November 2016
November 26, 2016
the AT's Dice '16
女や酒よりサイコロ好きで
すってんてんのあのじいさん
アンタこそが正直者さ
この国ときたら賭けるモノなどないさ
だからこうして漂うだけ
土産にもらったサイコロ二つ
手の中で振ればまた振り出しに
戻る旅に陽が沈んでいく
去年、ソウルから戻った直後、今はもう死んでしまったアイツがヌカした、
「この後も突き進むワケですね?オレなら半年はもぬけの殻だ」。
振り返る隙もなくコマを進め、気付けば申年さえ終わりに近付いているってな有り様。
関西シックスデイズを終え、果敢なる生還者このワタシ、
死ぬまで次は次はと追い掛け続けているところ。
神戸では同い年の小林琢也、すなわち「港町のスコッティムーア」邸に宿泊させていただき、御飯をこしらえ風呂を沸かし、オマケに取れたシャツのボタンまで縫っていただき、
オレはといえば淹れてもらった珈琲を煙草と共に嗜み本さえ開きつつ、同時にその様を優雅に眺めながら思っていた、
「お母さん、ボクは今、スコッティにボタンまで縫ってもらっています」。
昔、原宿にいたエルヴィスと推定15年振りの再会を果たした。ハタチの上京したばかりのオレはその前で写真を撮った。
しかし原宿にいたエルヴィスはいつの間にか姿をくらまし、そして今、遂に神戸のハーバーランドにいるって事実を突き止めたのだ。
肉躍り、その様を存分に眺めた後、辺りを見回しオレはシンプルに問うたね、
「おーエルヴィス、何故こんなところにいらっしゃるのですか?」
周辺はアンパンマンの銅像で溢れていた。
苦笑いしている様にも見えるエルヴィス、
しかしそこに突如大音量で聴こえてくるエルヴィス得意のミディアムスローナンバー、
心配ない、勝者はエルヴィスだ。
大阪ではオレの窮屈で狭いポケットに勢いよく一万円を捻じ込んできたスタイリッシュ男、
「あかん、貴様みたいなんが今もいてるっちゅうんが嬉しいだけや」
兄貴、心配ない。その十万円以上の価値があるシワクチャの一万円札を簡単に遣うほど頭はイカレていない。
最終日、ラストに皆で唄ったナンバーは吉田拓郎で「落陽」、
おいボンクラ、甘えてばっかいないで、受け取った言葉を杖にして歩いてやれ。
関西だからどう、北海道だからどう、広島だからどう、だとかそんなヤスい話はどうだっていい、
要は人対人で全てが出来ている。
関西、また来年。ギターに開いた穴がさらなる広がりを見せる頃に。
November 14, 2016
peace 161113
旅に出る時はいつも、これが最後になるかも知れないと思っている。
飛行機が落ちない保障などこの世にないし、こちらサイドがいくら安全運転で走っていたとて反対車線から注意を怠った輩が突っ込んで来たなら0.2秒で終わりだ。
簡単に他人を信じられないオレは常にそれなりの覚悟は持ってコトに臨んでいる。 よって、ジェットコースターには乗らない。
そしてオレは今、仙台から下北沢まで、奇跡の確率によってまたも無事にカムバックしたところ。
生かされている、まだ生きていると思っている。
「DEUCE」、ブルースマスターな奴等との短い旅は笑いが絶えなかった。
素晴らしい。珍しく古着屋ストリートを練り歩き服を漁り、御飯をたらふく食べさせていただく余裕さえあったが写真を撮る余裕はなかった。
浴槽に浸かりながら眠り、ストーブの前で力尽きては眠った。
「死んでいるの?そしたらどうしよう?」などと口を揃えて誰かが云った。
行き帰りの道中、後部座席で目を閉じながら、どうせ死ぬなら痛みのないまま死なせてくれと考えていた。
ところがどっこい、オレはまだ生きている。
四日後には神戸行きの飛行機に乗る。
どうせまた同じコトを思考するだろう。
そしてオレは今、レオンラッセルを聴いている。
死ぬ時まで生きたいと願っている。
November 05, 2016
the AT's Hot '16
オレは今、歯医者で打たれた何本かの麻酔の味とシビレに朦朧としながら、この状態でビールを呑むってのは一体どんな気分だろうなどと思考しているところ。
BGMならボブディラン、ノーベル文学賞受賞に関し、昨夜、首謀者が云った言葉が印象的だ、
「ケルアック、ギンズバーグ、ウディガスリー、それら偉人達と共に受賞したという認識をディランは持っているんじゃないかな」。
まず根本的にそんなモン受賞しようがしなかろうが、偉人なんて腐るほど存在すると思っている。
それは大概、日の目を見てない人間だったりする。
ミンガリングマイクに何の賞も与えられてないっていうのは一体どういうワケなんだ?
その一例だけで承知の通り、賞なんてさほど重要じゃない。
バット、その文学界の偉人達が名のある賞に一発カマしてやった、クールとはこのコトをいう筈だ。
北海道に行ってきた。何度目かはもう忘れた。
10月のクセに雪も舞い散る寒さの中、心の温もりだけは絶やさないってな偉人達が其処にも腐るほど居る。
何処かに向かう時、いつだって不安はつきまとう。
旅はギャンブルだと思っている。
プラスになるのか、挑めるのか、演れるのか、勝てるのか、生きて帰れるのか。
そしてオレは今回も戻ってきた。毎回毎回繰り返し、今回も戻ってくるコトが出来た。
まずシンプルに考えて、北海道に仲間が居て、沖縄に仲間が居る、コレってとんでもなく美しいコトだと思う。
きっとインドにもジャマイカにも仲間は居るでなんて思ったら血沸き肉も躍り出す。
室蘭の夜、オレが札幌で初めて演った時に見てくれていたという男が突然やって来た。
あれからずっと聴いていると、あの歌詞の意味を教えてほしいと、普段は何を呑んでいるんですかと、隣に座って色々と尋ねてくれた。嬉しかったな。
オレは云ったね、よーまた室蘭で会おうぜ、死ぬのは無しだ。
札幌で大阪の「西成の神様」と再会し、昨夜は東京で岐阜からやって来たゴトウケンジと再会した。
気分がいい、場所なんてさほど重要じゃなくしてやればいい。
近頃、またアタマによく浮かんでくる身体に染み込んで止まない言葉がある、
「見えない努力が好きなんだ」、 三代目魚武濱田成夫キャプテンの言葉だ。
いつかまた再会して、アンタがいかに偉大な男であるのかを目を見て伝えたい。
感謝は現場で、目を見て伝えたい。
オレは今、もうビールを呑んでもいいだろうと冷蔵庫に向かおうとしているところ。