからこそ日々は続く。

小振りで可愛らしいMTRを手に入れよう、スナック感覚で音源を録り貯めよう。

日々は続く、お金を貯めて新しい場所へ。


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June 17, 2009

ウィットの全てとウィットが全て論

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吹きぬける風のようなおれの住む世界へ一度はおいでヨ
荒れ果てた大地にチッポケな花を一つ咲かせておこう


70年代吟遊詩人が颯爽と叫ぶ。

本日東京渋谷は文化村、溢れかえるカップル、群がる若人、泣き喚く小人、謎を解こうとする老人、そんなモノ達にまぎれ込みながら「奇想の王国・だまし絵展」鑑賞。

神聖な美術館において「おー、すごい」などとそんなベタな言葉、口が裂けても吐き出したくないが、小声で何度も呟く言葉、「おい、すごいぞ!」。


何百年前、すなわちレコードもなくカセットテープもなくテレビもなくインターネットなど奇跡の代物、喫茶店もなくギターもなく電気もなくティッシュもなくカメラなどヒップな絵空事、ものさしがあったのかすら怪しい時代のウィットと頭の回転が全ての額縁内での出来事。

何でもかんでも有り過ぎる位に有る時代に生きるこのひょっとこ野郎、俺は一体何者なんだと自問自答してみたくもなる。何百年も前に生きた画家達に足を向けて眠るなんて恥ずかしくてとても出来る訳がない。今や人間は選択肢が多過ぎ、全てに甘え、全てを見失ってしまう有り様だ。


オーケー、オールオーケー、ウィットの全てをこの目で目撃、どっかから盗んできた様な言葉をまくしたて垂れ流し、さも知った様な口調でのさばり続ける偽者博識人気取り野郎には直ちにモデルガンを突きつけろ。ウィットの意味さえ分からず血迷い続ける一般平凡人種に今こそ弾を八発命中させろ。

ルネ・マグリット、ウィットの神様、俺は捉える。「ウィット」とは美術の世界から生み出された言葉なんじゃないかと、もはや信じて疑わん。

部屋に戻り玄関を開けたその瞬間、俺には曲が舞い降りてきた。靴下も脱がずギターを手に取りノートブックに詩を書き殴れば七割完成、それは見事、頭の回転とウィットが全てのモノになった。

頭を通してからではもう手遅れ、緻密な計算など要らん、この感覚にのみ従い続ける。

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郷愁の散文

エレキギターを弾く。

それはとても良い。

頭の中でバンドサウンドは鳴りっぱなし。

頭の中で鉄壁のバンドメンバーを固定。

メンバーを召集して丸二週間暮らしたい。

今村竜也氏と丸二週間篭りたい。

「ここをああしてこうして」、言い合って過ごしたい。

「いやいやこうでんがな、それ、なんでやねん」、演り合って過ごしたい。

MUSIC FROM BIG PINK by THE BAND

MUSIC FROM 210 by 高哲典とグレイテストヒッツ


ガガガSP2003年ツアードキュメンタリーを観る。

欲しいモノは車の免許、車で旅に出る天国度数、考えただけでもはや宇宙。

BGMはロニー・レイン、この伊達男の幸せ具合、全てはそんなイメージ。

さて、明日から梅雨の美術館旅、スタートするのも良い。

手始めはベタか何か知らんが「だまし絵展」、こちらは必ず胸躍る事間違いなし。

腕を組んではニヤケて呟く、「おいおい、これは一体どうなっているんだい?」、

よく喋る女は何処へやら何処へやら。

ところで俺は書く事を止めない、何故ならばそれしかないからそれしかないから。

ところで俺は唄い続けたい、何故ならば寂しいから嬉しいから。

ところで俺は夢を殺さない、何故ならば生きているから生きているから。

嫌いになったら直ちに止める、何故ならば嘘になるから嘘になるから。

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at 00:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │散文 

June 16, 2009

男と男の憎まれて世に憚る物語

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心の支え、唯一無二の本物の味方、そんな関係に憧れ続ける。「憎まれっ子世に憚る」、こんな言葉を本気で口にするのは誰かとそんな関係を心底築けてからにした方が良い。俺も存分にそんな言葉をほざいてきたが、その時、俺の横にはちゃっかりと誇るべき相棒がおった。どうやら今の俺がそんなシャラクサイ言葉を口にする権利はないのかも知らん。俺は臆病者、失態に失態を繰り返すしかないあん畜生。バットしかし、丸く収まる事など出来る器もそうなる予感もそうする勇気も微塵もない。

ところで100%パインアップルジュースなるハイカラ飲料では眠るに眠れず、レコーディングしたい曲をパパッと箇条書きにしてみる。十何曲を思いつくままに書き出し、

「あぁ、この曲はあのバンドのグルーヴで決まりやで」然り、

「おっと、この曲のドラムはあの男でどうだい」然り、

「おや、あのベーシストとあのドラマーの組み合わせなんてヒップとちゃうんけ」然り、

「ヘイ、このブルースのボトルネックはあのヤサグレ野郎に任せるぜ」然り、

「さて、この曲はあのボヘミアンにサックスかハーモニカをパヒーっとやってもらえたら最高やがな」然り、


ほとんど明確なアポイントも取らんままに勝手な想像で頭は満杯、様々な男の顔を思い浮かべてみればそれはそれは尚更眠れたモンじゃない。

ちょっと待ったらんかいジャスタモメンプリーズ!


今、頭に思い浮かべた偉大なる音楽家、このアウトロー・バカヤローズ、全員まとめて唯一無二の本物の味方と呼ばせていただいて何ら差し支えないんちゃうんけ、ちゃうんけ。なんやなんや、そういう仕組みか、男の中の男達、ありがたい。そう、電気供給の様に頼り、そして頼られたい。

もうすぐ明確に声をかけさせていただく、そして肩でも組んで合言葉の様に吐き捨ててやる言葉、


「よーよー、憎まれながら堂々と世に憚ってやろうぜ」


おーなるほど。これは巧い、巧過ぎる。男と男の関係論、素晴らしく美しい仕組み。そんな訳で期待しろ期待しろ、元を取れ、調子に乗り続けろ。

P.S こんな文章を書き殴っとるまさにその瞬間、当分会えてないクールな男からコメントが書き込まれた。なんやなんや、意思は通じるモノなのか、これはもう立派な告白だ、愛しとる。男の中の男に生きる、不器用なアウトローになるしかない人間に愛と光を。

