September 2017
September 29, 2017
地球の夢 '17 vol.2
思うに、俺は相当な臆病者だ。でもそれと同時に「モノホンの臆病者がこんな事をするか?」という思いもある。
日本に居れば日本語でとりあえずの片は付く。でもそれが当たり前になるってのもどうにも心地悪い。
まず出向き、右も左も分からず成す術無しという状況に陥ってしまったとて、それを壮大なる茶番劇と捉えて楽しもうとする自分がいる。
ヒップな笑い話、それだけで儲けたってな気にもなってくる。一種の性癖みたいなモンだろう。
そして国を問わず、親身になってこの訳の分からんイエローファッキンモンキーを助けてくれようとする人達がいる。国境など断固どうでも良いと強く思える瞬間がある。
空港に着いた瞬間から迷子が始まり、電車乗り場で切符の買い方に四苦八苦、乗り換えに困難、ようやく辿り着きまずは宿を目指すも逆方向に向けて歩き、仕切り直してようやく辿り着けばチェックイン手続きで苦笑い、産まれたての子ども同様、一つずつ学ぶ事から全ては始まる。
お母ちゃんなら云うだろう、「アンタ、ええ事教えたろか?行かへんかったら済む話やん」、
バット、そういう事じゃないんだな。
空港の警備員が問うた、「貴様、トランクの中身は肉とか食料品の類いか?」
着いたばかりで英語の引き出しなど空っぽだったが故、自らのTシャツを引っ張りながら日本語で答えた、「服よ、服、服なのよ!」。
そこからずっと考える、「あの時はクロッシングと云えばスタイリッシュに決まったよな」だとかどうだとか。ずっと考えながら引き出しの言葉を増やしていく。
チェックインしトランクを置いた直後、即座に街の徘徊を開始する。日本でも知らん街に行った時は同じ事をするが、とにかく歩いて街を知ろうとする。
マンハッタンをパジャマみたいな格好でジャパニーズ雪駄を履いて一人で歩く時、内心は震えながらも同時に誇らし気な胸中も携えている。重要なのはバランスを保つ事だ。
街の綺麗な夜景を写真に収める事なんかよりゴミ箱や見向きもされてない靴磨き職人達の光景に胸を躍らせ、立ち止まり、引き返し、写真を撮りまくる。
イギリス人であろう団体がエンパイアステートビルに向けてオアシスの「ロックンロールスター」を大声で唄っている真横をすり抜けながら思う、
「君等、それ自国のバンドの曲やないか!」。そして紛れて一緒に唄う、「tonight, I'm Rock'n' Roll Star!」。
それならばと思う、俺だって加川良の「ラブソング」をマンハッタンに響かせてやったって良いだろう。
女二人組が何かを唄いながら歩いているその横を追い越す男が女に声を掛けたのを耳にした、
「君、唄巧いね!」、
そう云われた女達は無邪気に喜んでいる、「リアリー?アイムハッピー!」なんて叫んでいる。そこに国境などは一切存在しない。
その真後ろに居た俺が次は彼女達を追い越す番だ。この場面は何か気の利いた一言が絶対に必要だと判断し振り向き様に俺はスマイルで告げた、
「hey you!very nice!!」
彼女達の反応は待たずそのまま歩き続けた。雪駄を鳴らして。初日の、着いて間もない夜だった。
重要なのは積極的にカマしてみるって事だ。
「観光に来ました!」ってな思いはさらさらない。何より知りたいのは地球の仕組みだ。
September 23, 2017
地球の夢 '17 vol.1
4度目のアメリカトリップから戻って来た。時差ボケはゼロ、ビコーズ I'm 万年時差ボケみたいなモンだから。
言葉ではとても追い付かない。書いても書いても書き足りない。
「どうだった?」ってな問いに一言で答えられるほど安易でもない。それでも語り尽くしたい気持ちは溢れ続けて止む事がない。
今、思っている事は今日からでもまたアメリカに飛びたいって事です。
夏は確実に取り戻した。事実、ニューオリンズでは30℃をオーバーしていたし、「この国、レインって概念捨てたんか?」ってなほどに毎日毎日晴れ渡っていた。
散々と道に迷い、「俺って地図さえ読めないクズなのか?」なんて自問しながら、迷えば迷うほど、迷ってなければ見れんかった風景があった。
クズだろうがボンクラだろうが何だろうが、迷っているヤツの方が偉いと捉える思考回路があったっていいだろう。
とんでもない距離を冒険し、ブーツは修理不可ぎりぎりのところまで擦り切れ、トランクはぞんざいに扱われ、壊されたとてガムテープで対抗し、ヤバい通りを歩きながらも「ボク、アメリカに住んでもう7年も経つんです」ヅラだけは維持する事を心掛けた。
英語が出来る人達からみればどうしようもなく滑稽な旅に見えるだろうが、とにかく何度でも飛び込んでみる必要性は何時だってある。
今回はとくに本気で帰りたくなかった。
10代の頃、「東京」とは外国なんだろうと思っていた。初めて部屋を探しに東京へ来た19の時、新宿辺りで感じた事を明確に覚えている、
「言葉は通じる。所詮日本人がおるだけや」。
ところが今、思っている事は言葉さえ通じないところでもっとやってみたいって事だ。
いざ、本気で困った事があれば日本語で、まして標準ともされていないであろう言い回しで主張する。
重要なのは心意気だけだ。
失敗し続けて、それがいつか死に至る様な事柄だったとしても何もせず終わるよりはよっぽどマシだと思っている。
ソレが全ての原動力だと思っている。
6年9ヶ月前、初めてニューヨークに向かった時に手に入れた下北沢のトランク屋の親父の店に修理を頼みに久方振りに顔を出した。
貫禄とダンディズムを存分に漂わせた親父が云った、
「コレ、うちで買ったヤツ?随分貫禄出たな。色々行ったんだね〜」
トランクの表情を見て全てを解釈する親父との会話が心底心地良かった。
そして俺は今、まだまだ足りないと思っています。
これだから旅は何時までだって続くってワケだ。
September 05, 2017
パシフィックジャズを聴いている '17
誰とも時間が合わない昨今。何かに時間を合わせるには大なり小なりの無理がつきまとう昨今。気付けばこんな暮らしも長くなる。
だいたい、世間の明け方AM05:00に「よー、今からディナーにでも行こうぜ!」などと電話をしたとて誰も捕まらない。
捕まる可能性があるならコールガールくらいだろう。無邪気な風俗女の根性に愛を。
そんな事は重々理解しているので誰にも電話しない。諦めたワケじゃない。
24時間営業のレコード屋はない。時間は合わせるしか手立てがない。
被害者なのか加害者なのか、もはや何も分からない。
今日は、いや昨日は?とにかく映画を三本観た。どれもこれもアメリカ映画だ。
気付けばアメリカ行きが目前だ。
色んなモノを犠牲にしてしまった気がするが、ずっと思い続けていた事だ。誰かに頼る前にまず一人でどこまで出来るのかを確かめる必要は何時だってある。
横須賀に出向くスナック感覚を駆使して一気にニューヨークまで飛び、それからニューオリンズ、サンフランシスコまで辿り着く予定だ。
アメリカ、と簡単に一言で片付けようにも三都市それぞれにも時差はある。
俺はそれを逆手に取り、更に時間軸をグチャグチャにしてやろうってな魂胆で事に臨む。
俺は今、パシフィックジャズを聴いている。
今は火曜日の朝?
にしては多少音量はデカいかも知れない。
アポロシアターで会おう。