October 2010

October 31, 2010

下北沢キッド ’10


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丁度二ヶ月前、もう冬なんて来ないんじゃないかと思っていた。

そして二ヵ月後、こんなどうしようもない気持ちを抱えるなんて思ってもなかった。

夢から醒めた現実ってのはまったくもって性質が悪い、

旅を経てファッキンジョブに戻った時とまるで同様の性質の悪さだ。

ロードバイクは前タイヤが完全にパンク、

昨夜はガタガタドコドコふらつきながら坂を下った。

そして台風とは時に好都合、傘を杖に歩き続ける事はまだまだどうやら可能な次第。

ジャスト10日間の前例なき一生忘れ難い出来事、秘め事、揉め事、

愛すべきオンボロブーツが繋いだ奇跡。

夢から醒めた現実ってのはまったくもって性質が悪い、

穏やかな気持ちと落ち着く一時はどこへやら、

俺は弱くて、時に欠点だらけのあん畜生。

優しくされるなんて100%中3341%性に合わない、

そこから抜け出すのにまた一苦労。

夢から醒めた現実ってのはまったくもって性質が悪い、

今日まで様々な人間に迷惑と我儘を吐いてきた感さえ漂う昨今の胸中事情、

ボトルコーヒーはハイオク、ミートソースは活力、モダンガールは奇跡、

傘と受け取った言葉を杖にイカサマなハッタリだけポッケに詰め込んでまだまだ歩き続けるしかない有り様。


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October 30, 2010

とある10月の10日間の夢 ’10


以前、「アンタは一人が似合うわ」などと罵った女がいた。

いつか、「人を好きになるのはもう止めよう」などと思っていた。

ジャスト10日間の夢、

現実は小説よりも奇なりの踏襲者、

ドキュメンタリーフィルムの中の大茶番喜劇役者、

俺が幸せを感じる時、誰かはきっと不幸せ、

バッドエンド且つハッピーエンド、

アッケラカンと全ては何もなかったかの様に消える。

経験と高揚と哀愁と罪悪と後悔と感動と感謝と何やらかんやら、

激しく叩き続けられるドアを開け、寝ぼけ眼で答えた、「ありがとう」。

以前、「アンタ、感動屋さんやね」などと笑った女がいた。

俺は確かに感動した、

ジャスト10日間の夢、

現実は小説よりも奇なりの踏襲加減、

ドキュメンタリーフィルムの中の大茶番喜劇具合に。

相も変わらず絶望と希望のエレベーター
乗り込んで快楽と試練を行ったり来たり

どっかの臆病者がガラついたジャリズリ声で叫んでいたね。

俺ってひょっとして、現代におけるノータリン兼パープリン星人のファッキン先駆けなのかも知れない。

以前、「年がら年中女の事で頭抱えているイメージ」などとほざいた女がいた。

とても寂しく、何とも格好のつかない胸中と万年布団を抱いて、

侘しい気持ちを照らす様に電気を点けたまま眠りについた。

「滑稽」という文字を辞書で引け、

歯並びの悪い俺の引き攣りジャリズリ顔が出てきやがるに違いない。

何にも縛られたくないなら一人でいる事だ、

彼氏彼女だとか惚れた腫れただとか恋だとか愛だとか嫉妬だとか何だとか、そんな安い話は実にクダラナイ、

ところが、無頼派を気取りながら所詮何かに頼らざるをえない我儘極まる胸中事情。

何ともやり切れずバンディーニまで無意識の内に連絡を入れる、

なぁ兄貴、頼ってばかりで悪いんだけれど俺を輝かせる力を貸してくれ
胸が張り裂けそうで堪らないから、凭れながらロマンのど真ん中

どっかの厄介者の詩でも乱用して。

以前、「アンタと付き合う事はとんでもなくステータスよ」などとヌカした女がいた。

「焦燥」という文字を辞書で引け、

トロけた目をした俺の残念なイカサマ顔が出てきやがるに違いない。

形あるものを全て削除したとしても確実に消せないものがある、

ジャスト10日間の夢、

現実は小説よりも奇なりの踏襲者、

「また人を本気で好きになりかけていた」という胸躍る代え難い事実だ。