虫酸が走る輩にまで好かれたいと思う様な、俺はそんな気弱でもお人好しでも暇人でもないが、こんな人間達にまで憎まれたら、俺は有無をも言わさぬスピードで沈んでしまうだろう。すなわち、このバランスが俺の生き方になる。


at 03:39|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │ 

June 15, 2009

人生ツイスト&ロール論

すっかりと朝を迎えて俺は眠りにつき目覚めれば13時半、電気供給は停止されており、音楽を聴こうとする時、顔を洗う時、玄関の電気を点けようとする時、クセとは怖いモノで十分間に十回以上、電気が止まった事を忘れすぐに電気を点けようとする。「おー、またやってもうたがな」、点きもせん電球に一人苦笑いを浮かべる男このワタシ、結局は電気に頼ってばかりのあん畜生。

そそくさと支払い電気は復活、風呂掃除に洗濯二回、洗濯機では洗い落とせず、昨日の口から吐き出したモノが染み付いたボーリングシャツは手洗い、洒落にならん程にモノで溢れた部屋を少しでも快適にする作業、作業。

ベッドに寝転び夕方にはレコード観賞、本日、レコードプレーヤーとスピーカーの調子は頗るゴキゲン、アナログ盤は何よりも素晴らしく、狭い窓の外でも眺めながら気付けば久方振りに「音楽だけを聴く」事に浸かる。針を落としたその瞬間、自分の曲がスピーカーから飛び出してきた時の事を想像し、その瞬間に立ち会うまではとても死ねんなと考える。

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何も食べてない事に気付き再び部屋を飛び出せば懲りもせずレコード漁り、狂乱のビリヤードシャツ手に入れ、「キッチン南海」にてお腹は満腹、一日一食、バットしかし、何だかまた吐いてしまいそうな気分になってくる。

俺は後先も考えず、思い立った事をすぐに口にする。口にせんと分からん事は見切り発車でまずは吐き出してしまう。人の気持ちも分からず、自分の気持ちも定かでなく、後悔が襲ってきたとしても思い立ったらすぐに口に出す。そんな事を俺は恥ずかしくも繰り返す。それは時に昨日と今日で、一時間後と二時間後でまるで逆の考えだったりする事さえあるが、全ては自分が思った事で嘘は何一つない。

忘れたらいけん事は忘れないで、悪いのは俺で、様々な人を傷つけたのも俺だ。ええ加減、俺も解放されよう。

ところで美術館事情がやけに騒がしい。様々な企画展は目白押し、ハシゴして回るも良し、名前も知らん画家でも良し、そんな訳であれやこれや、頭の休日はゼロに等しく、そんなモンはゼロで良い。

本日は元来、サーフィンをこよなく愛する、「生き方の男前論」を充分にわきまえた男に無理を言い、遠くの海までかっさらっていただく予定だった。波乗りなるクールな人生論をこの目にしっかりと焼き付けてやるぜといった魂胆だった。

そして車のエンジントラブルにより予定が流された結果、本日は全く別の一日に塗り替わったがそれはそれでオーケー、オールオーケー、俺は遠くの海までかっさらってもらう事だって一つの大きな楽しみとして生きる。

とにかく今夜は100%パインアップルジュースを飲んだ方が良い。




at 21:19|PermalinkComments(2)TrackBack(0)│ │散文 

デリカシーゼロに捧げる哀れみの文章

執念の五連勤を終え、そのまま家路につくのは何とも寂しく、俺はスーパー袋と折り畳み傘を引っ提げてバスに乗り込みナショナルタウン六本木へと出向く。

そこではザ・ブルースドッグスライヴショー、「簡単な事が難しくなる街」六本木、俺はライヴハウスの場所さえ分からず、仕事のイライラやら何やら、気が荒れた言葉でオグリ昌也氏に電話を入れる。

「こんな街は俺には無理だぜ、ところでどこに行けば良い?」

おー、人にモノを教わる時の言葉さえわきまえずどうにか辿り着く六本木バウハウス。

場末のディスコ感漂う雰囲気の中、具合が良いのか悪いのか、そんな事はノープロブレム、呑み放題のウイスキーを嗜み、二杯で存分に酔っ払う。俺はどうやら外で呑めばすぐに酔っ払う。ライヴを観賞しながら、もう誰も食べんであろうその辺に置かれたままのフランクフルトを食べ(盗み)、枝豆を食べ(盗み)、煙草はまさかのマルボロメンソール。

ラーメン屋駆け込みある事ない事喋りまくり、その後、生まれて初めての「ハードロック・カフェ」潜り込み、場違いか何か知らんがスーパー袋引っ提げたままノーアルコール「バナナスムージー」なるハイカラ飲料注文するも、それは酔いを三倍加速させ「ハードロック・カフェ」を我が物顔で楽しむその前にフラフラと店を出る事とする。

ザ・ブルースドッグス、ゴローのバイクに久方振りに乗っかりルート246を一直線、バイクの揺れやら折角食べたラーメンやらマルボロメンソールやら、気持ち悪さはバイクの速度同様加速し続けるが、平常心を保つ事はどうにか忘れず、そして目を閉じて50数えて遊ぶ事も断じて忘れたくはない。

そして俺はルート246の車道に数え切れん程の唾を吐き捨てる。車が走ってない場所だけは確認して唾を吐くが、デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまった。

三軒茶屋まで辿り着き、あと少しというところで俺はバイクの助手席に乗ったまま折角食べたラーメンを全て吐いた。愛すべき茶沢通りの入口で、走り続けるバイクの助手席で俺は全てを吐き出した。八年半着続けた愛すべきボーリングシャツに吐いたモノがかかった事を気に止めながら、バイクを止めて更に路地で吐いた。ついでにしょうもない事柄全てを吐き捨ててやりたい気分だった。

こんな経験はまるで初めてで、俺は自分自身の不甲斐無さに大いに驚いてしまった。デリカシーの垣根を飛び越えて俺は酷く酔っ払ってしまったのだ。

そんな訳で近々、三軒茶屋の街まで両手を合わせて謝りに行かなければならない。あの街を俺の都合で汚してしまった事実を、俺は許したくない。

どうにか部屋まで辿り着きベッドへ倒れ込み二時間近く眠った後、ハッキリと目が覚めた。

埃をかぶってしまったエレキギターを久方振りに掻き毟り、新しい唄が生まれそうな気がした。

弦を切り、BGMはザ・ピロウズ。バンドが演りたい。

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at 04:43|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │短編 

June 13, 2009

孤高の丘に立って心に決めたぜ

例えばどうしようもなくだらしない男を目撃した時には強く思う、

「おいおいおいおい、どうしようもなくみっともない輩がこの世には確かにおるモンやで」

そこでハッとなり考えてみる、ちょっと待ったらんかいジャスタモメンプリーズ!

