June 24, 2007

急に色んな事を思い出した

2000年12月13日~14日、俺は寝台特急に荷物を山の様に積み込み東京へと出て来た。4畳半の部屋に転がり込み、俺はトランクスを一ヶ月間穿きかえる事なく過ごす生活をした。代えのパンツはあるにはあったが、そうした。そうしたかった。そうする事に魅力を感じた。ある日、スーツを着て警備の仕事に行った時、見ず知らずの人が俺の肩をはたいた。スーツに付いたフケをはたいた。はたいてくれた。あの人の気持ちがどんなだったか俺には分からんが、申し訳なさと嬉しさが同居した。東京に来て初めての夏、俺は扇風機もなく過ごした。扇風機を買うお金位は多分あった。扇風機を使わん夏に魅力を感じた。心配なのは体ではなく、ギターのネックが反らんかどうかだった。こんな事を書いて誰が得するとも思わんが、俺はその頃の事をとても宝に思っとる。現在、生活は以前に比べれば格段良くなった。シャワーがあり、扇風機があり、電気コンロがある。人はどこまでも欲張りになる。しかし俺はその頃の気持ちを一生忘れる事なく持ち続けたいと強く思っとる。

at 21:27│Comments(0)TrackBack(0)短編 

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
記事検索