AMERICA
December 19, 2010
hot coffee please,in NEW YORK CITY '10.12.13-12.18
19歳の俺に、22歳の俺に、26歳の俺に、28歳の俺にこの全ての体験を話したらヤツは心底羨みながらこう呟くだろう、
「まったくもってイカす」×1213、
団体やツアーで旅に出といて「これは修業だ」などと一丁前に洒落込める程に俺は頭イカれてもいない。
香港&マカオの旅や日本国内の旅とは明らかに達成度が異なる胸中、
日本語を封印し、全て一人で、地図だけを頼りに、国籍も人種も言葉も超えて、
ガタボロブーツがいくら足を締め付けても端から端までイヤラシイ程の速度で歩き続ける。
たった6日間で全てを塗り替え、8ランクどころか16ランクアップの成功者このワタシ、
この旅は紛れもなく今後に繋がるパーフェクトに限りなく近い旅だ。
一番耳にしたワードは「Merry X'mas!!」、
クリスマスなんてまるで好きじゃないし一切関係ないと思っていた、日本にいる限りは。
でも奴等は違う、意味を弁えた上で心底クリスマスを祝っている。猿真似天国日本のファッション感覚とはまるで訳が違う。
クリスマスがどうしようもなく愛おしくなった、少なくともニューヨークにいる限りは。
一番口にしたワードは「hot coffee please,no sugar black!!」、
国籍も人種も言葉も超えて通用する世界共通言語はもはや「hot coffee please」に他ならない有り様。
スターバックスなんてまるで好きじゃないし一切関係ないと思っていた、日本にいる限りは。
でも奴等は違う、心底コーヒーを欲している。猿真似天国日本のファッション感覚とはまるで次元が違う。
スターバックスがどうしようもなく愛おしくなった、少なくともニューヨークにいる限りは。
空港から地下鉄でマンハッタンに降り立ち、階段を上って一番最初に飛び込んできた光景はエンパイアステートビル、
エンパイアステートビルなんて二の次だと思っていたのに目に入れた瞬間、確かに歓喜で気が狂いそうになった。
チェルシーホテル902号室にチェックインし、ベルボーイにチップを渡して広々としたベッドにトランクを置いた時、
とても興奮抑え切れず口からスゥイートハートを根こそぎ吐き出しそうになった。
誰かの旅行記も得意気な自慢話も要らない、全ては見て体感してこそだ。
凍える雪の中、危険も知らず、細心の注意と最新の八割増し我が物顔を駆使して真夜中まで歩き続け、
ジャズクラブ、ライヴバーを6軒ハシゴし、根付いた文化の違いを目の当たりにする。
地下鉄構内のブルース弾き、トロンボーン吹き、電車内のチェロ弾き、
ジングルベルを唄いながら小銭が入った紙コップを鳴らしておどける浮浪者。
どの角度から見ても異邦人のボンクラに道や切符の買い方を尋ねてくる外国人、
日を重ねる内にイカサマながら英語が話せる様になってくる感覚、いくら失敗を繰り返しても今より悪くはならない事実、
世界の扉を確実に個人の足で切り拓いた感さえ漂う昨今の狂乱事情。
ニューヨークに出向く直前に連絡を入れたハイカラお姉ちゃんがほざいた、
「さすが、本当に実現させるんだね!」
所詮こちとら地球の一住人に過ぎない、どうしようもなくしょうもない事柄も小さ過ぎる揉め事も金輪際ノープロブレム事項、
まだまだ果てしなくドデカイ事をやらかしたいと企む昨今のブギウギ胸中、
徹底的な差で、圧倒的な個人戦で、口だけ阿呆のヌカす事など永久追放、旅は死ぬまで終わらない。
コツと感覚と教養は6日間で充分に得た、所詮こちとら地球の一住人に過ぎない、
次はハードケース担いでメンフィス&ニューオリンズ、俺はボヘミアン精神とロマンにだけ忠実なあん畜生、
理解出来ない輩には生涯到底理解出来ないやり方で切り拓く。
New Hip Modern Soul Roman Birthday '10.12.13(mon)
’10.12.13(mon)
あまりに長い30回目の誕生日、15:05発/13:50着デルタ航空ニューヨーク直行便、
「1980年12月8日/ジョン・レノンのいちばん長い日」を読み耽りながら12時間45分のエコノミートリップ。
12時間45分、東京-博多間の高速バスとほぼ同タイム、すなわち「地球なんて実は狭いぜ」などと洒落込む30。
JFK空港降り立てば、まったくもって言葉と知恵を持たない生まれたての子どもと同義のファッキン野郎と化しながら、
執念の「またしてもNYに舞い戻って参りましたよ顔」だけは損なわず税関を通過する。
仕組みもシステムもマンハッタン行きの電車の乗り方もまるで弁えず、
どうにか回転バー式の改札を潜り抜けようとした矢先、トランクが引っ掛かり回転バーだけが回り、
こちとら押しても引いても上げても下げても出られない始末。
早速困り果て改札の黒人姉ちゃんに歩み寄る、「Hey!これ引っ掛かっちゃったんだよ!」
黒人姉ちゃんは苦笑い極まる「このド素人が!顔」にて手動で回転バーを回し、
俺はその九倍の苦笑いにして「いやーしかしNYも変わったなぁ!顔」だけは断固損なわず改札を突破する。
地下鉄では黒人浮浪者が小銭の入った紙コップをジャラジャラ鳴らして小粋な唄を歌いながら車両を徘徊し、
マンハッタン辿り着き34丁目の階段を上ったらエンパイアステートビルが堂々と突き刺さっている様を目の当たり、
「おいおいキトるやないか!」などと盛大に感極まりながら、「やはり12月のNYはいつ来ても良いなぁ顔」だけは辛うじてキープする。
エゲツナイ寒さの中、夢にまで見たボヘミアンの聖地と呼ばれて久しき「チェルシーホテル」看板を発見し、
「これは完全にキトるやないか!」などと胸中丸ごと爆発させながら、「今回もまたここに泊まるのか!顔」だけは必死に取り繕う。
鍛え上げたつもりのイカサマ英語もいざとなれば「OK」しか出てこない有り様、
たとえベルボーイが「貴様、マリファナ売人か?貸せる部屋など一つもないぜ!」などと流暢な英語で捲し立てていたとしても、
俺はきっとこう答えただろう、「yeah,OK! thank you please!!」。
902号室に入ればあまりに広い部屋に歓喜、一通り部屋の説明を受け、「OK!」と「thank you!」を繰り返した後に尋ねる、
「smokin cigar OK??」
一人きりで余裕の一服をキメながら、「最初から全てスタイリッシュにやれる奴などいない」と言い聞かせ、
失敗と失態を繰り返しながらもまずは闘う事を選んだ俺を褒めてやりたい衝動に駆られる、いつか全ては茶番話に変わる。
タイムズスクエア「B.B.KING BLUES CLUB&GRILL」、
「tonight show OK??」でビートルズモノホンカバーバンドに22$、
根付いた音楽文化に触れ日本との歴然とした格差とライヴハウスシステムの違いを一目で確認。
タイムズスクエア周辺徘徊、アメリカンキングサイズのノートブック手に入れ我が愛しのチェルシー902、
アメリカでも有効な天下のスナック感覚を駆使してメモを書き殴り、疲れ知らずで再び街へ飛び出せば雪の中、
道中で「hot coffee please!」でコーヒー手に入れ遂に向かうグリニッチビレッジ「Village Vanguard」、
