November 02, 2010
自作自演屋 ’10
無駄な言い争いが嫌いで、価値観の異なる輩と殴り合うなんて無意味で、
いつからか厚い壁をこしらえて、無闇に人を近付かせる事を止めた。
そしてそんなスタイルがあまりにも板につき、
チンピラ、ヤクザ、一匹狼、
はたまたウサギちゃん、赤ちゃん、
あれやこれや好き勝手に呼ばれる様になった。
それはある意味、自らが仕掛けたファッキン役者魂、
「アンタ、生きるの大変ね」、これは素晴らしい褒め言葉だと思った。
あるヤツは去り、あるヤツは去らせ、そして心許せる仲間と呼びたい人間同士だけが残った。
出会いなど求めない、そんな類いは気付けばそこにあるモンだ。
誰とでも仲良く出来る人間を羨ましくも思ったが、その倍、俺には所詮性に合わないと思った。
中身のない付き合いにヘラヘラと精を出せる程、残念ながらそんな安い幸せ狙ってない。
いくら敵が多くとも、誰からも愛されたいなんて考え出したら直ちにお終いだ、
そして味方ばかりになったりしたら、俺はどうせ違う場所を探すだろう。
相棒なんて俺が選ぶ、逆もまた然り、心変わりを責める権利なんて誰にもない。
どうしようもなく一人が好きで、いつからか二人以上で過ごす事を奇跡と思う様になった。
いつかファッキンジョブを終えた帰り道、抑え切れず渋谷駅構内で暴れた事があった。
誰に怒りをぶつけて良いかも知らず、ただただコンクリートに跳び蹴りを繰り返し、ライターを投げつけていた。
傍には女がいて、「何も出来なくて御免ね」と呟いた。
壊れたライターの破片を拾いながら、「なんでコイツが謝るんだ」と思った。
口も利かずルート・スゥイートホームを歩いた。
厄介と迷惑をかけたくないなら一人になるべきだと思った。
そして耐え切れず女は去った、それは抜群に正しい判断だった。
経験と茶番を積み重ねて、俺は遅ればせながら優しさを知った。
一つだけ唱え続けている事がある、
誰の記憶にも残らず死んで行くより、せめて「アイツは一体何だったんだ」と思わせてやる、
俺の中で最低限当然のエチケットが誰かの胸に響き、そして永遠に刻まれ続ければ良い、
それだけで充分に幸せだといえる。
ゴッホ展とボブディラン絵画展、
場違い六本木タウンを俺は一人で、はたまた奇跡と共に歩くだろう。
BGMは「アウト・オブ・マインド」、名言の数々に脱帽を。