October 2017
October 22, 2017
雨が降ったって大丈夫 '17
近頃は音楽をほとんど聴いていない。くだらない雨の音ばかり聞いている。
2017年はここ36年間でも最大の雨量を更新中ですか?オマケに心の雨も降り止みません、ってか?
それに加えこの寒さをあと半年も続けるつもりですか?なんて考え出すと自ずと気も遠くなる。
今の事を考えながら、常に8歩先の事を考えている。例えば電車に乗った瞬間から、改札を出てから買う煙草の小銭は握り締めている。
平たくいえばオレってとんでもないセッカチボーイなんだろう。よって、改札前まで来てからようやく切符を探しだす様な灼熱のドンクサピープルの事など永久に理解は出来ない。
さて、旅の話も一向にまとまらない昨今、なんと今年も12月13日にワンマンショーが決定しました。会場は猿小屋とはもはや兄弟の様な関係にある下北沢ラプソディ、そしてゲストには鈴木羊兄貴。そう、「兄貴」と呼ぶに相応しいポッピン極まる畜生イカす男です。
もしもこの不届き者にプレゼントをくれるなら、まずこのくだらない雨を早急に止ませてくれよ。それか、ウィットに富んだバナナでも頂戴。
8歩先の事を考えつつ、詩を聴きに来て下さい。
'17.12.13(水)
【レッツゲットロマンスペシャル / 高哲典 -Akinori Taka- 37th バースディワンマンショー】
東京 / 下北沢ラプソディ
◆二部構成
◆ゲスト:鈴木羊
OPEN 19:00 START 19:30
¥1500_(+2order)
https://akinoritaka-new-hip-moderns.jimdo.com/livetime/
そして来週からは久方振りの岐阜&名古屋、そのまま関西に流れての旅が始まります。オレの右腕にしてヤツの左腕このワタシ、ジェニーのどっかから借りたズタボロ車に乗って向かいます。
2006年に作った「雨が降ったって大丈夫」って曲が頭の中で鳴り響いてきました、
雨が降ってきた夜に口ずさむ唄を作りたい
パトカーのサイレンのリズムで、小粋な感じで唄いたい
雨が降り止む気配は無い、傘の骨は突き出してるし
濡れて歩いてみるのもいい、「そっちの方が似合ってる」って
云われたとしたら思わず俺は笑顔で、
「ありがとう」だとか口にしてしまう様な気がするね
淋しくなってきたら誰かに電話したりしないで
ウイスキーの瓶でも抱え込んで思考回路を変えてやるんだ
雨がやり切れん思いを全て流すとか云ったりするけど
俺はそうは思わない、どうしてかって聞かれたりしたら
だって雨って神様の涙って思ってる方が幸せになれる気がするの
お気に入りの傘を見つけたよ
雨が降ったって大丈夫
お気に入りの長靴見つけたよ
雨が降ったって大丈夫
必要なのはこの雨を笑う覚悟でしょう。
October 19, 2017
October 10, 2017
地球の夢 '17 vol.5
アメリカに出向く直前、信頼すべき映画監督代表格、ジムジャームッシュの最新作「PATERSON」が公開された。
期待を裏切るって事を知らん氏のクール&モダン極まるやり口にまたしても脱帽し、主役の奥さん役の女の子にはまんまと恋をした。
あんな心の綺麗な女の子に惚れない男こそ狂っている、ってなほどにチャーミングだった。それと詩を書いている少女の生意気さ。
パンフレットではジムジャームッシュが語っていた、「パターソンはニューヨークからそんなに遠くないからフラッと行ってみたんだ。それでいつかここで映画を撮りたいと思った」。
映画を観るまで名前すら知らんかった「パターソン」って街にも行けたら行きたいなと思った。
行きの飛行機、座席前にある映画が観れる画面システムを確認し、何か観ながら眠ろうと思った。
「どうせロクな映画入ってないやろ」などと一つずつチェックしていたら、何と突然「パターソン」が出てきた。字幕無しのアメリカ版。
ニューヨーク滞在四日目、「行けたら行きたいな」は「絶対に行きます」に変わった。
何の情報もないまま、どうにか乗り換えを経てパターソン駅に辿り着いた。乗り換えのセコーカス駅の床は猿小屋の床とまるで同じ柄だった。
最高だ。これを見れただけでも来た甲斐があるってもんだろう。
パターソン駅に着いた。日曜日で、街はとんでもないお祭り騒ぎだった。狂乱のパレードで女は踊りまくり、男はゆっくり走るトラックの上で演奏していた。
そしてナマハゲみたいな格好をした奴等が太い綱を地面に叩き付けて銃声にも似たドデカイ音を出す度、道を埋め尽くした観衆は雄叫びを上げていた。
何の風習かも文化かも知る訳もない驚異のアウェイガリヒョロ星人このワタシ、しかしこの場面は俺だって何かしら叫ぶ必要性があるだろう、
「イェイイェー!」。
ここまで来たら何としてもあの「滝のある場所」まで行く必要があった。
ずっと歩いていたらパレードも途切れ、人気もどんどん少なく、怪し気になってきた。
いつまで経ってもその場所へは辿り着けそうになかったし、まずその滝が何処にあるのかさえ知らんままに歩いていた。
もう諦めようとした矢先、ようやくちゃんと地図を見てみたら信じ難いほどの逆方向を歩いていた。無駄な事は何一つないと別の道を歩きながら引き返した。
パレードの賑わいがまた蘇り、安心し、更に歩いてようやく辿り着いてみたら、その滝はパターソン駅からたかだか10分程度のところにあった。