バドワイザー流し込みながら伝説のジャズバーで果てしなく酔いしれる。
雪を踏みながら写真を撮りまくり、道中で「hot coffee please!」でコーヒー手に入れ、
そいつを飲み干しながら以前、「アンタはどこに行っても大丈夫だよ」と呟いた相棒の顔を思い出す。
通常の八割増し我が物顔だけは決して忘れず真夜中に我が愛しのチェルシーホテル帰宅、
たった一日でコツと教養と風貌さえ得た感さえ漂わせ、今や至って流暢な英語で告げる、
「please,nine zero two key!」
余裕をかまし、冷え切った体と痛めつけた足を熱湯シャワーで温めてやろうとするも捻っても擦っても一切お湯が出ない。
毛布をきつく抱き締めて眠る、スタイリッシュは板につかず。
December 21, 2010
ニューヨーク・サブウェイ・ブルー ’10
地下鉄の構内でブルースを弾いてる奴がいる
誰も気にしてないけど、誰も聴いちゃいないけど
しがない旅人の胸にその音突き刺さる
地下鉄の構内でトロンボーン吹いてる奴がいる
冷えた体を丸めて、ハードケースを広げて
その中が綺麗な金で埋め尽くされる日を夢見てる
地下鉄の車内で、或いは浮かれた西4丁目付近で
やけに陽気な浮浪者がサンタクロースの帽子を被って
「ジングルベル」を唄いながら小銭を掻き集めてる
紙コップに入れられたその小銭でリズム取りながら
やけに陽気な浮浪者がサンタクロースの帽子を被って
寒さを誤魔化しながらクリスマスを祝おうとしてる
「ジングルベル」を唄いながら
哀しみをおどけて演じながら
紙コップが綺麗な金で溢れる日を夢見てる
地下鉄の車内でチェロを弾いてる奴がいる
まるでこの世界はただ俺一人の為にあるんだと
何食わぬ顔立ちでその精神突き付ける
ところで俺はポケットから適当なドル札を
引っ張り出して奴等の胸の奥に押し込んだ
それはファッションだとかそんな安い意味合いじゃなくて
いつか胸の奥深くまで温まるのを願いたいから
ハードケースと紙コップに溢れる夢を見てるから
地下鉄の構内で、溢れ出る感情でもって
名もない旅人にその精神突き付ける
ニューヨークで何より目を奪われ感銘を受けたのは、
銀座や六本木の如き高貴な雰囲気漂うタイムズスクエア周辺でも自由の女神でもなく、
道化を演じるやけに陽気な浮浪者の誇り高き姿勢とライヴバー&ジャズバーに紛れもなく根付いている文化だ。
帰国して即座に書き上げた詩と曲はブルースとかいうヤツ、
俺ってひょっとして底知れぬ程に音楽を愛して止まない男代表格なのかも知れないと改めて気付く。
以前誰かがヌカした、「アンタの詩は弱者への唄だ」、
タイムズスクエアのさぞかし輝いた光景よりも浮浪者の詩が何より先に自然の内に生まれた事実に歓喜する。
ライヴバー&ジャズバーでは5ドルや10ドル程度で良質な音楽があちこちで鳴り響き、
客は音楽を肴に呑みまくり、その音楽がイカせばイカす程に盛り上がり出す。
シラけた日本の雰囲気だとかノルマシステムだとか何だとか、そんな類いはもはやハナで笑うしか手立てがない始末。
今は次の旅の事しか眼中にない、3月4月には再度アメリカを訪れたい、
気負う必要さえ消えた今、ロンドンよりもフランスよりもまずはもっとアメリカを知りたい、
すなわち、頼りは世界共通のスナック感覚に他ならない。
そしていつか必ず俺は何かしらの事業を起こす心意気、
恋人だとかどうしようもない輩だとか何だとか、そんな類いは八の次で良い、
俺は何とも競わない、完全に燃え尽きていつか必ず死ぬだけだ。
昔の興奮と今の衝動を合わせてロックでストンプでも踏んだら新しい事出来そうな気がするわ
我が愛しのマリーの名言に夢を。
December 26, 2010
fuckin yellow monkey '10.12.14(tue)
'10.12.14(tue)
AM8:00、目覚ましの昭和歌謡が鳴り響く前に疲れ知らずで飛び起きる。
腕時計は22:00、俺は14時間ジャストの時間を巻き戻し、チェルシーホテルのベッド内でその事実に歓喜する。
騙され半分で蛇口を捻れば遂に溢れ出るホットウォーター、ここぞとばかりに浴びるだけ浴びて外に飛び出す。
早朝のグリニッチ・ビレッジ、ボロなダイナーで「hot coffee please」の発音を完全にマスター、
勢い余ってさぞかしアメリカンキングサイズなドロドロと辛いバーガーの類いを勇んで平らげようと企み告げる言葉、
「bacon cheese burger please!!」
合計2.18ドル、あまりの安さに驚愕するも差し出されたのはべっとりと甘いベーグル、
スタイリッシュは板につかず、引き攣り笑いでそいつをノーシュガーコーヒーで流し込む。
早朝のグリニッチ・ビレッジ、ボブ・ディランのジャケット、ウディ・アレンの映画風景、ボヘミアンの溜まり場、
手が凍る寒さの中で歩きまくりながら一人の喜びをエゲツナイ程に噛み締める。
小粋なレザー屋駆け込み「hi!!,手袋ある?」、
いくら手が凍ってもイカしてない手袋には「sorry,no thanks!」、
一丁前なハッタリ英語でその場を切り抜け一旦チェルシーホテル引き返し蛇口を捻るも出ないホットウォーター、
地下鉄飛び乗り72丁目、一目散に向かうダコタハウス、ストロベリー・フィールズ、全ては存在する場所、
ジョン・レノンに両手を合わせて、セントラルパークでは馬が歩いている。
口ずさむのはMr.Children「十二月のセントラルパークブルース」、
この生粋の名曲を延々と唄いながらその足で辿り着くメトロポリタン美術館、
写真で見た光景が次から次へと目の前に飛び込んできて、危うくスゥイートハートを丸ごと吐き出しそうになる。
一旦チェルシーホテル引き返し蛇口を擦るも一向に出る気配無きホットウォーター、
地下鉄飛び乗りロウアーイーストウッド、古着屋徘徊、CBGB跡地探し、
「Side Walk Cafe」にてCCOマスターに紹介してもらった南謙一氏ライヴ観賞、
「日本でも会った事ないのにね」
久方振りに日本語を発す感覚、
corona&B.L.Tをオーダーし遂にお出ましのアメリカンキングサイズ振りに狂乱、
危険な匂い漂うストリートを八割増しの風来坊気取りで駆け抜ける。
朝から晩まで歩き続け冷え込んだ体を温めようと蛇口に祈るも一向に溢れ出ないホットウォーター、早朝の幻、
呟く言葉は「oh!shit!!」、二日目にして本気で自然と英語が口から吐き出されてくる。
夢の暮らしのど真ん中で毛布をきつく抱き締めて眠る。
April 01, 2011
'11.3.31 In Los Angeles Be-Bop vol.1
大阪に出向くのもハリウッドに出向くのももはやどうだって良い、
そこに通天閣があるか、かの有名なハリウッドサインがあるかってだけの地球上の話だ。
時差はどうやら−16時間、現在時刻は3/31ジャスト15時、
まるっきり夏の匂い、UVが颯爽と溢れている真っ昼間。
此処は何処だ、ハリウッド大通りのイカすモーテル、
グラサンにイカサマポマード、ハッタリ英語で全てを突破、
バスにでも飛び乗り何か冷たいモノでも手に入れよう。
ところで俺の愛車は定位置に戻してあるか?