それ俺とちゃうんけ、俺が俺を見たらきっとそう思うんちゃうんけ。

オーベイビー、所詮どいつもこいつも大した差などないのかも知らん。

俺だって知らん間に他の男を充分に傷つけとる。

「アイツは一体何者だ」と、「デリカシーの欠片もない輩」だと、こう恨まれとるかも知らん。

夕陽にたたずみ遠くを眺めてる
彼の背中には後光が射していた
もう誰の注意も もう誰の忠告も
聞いてやるものか 夜風に身を包みながら

孤高の丘に立って心に決めたぜ
孤高の丘に立って心に決めたぜ

そこのあなたも除外しました
星降るような空の下 胸の涙を涸らす
もう誰の噂も もう周りの事も
気にはならないさ 風はやけに乾いてた

孤高の丘に立って心に決めたぜ
孤高の丘に立って心に決めたぜ


果てしなく素晴らしい名曲。残念ながら俺の詩ではなく、フラワーカンパニーズ。

どうやら俺はまだまだ足りてない。こんなシンプルな詩を書かなくちゃ書かなくちゃ、素直に思える。

恥ずかしい格好悪い、気をつけろ気をつけろ、顔がシワクチャになってまうぞ。

誰かが言ったぜ、

「でかくなるぞこの男は」

オーケー、オールオーケー、その言葉、堂々と真っ向から受け止めたろやないかい体勢。

そんな訳で心に決めて突き抜ける覚悟、すなわちブレイクスルー人間このワタシ、自由に次へと向かおう。

バットしかし明日は何処吹く風、こう捉えざるを得ん哀しい事実、生きる難しさ、全てを笑い飛ばしてみる。

どちらにしても死ぬまで生きる、気が遠くなる程の経験を積み重ねて俺はでかくなるよりもむしろ面白くなりたい。

俺の立場からすれば俺が正しい
君の立場からすれば君が正しい


ボブディランに愛を、吟遊詩人に救いの手を。

大阪で、福山で同じ事を聞かれた、

「最終的にどうなりたい?10年後に何と呼ばれたい?」

考えに考え抜いた後、俺は答えた、

「吟遊詩人やないかい」

気取れ、気取り続けろ、そして身の程をわきまえろ。

そうか、来月も旅に出よう。それは足をつけた事もない土地、仙台辺りが良い。


at 23:32|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │散文 

June 12, 2009

モラルってどういう意味

スーパー袋にウォークマンと本を突っ込んで歩く。本はほとんど開く事がないが、耳にはイカしたバンドの音楽が聴こえてくる。

40’sだとか50’sだとか60’sだとか70’sだとかそんなモン何でもええが、あまりにも真っ直ぐに飛び込んでくる言葉、すなわちあまりに日本らしいバンドに胸は強く鷲掴まれる。

ある事ない事勝手な思考は止まらず、咳は不気味で、解放からは程遠く、うだつの上がらん戯けた苦虫顔ひっさげてフラフラと歩く。

何も知らずに考え込むより全てを知りたい、「知らん方が良い事もある」とか何とか、そんな言葉は俺の中にはない。

残虐なニュースを見てその被害者遺族のコメントを聞けば、俺がいかに小さい人間か、そんな事は安易に理解出来る。

ところがどっこいすっとこどっこい、俺は所詮そのニュースを明治いちごオレなどを飲みながら、そして煙草を吹かしながら流し見るだけのひょっとこ男、結局自らの事だけで頭は満杯、楽しい時間など幻の様にほんの一時、図々しかったり脆い気分だったり、大忙しの思考速度に知恵熱は加熱、とてもついていけそうにない。

そこまで俺は悪い事をしたのか、自らに問い詰めてみれば答えはイエス、断固イエス、おー、転がり続ける罪と罰。

笑い事でない様で笑い事、笑い事の様で笑い事でなく、どれが味方でどれが敵か判断は困難、次へも進めず行き止まり、泣く事も全てを片付ける術も知らず、唯一の救いは逃げる様に旅に出る事、まだ歩いた事もない場所、気付けば6月は半ば、毎日毎晩こんな事を口走り、これを永遠に背負うのか、想像しただけで恐ろしく高い壁。

大変残念な事にとても身が持ちそうにない。充分に幸せな人間の筈なのに、だ。

恥ずかしい恥ずかしい、俺は今、まったくもってニュースタイルの経験中、生きるとはきっと素晴らしい。

おっと電話が鳴る、ヘラヘラと能天気気取り、もはや誰もが役者。



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HEAVEN・HILL・気分

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例えば昼休みに「たまには御飯でもどうでしょう?」などと俺自身から誘ったは良いが食欲は不足、「しっかり食べとけ」とハンバーグステーキになんちゃらサラダ、すなわち広範囲に渡る似合わぬハイカラ食材まで注文され御馳走までしてもらったに関わらず、まさか出された食材を食べ切れず残してしまう体たらく、こんな事は何年振りかで申し訳ないやら恥ずかしいやら何やら、ある人にとってはこんな些細な事柄をいつまでも気にし、「御馳走様でした」の言葉は足りたのか、いや、あれじゃ足りてないんとちゃうんけ、とにかく様々な事柄がずっと引っ掛かり続けてしまう、俺は精密機械の様に細かく、そしてどうやら繊細なあまりに小さ過ぎる人間。

夜は夜とて十条フォークジャンボリーが部屋を訪れ、俺は具合が良いのか悪いのかさえわきまえず、バーボン「HEAVEN HILL」片手に音楽論、素晴らしき人間論、わめきながら一丁前に語り合い、ほろ酔い気分の場面で今村竜也氏、ほろ酔い気分スナック感覚で部屋を訪れ、平日ど真ん中に突然実現するまさかの組み合わせ、ビッグ3座談会、ベロンベロンでも意識は明確、懲りもせず音楽論、分かりもせんのに女性論、響き渡る笑い声、本日、こんな夜を作り出すとは微塵も想像出来ず、全てが成り行きで重なり合う。

こんな三組でヒップな出来事を演らかしたい、男に生きる男達と演らかしてしまいたい、ここは東京、素晴らしい街だ。                     

そしてレコーディングは着実に一歩ずつ構想を実現に向けて動き出す。浮いたり沈んだり全てが俺の出来事、それでもギリギリのラインでどうにか俺は俺を保とう。見失う事はない、なんたって死ぬまで生きるさかい。