まだ見た事のない風景を全部焼き付けて俺は死ぬ
感じた事のない感情を使い果たして俺は死ぬ

どっかの寂しがりがガラついたポッピン声で叫んでいたね。

次から次へと物語が絶えない、

俺がいつか死んで、もしも墓石などが用意されたりするのなら、

一行刻んでやってほしい、「人生とは茶番劇である」と。

新たなる素晴らしい経験に愛と感動と感謝を、

スタイリッシュは永遠に板につかない始末。


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October 28, 2010

ハートビート・メンテナンス ’10


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当てなどなくても良い、

胸を躍らせてやるという口実と名目、そして簡素な地図だけあれば良い。

ブランド物を毛嫌いし、巷の流行語とは永久に無縁、

ほんの少しの紙切れと行動、そして歩く為の足があるなんて奇跡だ。

常に路地裏で格闘しているイメージ、

侍、将軍、武士、

ウサギちゃん、

ガラの悪いチャップリン、

ありとあらゆる称号を勝手に独り占め、

ブランドと流行なんて胸の中で解決してやれば良い。

「アンタ、感動屋さんやね」などと誰かが俺を笑う、

シャワーが出る部屋に住んでいるだけでも俺には感動だ。

ポマードを手に入れてイカサマリーゼント作るけど
誤魔化し様はないみたいだから冷たくはしないでくれよ
優しくもされたくはないけど

こんな詩を書いたのは確か4年半以上も前、

昔から優しくされるとどうしようもない寂しさが込み上げてきやがる始末。

誰の記憶にも残らず死んで行くより、せめて「アイツは一体何だったんだ」と思わせてやる、

徹底的な差で、圧倒的な個人戦で、単純明快な仕組みで、ハートビートにだけ忠実に、

厄介者でも嫌われ者でも何でも良い、何が一番大切な事かを知っている限りは。

場末のラーメン屋と完璧な看板を掲げたバー、

路地裏に堂々と鎮座する完全な喫茶店で珈琲を水の如く飲みまくりながら全身に沁み込ませ、

飽きもせずニュースペーパーを読み漁る。

自分の詩だけ唄いながら掻き鳴らす19個のアクセサリーは俺だけの宝物、

次はニューヨークだ、修業だなどと一丁前なハッタリで洒落込んで。


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October 26, 2010

ハートビートの光 ’10


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ありふれた言葉使いなど金輪際どうでも良い、会話がないならないでも良い、

言葉を交わすでもなく通じ合える人間が少なからず近くにいてくれれば心底嬉しい。

徹底的な差で、圧倒的な個人戦で、単純明快な仕組みで、

用のない人間にヘラヘラ出来る程、俺はお人好しでもパープリンボーイでも、まして八番煎じ野郎でもない。

しょうもない枠に収まるなんてクダラナ過ぎて閉口×291、そして未開拓仙台シティは冬の匂い。

古着屋店員が突然話しかけてくる、「そのスタイルから察するにこういうのはどうでしょう?」。

やっこさんが手に持っていたのは50年式、燃え上がる程の「真っ赤なシャツ」、

すなわち、グレイト店員の颯爽たる登場に一瞬たじろぐ。

格安モダンホテルの9階ではブラウン管にかじりつく、そこにはゴダール映画、仕立て屋物語、

教養溢れる映像が次から次へと映し出されている。

ハッタリの胸中ともの凄い誇りをポッケに詰め込んで5℃の街を歩き続ける。


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October 25, 2010

赤い奴等 ’10


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「ヤツは赤シャツを好んで着る。つまりは危険と血を好む輩なのだ」
チャールズ・ブコウスキー