見かけたら直ちに連絡をくれ、
俺はハリウッド大通りのイカすモーテルからヤツの無事を祈っている。
'11.3.31(thu) 15:00 in Los Angeles,
'11.3.31 In Los Angeles Be-Bop vol.2
TATTOO SHOP、SMOKE SHOP、BARBER SHOP、
街はそれらの看板でひしめき合っている。
ヤケにだだっ広いハリウッドの大通りを歩き彷徨う。
俺はニューヨークの方が性に合う、一丁前にヌカそう。
横からファットなおっさんがあまりに急に声を掛けてくる、
「Yeah! Nice Boots!!」
「Oh! Thank You Brother!!」
そして俺のブーツには熱さで溶けたバニラクリームがこびり付いている。
どうやら治安が悪い、特に我が愛しのイカす格安モーテルの住人。
何かを企んでいる様に見える、狙いは煙草の様に思える、チンピラが絡んでくる。
こんなところまで来ても悶着は消えないモンなのかと甚だ溜息、
薄気味悪さと同時に、その「悶着」を経験したら一体どうなるのかという感情も確かに抱いている俺は、
天下のロサンジェルスシティでかの有名なハリウッドサインに届く程の金切り声で叫ぶ事になるのかも知れない、
「ファッキンお前、ファッキンあーコラ、お前、あー%$=^<?@¥¥%6$$!!」。
気を付けなくちゃいけない、万国共通の阿呆に殺されるのだけは願い下げだ。
'11.3.31(thu) 23:27 in Los Angeles,
April 02, 2011
'11.4.1 In Los Angeles & Santa Monica Be-Bop vol.3
性懲りも無くお湯は出ない。
モーテルの支配人に告げる「no hot water」、
やっこさんは俺の部屋「room 103」にやって来て、蛇口を捻り無愛想にヌカした、
「5 minute wait!!」、
さて、ホットシャワーは18ミニッツ待ち続けても一向に出てくる気配は無かった。
小さい洗面台で頭を洗う、そこからはお湯が出た。
そしてサムライ精神を携えてシャワールームのコールドウォーターに飛び込みながら思う、
ここが自由の国とかいうヤツか。
「room 103」のドアには書いてある、「This room is not smoking」、
バットしかし、マルボロを二本燻らす、元は取る性質だ。
地下鉄乗り場では風来坊男が声を掛けてくる、
「1ディパスを買いたいがお金が足りない、どうか1ドル恵んでくれないかい?」
「OK,I see」、不思議と1ドル手渡しながら思う、
ここが自由の国とかいうヤツか。
ヤケに平和なビーチシティに辿り着く、夢のサンタモニカ。
此処は楽園、パイオツのはみ出たアバズレガールが声を掛けてくる、
「ライターを貸しなさい」
「yeah,sure」
太平洋を眺めながらこの先に日本が浮かんでいるのかと考えていたらファッキン小坊主が片手に小銭を乗せて近付いてくる、
「あのー、5セント足りないんだけど貴様くれない?」
「baby,no money」、答えながら思う、
ここが自由の国とかいうヤツか。
シーサイドではチャーミングガール達が「FREE HUG」と書かれた看板を掲げて道行くワイルドガイとハグを繰り返している、
ここが自由の国とかいうヤツか。
海をバックに生粋のアメリカンがボブディランを唄っている、
暫く聴き惚れ、そして一ドル札をハードケースに放り込みながら告げる、
「very good sound!!」。
バスでは隣に座ったファット黒人ガールがさぞかし気心の知れた友人の様に声を掛けてくる、
「ハイチュー食べる?」
「thank you,good taste」、伝えた瞬間、二個目が掌に置かれ、俺はそれを口に放り込みながら思う、
ここが自由の国とかいうヤツか。
ダウンタウンでは近年稀にみる迷子、鬼の形相崩さず、執念の我が物顔を貫き通しながら、
内心は不気味な怖さに怯えていた。
ようやく発見した地下鉄乗り場ではフレンドリーガイが声を掛けてくる、
「ワタシのワイフは札幌生まれだ」、
俺は答えた、「I'm Japanese」、
フレンドリーガイの話は終わらない、
「ワイフはいるのか?」「東京の地下鉄は24時間か?」「英語は勉強しているのか?」、
挙げ句の果てにヤツは言った、「俺のファーストワイフはインドネシア人だったんだ」、
「その情報いるんか?」、伝えたかったが俺にはどうやら語学が足りなかった。
「ツナミの被害は大丈夫か?」、そしてヤツは俺に向かって十字を切った、
ヤツの名はフランク、アンタの事を忘れない。
明日はサンフランシスコへひとっ飛び、「地球の歩き方」という名の地図が片時も手放せない。
'11.4.2(sat) 0:17 in Los Angeles,
April 03, 2011
'11.4.2 LAX - SFO Be-Bop vol.4
一日推定15km以上は歩き続けている感覚、
ブーツの踵は擦り減るどころかもはや皆無。
一食平らげる毎に2kg以上は太り続けている感覚、
サンドウィッチとピッツァとフィッシュ&チップスとコーク、
ファット野郎になるのも頷ける、出てくる皿のビッグ具合はまるで洒落にならん始末。
格安モーテルを一目散に逃げ出し空港へと向かう、
持ち物検査でトランクに液体を詰めていたのが引っ掛かる。
「It's pomade!!」
抵抗虚しくジャリズリ警備員5人に取り囲まれポマードは没収、
2カートンのマルボロを詰めたトランクをかき回しながら奴等がヌカす、
「you smoking man??」
「oh,yes!」、
そして奴等が告げる、「貴様、尖ったキーとか持ってるか?」、
さて、トランクから出てきた俺のキーは拳銃の形をした尖ったイカすヤツだ、
奴等はキーをぶら下げながらハナで笑い、俺は苦笑いで「ア・リトル、ポマード返せ」、
この後、ポマードを取り上げられた事が断固気に食わず、信じ難い程の大茶番劇を繰り広げる。
とても書き切れんが果てしない「It's pomade!!事件」は明らかに俺の経験値を8ランク上げ、
そして語り草になり続ける出来事と相成る始末。
大茶番劇を経てとにかく辿り着く愛のサンフランシスコ、此処は何だ、どうしようもなく性に合う。
格安ホテルに荷物を全て放り投げ、地図だけ片手にビートニク発祥の地「city lights books」へと向かう。
此処こそこの旅の大本命、本屋へ近付く時、ジャック・ケルアック・ストリートにようやく辿り着いた時、
