April 2018
April 27, 2018
the レッドウィーク '18
「アンタほどややこしい男は知らへん」が脳内で何度もフラッシュバックする。
今日の昼間には37.9℃の熱があった。火を点けるタイミングを間違えたらしい。
久方振りに薬に頼った。そして平常心を装うべく、いつもより軽快な足取りで映画館に出向いた。
旅に出る前にやっておくべき事は、掃除機をかけたり、ギターやブーツを磨いたり、ハードケースやトランクを補修したり、レコードを片付けたりしておくって事だ。
明日の今頃には恵庭という町にいる。パイロットが腕利きの操縦をしてくれる限りは。
去年からずっと企んでいた事が明日から遂に始まる。
15日間14本の熱戦。すなわち、コレってそのまんま夏の甲子園に当て嵌まる。
愛すべき高校球児との違いがあるとするなら奴等は団体戦、オレは個人戦って事だ。君達に負けるワケにはいかないって仕組みだ。
北海道はまだ寒いらしい。火を点けて体温を上げよう。
April 13, 2018
2018 ロックの日
下北沢にCCOという店がある。今や、もう随分と付き合いも長い。この店での様々な出会いがなかったら、今のオレはまるで別の場所に居たかも知れない。
初めてこの店に出演したのは2009年1月14日。オレにとっても多分、初めてのワンマンショーだったと思う。
その時に貰ったギャランティを何か特別なモノに交換したくて、ギター型のネックレスを買った。そのアクセサリーは今も無論、オレの首にぶら下がっている。
その後、何度かライヴを重ね、親交を深めていたある日、当時の首謀者から「今から来い」と突然電話がかかって来た。
バンドでのレコーディングの話だった。そこには首謀者と当時の店長とオーナーも居た。あのソファでの会話は今も鮮明に憶えている。候補に挙がっているバックミュージシャンは百戦錬磨の凄腕ばかりだったし、状況を把握するまでにはかなりの時間を要した。
オレは素っ頓狂な質問を繰り返していた、「そういう話は他の出演者にもするんですか?」だとか「何故オレが?」だとかヌカしていた。
返事は「お前は馬鹿か?」だった。嬉しかった。
2013年1月14日、そのバンドレコーディングでの曲、他にも録り貯めた曲を収録した「ダンス・ウィズ・ザ・ドキュメンタリー」を出した。
それを機に、以前から名乗っていた「猿小屋レコーズ」って名を一気に全面に押し出す事にした。
「ダサい」「止めとけ」「馬鹿らしい」、色々な意見があったが、ありきたりの気取った名前は嫌だった。そして今、猿小屋といえばせーのでオレの名前が挙がるってな仕組みだ。ラッキーだ。
初めてCCOに出演した日から丸4年が経っていた。因みに「1月14日」ってのはお父さんの命日だ。拘りはいつだって頭の中にある。
さて、2018年のロックの日は、実は去年の末から既におさえてあった。
CCOは6月で11周年、オマケに猿小屋は5周年。ダブルアニバーサリーとしておさえるべき日付は6月9日でキマりだ。
当初、あれこれと色んな企画が頭に浮かんでは消えたが、結局は完全なるワンマンショーで演らせていただく事に落ち着いた。
CCOのステージに上がるのは何と丸2年振りです。首謀者も当時の店長も今は独立してそれぞれの店を構えています。しかし、オレにとってはまず「CCOがあってこそ」です。
チケット料金は出来るだけ控えめに設定しました。その分、沢山呑める様に。
ロックの日、沢山遊びに来て下さい。
DJはTatta、猿小屋からも沢山レコードを持って行きます。パーティしようぜ。
敬具。
https://akinoritaka-new-hip-moderns.jimdo.com/
April 09, 2018
ガリチュウ言及 '18
「ガリチュウ」という呑み物がある。酎ハイに寿司のガリを入れた呑み物だ。発祥は大阪らしい。
大阪に行く度、今度こそは呑むぞと意気込んでいたが、毎回ソレにありつく機会を逃していた。
旅に出る直前、3月いっぱいで店を閉めるという横須賀のneirocafeに出向いた。たかだか二回しか行った事がなかったのに、そこは気付けばとても大切な場所になっていた。閉まる前にもう一度、どうしてでも出向く必要があった。