そして俺は無意識の内に、

赤シャツを好んで着て、

赤いハンカチを後ろポッケに突っ込み、

赤いトランクが赤いカーテンに隠れている。

不意に優しくされると込み上げてくる感情、

孤立し続ける中で掴んでこそ感じる事が出来るモノホンの達成感、

そして俺みたいなあん畜生でも優しさと安堵感を求めていたりもする、

怒りを鎮めてくれるモノに凭れかかりたくもなったりしやがる右往左往の胸中事情。

俺が幸せを感じる時、誰かはきっと不幸せ、

スタイリッシュを気取る程、こちとら人間出来てもいない、

そしてニヒルを演じきるにはどうやらエチケットを知り過ぎている。

たまには相棒と旅に出る、

仙台行きに際して相棒が口を挟む、

「今日の日を思ってどうにか山を乗り越えてきたんだぜ」

やりたい事をやる為にやりたくない事をやる、

旅が好きだ、夢を見れる。

突然相棒がヌカす、

「アメリカでCDデビューが決まったぜ」

何が何だかまるで定かでない胸中、ヤツは俺の心の友達。

トランクに詰め込むモデルガン、ブコウスキー、

オンボロブーツと380円ジャケット、

いつかホールデンがくれたハイカラブラックスラックス、

喫茶店徘徊、北の方、スナック感覚、

旅のお供にあの娘がくれた缶コーヒー、

最低気温はファッキン6℃、その中で夢を見る。


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October 23, 2010

動くポンコツに愛を ’10


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常にピカピカに輝いた靴を履いていたいか、

はたまた「貴様、いまだにオンボロブーツ履いてるのか!」などと笑われたいのか。

こんなモノは好みに過ぎない、要するに二つに一つ、

俺はたまたま後者にしか魅力を感じないって話だ。

4年以上前に履き倒していた、いつかどっかのリーゼント野郎が「筆箱みたいな靴履きやがって!」と罵ったスニーカーを取り出し、

「コイツは今も生きている」と0.89秒のワールドタイムで察し、

ソーイングセットなるハイカラ品を用いて破れた部分をイカサマにマツリ縫い、愛すべきポンコツを華麗に復活させる。

そしてソイツを履いてリーゼント野郎と出くわせばヤツはきっと仰天してほざくだろう、

「貴様、まだ筆箱みたいな靴履いてんのか!しぶといぜ」

まったくもってイカす、愛情とはそういうモンだ、値段で価値を決めるなんて永久にドンクサイ事柄。

近頃は700円スゥイングトップの季節、

「赤を見るとアンタを思い出す」とどっかのチャーミングガールがヌカしていた、

俺の哲学が誰かの胸の奥まで響き、そして永遠に刻まれ続ければ良い、

「前例なんて破っちまおうぜ」と呟いたブコウスキーの哲学が俺の胸の奥で響き続ける様に。

ボロカスに神経すり減らす時、何か凭れかかるモノがあるのなら、凭れる事が許されるのなら、

壁に凭れる訳でもなく、傘を杖にするでもなく寄りかかりたいモノがある。

その瞬間、とても泣きそうになったりもする、

侘しい気持ちいつまでも続きません様に

どっかのウサギ野郎がガラついたポッピン声で叫んでいたね。

優しさってどういう意味だ、俺には到底理解出来ない有り様、

そして今や何が何だかさえ定かでない胸中。

相棒、仙台は12℃の寒波だとファッキンな天気予報士が一丁前にうそぶいていたぜ、

すなわち、独立心を大事そうに暖めながら足が棒になっても歩き彷徨うって寸法だ。


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時代遅れの最先端 ’10


現実は小説よりも奇なりの踏襲者、

ドキュメンタリーフィルムの中の大茶番喜劇役者、

「江戸時代の侍みたいだね」

「正直者」と書いて「時代遅れ」と読むのなら、こちとら時代遅れの最先端で一向に構わない。

ツナギを着たら一瞬で気分が変わる様に、モダンガールの一言に浮いたり沈んだり泳いだり。

どうにかなるしか思わないけれどどうにもならない事などなかったしー

どっかの夢見がちな男がガラついたジャリズリ声で叫んでいたね。

夢なんて思いもよらない瞬間にアッケラカンと叶ったりしやがる、

落ちぶれかけた次の瞬間、華麗極まる八倍返しにさえ成功したりしやがる、

諦めないで止めないで、人生ゲームの醍醐味。

「怖いモノないの?」

人嫌い、臆病者、焦燥感、虚無感、この世は狂喜乱舞の怖いモノ天国、

それでも人を信頼する事を止めるなんてどう転んでも出来ない有り様、

薬局に駆け込もう、寂しがりに効く薬をくれ。

衝動と言動が抑え切れない、常に危機と危険と手を繋ぎながらエゲツナイ程の拘りの呪縛人。

例えば何かの返信をする時、「Re:」って文字を消すのは俺の中で最低限当然のエチケット、

それに気付く人間もそれを喜ぶ人間が皆無でも言語道断ノープロブレム事項、

「アンタ、生きるの大変ね」

徹底的な差別化、俺は俺の当然の中でこそようやく活きていられるって単純明快のハイカラ寸法。

ドサクサ紛れに37.7℃の熱が出ようとそれに飲み込まれてしまう程、

俺は残念ながら暇人でもドンクサ星人でも、ましてヘビーボーイでも素っ頓狂でもない。

あれやこれやなんやかんやどれやそれや考えあぐねる内にファッキン体温の事など一切忘れてしまえるってアナログ極まる仕組み。

そして彼氏彼女だとか惚れた腫れただとか恋だとか愛だとか何だとか、そんな安い話は実にクダラナイ、

「思い立ったら直ぐ行動?」

「スナック感覚って専売特許で」

ヌカしながら何年も同じところに住み、何年も同じところで働きながら紙切れを稼いだりしている。

俺ってひょっとして単なるあん畜生ヒョロボーイに過ぎない始末。

一つだけ確かな事がある、いつだってモダンガールに支えられていたい、

何年も前から、何年も後も、「最大限の活力」と書いて「モダンガール」と読ませる事はどうやら可能可能。

ほとんどの人間が「この人と付き合った方が良いのに」なんて他の人間の事を思いながら中途半端な付き合いに精を出している、

そんな類いは真っ平御免、いつだってカーブなど要らない、ストレート以外。

「正直者」と書いて「時代遅れ」と読むのなら、こちとら時代遅れの最先端で一向に構わない、

新たなる人生ゲーム、衝動頼りの人生ゲーム、

もう直ぐこの俺が30歳だなんてどうしようもなくとんでもない話に違いない。

相棒、三日後には仙台行きの深夜高速バスの中、

独立心だけポッケに詰め込んで足が棒になっても歩き彷徨う未開拓仙台シティ。

相も変わらず確かな事がある、髪の毛が伸びたら本気のイカサマリーゼントにしよう、

訳の分からん「馬油シャンプー&リンス」とかいうヒップなヤツで洗った白髪交じりの髪の毛でも研いでから。


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October 20, 2010

錆び付いてしまわん様に ’10


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’10.10.19(火)
【レッツ・ゲット・ロマン】 パート4
髙哲典 VS KEYNA
アット 下北沢BAR?CCO