興奮度数は100%中29147%のワールド指数を記録、
サンフランシスコは我が愛しのビート文化の街だ。
一人ぼっちで急な坂道を練り歩き続ける、
とんでもない距離を移動し続けている、
一日推定15km以上は歩き続けている、
ブーツの踵は擦り減るどころかもはや皆無。
'11.4.2(sat) 21:39 in San Francisco,
April 04, 2011
'11.4.3 In Haight Ashbury & Castro st Be-Bop vol.5
ヘイトストリートとフィルモアストリートの交差点、
捉えるなら小粋な悪魔と契約を交わすに相応しい場所で純正なマルボロをキメる時、
とんでもなく至福の瞬間が訪れる。
マンションの入り口で堂々と奏でるジャグバンド、
「これこそ理想だ」とイヤらしく胸を躍らせながらたっぷり25分間観賞した後、
10ドル+チップをハードケースに入れ、引き換えにCDを手に入れる。
Jugtown Pirates、ジャグ街の海賊達、問答無用のハイカラさ。
ヒッピーの生き残りが高らかにうろつくヘイトアシュベリー、
奴等の髭の生え具合にはとても太刀打ち出来ないこちとら単なるジャパニーズ・ボンクラ。
そして辿り着くカストロ、此処は天下のゲイタウン、
モノホンのオッサン同士が肩を抱いて歩き、
女はパイオツどころか真っ裸で煙草だか麻薬だかを堂々とキメている、
此処は何だ、自由の国と呼ばれる最たる聖地に違いない。
サンフランシスコに存在するジャパンタウンでは「mifune」という名の日本屋、
「unagi don/half」と「toritoji udon」をダブルオーダー、
そして店内では英語と中国語の無国境な会話が溢れ、
ジャパニーズ・ボンクラはかの有名なS&B製七味唐辛子をたっぷりと振り掛けて「toritoji udon」に貪りつく。
御馳走様の代わりにピースマークを送り、街角で紙コップを鳴らす浮浪者には適当な小銭を投げる。
世間体など金輪際シャラクサイ事柄、
「誰かがこんな旅をしていたら俺は指をくわえて嫉妬するんだろう」という旅を、俺は誰かが実行に移す前に実行する。
八番煎じなんて金輪際阿呆らしい、俺は誰かが実行に移す前に必ず実行する。
地図の見過ぎとハッタリで気を張り過ぎているせいで微熱が治まらない、
重要なのは団体で何が出来るかって事じゃない、一人で何を蓄えるかって話だ。
'11.4.3(sun) 21:56 in San Francisco,
April 07, 2011
'11.4.5 Airline Cancel Panic Be-Bop vol.7
最後に用意されていたのはエゲツナイ程に果てしない大茶番劇、
時間間際にどうにかサンフランシスコ国際空港に辿り着けば乗り込む筈のエアーラインはキャンセル、
何の警告も無く勝手極まるキャンセル扱い。
代替え便がアフタヌーンに飛ぶと何とかモノホン英語を聞き取り辛うじてチェックイン場所へと出向けば、
英語でも中国語でもまして日本語な訳も無く、宇宙言葉同様のエチオピアンだかイスラエル方面の女がヌカす、
「貴様、場違いなのよ、予約なんか入ってないわ、オーバーゼアー」
門前払いを食らい言葉を失い、日本人の弱さを目の当たり。
再度、違う女のカウンターに突進すればチャイニーズ女三人組が何ちゃら語でほざく、
「また来たわ、ほら、驚異のドンクサ星人よ、ハッハッハッ!!!」
「貴様、刺したろか」と伝えるだけの語学と教養は断固持ち合わせてないが故、
「どうかボクを成田エアポート行きの飛行機にライドオンさせておくんなまし」顔にて一緒にヘラヘラと笑い、
日本人と一人の脆さを目の当たり。
チャイニーズ女三人組からどうにか航空券を奪い取り一安心も束の間、
荷物検査で航空券を誇らし気に提示すればアメリカンポリスが英語で吠える、
「貴様、此処はサンフランシスコだぜ。この航空券ワシントン発のやつだぜ、しかもイエスタディの。この航空券で此処を突破出来るとでも?」
突き返された航空券に目をやれば「4/4ワシントン発成田行き」、
「これは一体どういう事だい?」×9999332877112、
ハラワタ煮え繰り返りチャイニーズ女三人組の元へと舞い戻れば奴等が何ちゃら語で溜息、
「あら?また来てる、ほら、天下のドンクサ星人よ、ヒャッヒャッフッ!!!」
唯一信頼のおけそうな警備員女が事情を説明すれば、チャイニーズ女三人組の一人、
オバケそのものな顔した女が突然ハッキリとした日本語で喋り出す、
「そのパスポート、オタクのじゃないんですか??」
「おい貴様、日本語喋れるんか!!!」×∞、
突然日本語を喋り出した事と、この期に及んでパスポートのせいにされた素っ頓狂具合にサプライズを通り越しダブルパニック状態、
「%$)(=#?>*+LP%問題なのはパスポートじゃなく断固この航空券だ$"%#%$"!!!$#$"$%#Q=0%!!!!!!!!!」
オバケにどうにか一発吠える事に成功し、そしてアメリカンポリスを辛うじて突破、
この間、費やした時間は2時間強、永遠に続くかの様に長い2時間強。
この侮辱と経験は忘れない、
日本なんてどうしようもない程に余裕だ、俺はもはや一人で何処にでも行ける、
求めているモノは刺激だけでそれ以外じゃない×∞。
'11.4.7 Japanese Hanami Be-Bop vol.8
此処は何処だ、貴様は何人だ、日本語は通じるのか?通じてくれるのか?
一丁前にほざきたくなる、そんな感覚。
あまりにも日本らしい桜満開といった雰囲気の庭園で花見という名の伝統行事、
体はガタボロ、神経は衰弱、両手を合わせて食したいモノはトリトジうどんと味噌汁三杯、
看病まで受ける体たらくながら意識を失う訳も無く喜びを如何なる時も探していたい。
旅に出たい、ニューオリンズ、はたまたロンドン。
此処が何処なのか、まるでそれさえも定かでないトリップ感覚、
大茶番劇は俺の友達、それも唯一無二の類い。
どうやら俺は今、日本に住み、そして余裕で生きている、
踵さえ皆無のポンコツブーツはそそくさと職人の元へ修理行き、
まだまだ歩き続ける為に。
そしてロードバイクは俄然行方不明、旅に出たまま戻らない始末。
April 09, 2011
'11.4.8 The Tokyo Be-Bop vol.9
気に入らない、16ビートの咳の連発。
気に入らない、ファッキントレインに揺られて仕事に出向くなんて馬鹿な話。
此処は何処だ、花の東京、
10年ちょっと前には外国だと思っていた街。
気に入らない、ロードバイクは何処へ消えた?