そこにはたまたま「ガリチュウ」があった。オレは遂にソイツにありつき、次から次へと呑み干しながらグラスに沈んだガリをいただき、マスターと価値しかない与太話を朝まで続けていた。
さて、旅の初日は初めての街、四日市だった。 バスで名古屋へ向かい、名古屋から四日市行きの電車に乗り換えるスケジュールだった。
時間は充分に取ってあったが、そのバスが何と後ろからトラックに突っ込まれる事故に遭った。バスは4時間程度停車し、間に合うのか否かさえ不明な境地に立たされた。
お母ちゃんの口癖、「アンタほどややこしい男は知らへん」 が脳内で何度もフラッシュバックした。
ジャスト21時、滑り込みで会場の「JAZZSPOT VEEJAY」に辿り着いた。会場は満席に見えた。ロクな挨拶も出来ず、状況も掴めずその足でステージに立ち、5分後にはセッティングさえ済ませ颯爽と唄い出していた。
「これこそが真のチャックベリースタイルなのか」とか思いながら、歌詞だけは間違えない様に唄っていた。チャックスタイルを更に貫くとすれば「ステージを終えたならその足でキャデラックに乗り込み、颯爽と次の街へ向かうべきだな」とか思っていた。
しかし、残念ながらオレにはキャデラックどころか免許さえない。オマケに学も。ステージを終えたオレに出来る事ならただ一つ、この街に留まり、この街を落ち着いて知ろうと企む事だ。
午前3時、オレはようやく落ち着きを取り戻し、連れてきてもらった立ち呑み屋にいた。ついさっきまで知らんかった街が、既に大好きになっていた。
ふと壁を見るとでかい字で「ガリハイあります!」と書かれていた。「ガリチュウ」と断固同義に違いない。
即座に注文したオレに、横にいたミラーガールが問った、
「ガリハイって何ですか?」
「知らんの?お寿司のガリを入れた酎ハイや!コレがほんまに美味くてな。いやー、四日市にもやっぱりあるんや!嬉しいわ」。
さて、「ヘイお待ち!」と大将が右手で差し出してくれた「ガリハイ」にはグラスに丸々一本のガリガリ君がヤケに得意気なツラをして酎ハイに浸かっていた。
ミラーガールが笑いながら云った、
「全然ちゃうやん!」。
そこに恥ずかしさはない。「色々あるで!」と思っただけだ。
そして、この街が更に好きになったってワケだ。
April 06, 2018
風来坊ソング '18
19の頃、「馬鹿は相手にしないのさ」というタイトルの曲を唄っていた。
「腐り切った馬鹿共が俺の前をウロウロとしてんだ。面倒だ。馬鹿は相手にしないのさ」というサビだった。ソレを未だに時折、口ずさむ。
四日市、名古屋を経ての関西デイズ、計12日間の旅を終えた。ハイライトが多過ぎてまとめる術などない。
「話題には事欠かない男」、ソレが生きるテーマだ。その12日間の出来事だけでも一冊の分厚い本が出来るだろう。
その中で新たに出会えた人間達、旧知の仲間の中に馬鹿は一人もいない。いや、俺も含め皆底無しの馬鹿なんだろうが、馬鹿の種類がてんで違う。
すなわち、その中に、「いただきます」もロクに云えん様な馬鹿は一人もいないって事だ。
静かに喋っている時も、バァーと捲し立てている時も常に言葉は溢れている。
会いたい人間が沢山いてくれるからこそ生きていられる。
昨夜、敬愛する加川良大先生の命日で、下北沢で行われたトリビュートライヴに出向いた。
ラストのラスト、加川良生涯ラストライヴになってしまった日の、最後のアンコール曲の音源が会場で流された。勿論、本人もそれが人前で唄うラストになるとは思ってもいない、博多での音源だった。
周りからはすすり泣く音が聞こえてきた。オレだって泣こうと思えば存分に泣けたが、ソレより「なんでくたばりやがった!」ってな気持ちの方が強かった。
オレにもいつかはそんな日が来るだろう。ソレは間違いない。
2018、オレみたいな馬鹿でもやれる事は全てやろうと思う。常に八歩先の事を考えている。
次は怒濤の北海道15デイズ、ソレがたとえラストになったとしてもやるべき事はやる。
馬鹿で独自で粋で気狂いでクールな人間が好きだ。