写真は京都リッチホテル入口に堂々と立ち尽くす、尋常ではない程のハイカラオーラを放つ「バー・リッチ倶楽部」看板。

旅への憧れはもはや永遠に続く。


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June 11, 2009

吐くモノさえなく

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今日は今日とて渋谷勤務、咳は止まらずまさかの食欲ゼロ、アイスクリームだけ頬張りそれから下北沢、

’09.6.10(水)
ライヴ アット 下北沢デイジーバー


1.どうにかなりそう
2.思い出を繋ぎ合わせて今を生きる
3.ウイスキーとトランクを道連れに(仮)
4.ルート・スゥイートホームにて
5.マリーと暮らす
6.愛すべき日々


座りたい気分に逆らわず座って唄い、何が何だか分からんままにあっという間、トリツカレタ様に唄の中に入り込む。

食べてもないのにビールを二杯御馳走になり、咳をしながら煙草を吹かす。俺は手のつけようもない大馬鹿野郎で、長いトンネルから抜け出たようでどうやら抜け切れてもない。そして出口らしい出口も見つからず困難。

様々な夢で溢れる事柄を語り合う。本の出版、レコーディング敢行、フライヤー製作、借金を抱えてでもやりたい事が山程ある。完全なる思考先行型人間このワタシ、分からん事が何かさえ分からんままに全てを実現にこぎつける。
               
ところで俺は死ぬのが怖い。マークボランは「30歳までに死ぬ気がする」と呟いて、実際その通りになった。こんな事は書きたくもないし甘えて戯けた事を書くべきでもないが、俺の中で「きっと俺は長生きせんのではないか」論が前々からどっかの片隅にある。誰もがそうなのかも知れんし、そんなフザケタ考えがある輩こそ長生きするのか知らんが、命はいつだって燃やし続けたい。ストレートにそんな事を考え続ける今日この頃、むしろ手のつけようもない大馬鹿野郎と罵られたい。バットしかし、得体の知れん輩が場外席からヌカすのは止めとけ、最低限のマナーだけは忘れるべからず。

おっと今夜はいつもに増してペンが走る、場合によっては好きな諺「ペンは剣より強い」、とにかくいつ死んだとしてもせめて形に残るモノを残しておきたい。

「お帰りなさい」

勝手にちょっとした旅に出て、勝手に東京に舞い戻ったこの俺に、何人かの人達がこんな言葉を投げ掛けてくれた。

狂乱の東京シティにおいて俺みたいなモンにこんな言葉が投げ掛けられる事自体、ちゃんちゃら可笑しくもなってくる。

要するに君が元気ならそれでええぞと、こんな広い言葉を俺は勝手に投げ掛けてみたい。

写真は大阪梅田のメチャイカシタ喫茶店看板、ボロに生きる不適合者に愛を。


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June 10, 2009

幸せに踊れよ ’09

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考えるまでもなく「ロックの日」などさほど重要でもない。毎日が「母の日」である様に、ロックだって毎日聴いて過ごしとる。

手に入れるのは「HEAVEN HILL」という名のウイスキー、

舞い戻る生活、「毎日一体何を食べれば良い?」、

だいたい俺は恵まれ過ぎとる。

BGMは大阪で手に入れたレコード、「SIR BALD DIDDLEY」、

ガレージ・サーフィン・ロックンロール。

エレキギターを引っ掻く様に、頭を通さずレコーディングしたい。

咳が止まらず薬を飲み、その直後に「HEAVEN HILL」を呑む。

明日は仕事か、そしてライヴだ。慌しい日々は死ぬまで続く。

好きで勝手にやっとる事だ、文句をヌカすのは止めとこう。

’09.6.10(水)
ライヴ アット 下北沢デイジーバー


昨夜バスの中、岡山近辺辺りで連絡がきた、

’09.7.14(火)
ライヴ アット 池袋トライ



気分がどうにも煮え切らんのはまだまだやるべき事が足りてないからだ。

誰が見ても「幸せな生き方」を俺が見事に獲得したい。

一からやり直す。

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June 09, 2009

全ては目で見て確認しろ ’09

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そしてあっという間に下北沢、丸一週間振りに部屋に舞い戻る。

旅は終わらず、俺はこの部屋を一泊二千円で借りた様な心意気で一からやり直す。

何が何だか、ここが何処だかさっぱり分からんがきっと全てが現実、

俺の左手には昨日バットを振り回した際に出来た水膨れがしっかりとある。

また会おう、誰もが一生懸命生きとる。


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颯爽たる店構えの京都の「ボーシ屋」、風情溢れる街並みに脱帽を。

次は北へ北へ、お金を貯めて新しい場所へ。




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ロックの日に戻る

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東へ西へ、そして西から東へ。現在地は早くも静岡辺り。今夜のバスは通路側、風景も見れずただただ音楽に身を任せて眠るだけ。

俺は自らのアルバムタイトルを思考、部屋に戻ったらまずレコードを回そう。

そうか、今日はロックの日だ。


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June 08, 2009

旅の手帖

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'09.6.7(日)
ライヴ アット 福山駅前


1.ラウンドミッドナイト
2.喜怒哀楽な男
3.深夜高速バスブルース
4.自作自演屋
5.愛すべき日々
6.表現者


ギターを車に積んで仲間とドライブに出掛け、飛び入りでは演らせてくれんモンかいと何軒かのライヴハウスを回る。バットしかし、目当ての店はどこも意味不明の「日曜休日」、そんな訳で昨夜は駅前にて弾き語るに到る。

ウイスキーを二杯程煽り語り合った後に眠りにつき、今日は今日とて20年来の友人と血豆のバッティングセンター、そして白熱のボーリング3ゲーム。

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仕事を抱えた9割の妻子持ち、9割のノースモーカー。

「周りで唯一の生き残り」

「羨ましい生き方」


俺はまだまだこの街に帰ってくる気がない。福山も東京も大した違いなどないとずっと思ってきたが、どうやら違いはあるらしい。

人に優しくされると泣きたくなる。落ち着きがなくなってくる。俺みたいなモンは一人でもっと大きい波に揉まれ続けさせていただく。

東京に出て良かった、お母さんに暫くの別れを告げ、バスは新宿に向けて走り出す。涙を隠して旅が終わり、旅が始まる。


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June 07, 2009

ノーアルコール散文

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お母さんと自転車をこぎ「五十番」へと向かう。「もっともっと食べなさい」、天津飯と焼きそばを平らげお腹はいつも満腹感で溢れる。バットしかし、いつまでもこうしとる訳にはいかん、早くも危機感が生まれてくる。東京が好きだ。「どうにか御飯にありつけたぜ」と常に危機と闘うあの感じが好きだ。周りを見ただけで苛々せざるを得んあの感じが好きだ。いざ危機と直面すればすぐ嘆くくせに、やっぱりあの神経をすり減らす感じがどうやら俺には性に合うのかも知らん。
               