盗むなんてダサいぜ、女も言動も行動も。
気に入らない、気を許した相手の優しさに甘える俺とあまりに脆い俺、
弱い部分を見せるなんてポリシー違反の最高峰。
此処は何処だ、ヘイトアシュベリーじゃないのか?
必要なのはストイックな精神。
バットしかし、ヘイトアシュベリーで丸2年も過ごしたならきっと俺は盛大にほざくんだろう、
「気に入らない、下北沢はどっちだ?」、
気に入らない、何処に居ても落ち着かない、
気に入らない、我儘三昧な俺と小さ過ぎる俺、
必要なのは寛大な精神。
気に入らない、警視庁からの贈り物、6年前の駐車違反切符、
名前の欄には「コウテツノリ様」、
貴様、ナメとんのか?×860、
どうしてもお金を徴収する気ならこの果てしないクズの名前くらいせめて名簿に太字のフリガナ付で載せとけ、
気に入らない、それが最低限の礼儀。
意味不明な駐車違反代金を今巷で評判の義援金にしてくれと頼んでも無理な話か?
奴等、そのお金でピッツァをコークで流し込むって魂胆だ、
気に入らない、どれが正義かまるで分からない。
July 08, 2012
Road to Memphis ’12
「彼はメンフィスに辿り着き、ポンコツギターを手に入れて強靭な日本語で唄い出した矢先、ナニモノかにヤラレた」、
そんな感じで突然幕が下りたなら、ひょっとしてそこそこにイカすのかも知れない、そんな不謹慎な事を思ったりもする始末。
明日、生粋の旅人であり続けたいと願うが故、神経擦り減らし手に入れたマネーをドル札に両替し、
赤羽辺りに出向く生粋のスナック感覚にてロックンロールの聖地、アメリカ南部へと繰り出す。
とにかく訳分からんままに立て込んでいる、そして奇跡且つ軌跡はどうやら続いている、
ロサンゼルス経由でメンフィス着、何泊かステイした後、シティオブニューオリンズ号にて8時間42分、
最終目的地、ニューオリンズを狙う。
三度目のアメリカ行きは前回までとは二味違う、
今回は純真な音楽巡礼、目的はポンコツギターを手に入れ、強靭な日本語で唄う事、
その余韻で真夜中のビールストリートで、或いはバーボンストリートでモノホンジャズに身を任せてやれって寸法。
バカンスだとか何だとか、そんな類いは六の次だと洒落込みたい胸中。
なんせ、周囲の連中に一丁前にハッパをかけまくっている、
「俺はあの聖地でジャリズリをキメる」だとか何だとか。
「いやー、良いギターが無くて・・・」だなんてあまりにオカマ、そして強固ダサイ事柄、
もしも日本に戻って来ん様な事態が起これば、その豊かな想像力にて感じてほしい、
「ヤツはニューオリンズで呑んだくれてる」だとか「ジャズにヤラレた」だとか何だとか。
団体でしか行動出来ないヤツは嫌いだ、重要なのはまず個人でやってみる事に他ならない。
一つだけ確かなコトがある、もしも日本に戻って来れた暁には電気、電話、それ等電々の類いは根こそぎ止められているってコトだ。
エコノミークラスにて請求書はクッション代わり、
10日後、「アイムバック」をキメたなら大そう日に焼けたツラで、体験したハプニングを、8ガロンものウイスキーを呑み干しながら語りたい。
まずは現地時刻7月9日14時32分、エルヴィスに両手を合わせられます様に。
July 11, 2012
'12.7.9 - 10 In Los Angeles & Memphis Be-Bop vol.1
2012.7.9 - 7.10
時間変更線を二度も越えながら、メンフィステネシーに辿り着く。
ガラの悪い街だ、細心の注意を払いながらビールストリートのど真ん中をジャパニーズ雪駄鳴らして歩く。
サンスタジオが見え、タマラナイ気分になる、
「ここか、ここがそうなのか」、
ファッキングレイツ指数とエルヴィスの吐息が止まらない始末。
https://twitter.com/new_hip_moderns
https://www.facebook.com/akinori.taka.7
'12.7.10 In Graceland & Memphis Be-Bop vol.2
2012.7.10
【tip this on.】
「テンキュ」、「パードゥン?」、そして一人ごちる「全然分からん」、
上記三点張りにてメンフィス2日目を完遂。
Memphis is Danger Town、
日本人、ツナギを着た日本人はただ一人、すなわち俺だ。
102kmで飛ばすドライバー、チップを求めてセッド、
「3ダラーズオーケー?」
アイセッド、
「断固ノー、バット、2ダラーズで手を打つぜ」、
所詮命は風任せ、生きるなんて単なる運に過ぎない始末。
153ドルのギターは見つからない、その前にギターショップが見つからない、
痺れを切らして人様を軽く7人は殺してそうなウルトラファットボーイに問う、
「is there a guitar shop around here??」
そして奴さんセッド、
「何ちゃらストリートをレフトし、かんちゃらをゴー、そこがギブソンストアだ!」
アイセッド、
「ギブスン?兄貴、俺が探しているのはノーブランドのイカすギターだ」、
などと一発カマしたいが、「ブラザー・・・」以外の言葉が見当たらないが故セッド、
「テンキュ!」。
なにしろアスファルトさえ睨み潰してないと危険だ、
バット、ライヴハウスをハシゴすれば聴こえてくる、
エルヴィス、ルーファストーマス、ファッツドミノ、マディウォーターズ、ボブディラン、ザ・バンド、エトセトラ、
ホザく「オーイェー!」、英語は不明でも一緒に唄える奇跡、
全ては音楽が繋いでくれる。
★マーク僅か0.5の格安モーテルにチェックイン、
とにかく危険と背中合わせで今も健在。
日本語学精通の皆さんに最後に一言、読んでくれて「テンキュ!!」。
I am a Man, in Memphis 2012.7.10 PM23:00
July 13, 2012
'12.7.12 In Memphis Be-Bop vol.4
'12.7.12
【walkin' on the road.】
「全米犯罪率トップ5」との称号ありきメンフィス最終日を見事且つ華麗な仕草にてクリア、
勝ち逃げだ、メンフィス、
歩道も無いハイウェイさえ歩きまくり、鼻唄には断固「sweet home chicago」、
そして加川良「ビールストリート」、
こちとらとてこの街の唄を一刻も早く作り上げたい胸中。
またも辿り着くビールストリート、昼間からスタンダードナンバーを唄うモノホンブルースマン、
バドワイザーボトル二本でゴキゲン指数は沸点越え、
足で稼ぎ、ようやく土地勘さえ掴んだ頃、この記念すべき街とさよなら。
「川の流れのように」や「上を向いて歩こう」が日本のスタンダードである様に、