1.ラウンドミッドナイト
2.ウイスキーとトランクを道連れに
3.ロマンのど真ん中
4.憂鬱の隙間から(新曲)
5.思い出を繋ぎ合わせて今を生きる
6.表現者
7.錆び付いてしまわん様に(仮/新曲)
8.自由
9.流れる道の上
10.マリーと暮らす
11.愛すべき日々


近頃は長文って気分じゃない、エネルギーが追いつかない。

無論、ありふれ過ぎた駄文なんて書く気もない、そして俺は呟かない。

唄い終えた直後はもぬけの殻、これ程にシックリくる言葉はない。

散々と呑みまくり、調子に乗りまくり、演じまくり、まくりまくり続ける。

一人ぼっちを気取る程に一人ぼっちではない、

これは、「イカす柄シャツには胸ポッケがない」と同じレベルの事実だ。

ハッピーチャーミングガールに敬意を、

隣人ハイカラガールに秘密を、

ボンクラに勝利を、

煙草の数は減らない、そして眉間の皺数は増えていく。


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October 19, 2010

ないものねだりのオンパレード ’10


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天に仕えるより地獄の支配者が良い
ジョン・ミルトン

俺の言葉が誰かの胸の奥まで響き、そして永遠に残り続ければ良い。

俺が消えても、俺と別れても。

400年も前のミルトンの言葉が俺の胸の奥に残り続ける様に。

ある輩はゴミだと思い、ある輩はその言葉に胸を躍らせる、

いくら敵が多くとも、誰からも愛されたいなんて考え出したら直ちにお終いだ。

そして味方ばかりになったりしたら、俺はどうせ違う場所を探すだろう。

映画の様な出会いがある、

出会いとはタイミング以外のナニモノでもない、死も同じだ。

重要なのは突き抜け続ける事だ。

頻繁に洋服屋と間違えられる、

やりたい事が多過ぎる、

やるべき事が多過ぎる、

なりたいモノが多過ぎる、

可能性が多過ぎる、

夢が多過ぎる。

俺には当たり前の事が他には当たり前じゃない、

でも俺の当たり前が他の当たり前になったりしたら、俺はどうせ違う道を選ぶだろう。

独立したい、

古人、

故人、

個人。

JPS2カートンは全て肺の中、

だからWinstonは400円。

ほとんどの人間が「この人と付き合った方が良いのに」なんて他の人間の事を思いながら中途半端な付き合いに精を出している、

そんな類いは御免だ、俺は自分の山だけ登り続けている。

猿真似八番さようなら、

絶対に怖気づくな、モノホンの幸せが何なのかを知っている限りは。

死ぬ勇気があるのなら生きる勇気を拾って来い。


’10.10.19(火)
【レッツ・ゲット・ロマン】 パート4
高哲典 VS KEYNA
アット 下北沢BAR?CCO
19時開場/20時開演/1000円(+2order)


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October 12, 2010

101012 special


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目覚めれば抹茶オレを流し飲み、タンクトップとハンカチを干し、「NEVER END」を浴びる様に聴き返し、

