November 05, 2010
トランク・ファッキン・ビューティフル ’10
久方振りに自らの怒鳴り声で目を覚ます、相も変わらず夢と現実の違いがイマイチ分からない。
以前、名古屋の格安ホテルのベッドで意識もないまま夢の中でのた打ち暴れ回り、
「寝てる時まで怒っているんだな」と呆れていた愛すべき男の顔を思い出す。
いつか、受け取った言葉を根こそぎ掻き集めて読み返したい、
それはエゲツナイ程の罵声でも胸躍る一言でも何でも良い、
誰からも愛されたいなんて考え出したら直ちにお終いだ。
ツナギを着てトイレットと風呂をキュキュッと磨き上げ、スピーカーからは床を揺らす程のボリュームでロックンロール、
電気代も部屋代も水道代も未払いのままに踊る。
散歩がてら小粋なトランク屋駆け込み、あまりにもイカすポンコツと出会う、
「これは一体いつ頃の代物でしょう?」
「昭和20~30年代、こんなのは本当に好きな人しか買わない」
職人気質のハイカラおっさんと与太話、電気代も部屋代も水道代も未払いのままに気分は既に「買い」だ、
すなわち、イカすトランクには断固目がない有り様。
「これは日本製?」
「えぇ、頑丈な作りで、ほら!旅か何か?」
「本当に好きな人」がこの俺だとしたら、俺はあのポンコツを一目散に手に入れ、
そして何より大事そうに抱き締めてニューヨークへと向かうだろう。
以前、鼻水凍る博多タウンで、「アンティーク職人の方ですか?」と突然尋ねてきた女の顔を思い出す、
いつか、受け取った言葉を根こそぎ掻き集めて読み返したい、
ポッピン顔にて俺はどうせ答えるだろう、「いいえ、単なるロマン派側のボンクラです」。