この街にはブルースとロックンロールが溢れ返っている、
この街で生まれた音楽から、何もかも教わったってコトだ、洒落にならん程に最高だ。
ミシシッピーリバーを見下ろしながら歩く、
たまにイカす車がハイウェイを走り抜けて行けば声を上げる、
「フゥー!ホゥー!!」
どうやらアメリカナイズされてきた感漂う昨今。
明日早朝、電車に揺られて8時間42分、ニューオリンズへファイティングゴー。
in Memphis 2012.7.12 PM19:44
July 16, 2012
'12.7.14 In New Orleans Be-Bop vol.6
'12.7.14
朝も早よからギターを抱えて街に出た。
ジャクソン広場で適当に弾き、ミシシッピーリバーに唄い、それからキャナルストリートに座った。
2mオーバーの大男が、裸同然の女が、白人が、黒人が、そしてチルドレンがただ目の前を通り過ぎた。
「ハイハイハロー、アイシンクソウ!」
強靭な日本語で何曲か叫んだ後、こちとら破れたジャパニーズ雪駄で、断固グラサンを外さず立ち去った。
空からシャボン玉降らすヒッピー、純粋ブルースに生粋ジャズ、
イカす音が聴こえるライヴハウスに根こそぎ駆け込み告げる、
「バドゥワイザーポリーズ!」、
ニューオリンズ、ロンリーローリングタウン、トンデモナイ街だ。
ところでコーラばかり飲み、ピッツァばかり食べている、
I want サバ味噌煮定食。
in New Orleans 2012.7.15 AM11:38
July 18, 2012
'12.7.15 In New Orleans Be-Bop vol.7
'12.7.15
街を知る為にやるべきコトはただ一つ、歩きまくるというコトだ。
誰かと一緒ならコレは出来ない、俺は一人で事足りる、
同じ道を行ったり来たり、違うストリートを徘徊、とにかく何でもかんでも朝から晩まで歩きまくる。
僅か6.25ドル(約510円)でボトル三本一気にバドワイザーが出てくる、
そしてブルース、ソウル、ジャズ、ケイジャン、ズゥコウ、ロックンロールは生演奏聴き放題、
冗談みたいな仕組みと洒落にならずの巧みな演奏、
踊り狂う店員、煽る客、場を掴むこちとら、
「天国って何処?」と問われたならば生意気且つ大胆にホザイてみたい、
「直ちにニューオリンズへゴー」だと。
格安ホテルに舞い戻りわざとベッドの下で眠る、
俺はバーボンストリートで呑んだくれてきたんだと気取り、記憶に残す為に。
July 24, 2012
'12.7.16 In New Orleans Be-Bop vol.8
'12.7.16
格安ホテルをチェックアウトし荷物抱えて練り歩く。
コマはない、そんなモノは要らない。
ルイアームストロング国際空港へ向かう、名前だけで完璧だ。
ドライバーはフィリピン人、
「オハヨゴザイマス!」、「コンニチワ!」、「ユーマフィア?」、
ラジオから小粋な音楽が聴こえてくる、
唄い出したのはフィリピン人、陽気とはこんな感じだ。
車道に飛び出してきたローリンガールにヤツが叫ぶ、
「オー、ストゥーピッド!オー、」
モノホンの言い回しをすかさずメモ帳に書き殴る。
空港に辿り着き、ギターを機内に持ち込みたい一心で問う、
「マイギター、アイハブイン、オーケー?」
質問も会話も食事も何ちゃらも異国の地では全て闘い、
それを経れば日本なんて余裕だ、そんな気持ちが生意気にも強くなる。
ロサンゼルス辺りでバカンス丸出しの団体日本人が増えてくる、
「ヘイ、どうかこのハッピー野郎共と同じ扱いにしないで」、
コレが正直な気持ちだ。
隣に座った一人のミセスジャパニーズが声を掛けてくる、
「ギター持ってましたね?ミュージシャンですか?好きな事があるのは良い事ですね!」
彼女は20年間ロサンゼルスに住んでいる生粋の女、
この度一週間程日本に帰るその便で偶然出会い、久方振りの日本語トークに戸惑いながら与太話を一つ。
そして辿り着いた羽田、地球の仕組みで変わりまくる時間も何のその、
税関管理局が問う、
「これはギター?この中に薬物とかない?じゃ、ピストルは?」
思った事はただ一つ、
「答えは日本語でオーケー?」。
December 06, 2012
ダンス・ウィズ・ザ・チェルシーホテル ’12
穴は開き放題、行きつけ靴修理屋兄貴は生粋苦笑いにてごちる、
「もうこれ以上は直せません!」、
そんな愛すべきズタボロブーツに隙間風ってヤツが吹き抜ける、
季節は2012年12月。
とにかくニューヨークへ行こうとずっと思っていた。
泊まるならボヘミアンの聖地、チェルシーホテルなんだと頑なに粋がっていた。
そこに泊まる理由は明確だったし、
「俺だってチェルシーホテル住人の仲間入りだ」などと永久にホザく権利を得る為には断固必要な行為なんだと決め込んでいた。
季節は2010年12月、
俺は気付けばチェルシーホテルルームナンバー902のキーを受け取り、スゥイートハートを根こそぎ爆発させながら興奮の坩堝で叫んでいた、
「おい!遂に来たぞ、おい!」だとか何だとか、鏡に写る輩に向かって叫んでいた。
朝、昼、晩、雪の中、真夜中、ホテルを出る時、戻る時、毎回毎回のシーンを写真に収め、その八倍を胸中に収めた。
エレベーターを使うなどオカマの最高峰なんだと洒落込み、902から階段で一階まで下りた、
「おい!キテるぞ、おい!」だとか何だとか、当時から一緒に歩き続けていたズタボロブーツに向かって叫んでいた。
ニューヨークへまた行きたいとずっと思っていた。
そしてチェルシーホテルをずっと気に留め、「この季節なら一体幾らでステイ出来るのか?」とたまに調べたりしていた。
それを見る度、何ヶ月先まで「空室無」となっていた。
そして本日、チェルシーホテルが知らん間に閉鎖されていた事を知った。
俺が三日間ステイした、その僅か何ヶ月後かに。
信じ難い事だ。
あまりに平たくヤスい話、「気付けばニューヨークへ居た」ってのと「気付けば死んでいた」ってのは同義だ。
早い話、抑え切れん程の衝動に駆られた際は、専売特許のスナック感覚駆使して直ちにその場へゴーだ。
水が出ないってコトより大事なコトが胸中12リットル分溢れかえっている限りは。
September 23, 2017
地球の夢 '17 vol.1
4度目のアメリカトリップから戻って来た。時差ボケはゼロ、ビコーズ I'm 万年時差ボケみたいなモンだから。
言葉ではとても追い付かない。書いても書いても書き足りない。
「どうだった?」ってな問いに一言で答えられるほど安易でもない。それでも語り尽くしたい気持ちは溢れ続けて止む事がない。
今、思っている事は今日からでもまたアメリカに飛びたいって事です。