それから山程の請求書を抱えて旅に出た。

「アイム・ビジー」、どいつもこいつもうそぶくだろう、

所詮俺もその中の一人に過ぎない。

給与支払い方法変更に伴う長い長い無給トンネルをボーリングピン貯金箱を突いて華麗に潜り抜け、

ニューヨーク行き航空券、家賃、電気代、電話代を根こそぎ払い込み、

大量のアイスコーヒー、一ガロンウイスキー、馬油シャンプー&リンス、ついでに1890円のハイカラ柄シャツまで買い込む。

ヘルメット野郎もクールなやり口を得意とする大家様も今は俺の扉をノック出来ない、少なくとも暫らくの間は。

ファッキンなのはインチキ戯けな電話代、

「携帯電話など解約して固定電話にしてやるぜ!」という淡い夢、

これは「湘南に引っ越すぜ!」と同じレベルの微かな夢、

実行に移す可能性は2%に満たないかも知れないが残念ながらこちとら夢遊病者の最先端、

何一つ諦める理由など見当たらないぜと洒落込む。

そんなこんなで一瞬にして18万円近くの大金が吹っ飛んでいったが貯金箱のお金を見る度に思う、

「こんなモノは単なる紙切れに過ぎない」。

俺は仕事を持っている、さすらいのハッタリ根性でとりあえずの紙切れを手に入れ、

あれやこれやと引き換える権利をどうやら持っている。

組織に丸め込まれる事をとことん毛嫌いしながら、その代わりとして紙切れをしっかりと頂戴している、

俺ってひょっとしてそこそこのデジタルテクニカル星人なのかも知れない。

一つ問題を片付けても追い込みは留まる事を知らず、どうせまた月末頃にはヌカす事になるだろう、

「相棒、どっか遠くまで逃げようぜ」

一つだけ確かな事がある、93890円の高額を耳を揃えて遂に航空券と引き換えた、

すなわち、ニューヨークはグリニッチヴィレッジまで颯爽極まる面持ちで逃亡可能な態勢。

2038個の夢を掲げて旅は続く。



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October 11, 2010

正直者に捧ぐ ’10


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兄貴分だとか弟分だとか何だとか、そんな括りはとことんクダラナイ、

バーを辞めた理由の一つはそんな類いが窮屈だったからかも知れない。

対等な付き合いだけ存在すれば良い、

敬語もしょうもないシガラミも気遣いだって必要ないが感謝って言葉の一つ位最低限知っとけこの偽ブルース野郎、

相棒なんて俺が選ぶ、逆もまた然り、すなわち対等、安売りはノー、断固ノー。

ハイカラ女の何気ない一言で大袈裟に浮き上がったり落ちぶれたり、

そのどうでも良い一言でどんなモメ事でさえ即座にチープな笑い話に変換する力が湧いてくる事だってある、

詰まる話、俺ってひょっとして女大好き人間のファッキン代表格なのかも知れない。

俺の文章で気分を害したりする人間がいるのと同様に、

「この文章が支えです」なんてヌカし出す輩もいる。

要するに二つに一つ、「やりたい様にやれ」と一まとめする事さえ可能可能。

バンディーニが残して帰った「ポートワイン」と書かれた箱の中に入っていた一ガロン高級焼酎、

こいつを一気に呑み干せば吉と出るか凶と出るか、

昨夜は理由もなくファッキンな憂鬱に苛まれた。

俺がいつか死んで、もしも墓石などが用意されたりするのなら、

一行刻んでやってほしい、「人生とは茶番劇である」と。


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October 09, 2010

Two Human Standing ’10


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異国人の如き風貌とハッタリイカサマセンスを駆使して雨のハイカラみなとみらいタウンを徘徊。

護送車が数十台駐車された厳戒態勢の街を眺めながらマリアンヌがチャーミングに呟く、

「ほらアンタ、迎えが来てるよ、怖過ぎるから」

「おー、自首してくるぜ」

あまりに自然な付き合いで雨を弾きながら歩き続ける。

横浜美術館に辿り着き、「此処は前にも来たぞ」と思い出す。

何年か前、インチキファッキンジョブに愛想も尽き果てヌカした「俺はもう帰るぜ、とても耐え難い」、

そして這いずりながら抜け出したその足で出向いた場所だ。

「シュルレアリスム回顧展」の胸躍るプロローグ文を読みながら隣にいたカリーナに囁いた、

「抜け出して良かったと思うか?これは完全体のプロローグ文だ。抜け出してないと見れてなかった、それは勿体無い」

俺はあまりに我儘且つ臆病且つ態度のデカイ繊細な人間なのかも知れない。

ところで「エドガー・ドガ展」は最高の類い、

団体だとか派閥だとか組織だとか何だとかには断固馴染めない哀愁漂う気難しい男の一切妥協を許さない絵、

要するに申し分ないパンク具合だ。

鑑賞中のマリアンヌにほざく、

「イカすぜ×5210!」

看板の前に並んで今の二人を写真に収める、美術館に一緒に行ける人間を知っているなんて驚異だと感じて止まない。

「とにかく珈琲飲みに行こうぜ」

ダブルの珈琲を注文し自然な会話に身を任せる。

ありがとうを繰り返し、そして別々のファッキントレインに乗り込んだ。


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逃げろベイビー ’10


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ベッドサイドに本を並べ、気が向いた時だけ適当にページを捲る。