東京で実家暮らし、地方出身者には到底理解し難い事だ。色んな事を考えさせられるこんな場所があって心底良かった。バランスを保て、バランスを。俺は東京でやるべき事が腐る程にある。そしてお母さんはここで一人暮らし、考えるのも困難で胸が締め付けられる。

やっぱりお前を連れてくれば良かった。誰にも会わず、テレビを見てギターを弾いて過ごす。大声で唄いたい。

昨晩、真夜中の文章。


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June 06, 2009

活きるドキュメント

ゴミ箱から競馬新聞を拾い上げ、3レースを中穴狙いで100~200円賭けの勝負に出たが結果は惨敗、大本命が抜け出してきたらその時点で俺の賭けは終わりを迎える。

ところでここ二日間で二本のライヴが立て続けに確定、こんな場所でこんな場所でのライヴを決めるとはなかなかのヒップ具合、

’09.6.10(水)
ライヴ アット 下北沢デイジーバー

’09.7.21(火)
ライヴ アット 高円寺楽や


おー、俺は確かにロックの日の早朝には東京に戻るのだ。そしてまたかの有名な渋谷という街で働き、その足で下北沢にて唄うのだ。

今の俺には何が何だかさっぱり分からんが、とにかくは世界に誇るべき「五十番」の天津飯を食べに行く。これを食べる、ただそれだけの為に君も貴様もこの町までやって来ないか?味は100%中171%、おいらが保証。


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執念の競馬狂気取りでゴー

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相も変わらず寝言が酷いこの俺にお母さんが言ったぜ、「あんた病気やで、精神科行ってこい!」。おー、俺と一晩過ごした事のある人達は誰もが同じ類いを口にする。意識がない夢の中でも何かに苛立たされ続ける男このワタシ、昨夜「しっかりせーや!」と誰かに怒鳴り散らしたとされるこの俺にお母さんが言ったぜ、「それ、あんたやで!」。                  

オーベイビー、現在地福山競馬場、デリカシーの欠片もないおっさんに混じって俺は些細な賭けをする。


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東京の俺と福山の俺

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「あんた!気持ち悪い位ヒョロヒョロやないか!」

「まぁ、クスリでもやっとるんちゃうかと言われる事もあるね」

「何でこんな大きいトランク買ったん?」

「まぁ、アメリカでも行ったろか思てね」

「あんた!ヒッピーか!」
 
              
オーベイビー、65歳お母さんの口から「ヒッピー」とは断じてクール、俺は確かに福山に辿り着く。渋谷も新宿も高円寺も下北沢も未知の領域、福山に辿り着く。

誇り高き友達が駅まで車で迎えに来てくれる。毎回毎回俺みたいなモンを迎えに来てくれる。                  そして家に辿り着けばその瞬間からお母さんとの会話は途切れる事などない。鼻水をすすりながら喋りまくり、そして喋りまくられ時は流れる。

風呂に入る。風呂に浸かる。俺の家にシャワーなんてインテリ装置はない。洗面器ですくいあげ洗い流すスタイル。そんな訳でシャワーを「あって当たり前」だと思う様なインテリなすび野郎とは友達にはなりたくない。

おっ、暴走族が走る音が聞こえる。さぁ、明日の行き先は決まった、福山競馬でライドオン。


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June 05, 2009

夢の暮らし Vol.110

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まるで全部が夢の様な出来事。夢に生きて夢のまま死にたい。                 

大阪、兵庫辺りを100kmで突き抜け現在地は早くも岡山、雨はとっくに止んだ。バスは良い。乗り換えがない、階段もない、改札もない。時間とお金が許すなら日本中をくまなく回りたい。この旅が終わってしまう事に早くも恐怖すら覚える。何故ならば寂しさが込み上げてくるさかい。バットしかし、終わりは必ずやってくる。いつだって楽しい方に行った奴が勝つ。東京に戻れば新しい事を次々と動かす、東京という街に暮らす田舎者達の手助けを存分に受けながら。

拝啓ゴーリキー、俺は俺の成功者、俺は俺に道を創って差し上げたい。たったそれだけで成功者、お金がなかったとしても人生の勝ち組。お金にモノ言わすなんてみっともない真似は止めろよ。


at 19:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │ 

ゴーリキーに愛を

私がもっとも好きなのは、人生においてそれほど優れた業績もあげておらず、賢すぎず、少しばかり気狂いじみた「憑かれた」人々である。「健全な精神」を持った人間にはほとんど興味をそそられない。成功した、いわば一本のこうもり傘のように完璧な人間には魅力を感じない。書くことが私の天職である。そういう私に、一本のこうもり傘について、晴れた日には似合わないということ以外、なにが言えるだろう。少しばかりとり憑かれている男というのは、私にとって受け入れやすいだけではない。そうした人間ははかり知れず奇妙で、同時にいまいましいほど興味深い人生というものとみごとに調和しているのだ。

マクシム・ゴーリキー

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電車を乗り継ぐ事よりも歩く事を選んだり、女性専用車両に乗り込んだり、わざと迷子になってみたり、スライドさせれば開く窓をずっと押し続けたり、部屋のメイン電気のスイッチがどこにあるか分からず玄関の照明と読書灯だけで過ごしたり、喫茶店のマスターに「口のまわりに食べ物ついてるで」とオシボリを手渡されたり、している。

無理な背伸びなど止めとけ、化けの皮はいつか必ず剥がされる運命にある。俺はいつだってありのままで過ごしたい。それがたとえ限りなく遠回りだとしてもだ。

リッチホテル真横の喫茶店「ファイブ」にて朝食兼昼食、もしも生き残り喫茶店ばかりを集めた写真集が発売されたなら、俺は予約をしてでも手に入れよう。いやむしろそれ、俺が作ってしまいたい心意気。きっと誰も買わんのか知らんがノープロブレム、昭和探検隊ツアーに繰り出したい。


雨の中、四条河原町を歩く。カートに無理矢理トランクとギターケースを縛り付けて歩く。

なんやなんや、意外とイケるやないか。そうなれば昨日までマシンガンスタイルでハードケースを運び続けたこの俺はどうしようない無駄骨人間なのか。

ノー、断固ノー、こうやって一つずつ賢くなっていく。

大阪「KINGKONG」で手に入れた「チェルシーホテル」という本に記載されたゴーリキーの名言。ゴーリキーの事など何一つ知らんがそんな事はこの際どうでも良い、俺にはこの一文だけで充分事足りる。

愛を、ゴーリキーに愛を。

待っとけお母さん!