夏は確実に取り戻した。事実、ニューオリンズでは30℃をオーバーしていたし、「この国、レインって概念捨てたんか?」ってなほどに毎日毎日晴れ渡っていた。
散々と道に迷い、「俺って地図さえ読めないクズなのか?」なんて自問しながら、迷えば迷うほど、迷ってなければ見れんかった風景があった。
クズだろうがボンクラだろうが何だろうが、迷っているヤツの方が偉いと捉える思考回路があったっていいだろう。
とんでもない距離を冒険し、ブーツは修理不可ぎりぎりのところまで擦り切れ、トランクはぞんざいに扱われ、壊されたとてガムテープで対抗し、ヤバい通りを歩きながらも「ボク、アメリカに住んでもう7年も経つんです」ヅラだけは維持する事を心掛けた。
英語が出来る人達からみればどうしようもなく滑稽な旅に見えるだろうが、とにかく何度でも飛び込んでみる必要性は何時だってある。
今回はとくに本気で帰りたくなかった。
10代の頃、「東京」とは外国なんだろうと思っていた。初めて部屋を探しに東京へ来た19の時、新宿辺りで感じた事を明確に覚えている、
「言葉は通じる。所詮日本人がおるだけや」。
ところが今、思っている事は言葉さえ通じないところでもっとやってみたいって事だ。
いざ、本気で困った事があれば日本語で、まして標準ともされていないであろう言い回しで主張する。
重要なのは心意気だけだ。
失敗し続けて、それがいつか死に至る様な事柄だったとしても何もせず終わるよりはよっぽどマシだと思っている。
ソレが全ての原動力だと思っている。
6年9ヶ月前、初めてニューヨークに向かった時に手に入れた下北沢のトランク屋の親父の店に修理を頼みに久方振りに顔を出した。
貫禄とダンディズムを存分に漂わせた親父が云った、
「コレ、うちで買ったヤツ?随分貫禄出たな。色々行ったんだね〜」
トランクの表情を見て全てを解釈する親父との会話が心底心地良かった。
そして俺は今、まだまだ足りないと思っています。
これだから旅は何時までだって続くってワケだ。
September 29, 2017
地球の夢 '17 vol.2
思うに、俺は相当な臆病者だ。でもそれと同時に「モノホンの臆病者がこんな事をするか?」という思いもある。
日本に居れば日本語でとりあえずの片は付く。でもそれが当たり前になるってのもどうにも心地悪い。
まず出向き、右も左も分からず成す術無しという状況に陥ってしまったとて、それを壮大なる茶番劇と捉えて楽しもうとする自分がいる。
ヒップな笑い話、それだけで儲けたってな気にもなってくる。一種の性癖みたいなモンだろう。
そして国を問わず、親身になってこの訳の分からんイエローファッキンモンキーを助けてくれようとする人達がいる。国境など断固どうでも良いと強く思える瞬間がある。
空港に着いた瞬間から迷子が始まり、電車乗り場で切符の買い方に四苦八苦、乗り換えに困難、ようやく辿り着きまずは宿を目指すも逆方向に向けて歩き、仕切り直してようやく辿り着けばチェックイン手続きで苦笑い、産まれたての子ども同様、一つずつ学ぶ事から全ては始まる。
お母ちゃんなら云うだろう、「アンタ、ええ事教えたろか?行かへんかったら済む話やん」、
バット、そういう事じゃないんだな。
空港の警備員が問うた、「貴様、トランクの中身は肉とか食料品の類いか?」
着いたばかりで英語の引き出しなど空っぽだったが故、自らのTシャツを引っ張りながら日本語で答えた、「服よ、服、服なのよ!」。
そこからずっと考える、「あの時はクロッシングと云えばスタイリッシュに決まったよな」だとかどうだとか。ずっと考えながら引き出しの言葉を増やしていく。
チェックインしトランクを置いた直後、即座に街の徘徊を開始する。日本でも知らん街に行った時は同じ事をするが、とにかく歩いて街を知ろうとする。
マンハッタンをパジャマみたいな格好でジャパニーズ雪駄を履いて一人で歩く時、内心は震えながらも同時に誇らし気な胸中も携えている。重要なのはバランスを保つ事だ。
街の綺麗な夜景を写真に収める事なんかよりゴミ箱や見向きもされてない靴磨き職人達の光景に胸を躍らせ、立ち止まり、引き返し、写真を撮りまくる。
イギリス人であろう団体がエンパイアステートビルに向けてオアシスの「ロックンロールスター」を大声で唄っている真横をすり抜けながら思う、
「君等、それ自国のバンドの曲やないか!」。そして紛れて一緒に唄う、「tonight, I'm Rock'n' Roll Star!」。
それならばと思う、俺だって加川良の「ラブソング」をマンハッタンに響かせてやったって良いだろう。
女二人組が何かを唄いながら歩いているその横を追い越す男が女に声を掛けたのを耳にした、
「君、唄巧いね!」、
そう云われた女達は無邪気に喜んでいる、「リアリー?アイムハッピー!」なんて叫んでいる。そこに国境などは一切存在しない。
その真後ろに居た俺が次は彼女達を追い越す番だ。この場面は何か気の利いた一言が絶対に必要だと判断し振り向き様に俺はスマイルで告げた、
「hey you!very nice!!」
彼女達の反応は待たずそのまま歩き続けた。雪駄を鳴らして。初日の、着いて間もない夜だった。
重要なのは積極的にカマしてみるって事だ。
「観光に来ました!」ってな思いはさらさらない。何より知りたいのは地球の仕組みだ。
October 03, 2017
地球の夢 '17 vol.3
思うに、書き残しておきたい事が多過ぎて永久に追い付けない。書く事だけに全てを捧げて没頭出来たら本望だが、そうは問屋が卸さないってのが生の仕組みだ。
ジャックケルアックが「路上」を書く時、タイプライターの紙を入れ替えるのが心底シャラクサくて、トイレットペーパーみたいな長いロール紙をセットしてただ書くだけ事に没頭したという逸話がある。必要なのは情熱でしかないだろう。
ニューヨークでは「Caffe Reggio」という西四丁目(グリニッヂヴィレッジ)にある老舗のカフェにほとんど毎日入り浸っていた。
そこではスープヌードルを食べる時に使う様なビッグカップに、なみなみと注がれた珈琲が出てきた。俺は云った、「断固ノンシュガー、ブラックプリーズ!」。$2.50。
ある日、ライヴハウスのオープンまで中途半端な時間が余った時、またそこへ出向いた。
入るなり、ヤケにチャーミングな国籍不明のウエイトレスが俺の首元を指差してホザいた、「貴様のネックレス、グッドね!アーハー?」。
その日は何か食べてみようとメニューを凝視し、大好きな「penne」と「tomato」のキーワードだけを頼りに注文したら、見た事もない代物が出てきた。
例のウエイトレスが云った、「待たせたわね!エンジョイするのよ!」。