それぞれの物語がその中にあり、瞬時にその物語に入り込む事が出来る。

そして俺は自らの物語だけを演じ続ける。

好かれたいが為にヘイコラ頭を垂れるやり方なんてまるでガラじゃない、

そんな類いは出来た試しがない。

俺の物語は俺が決める、100%中80000000003%誠実な結論。

そんな戯けた単なる寂しがり屋のあん畜生でも美術館に一緒に出向ける人間を知っている、

美術館に一緒に出向ける人間は信頼すべき、数ある持論の一つだ。

明日は雨が降ろうと訳の分からぬ八番煎じに「貴様、気取るな!」とボロカス罵られようとドガ展鑑賞、

パートナーはマリアンヌ、スナック感覚駆使してチャーッと約束を交わす、

「みなとみらい、すなわち、ハイカラステーションで待ち合わせだ」

「横浜散策しない?」

「俺達は探検隊だ、ロマンチックの塊だ」

一つだけ確かな事がある、俺は既婚者よりもジャスト88倍気ままなボンクラ野郎だ。

大家様からのハッタリ逃亡劇を演じながら小粋なマリアンヌと美術館を徘徊しようってんだから、

俺はどう転んでも「余裕」を演じ続ける事が可能かも知れない。

BGMはザ・コルツ「NIGERO」、

スゥイート・ホームには先程、バンディーニが蹴散らして行った空き缶やら一ガロンウイスキーの空瓶やらが転がっている。


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October 08, 2010

ノー・マネー・ゲーム ’10


ボロカスに打ちのめされてようやく玄関口まで辿り着いたその直後、ドアをシュルシュルと擦る様な音がする。

まるで俺が帰って来るのを見張っていたかの様な抜群のタイミング具合だ。

覗き穴を睨んでやれば誰かがドアの隙間に何かを挟み込んでいやがる。

「ここは俺のスゥイートホーム、数多くの人間らしい人間が天国と表現した部屋、貴様が何かを挟む権利など微塵もない」

思ったのも束の間、0.082秒のワールドタイムで即座に察する、

真打ち登場、紛れもなく大家様だ。すなわち、「挟む権利大いに有」だ。

やっこさん、わざわざノックもしない、プロフェッショナルのクール極まるやり口だ。

封筒には書き殴られている、

「さて、入金が確認されてません」

その走り書きにはしっかりと憎悪が読み取れる、俺は頷く、「それ、なるほど」。

トイレ内では相も変わらずドス黒いゴキブリと出くわしセイハロー、

以前浴槽で一丁前な平泳ぎをキメていたヤツが不死身の魂と共に這い上がってきたのかも知れない。

「お前、今月分代わりに払っとけ」


相棒、髭でも剃って仙台まで逃げるぜ。

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October 07, 2010

専売特許を抱き締めて逃げろ ’10


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チンピラ、今や合言葉の如く響き渡る称号。

「おーい、チンピラー!」

背中越しに誰かが叫んだなら俺はもはや0.17秒のワールドタイムで振り向かざるをえない。

仕草、歩き方、着こなし、久方振りに再会したジュゼベルが事ある毎にほざく、

「チンピラ、あらーチンピラ、いやーチンピラ、似合い過ぎ」

要は考え方次第で世界は変わる、勝手に褒め言葉と解釈してヘラヘラと笑う、

「もう沁み付いて消えない。専売特許獲得だ」

そしてシャガールを鑑賞、

シャガールは教えてくれる、「アヴァンギャルドに生きなさい」と。

看板の前に並んでジュゼベルと二人で写真を撮る、美術館に一緒に行ける人間は信頼するべきという持論。

我が愛しのタワーレコード7Fの本で埋め尽くされたフロア内で「HIPPIE」という名の洋書写真集前で立ち止まる。

俺は思想を持っている、充分に幸せかも知れない。

ところで昼下がり、ドアを激しく叩く音が聞こえる。その音はそこそこ悪意に満ちている。

「大家だ、逃げ場はない、万事休す」

明々と点けていた電気を遅ればせながら消し、爆音ロックンロールレコードを最小音量まで下げる。

ドアは断固開けるべからず、負い目はこちらにある、勝ち目はない。

バットしかし、覗き穴からしっかりと見てやる、大家のファッキン憤慨顔を。

