August 10, 2017
ニューオリンズ・ビバップ・ポエム / 2012
メンフィスから出る列車は早朝6時45分発
目的地は終着駅ニューオリンズ、ブギウギ胸中
座席を二つ確保してファットガールに目で合図
俺ははるばると東京からやって来たんだよ
トランクに頭を預けてようやく周囲を見渡せば
新しい世界に飛び込んでいる事を自覚する
心配する事は何も無いんだと景色を見渡せば
俺はこの上ない喜びを抑える事が出来なかったよ
車掌が遂に呟いた、「ネクスト・ストップ・イズ・ニューオリンズ」
ニューオリンズに到着したのは15時22分頃
プラットホームに足をつけた瞬間に聴こえてきたのは
誰かが吹いているトランペットのファンファーレ
まるで俺みたいな男の事でさえ歓迎してくれている様だったよ
一目散にその音が聴こえる方へ向かって
バーボンストリートに辿り着いた
ニューオリンズに到着して僅か30分、バーテンダーが目で合図
俺はタンバリンを渡されてバンドと一緒にステージに立っていた
ガムテープの貼られたサックスを裸で抱えた男とすれ違う
歓迎してくれているのはきっとこんな男だ
電信柱に凭れてヤツが自然に吹き出した
俺はこの街を天国って呼ぶ事にしたんだよ
空からシャボン玉降らすヒッピーを眺めながら流し込むガンボ
俺はこの街を天国って呼ぶ事にしたんだよ
メンフィスで手に入れたギターを抱いて大通りに出た
俺はサングラスをかけて街中で日本語を響かせた
黒人と白人に届く様に
人種差別がなくなります様に
奴等は物珍しそうに眺めていた
恐かったのでサングラスは外さずに数曲を捧げた
路面電車の乗客に
そしてこの天国に
--------------------------------------------------------------------------------
メモ帳から突然発見されたポエム。重要なのは興奮を止めない事だ。
ガムテープの貼られたサックスを裸で抱えたあの男にもう一度会いたい。