April 06, 2017
the AT's Uncrowned King '17
そうです、それが運命でしょう
気にすることじゃありません
生まれて死ぬまでつきまとうのは
悩みというものだけなのですよ - 加川良 -
夕方に目覚めた瞬間、まず目に飛び込んできたのは加川良が亡くなったというニュースだった。
「ワタシに影響を与えてくださった男」ランキング紛れもないトップ5、病に死すってか。まるで笑えない。
去年2月、「ラブソング」という曲を初めてカバーした。場所は博多だった。
オレもそろそろ、この詩を心から理解して唄わせていただいても良いだろうなどと勝手に判断した。
北の果てから南の町へほっつき歩いて
なんと云われようとやめられないんだ
やめられないんだ
去年6月、下北沢で久方振りにライヴを観た。それは2016年度のマイベストアクトだった。
氏がその「ラブソング」を唄っている時、歌詞を思い出せない表情のままに間奏が長い事続いていた。
客席側から、その思い出せずにいるのであろう部分を唄い出したオレに氏が云った、「ありがとう」。
あれが最後になってしまった。腰を据えて話せる日が来ると勝手に判断していた。
奇しくも高田渡が死んだのと同じ4月に、69にして氏は死んでしまった。
おまわりさん、早く来て
悪い奴等をつかまえて
ロックンロールがやめられないんだ
悪い奴等をつかまえて
思うに、1970年代末までにほとんどの手法はやり尽くされた感がある。
後追い世代はそれ等を如何に巧みに現代に蘇らせるコトが出来るのか否かに過ぎない。
加川良同様、敬愛して止まない松本人志が語っていた言葉がいつだって耳から離れない、
「ガムがあって飴がある。飴の中からガムが出てくるという合わせ技は出来るが、単体のものは既に出尽くしている。それを分かった上で遅れて来た世代は新たなものを生み出していく必要がある。それが遅れて来た世代の宿命だ」。
芸事にもそれはそのまま当て嵌まる。
関係が崩れ、先駆者が死に、「私、妊娠したの」と久方振りに連絡を取った女が囁き、友人は両親を失い、行方不明のヤツは行方不明のままで、オレだけが何も変わらずに此処に居る様に思う。
正義が何処にあるのかも知らんままに。
先日、行方不明のままの友達にオレはメッセージを送った、「まずは生きといてくれ」。
返事はなくても別に構わない、いつかおどけて出てきてくれたならそれでいい。
後悔先に立たず、これも先駆者達が教えてくれた言葉だ。
久方振りにお母ちゃんに電話しようと思う。