June 29, 2012
20歳の捻くれた俺が今を見ている ’12
'12.6.24(日) - 6.25(月)
ファッキンジョブを終え、ハイカラ恵比寿タウンまで歩く。
胸中を爆発させながら、現実を噛み締めながら歩く。
俺は今日、あの男と待ち合わせをしている、
20歳の頃、風呂無玄関トイレ共同「ガタボロアパート」とさえ云い難い蚤小屋で読み漁った詩人と待ち合わせをしている。
満を持して、逃げはせず、駅に着いたら頃合いを見計らい電話を鳴らす、
その行為一つずつがヤケに俺を奮い上がらせた。
少なくとも俺にとっては、信じ難い事がまた一つ起ころうとしていた。
アイスコーヒーを飲み干しながら吐き出さんばかりのバクドキ具合でその瞬間を待ち、遂に目前に偉人は現れた。
「おー、久し振り!」、
握手を交わす、俺は平常心を決め込めずの引き攣り笑顔と化す始末。
やむを得ない、目前に現れたのは紛れもない、三代目魚武濱田成夫張本人だ。
場所を移動し、朝まで8時間8分、その8時間2分を二人きりで笑い続けて過ごした。
チェルシーホテルの話、ボブディランの話、アレンギンズバーグの前で朗読した時の話、トムウェイツの話、ゴダールの話、
ウディアレンの話、高校の話、ブコウスキーの話、ライフワークの話、詩の話、フォーク喫茶の話、煙草の話、フジロックの話、
全ての事を書き綴るなんて土台無理がある。
「若いのによー知ってんなぁ!周りの連中分からへんのちゃう?」
「趣味よー似てんなぁ!」
偉人はお酒も呑まずただただ嬉しそうに話し続けた。
そして俺はウーロンハイを呑み干しながら酔いもせず喜び続けた。
何故、俺の事を覚えていたかを率直に聞いてみた、
「ソレはこっち側の人間やからや」、
俺は酔いもせず喜び続けた。
調子に乗って要らん言葉を一つだけ吐いた俺を、偉人は違う話で誤摩化してくれた。
「コレ持ってる?コレ持ってる?ほな、コレあげる、コレもやで」
本三冊とCD一枚をいただいた。
便所に駆け込み鏡に映る自らに問う、
「おい、何が起こっとる?フッハッヒッ」。
朝、プラットホームで何本もの電車を見過ごしながら、まだ話は続いていた、
そして「また会う約束」をして別れた、
「おおきに、ありがとう、おおきに」。
眠る気などある筈もなく、昼からのジョブを無理を云い朝からに変更してもらい、その漲る力のままに、俺は断固フワつきながらジョブをこなした。
「生きていると何が起こるか分からない」、こんなダサく甚だ聞き飽きたかに思える文句を身を持って実践、
俺が今、31歳なら、20歳の頃の俺みたいな輩に一丁前に伝えてやろう、
「こんな感じで世界は変わる」と。
40歳になった時、今の俺をハナで笑える様に、俺は今、世界を変えてやりたい気分で。