ドアのすぐ前にいる男はヘルメットを被っている。大家じゃない、通常大家はヘルメットなど被らない。

メーターが動いているのを確認した後、ヤツはもう一度激しくドアを叩く、プロフェッショナルのやり口だ。

覗き穴からしっかりと拝んでやる、得意の居留守はとっくにバレている。

「コイツ大家じゃない×801、電気代集金業者だ!もう一回でもドア叩いたらモデルガン八発撃ち込むぜ!」

そして集金業者は引き下がる、俺はロックンロールレコードの音量を戻して我が物顔で踊る。

とにかく追いかけたり追いかけられたり年がら年中ありとあらゆる事柄で溢れている。

夜、ブーツ磨きのホールデンからジリブルと電話が鳴る、

「僕、プール行ってきます」

ありとあらゆる事柄に飲み込まれそうになる事多々あれど、即座に答えてみる、

「僕も行きます」

季節の垣根なんて金輪際ノープロブレム事項、年がら年中プールサイドに君臨してやる。

さぁ、インチキ迷惑メールの追い込みが後を絶たない、立て続けに届くメールアドレスには憎しみのウィットを感じる、

@thogenkyo.jp
@cleopatla.jp

貴様桃源郷とクレオパトラ様にスグサマ謝れ×6億ジャスト。

与太話はこの程度にして新曲が次々と湧き出ている、

俺はありとあらゆる集金から逃げているだけの単なるコソ泥野郎ではない、

ボンクラ兼チンピラ、俺だって「どうしようもない輩」かも知れない、

バットしかし、思想と哲学位は知っている、存分に幸せかも知れない。

俺は何も盗まない、新曲が続々と完成に向かっている。


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October 05, 2010

ザ・ムービー・ナイト ’10


そそくさと客商売から足を洗って一日9時間でも11時間でも書き続けていたい、そんな胸中。

客商売、俺には恐怖にして猛威以外のナニモノでもない。

「いつも笑顔で」なんてこちとら土台不可能であり、

突拍子もない事をヌカし出す輩に「申し訳御座いません」と平静に頭を垂れる程、俺は残念ながら人間出来てない。

後半戦になるにつれ目はとろけ、魂は根こそぎ吸い取られ、周りに構う暇もなく頭を抱え込んでいる。

平常心を気取って愛想を振り撒ける程、寛大な心も役者根性も残念ながら持ち合わせていない有り様。

そして1800ヤード離れていても気付かれそうなド派手な柄シャツを着ている俺がやけに憎く哀れに思えてくる。

「もうダメだ」とかれこれ3万回以上もほざき続け、2011年には大台の4万回を突破するだろう、

理不尽な言葉は全て聞き流せず、大人しさの欠片もあったモンじゃない。

今よりも8割増で醜く歪んで行くのが手に取る様に分かる、「いつも笑顔で」なんて奇跡のおとぎ話だ。

ところで「ウィットって何?」と問われれば俺は今後、0.02秒のワールドタイムでお答えする事にする、

「ウディ・アレンの映画を観なさい」

そこには全てが詰まっているとさえ言える、

俺はウディ・アレンのウィットと風刺を100%中3556%の高確率で弁えている、充分に幸せかも知れない。

明日は美術館へ向かう、パープリンヒッピー女(良い意味)に声をかける、名前はジュゼベルって事にする。

「行くか?」

「行く」

「決まりだ、美術館口だ」

約束なんて所詮こんなモンで良い、行くか行かんか二つに一つで充分事足りる。

汚れてしまった心をシャガールの前衛絵画とジュゼベルに委ねる、所詮何かに頼りながら俺は生きている。

親しくなる前にジュゼベルが俺に抱いていた印象を語った言葉が忘れられない、

「目を合わせたら殺られると思ったから絶対に合わせない様に心掛けていた」

眉間の皺は怖さじゃない、弱さが生んだ賜物だ。

単なるボンクラの誘いに二つ返事で付き合うモノ好きな女がいまだに存在する事実、

「俺もまだまだ捨てたモンじゃない」と「俺はいよいよ腐りかけている」の果てしなきせめぎ合い、

とにかく一ヵ月後、髪の毛が伸びたら本気のイカサマリーゼントをキメる事を夢見て。


drecom_eroom5session at 01:26|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │散文 