映画を観た直後の今、あのスクリーンの中にあった風景が目の前にある。それって心底ロマン溢れる風景だと思う。
それは「パーマネントバケーション」の風景を生で見た時も感じたし、「ストレンジャーザンパラダイス」の風景を見た時にも感じた。「ミステリートレイン」なんてダイレクトに感じ過ぎて痙攣を起こしそうだった。
違いがあるとすれば俺は一人だったって事くらいだ。
さて、俺は今、ジムジャームッシュにお会いしたいな、なんて思っているところ。
October 07, 2017
地球の夢 '17 vol.4
近頃は許す時間さえあれば「9..11」にまつわる映画や映像や資料を読み漁っている。相当なエネルギーを消費するので、簡単な気持ちではなかなか手が出せない。
飛行機に乗る時、いつも脳裏からあの映像が現れる。例のビルに吸い込まれていくあのシーン。
2001.9.11、俺は風呂無しトイレ玄関共同のファッキン四畳半に居た。発売されたばかりのボブディラン「Love and Theft」を極力小さい音で聴きながら眠り、丑三つ時に目が覚めた。
何となくテレビを付けたら、例の突っ込んでいくシーンが繰り返され、緊急事態としてニュースキャスターは緊迫した表情を携えながら喋っていた。
センス皆無の冗談みたいな映像に言葉も失い、寝ぼけ眼のままに遠くのガールフレンドへ電話をかけた。
「大変よ、戦争が始まるわ」
足りん頭でも「報復」という名の争いの仕組みくらいは理解した。
あれ以来、あの事件を思う時には必ずボブディランを思い出し、「Love and Theft」のジャケットを見る度に「9..11」を思い出す様になった。
2017.9.11、偶然にも俺はニューヨークに居た。予定通り行けばその日にはまだニューヨークに居るんだと気付いたのは旅立つ一週間だか二週間前だった。
当日、前回は行ってなかった「その場所」に初めて出向いた。
俺はただ思った、「この場所で・・・」。難しい言葉は必要なかった。
あの事件がテロリストの仕業なのか国の陰謀なのかってな議論は後回しでいい。
まず事実なのはあの場所で苦しみ、潰され、燃やされてしまった人間が居るという事だけだ。
恥ずかしい事に、つい最近知ったところでは、死んでしまった人達の国籍は87ヶ国にものぼるという。
何語かさえヒアリング不可な言葉で溢れているあの国。
ジミ・ヘンドリックスの言葉が脳裏から離れない、そして離さずに居るべきだろう。
「愛国心を持つんなら、地球に捧げようぜ」
50年以上前のアメリカ人の言葉。
日本人でもイタリア人でも友達と呼びたくない連中、中国人だろうが北朝鮮人だろうが仲間と呼ばせていただきたい人達、色々居る。
まず必要なのはそいつが何もかもを諦めたロボットではなく、人間なのか、そうじゃないのかを見分ける目と耳と鼻なんだと思います。
October 03, 2017
地球の夢 '17 vol.3
思うに、書き残しておきたい事が多過ぎて永久に追い付けない。書く事だけに全てを捧げて没頭出来たら本望だが、そうは問屋が卸さないってのが生の仕組みだ。
ジャックケルアックが「路上」を書く時、タイプライターの紙を入れ替えるのが心底シャラクサくて、トイレットペーパーみたいな長いロール紙をセットしてただ書くだけ事に没頭したという逸話がある。必要なのは情熱でしかないだろう。
ニューヨークでは「Caffe Reggio」という西四丁目(グリニッヂヴィレッジ)にある老舗のカフェにほとんど毎日入り浸っていた。
そこではスープヌードルを食べる時に使う様なビッグカップに、なみなみと注がれた珈琲が出てきた。俺は云った、「断固ノンシュガー、ブラックプリーズ!」。$2.50。
ある日、ライヴハウスのオープンまで中途半端な時間が余った時、またそこへ出向いた。
入るなり、ヤケにチャーミングな国籍不明のウエイトレスが俺の首元を指差してホザいた、「貴様のネックレス、グッドね!アーハー?」。
その日は何か食べてみようとメニューを凝視し、大好きな「penne」と「tomato」のキーワードだけを頼りに注文したら、見た事もない代物が出てきた。
例のウエイトレスが云った、「待たせたわね!エンジョイするのよ!」。
想像したモノと色も味も違うモノでありながら量はざっと三人前くらいあった。君も一緒なら良かったのにと思ってしまう瞬間だ。
得体の知れん代物に躊躇し、胡椒などを駆使して粘ったが完食は不可能だと判断した。食べ物の写真を撮るのは抵抗があるが、元を取る為に撮る事にした。
そしてオマケに、例のウエイトレスにせめてもの礼を云うべく、なるべくは使いたくもない携帯電話を駆使して「ごちそうさまでした」の英語を調べた。情けない行為だ。
「it was delicious」、そう告げた時、まだ皿には大量の「penne&tomato」が残っていた。その辛うじての一言をウエイトレスは聞き流し、無視した。それまであんなに陽気だったのに。
文化が違うと分かり合えない事がある。そんな事は日本だけでも腐るほどある。
ようやく「Caffe Reggio」を抜け出し近くのライヴハウスに向かった。屈強な男達のブルースが始まった。そこでは文化の違いなどどうでも良かった。そんな類いは一気に突き破ってリズムで踊り一緒に唄えた。音楽に敵うモノなどないと思ってしまう瞬間だ。
そんな時、俺の歯は暗い場所でも分かるほどの緑色だった。バーカウンターを一人で切り盛りするアジア系のクールビューティガールに俺は云った、
「ヘイ!バドゥワイザー、もう一本」。