鼻水をすすりながら夜には帰る。


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四条レイニー

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運は尽き外は雨、京都に雨。俺は鼻水、咳がなんだかんだで止まらず昨夜は薬を服用。バットしかし、まさかのホテル一時間無料延長に成功、すなわち「言うてみるモンやで」と相成る。

トランクにゴミ袋、カートにハードケースまで強引に乗せ込み、俺は折り畳み傘を辛うじて握り締め、「みやこライナー」出発の16時10分まで四条河原町を徘徊。

会いたくて仕方なくなる様な東京に住む男が言ったぜ、

「我が旅をしとる感覚で読んどるばい」

オーケー、オールオーケー、俺の旅はまだまだ続くばい。鼻水すすって歩くばい。ばいばい。


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羨望で済ますべからず

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京都拾得にて座って観賞する本物バンド、ツナサンドなるハイカラサンドを平らげながら観賞する現代唯一の生き残りバンド、すなわちヒートウェイヴ。

一見ええ加減に見せて実はしつくされた計算、あのセッション感覚、あの不器用さ、あの余裕、あの自信、あのやり方、あの自由、あの仲間と音楽を演る喜びを噛み締めた顔、どれを取っても特級、俺はもはや苦笑いの羨望以外に手段がなくなり崖っぷちまで追い込まれる。何故一千万枚売れんのか、何故もっとモテはやされんのか、俺には到底理解出来そうにもない。
               
拾得マスターと話をする。俺の事など覚えてないと思ったが、覚えてくれており嬉しく思う。とにかくまたここで演りたい、強くお願いしてメモを渡す。

考え過ぎたらキリがない、俺は許す事なら6月中に早々とレコーディングを決行したい。なんたって曲からジャケットに至るまで、今や頭の中では既に出来上がっとるのだ。それを形にする為にはまず行動、これしかない。

二条城前にて勢い余って今村竜也氏に連絡を取る、

「レコーディング頼む」

返事は「任せとけ」、オーケー、オールオーケー、俺だって最高の仲間と音楽を演る喜びを充分に知っとる。

胸を高揚させながら、拾得からホテルまで一時間かけて歩いて戻る。何も考えずただ能天気に旅人を気取る様な偽者ヒョロヒョロモヤシボーイではない男このワタシ、様々な事柄に思いを馳せながら明日は最終目的地、福山へ。

ホテル近辺のマンガ喫茶に立ち寄る。「みやこライナー」なるヒップなネーミングの福山行き直通バスがある事を知る。まだチケットがあれば鈍行ではなくそちらへ乗り込む事とする。                      

そして今や世界に一足しかない筈の二千円スウェード靴、こちらを履いて歩きまくる事に限りない喜びと誇りを感じる。これはかの有名な「SHOEGOO」なる補修材のおかげだ。

こんなモノを履いて歩く奴を見かけたら、ましてそれが二千円だとヌカされたなら、俺はもはや苦笑いの羨望以外に手段がない。
               
俺のモノで良かった、そしてこの靴もきっと思うだろう、「コイツの足元について良かった」。イエス、断固イエス、どこまでも連れて行く。


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June 04, 2009

三条にて想い耽る

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二時間半ぐるぐると歩き続ける。簡単な地図だけ持って歩き続ける。座右の銘「簡単な事を難しくするべからず」、電車の乗り継ぎよりも歩いた方が良い時、それは旅だ。

一人が好きだ。行ったり戻ったり、行かんかったりやっぱり行ったり、何でも自由だ。二人ならいくら仲が良くても気を使う。使ってない様でもの凄く気を使う。そして嫌なら「勝手にどっか違う所へ行け」と言う。ほんまにどっかに行ってしまったら寂しく感じるが、無理して嫌な顔してついてくるよりはええなと思う。こんなやり方しか出来んこの俺に懲りもせずついてきた女の子の顔を思い出す。こんな俺に嫌気が指して去って行った女の子を思い出す。素晴らしかったあの頃に最大限の感謝を。

例えば歯に海苔がついてないか、トイレに行く時荷物を見張っといてくれるか、そんな些細な事柄含め全ての確認事項は今、俺一人だ。一人なら甘える事もない。二人の有り難みも一人の奔放さも存分に味わい尽くす。                             

三条イノダコーヒ本店に辿り着く。以前ここで大雨の中、コーヒーを飲んだ事を覚えているかい。雨の中ずっと歩き続けて、「俺ずっとこんなんやで?」、すなわち「ええのか?」と聞いたのを覚えているかい。

嬉しそうに頷いてくれた様に見えた事も、断じて「当たり前」ではなかったのだ。


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河原町通りのならず者

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事は巧く運び過ぎ、逆に面白くなくなってしまう程スムーズに京都リッチホテルの最上階にチェックイン。

10階から見渡す京都の街並み、そしてホテルのモダン具合、気分は今、最高潮。

これから街を徘徊し、イノダコーヒーにありつき、夜は哀愁の京都拾得にてヒートウェイヴ観賞。

素晴らしい人生を生きる。


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舞い降りた天使

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一人ぶつくさ呟き続けるおっさん、日本酒を煽るおっさん、朝からカラオケを熱唱するおっさん、すなわち愛すべきやさぐれおっさんで溢れ返る街を後にし、俺は清水五条へと向かう。雨はなし、運は完全に回ってきたが、先程電車に乗り込んだ際、七駅程過ぎた辺りで車掌の声が胸に響き渡る、

「えー、こちらの車両は女性専用車両でございます!」

おいそれほんまか!よー考えたら周辺女しかおらんやないけ!                 
オーベイビー、こうやって一つずつ賢くなっていく。

丁度次の駅で乗り換えの為、「どうなっとんねん」顔をどうにかキープする事だけを心掛け、乗り込もうとする女達の白い目をヨソに俺は電車を舞い降りた。


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昭和新世界

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新世界をほっつき歩く。この街は断じて平成などではない、明らかにロマン溢れる昭和の佇まい。