想像したモノと色も味も違うモノでありながら量はざっと三人前くらいあった。君も一緒なら良かったのにと思ってしまう瞬間だ。
得体の知れん代物に躊躇し、胡椒などを駆使して粘ったが完食は不可能だと判断した。食べ物の写真を撮るのは抵抗があるが、元を取る為に撮る事にした。
そしてオマケに、例のウエイトレスにせめてもの礼を云うべく、なるべくは使いたくもない携帯電話を駆使して「ごちそうさまでした」の英語を調べた。情けない行為だ。
「it was delicious」、そう告げた時、まだ皿には大量の「penne&tomato」が残っていた。その辛うじての一言をウエイトレスは聞き流し、無視した。それまであんなに陽気だったのに。
文化が違うと分かり合えない事がある。そんな事は日本だけでも腐るほどある。
ようやく「Caffe Reggio」を抜け出し近くのライヴハウスに向かった。屈強な男達のブルースが始まった。そこでは文化の違いなどどうでも良かった。そんな類いは一気に突き破ってリズムで踊り一緒に唄えた。音楽に敵うモノなどないと思ってしまう瞬間だ。
そんな時、俺の歯は暗い場所でも分かるほどの緑色だった。バーカウンターを一人で切り盛りするアジア系のクールビューティガールに俺は云った、
「ヘイ!バドゥワイザー、もう一本」。
October 07, 2017
地球の夢 '17 vol.4
近頃は許す時間さえあれば「9..11」にまつわる映画や映像や資料を読み漁っている。相当なエネルギーを消費するので、簡単な気持ちではなかなか手が出せない。
飛行機に乗る時、いつも脳裏からあの映像が現れる。例のビルに吸い込まれていくあのシーン。
2001.9.11、俺は風呂無しトイレ玄関共同のファッキン四畳半に居た。発売されたばかりのボブディラン「Love and Theft」を極力小さい音で聴きながら眠り、丑三つ時に目が覚めた。
何となくテレビを付けたら、例の突っ込んでいくシーンが繰り返され、緊急事態としてニュースキャスターは緊迫した表情を携えながら喋っていた。
センス皆無の冗談みたいな映像に言葉も失い、寝ぼけ眼のままに遠くのガールフレンドへ電話をかけた。
「大変よ、戦争が始まるわ」
足りん頭でも「報復」という名の争いの仕組みくらいは理解した。
あれ以来、あの事件を思う時には必ずボブディランを思い出し、「Love and Theft」のジャケットを見る度に「9..11」を思い出す様になった。
2017.9.11、偶然にも俺はニューヨークに居た。予定通り行けばその日にはまだニューヨークに居るんだと気付いたのは旅立つ一週間だか二週間前だった。
当日、前回は行ってなかった「その場所」に初めて出向いた。
俺はただ思った、「この場所で・・・」。難しい言葉は必要なかった。
あの事件がテロリストの仕業なのか国の陰謀なのかってな議論は後回しでいい。
まず事実なのはあの場所で苦しみ、潰され、燃やされてしまった人間が居るという事だけだ。
恥ずかしい事に、つい最近知ったところでは、死んでしまった人達の国籍は87ヶ国にものぼるという。
何語かさえヒアリング不可な言葉で溢れているあの国。
ジミ・ヘンドリックスの言葉が脳裏から離れない、そして離さずに居るべきだろう。
「愛国心を持つんなら、地球に捧げようぜ」
50年以上前のアメリカ人の言葉。
日本人でもイタリア人でも友達と呼びたくない連中、中国人だろうが北朝鮮人だろうが仲間と呼ばせていただきたい人達、色々居る。
まず必要なのはそいつが何もかもを諦めたロボットではなく、人間なのか、そうじゃないのかを見分ける目と耳と鼻なんだと思います。
October 10, 2017
地球の夢 '17 vol.5
アメリカに出向く直前、信頼すべき映画監督代表格、ジムジャームッシュの最新作「PATERSON」が公開された。
期待を裏切るって事を知らん氏のクール&モダン極まるやり口にまたしても脱帽し、主役の奥さん役の女の子にはまんまと恋をした。
あんな心の綺麗な女の子に惚れない男こそ狂っている、ってなほどにチャーミングだった。それと詩を書いている少女の生意気さ。
パンフレットではジムジャームッシュが語っていた、「パターソンはニューヨークからそんなに遠くないからフラッと行ってみたんだ。それでいつかここで映画を撮りたいと思った」。
映画を観るまで名前すら知らんかった「パターソン」って街にも行けたら行きたいなと思った。
行きの飛行機、座席前にある映画が観れる画面システムを確認し、何か観ながら眠ろうと思った。
「どうせロクな映画入ってないやろ」などと一つずつチェックしていたら、何と突然「パターソン」が出てきた。字幕無しのアメリカ版。
ニューヨーク滞在四日目、「行けたら行きたいな」は「絶対に行きます」に変わった。
何の情報もないまま、どうにか乗り換えを経てパターソン駅に辿り着いた。乗り換えのセコーカス駅の床は猿小屋の床とまるで同じ柄だった。
最高だ。これを見れただけでも来た甲斐があるってもんだろう。
パターソン駅に着いた。日曜日で、街はとんでもないお祭り騒ぎだった。狂乱のパレードで女は踊りまくり、男はゆっくり走るトラックの上で演奏していた。
そしてナマハゲみたいな格好をした奴等が太い綱を地面に叩き付けて銃声にも似たドデカイ音を出す度、道を埋め尽くした観衆は雄叫びを上げていた。
何の風習かも文化かも知る訳もない驚異のアウェイガリヒョロ星人このワタシ、しかしこの場面は俺だって何かしら叫ぶ必要性があるだろう、
「イェイイェー!」。
ここまで来たら何としてもあの「滝のある場所」まで行く必要があった。
ずっと歩いていたらパレードも途切れ、人気もどんどん少なく、怪し気になってきた。
いつまで経ってもその場所へは辿り着けそうになかったし、まずその滝が何処にあるのかさえ知らんままに歩いていた。
もう諦めようとした矢先、ようやくちゃんと地図を見てみたら信じ難いほどの逆方向を歩いていた。無駄な事は何一つないと別の道を歩きながら引き返した。
パレードの賑わいがまた蘇り、安心し、更に歩いてようやく辿り着いてみたら、その滝はパターソン駅からたかだか10分程度のところにあった。
映画を観た直後の今、あのスクリーンの中にあった風景が目の前にある。それって心底ロマン溢れる風景だと思う。
それは「パーマネントバケーション」の風景を生で見た時も感じたし、「ストレンジャーザンパラダイス」の風景を見た時にも感じた。「ミステリートレイン」なんてダイレクトに感じ過ぎて痙攣を起こしそうだった。
違いがあるとすれば俺は一人だったって事くらいだ。
さて、俺は今、ジムジャームッシュにお会いしたいな、なんて思っているところ。