January 2018
January 30, 2018
ドリップデイズ '18
オレは今、久方振りにロバートジョンソンのレコードへと針落としたところ。
ジャケットの下には「1936年、ホテルの一室で録音」などと英語で書かれている。
はて、2018年を生きているオレは何をやっているんだろうってな心持ちにもなってくる。
冬が本気だ。寒いのとドンクサイのだけは嫌いだ。
雪が降るという予報が出ていた日の明け方、一日だけぶっ倒れた。冬の勝利なのかと思われたが、冬以上にオレだって本気だ。
15時間後、ようやく立ち上がり、窓を開けて外を確認し一人ごちた、
「オーシット!」。
近頃は猿小屋に閉じ篭っている。様々な実験をし、勉強には余念がない。
昔、息抜きに料理をしたり洗い物をしたりする人達に憧れていた。
集中するだけ集中して、ソレがようやく一段落した時に台所に立つだなんて正気の沙汰ではないと思っていた。
しかし2018年、何とこのオレもその感覚を完全に身に付けつつある。
スナック感覚で台所に立ち、珈琲をドリップし、ピッツァトーストなどをこんがりと焼き上げる。
それから作業を再開し、また集中力が途切れたなら洗い物をする。それからニヒルなあん畜生、冬に勝つ為のホットな味方、柔らかな武器、数々のニクい称号を独り占めして止まない「湯豆腐様」を拵える。
そんなこんなで知らん間に1月が逃げて行く。今やっている事は近々、全て実を結ぶだろう。
布団に深く沈み込み、西村賢太の本を読みながら眠るのが今の楽しみだ。
January 17, 2018
ブラザー '18
猿小屋の目の前、やけに背の高い黒人が道行く日本人に向けて叫んでいる、
「excuse me!excuse me!」。
それを無視して素通りするあん畜生達、それは何も「黒人だから」ってワケじゃない。ヘルプに答える自信がないからに他ならない。
困った時はお互い様だ。オレだって何度も異国の地で見知らぬ人間達に助けていただいた経験がある。
オールオーケー、その場に偶然お出まし果敢に近寄る英語力からきしゼロ野郎このワタシ、解決出来ない場合には最も得意とする「sorry! I don't know!」の一点張りで切り抜けるって魂胆で挑みにかかる。
「ブラザー!どしたん?」
ヤツはスマートとは呼べない機器を見せつけお構いなしの捲し立て英語でヌカす、
「すなわち、このバーに行きたいってワケなんだ」。
さて、そのスマートとは呼べない機器を断固スマートに取り上げ場所を確認する。
目的地のピンが立てられた場所、それは紛れもなく猿小屋のど真ん中だ。しかし、猿小屋が入ったビルにそんなバーはない。
「ブラザー、確かにこれは此処だ!しかし此処じゃないで!」とか何とか生粋の日本語でホザき再度画面を確認する。そんな時、ヤツは無論、純粋な「ホワッツ顔」だ。
間髪入れず告げる、
「おー!分かったぞ!これ、ピンの位置間違っとるで!な?この機器、スマートとは呼びたくないよな!ブラザー、この機器に相応しい名称一緒に考えようや。ところでオレ、今からライヴなんよ。来んか?ソウルミュージックって日本にもあるけぇ」とか何とか伝える英語力などからきし皆無野郎このワタシ、
ヤツを「アーイエー!」の一点張りでそのバーまでエスコートし辛うじて告げる、「this place!」。
そこまでずっと英語だったブラザーが去り際にオレに云ってくれるであろう言葉はやはり「thank you!」しか考えられないと踏み、返す言葉なら「no ploblem!」のみでスタイリッシュにキメようと思っていた。
目的のバーまで辿り着き、ブラザーは握手を求めてきた。その手を固く握り返した時、ヤツは生粋の日本語で云った、
「アリガト!アリガト!」。
不意打ち極まる日本語に「no ploblem!」って単語さえ吹き飛び叫んだ、
「アーイエー!」。
スタイリッシュってのは所詮、いつまで経っても板に付かないって仕組みなんだろう。
その直後、オレはステージで唄っていた。辿り着いたバーで小粋に呑んでいるであろうブラザーにも向けて。
「考え事をしてるからあんまり話し掛けないでくれ。だけど道を知りたいならいつでも俺に聞いてくれ」。
オレだって人として誰かの役に立ちたい。
無論、役に立てない場合は「sorry! I don't know!」、
人として、旅は続く。
January 08, 2018
浪漫 '18
オレは今、ウェスモンゴメリーからフランスギャルへとレコードを取り換え、針落としたところ。
「猿小屋」を銘打って2018.01.14で5周年。2013.01.14、「ダンス・ウィズ・ザ・ドキュメンタリー」の発売日。
01.14、それはお父さんの命日。あれが何年前の事だったか、今は思い出せない。
お母ちゃんからは年賀状が届く、「健康で平穏な生活が出来ます様に」。
今、存在する暮らしが一体いつまで続くんだろうかと、毎日毎日思っている。
フランスギャルが亡くなったらしい。バット、オレの中では永遠の10代。今後も生き続けていただけるに違いない。
久方振りに来月、ドサクサ紛れに福山へ帰る事にした。手ぶらで、本とメモ帳だけ携えて。
近頃は飛行機が安い。バスよりも安い。時代は変わり続けているらしい。
面白いのが下北沢から成田空港までが電車&バスで一時間四十分、成田から広島空港までがフライト一時間四十分、広島空港から我が福山スゥイートホームまでがバス&バスで一時間四十分って事だ。
何が何だか皆目見当もつかないが事実は二つ、オレは今、日本に居るって事と、お母ちゃんは今も其処に居るって事だ。
知らん間に髪の毛は伸び過ぎた。モミアゲは鼻に入れてもお釣りがくる。
今日なんて日はヘアゴムを買った。バナナチップスと一緒に。
お母ちゃんは云うだろう、
「アンタ何考えてんねん!ま、健康ならよろしいわ」。
「平成」って元号が2019から変わるだって?
オレは昭和、平成、その次を生きる輩になれるらしい。
ならば次は「浪漫」で決定でどうだろう?
「浪漫一年」、なんて刻まれた一円玉は使う事すら惜しくなる一品になるだろう。
ほんま、よろしいわ。
January 04, 2018
the bowling-strikers '18
何時間もTVの前に座っているのは不可能な性分であるが故、料理をし、珈琲をドリップしまくり、ギターを弾いていた。
三が日はスーツしか着ないと決めていた。実行した。寒かった。
無論、ネクタイは無しだ。煙草を買いに行く時も、電気屋を冷やかす時もスーツだ。
身が引き締まる。見方によってはただの馬鹿だ。どうでもいい。
真夏でも意地で革ジャンを着続けている心意気溢れる男女をたまに見るが、ああいう人達って最高だと思う。オレにはとても出来ない芸当。
「かっこ悪くてかっこいい、気持ち悪くて気持ちいい」、コレを地で行き貫くさすらいの精神には脱帽します。
年が明け、近くの酒場を流れ歩き、男にキスされ、し返し、そのまま初詣でに向かい、大吉を引いて集合写真なんて撮る。
映画を観まくり、落語を聞き、皿を洗い、そしてカーペンターズばかりを口ずさむ。
頭の中を完璧に整理し、何が必要で何が不必要なのかって事を整頓する。
まず今、最も必要なモノは大量の珈琲豆だ。
「今年も宜しく!」云う前に、宜しくしていただける様にするのはまず自らの力量だと思っています。
2018、懲りもせず何処にも存在しない自らだけのストライクを狙い続けるしか道はないでしょう。
平成30年だって?最敬礼。