June 18, 2009

東京にて前しか見ない

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ほんの一瞬でも気を許したら根こそぎもっていかれてしまいそうな危うい感覚、俺は今、何と闘うべきなのか。

皆が言うシックオンユー、バットしかし、それを真っ正面から受け入れたら何とも歯痒く情けない気分に追いやられてしまうんじゃないか、そんな気分の、我ながらややこしい精神の持主このワタシ。

ところで仕事場で何かとちょっかいを出してくるスーパーバイザーへ単刀直入、クールを気取って問いかけてみる、

「その感じ、俺の事嫌いじゃないでしょ?」

「どっちかと言うと一生付き合いたいね」


もはや腐れ縁なのか何なのか、文句を羅列しながら築く信頼関係、こんな類いが俺は断じて嫌いじゃない。

そして頭に思い描く男達、すなわち麗しのレコーディングメンバーには着実にアポイントを取り始める。

返事はイエス、断固イエス、オーケー、オールオーケー、俺は何一つ諦めてない。溺れてしまいそうになりながら、胃に穴が開く事も禿げる事も立ち上がれん程に体を壊す事もなく、どうやら丈夫に過ごしとるといえる。

やったモン勝ちの理論、もはや狂乱の全メンバーをさっさと発表して後には引けん状態を作り上げてしまいたい。そして気が遠くなる程の果てしないスケジュールを一つ一つ組み立ててしまいたい。

先日福山に帰った時、諦めの意味さえ解らず東京に戻るこの俺にお母さんが言ったぜ、

「これ五千円、お寿司食べに行けんかったからこれで美味しい物でも食べなさい」

バカヤロー、ふざけるのもええ加減にしろ、そんなモノを受け取ったら俺は完全に腐ってしまう。

俺はやりたい事をやる為に無茶を充分承知で東京へとやって来た。ヒートウェイヴの言葉を借りるなら「都会で理由のある反抗をする為に」東京へとやって来た。一人で暮らす母親を残してやって来たこの俺がまさか、そんな母親に頼るなんて恥ずかし過ぎて冗談の一つにもならん。ハナで笑って拒否反応の様に叫ぶ言葉、「お金なら腐る程ある、そんなモン要らんがな、先ずはアンタがそのお金で旨いモンを食べるべきだぜ」。

なんやなんや、尋常じゃない程の涙が溢れ出す。泣いたり怒鳴ったり喜んだり浮いたり沈んだり、さながら情緒不安定を引きずりながら俺はもう前しか見ない。

本日、誰かに聞いたぜ、

「優しさって一体どういう事だい?」

その意味さえ理解する事なく、俺はもう前しか見ない。

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近頃は写真を撮りたい気分、ジャケットから味から何からを愛してしまった上等ビール、ASAHI「The Master」。そしてその背後に見えますのは哀愁の明治いちごオレ、俺はもう前しか見ない。

取り乱す事も多々あるだろう、バットしかし、呪文の様にほざき続けろ、前しか見ない。

吐き出し続ける為の唯一の救いの手段、俺にはもはや「書く」しかない。



at 22:05│Comments(0)TrackBack(0)短編 

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