October 04, 2010

左足の汚れたままのブーツで蹴り上げろ ’10


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「この珈琲好き!」

誰かが突然囁いてくる。

「無いと落ち着かないんだ、味に拘りは無い」

珈琲を置いてくれ、目に見える範囲に。

「こんなの血尿出ますよ」

他の男が900mlボトルを手にして呟く。

「一日一本だ、好きな言葉はブラック8杯」

珈琲を置いてくれ、味に拘りは無い。

誰かが突然食いついてくる、

「柄シャツイカすね、セブンティーズ?」

俺がそのシャツについて知っている事は500円で27000円分イカしているという真実だけだ。

「これは500円だ、驚異か?」

俺は確実に勝利を掴み続ける、エゲツナイ拘りとやり方で。

ファッションとはお金を費やす事じゃない、心意気だ。

エルメスを着て「良いね」とほざかれても喜びは微塵も味わえない、

味わうハメになるのはイタタマレナイ程の恥ずかしさだけだ、残念ながらそんな安い幸せ狙ってない。

ところで俺というボンクラを平たく一言で表すなら「短気」という言葉が当てはまるのかも知れない。

ひょっとしてそんな素っ頓狂な一言で片付けられてしまうのかも知れないと感付く昨今のイカサマ事情。

確かにいつかミラー越しのペーパー運転手目掛けて汚れたままの左足ブーツでガラスごと蹴り破ってしまうかも知れないし、

道を塞ぐナスビと椎茸の混同グループ狙ってモデルガンを向ける事だってあるかも知れない。

何しろ俺は道端でベルを鳴らされた記憶すらない、

神経を必要以上にすり減らしあまりに気を遣い過ぎている証だ。

団体で歩いていたとしても俺は横並びで道を妨げる程残念ながらイカれてもいない、

よって短気なのは俺ではなく、キチガイなのは頭の回転8周遅れの焦燥ピーナッツ野郎共に他ならない。

後ろから突っ込んできた運転手に向かってチナスキーが即座に吠えた言葉が爽快なるフラッシュバック、

「お前中国で免許取ったんか!」

最高だ、正しさはいつか必ず証明されるだろう。

「いつも笑顔で」をスローガンに掲げ笑みを振り撒く心強い女がいる、

会話を交わすでもなく、しかめっ面をして目を合わせれば「いつも笑顔で」返してくる。

傍に置いてくれ、珈琲と共に。


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October 03, 2010

右足だけ輝いたブーツを履いて逃げろ ’10


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暫らく逃げなければならない、歩ける喜びを感じながら。

追いかけてくるのは大家だ、すなわち、家賃は当分払えそうにもない。

水が出る喜びに幸せを噛み締める事が出来る、水が出なかったオカゲで。

これはとても教養溢れる行為、水道と電気が止まる度に学んでいる。

水道が止まっても家賃が払えなくても俺には足がある、驚いた事に二つもだ。

水道局まで28分52秒、水が出るのを強く望みながら「濡れん様に」と律儀に傘を差して歩く俺は本末転倒の塊。

子猫が道端で死んでいる、十字を切ってその横を通り過ぎる、

その仕草は50年代のベルモンドから影響を受けている。

JPSを2カートンストック、そして方南町まで歩く、水泳帽と一ガロンウイスキーを手に入れる。

ホールデンを誘い肌寒い雨の中雪駄を履いて電車に飛び乗る。

目的地は駒場屋内プール、バッグの中身は真夏の柄した水着とゴーグルと水泳帽、これは執念と呼べる行為だ。

UVはない、そこは屋内だ、自転車を漕ぐ仕草とスカダンスの仕草を雑ぜ合わせて背泳ぎで浮かび続ける。

横を見ればホールデンが泳ぐフリをして散々とバタついている、

鋭い監視員はものの二分で察している、「やっこさん、泳げないのね!」って事に。

そしてヤツは遂にビート板なる代物に手を出した。

体重計に飛び乗り叩き出した数字は49.5kg、

それでいて-3kgを強く望んでいるのは誰も狙わない境地をしつこくも狙っているからに他ならない。

ホールデンと16軒もの商店を巡る、そのほとんどは古着屋だ。

一人では100%中7008%入らないであろうハイカラブランド店で高田渡が聴こえてくる、「珈琲ブルース」だ。

並んでいる服はどうでも良いが、「理想はいつだってこれだ」と激しく胸を躍らせる。

ハイカラブランド店で高田渡、モッズショップで昭和歌謡、ジャズバーでジョニー・サンダース、屋内プールでフィンガー5、

要するに何も括らないってのが性に合う。

ある古着屋では突然イカしたモダンガールが近寄ってくる、

「これ試着しても良いですか?」

「いえ、僕は単なるボンクラです」などと答えると彼女はきっと赤面するだろう、そして俺までイタタマレナイ気分になりかねない。

満面の笑みで、それでいて囁き声にて答える、

「そりゃどうぞ!!」

そして試着室を指差した。

直後に外に出て煙草を吹かす、結局俺一人だけイタタマレナイ気分を味わうハメになる。

道を尋ねられるのと同確率で古着屋の店員と間違えられる、

ウィットに富んだ返答がいつか俺の口から吐き出されるのを期待して止まない。

ロックンロール屋では懲りもせずポマードを手に入れる、水が出れば洗い流せない心配はない、

そして洗い流せるのが当たり前だと思える程、俺は残念ながら自惚れてもいない。

ホールデンが我が愛しのスゥイートホームに転がり込む。

「貴様、取り急ぎブーツ磨いとけ」

吠えた記憶はどこにもないがヤツが呟く、

「ブーツ磨いてみましょうか?」

そして丹念に磨き出してくれる。

そんな時、俺は万年ベッドに凭れ込み本を読みながら「コイツと俺はまるで別の人種だ」と感じ、カメラをホールデンに向ける。

そして見事、右足だけブーツはピカピカに輝いた。ありがとう、感謝を伝えるのを忘れたかも知れない。

さぁ、俺はハッタリを捲くし立てて逃げなければならない、

片方だけ輝いたブーツを履いて、500円の最高級柄シャツを着て、走れる喜びさえ感じながら。


drecom_eroom5session at 01:35|PermalinkComments(0)TrackBack(0)│ │短編 
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