それはとても美しい。串カツを食べビールを呑み、ポルノ映画三本立てで観たろかいといった塩梅。

明日は京都へ移動、雨が降ったら大変困る。トランクはパンパン、ギターハードケースの取っ手部分は壊れたまま。


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June 03, 2009

インサイド・トリッパー

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喫茶店を出たその足で出向く定食屋、二日連続「ニューライト」。看板を見ただけで一目瞭然、こんな店を素通りする事など断じて許されず、俺はオムライスにかじりつく。

「KINGKONG」と「TIMEBOMB」で至福のレコード漁り、髪の毛をバッサリとやらかしてヒョロヒョロモヤシボーイへと変貌を遂げた男このワタシ、昨日の借りは直ちに取り返す。

電車の乗り継ぎに充分戸惑いながらホテルに舞い戻り、いよいよ未知の領域「新世界」に足を踏み入れる。

そんな訳で昨日の体調がまるで悪い冗談の様に俺は元気だ。あれだけ歩いてあれだけ呑み、あれだけ煙草を吹かしてもわざと平常を気取り続ける事により治るモンは治るのだ。体調が悪いと嘆く前に、歩き回ってアルコールでも煽ってやれば良い。ベッドに倒れ込んで眠り続けたら余計に具合は悪くなる一方だ。おー、医者はこんなやり方教えてはくれんだろう。

昨日の体調不良により俺は確実に一つ多く思い出を作った。すなわちとんでもない儲け話だ。


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執念の36.3℃でゴー

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「動物園前」なるシンプルな駅のすぐ近くに格安ホテルは存在する。その周りをノーインフルエンザ顔で徘徊してみれば、かの有名な「新世界」、そしてヒップな「通天閣」がすぐ近くに存在する事が判明する。おー、こんな所にあったんか、そんな訳で今夜は「新世界」でヘベレケしよう。

日本橋に出向き難波まで歩き、スナック感覚で1000円ヘアーカット。通常約10分1000円仕上げとされるところ、25分を費やしてもらい11ヶ月振りのヘアーカット、すなわちバッサリとやらかす。

そして辿り着く愛想の欠片もない昭和の生き残りモノホン喫茶店にて「TIMEBOMB RECORDS」でのレコード漁りのその前にアメリカンを一啜り。

喫茶店とたこ焼き屋で溢れるこの街に最大限の敬意を。


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華麗なる復活劇でゴー

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漫画喫茶で長居をした後チェックアウト、満身創痍気取りで荷物を運び出せば確かに感じる、おー、俺は昨日よりも数倍元気だ。体感温度は36.7℃、オーケー、オールオーケー、煙草は早くも10本目、無茶苦茶やっても気の持ち様で全ては巧みに転がり出す。すなわちノーインフルエンザ人間このワタシ、格安ホテルチェックインし、全ての荷物を置いた後、心斎橋舞い戻り「TIMEBOMB RECORDS」にてリベンジのレコード漁り。

いよいよ盛り上がってきた感漂う平日のど真ん中。

そして大型荷物を抱え込み、明らかに余所者然としたこの俺にまたも人は道を尋ねてくる。「道をよく聞かれる男」歴代ナンバーワン人間このワタシ、この七不思議は一体何なのか。


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ナニワのハードボイルドと共に

’09.6.2(火)
ライヴ アット 大阪・十三テハンノ


1.アウトロー・バカヤロー
2.ラウンドミッドナイト
3.ルート・スゥイートホームにて
4.深夜高速バスブルース(関西編)
5.どうにかなりそう
6.マリーと暮らす
7.愛すべき日々


ライヴハウスに着いてやって気付いた。おー、俺は詩を唄いに来たのだ、インフルエンザか何か知らんがへこたれた態度を見せとる場合ではない。

喉を掻っ切る心意気で平然と唄い上げ、そして詩の中の光景をはっきりと頭に描く。

のえさんに「愛すべき日々」を。俺はこの野郎に後悔という名の憤りを贈り、

半年振りに再会した口石和人氏と体感温度38.9℃の最中、アルコールを五杯呑み干しながら男の中の男の会話を繰り広げる。

魂のたこ焼きバーにて深夜2時半頃まで裏表一つない、すなわち気持ちの良過ぎる会話を繰り広げ俺は体の事など二の次、三の次に後回し。

握手をして一人に戻れば、俺はぶっ倒れてしまうんじゃないかと思う程にフラフラとなり、体感温度39.2℃の中、漫画喫茶駆け込み一目散に眠りにつく。

濃過ぎる一日目を終え、現在二日目の朝。楽しみを全て片付ける為、ぶっ倒れるなんて真っ平御免、本日も必要以上に歩き回れば良い。

P.S

これを読んだのか、北九州の酔いどれ天使、下原元気から電話が鳴った。ライヴ中でその電話に出る事はなかったが俺は充分に嬉しかった。

元気でやっとるか、俺は元気だ。






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June 02, 2009

ベリー・ウォーク・ゴー

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よー俺だ。

阪神だとか阪急だとか、どっちがなんだとかまるで分からず梅田駅において、荷物を預けたロッカーを散々と探し歩く。

そしてようやく十三行き電車飛び乗り、テハンノを目指す。

体調が良いだとか悪いだとか、どっちがなんだとかまるで分からず、遠回りをしながら歩きまくる。

俺と歩けばきっと痩せるぜ。


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薬局屋いざこざ一部始終

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「何かお探しですか?」

「やぁ、ちょっと喉が痛くて」

「他には?」

「やぁ、多少熱っぽいね」

「専門窓口にお問い合わせ下さい」

「やぁ、俺はそんなんじゃないですよ」

「皆さんそう言われるんです」

「それはかの有名なインフルエンザの事かい?」                       

「マスクの装置をおすすめします」 
                            

オーベイビープリーズウェイト!旅の途中で哀愁の「マスク装置命令」再び。                         

そんな訳でまさかのインフルエンザ感染疑いにより白衣の姉ちゃんに無闇な薬の購入を断らてしまった男このワタシ、「はぁ、そうなんでっか」顔でその薬局を飛び出し、2ブロック先の別の薬局にて発熱薬を購入。

何故いつもこんな事がこんなタイミングで起こるのか。今現在、確実に熱がある気もするが、本場の「なんでやねん」顔携え、とにかく歩き続ける。


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真夏の如き心斎橋にて

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心斎橋を歩き倒し、信じられん程イカした定食屋「ニューライト」へ潜入、カツ丼平らげた後、「TIMEBOMB RECORDS」にてレコード漁り、

