April 11, 2010
与太話の夜明け
擦り切れたブーツ同様、擦り切れた心でも引きずって駅に降り立った矢先、
いつもとは逆方向の階段を無意識の内に上って向かった。
何処へ?
そんな問いは今や野暮、レコード屋だ。
レコード屋、こう書いて「駆け込み寺」と読む。
近頃は以前にも増して通称「掘りたい」、すなわち、お金もないのに漁りまくりたい気分だ。
探し求めて止まないレコードが掘り当てられなくとも他のモノが顔を出す、
そして良質盤を二枚掘り出しボトルコーヒーを抱えて家路につけばドアの隙間には不在票、
何の?
そんな問いはもはやモグリ、レコードのだ。
滅多に手を出さない通信販売を駆使して送られてきた大阪行きつけ「タイムボムレコーズ」からのロックンロールレコードだ。
俺はコレクターではない。
俺はレコード屋では働かない。
好きな事でお金を稼ぐなんて夢の話、絵空事なのかも知れない。
無論、面接に出向いた事はある、
問い合わせを繰り返した事もある。
バットしかし、この問いは俺の気持ちを萎えさせるには充分事足りるモノだった。
「今まで買ったレコードで一番高いのはいくら?」
オーベイビー、俺はコレクターではない。
「はい!72000円です!!」
こう答えれば俺は採用されたのか、それならこちらから願い下げだ。
高いレコード、高い服、それを持っているかいないかであらゆる基準が決まるなんて真っ平御免の類い、
安いレコード、安い服、それでいて「その値段でこんなヒップなモノがあるのかい!」、
要するに選曲とセンスの話、そして一級ロマンの話、
そこらに蔓延る二十二番煎じセレブリティ気取り姉ちゃんにこんな話は永遠に伝わらない。
どちら様からの逆ヒップ極まるコメントが焦燥たるフラッシュバック、
「ナルシシズムに浸るのも良いが程々にな!」
一体何なんだ君は、
まったくもって「僕は指を咥えながら陰に隠れて見てるだけです」と同義語にしか見えない。
後ろから人を刺すの「だけ」が得意なタイプと同類と捉えて何ら差し支えないだろう。
人に好かれようと意図的に何かを企むという機能が圧倒的に欠けている男このワタシ、
よって君は俺の事を永遠に毛嫌いしてくれて一向に構わない、むしろそれを望みたいくらいだ。
おっと、オマケにもう一つ、どちら様からの逆ポップ極まるコメントが疾走たるフラッシュバック、
「お前は欠落した人間だ、ようやく気付いたのか!とことん残念な人間だぜ!!」
一体何なんだ君は、失礼なんだよ×11509。
秩序って言葉の意味、特別に教えてやっても良いぜ。
こんな与太話を毎日律儀に読み漁ってアラを探す時間があるなら、
その時間、もっと他に割いた方が良いぜ×696(ロックンロール)。
明日はウォンテッド・レコードについて一編書く、俺は好きな事を勝手気ままに書き殴っているだけだ、
迷惑をかけた覚えも悪い事をした覚えもない、アラを探したいだけなら直ちに読むのは控えた方が良い。
バットしかし、残念ながらこちとら、煙たがられる事にはそこそこ慣れてしまっている始末、
脳ミソにこびりついてしまったトラウマをきれいに洗い落とす洗剤として、
ステージ、レコード屋、古本屋、旅、お姉ちゃん、エトセトラ、
充分過ぎる程に存在するから寛大な心でもって君を許そう。
亡くなったセックス・ピストルズ/マネージャー、マルコム・マクラーレンに心の花束を、報われない精神に光を。
P.S
俺はパンク出身ではない、チャゲ&アスカ出身だ。
忘れたらいけん事は忘れないで。