April 18, 2019

フィッシンオンライフ '19


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まだ「夏」と呼ぶには早いのか。この冬「寒い」と吐いた回数なんと二千強、使い古しの言葉はええ加減、海に投げ捨てろ。定型文なんてロボットでも吐ける。

4月上旬、山口県周南市は25℃近くあった。「暑い」とホザく時が遂に来たのかと思った。移動の合間、相棒の下原元気と釣りをした。

一人旅と一人じゃない旅との違いはただ一つ、より自由になれるのかなれないのかって点だ。

ソレは気心知れた人間とじゃないと成り立たない。南の方へと旅に出て、途中で北九州のアレンギンズバーグ、下原元気と合流した。

ヤツは2006年頃、東京は三軒茶屋のライヴバーで知り合った。ブランクが10年近くもあったが見事去年再会し、ポッピンな関係は今も続いている。音楽と人間性のオカゲだ。

ヤツはまるでオレとは真逆の性分だ。どうやら血液型はオレと同じA型だという。カテゴライズなんていかにクダラナイ事柄かってのが手に取る様に分かる。

ヤツの釣り竿は15000円で、オレが借りたのは1500円のモノだった。玩具みたいなルアーに玩具みたいなリール。

釣るコトが目的ってよりも、ただ雰囲気を楽しんでいた。そして胸中は穏やかの最先端だった。ただただいい時間を過ごしていた。

次の日、チェックアウト後、次の街へと向かう前にオレは云った、「もう一回、釣りをする時間はあるかい?」、

そして前日とは違うスポットへと出向いた。「お前、ほんまにこのルアーで釣ったコトあるんか?」と聞いた直後、ヤツは得意気な顔で魚を釣り上げ、そして直ぐに海へと返した。

そのクールで無邪気な仕草を羨まし気な顔で眺めた。「そろそろ行きましょう」と満足気なヤツを尻目に「もう一回だけやらせてくれ」とせがみ、最後に垂らした糸へ遂に魚が喰い付いた。

あの瞬間の快感こそ生きている理由だ、とかヌカすと大袈裟だが、実際そうなのかも知れない。オレはクールな仕草を真似て、釣り上げた名も知らん魚の目を見て云った、

「おー、痛かったよな」、そして直ぐに海へと返した。名も知らん魚は泳げる喜びを感じている仕草で海の底へと消えた。

記憶に残るいい時間だった。その時、脳内ジュークボックスからは釣りにまつわる曲が何曲か回っていた。

来週からまた旅が始まる。「暑い」って言葉なら二万回吐いたって苦にならない。

生きる上での目標があるとするならただ一つ、ロボットにだけはなるなってコトだ。型にハマった奴等の指図こそ悪の根源だ。

とにかく死ぬ前に、「暑い」ところで会おう。


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drecom_eroom5session at 09:33│Comments(0)│ │散文 

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