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数枚漁れば体力はまさか下降一直線、狂乱の50’sスタイルショップをとりあえずは素通りし、俺は心斎橋にて探し求めている。何を?薬局を、一発で回復する様なヒップな薬を。

のど飴を立て続けに舐め回し、それでいて煙草は時々。面白い展開になってきたがな、捉えてみる。


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保険証をくれ ’09

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梅田に到着すれば一目散に大型ロッカーを探し出し、全ての荷物をとりあえずは放り込む。

そしてこちらには場所を問わず数多く存在する昭和の生き残りモノホン喫茶店の中から「喫茶館キーフェル」潜入しBセット、すなわち無意識の内にホットドッグセットをオーダー。

ところで保険証があるなら直ちに病院なるモノに駆け込みたい心意気、こんな喉の炎症具合は果てしなく久し振り、そしてこのタイミング、すなわちややこしさの極み人間このワタシ、夜のライヴは断じて避けられず。


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「まぁそういう男ちゅう事やね」

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よー、俺だ。

喉が、喉が完全にイカれつつあり、おまけに体はオーバーヒート。

よー、俺だ。

これはひょっとしてかの有名な、一流医師ヌカすところの「あぁ喉からくる風邪ですねぇ」ではないのか。                  

こんなモンに捕えられたら全ての楽しみが台無しになってしまう。
               
関西到着を前に予想もしてない症状に苛まれる男このワタシ、こんな体で福山に辿り着けばきっと軽蔑の眼差しでお母さんが言うだろう、

「あっ、あんた!インフルエンザやないか!」

そうなれば苦笑いで答えざるを得ん、

「まぁそういう男ちゅう事やね」

喉は炎症、危険な旅の些細な出来事。


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バファリン・トラベラーズ

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予想以上の荷物の大きさに俺は早くもくたびれもうけている。トランクの大きさ、そしてハードケースの取っ手部分はご多分に漏れず壊れたまま、そんな訳でマシンガンスタイルでハードケースは抱え込む。

これで雨でも降ろうモンなら完全なる敗者人間このワタシ、背中に傘でも刺して歩くしか手段はない。                          

そして出発前、この薬嫌いがまさかのバファリン2錠を飲み込み、トランクにもちゃっかりとバファリンを詰めた。バスはようやく走り出す、俺は直ちに眠る。


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June 01, 2009

続・夢の暮らし

無事に仕事を終えいよいよ西へ西へ。バットしかし、咳が急に出だしてオエーは止まらず、すなわちまさかの体調不良気味、なんやなんや、柄でもなく緊張しとるのか、はたまたマスク様の仕返しか。

後ろポッケに折り畳み傘を引っ掛けて歩く。その傘を落とした時、拾おうとしてくれた通りかかりの女の子が昔一緒に過ごした女の子に見事そっくりで、俺は完全に焦ってしまった。そしてそんな時、俺の耳元でイヤホンから聴こえ続けるのは中島みゆき。

0時30分新宿発梅田着、トランクにハーモニカ、伊坂幸太郎、破れた靴下、ボーリングシャツ数枚。

俺の恋人、今やウイスキーとトランク、

一人でこんな旅に出るのは何年振りか、気付けばずっと二人だった。

誰か偶然に気でも向いたら電話をくれ、東京で知り合った人達から全く関係ない場所で電話が鳴る瞬間、あの何とも言えん不思議な感覚を愛しとる。

最終目的地広島県福山市、そして俺はロックの日に東京に戻る、すなわち6月の完璧な出来事の始まり。

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狂乱のウインナー狂

完全に捕えられ残業三時間十五分、すなわち大誤算。バットしかし、ヒートウェイヴチケット代+生ビール二杯分、格安ホテル+α、はたまたイノダコーヒー五食分、京都から福山への電車賃、それらに値する残業代を見事に稼ぎ出した男このワタシ、そんな訳で旅の準備はまったくもってゼロのままだ。

バス乗り場、ホテル所在地、そして電車の乗り継ぎ、何一つ定かではないがオーケー、オールオーケー、座右の銘「スナック感覚」、明日も仕事だ、一息もつかず俺は深夜高速バスに飛び乗る寸法、遂に出番到来の粋なトランク、適当な衣類、そしてハーモニカを放り込むだけで準備は完了。

トランクに詰めたハーモニカ たまに取り出して吹いて遊んで

自らの唄をまずは自らが実行しろ。

そんな訳で時間にはいつだって急かされっぱなし、晩御飯にはフランクフルト、ウインナーパン、片手で噛り付く。なるほど、ドイツ人よりも無類のウインナー好きと自他共に認められて久しい男このワタシ、豪快に噛み砕く。

俺みたいなモンでもたまには焼肉屋なるモノに出向く事がある。そこで迷うことなく一番に注文する食べ物ウインナー、今までその光景を見た数え切れん老若男女が口を揃えて言ったぜ、

「焼肉屋でウインナーを一番に注文する人なんて初めて見たわ!」

こちとらその度ノー、断固ノー、ハラミだとかヤングカルビだとか、味の違いも知らん輩が知った様な口調で注文するその様こそ俺には不思議に感じられる。

極上カルビを注文したのにヤングカルビがテーブルに置かれ、その事実には誰も気付かず「やっぱり極上カルビは違うぜ」などと呟きながらヤングカルビを平らげる目も当てられん偽者焼豚野郎、恥を知れ恥を、人間の食材となってしまったその動物様にまずは土下座でもしやがれ。

ところがどっこいすっとこどっこい、堂々とウインナーを注文したにも関わらず極上カルビがテーブルに置かれたならどうだ?俺なら言うぜ、

「ちょっ、ちょい君、ちょっと待ったらんかいジャスタモメンプリーズ!俺が頼んだウインナーは一体どうした?」

精一杯無理をしてまで気取るのは止めとけ、化けの皮はいつか必ず剥がされる運命にある。おっと、そんな与太話の前に俺はただ極上カルビよりもシンプルなウインナーの方が何倍も好きだ。

ところでこんな話など心底どうだって良い、とにかく明日からの事柄で頭を一杯にする必要がある。

そうか、旅の途中で一体どれ程の数のウインナーにありつくのか、そちらに俺は興味を示そう。

ハローDJ!

俺にどうかお手製ホットドッグを作ってやってくれ、全て残さず食べ尽くすさかい。




at 00:09|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │散文 
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